2020年06月24日

2020 帝王賞 レース回顧

 超豪華メンバーが出揃った今年の帝王賞は、サウジで一敗地に塗れたクリソベリルが、それでも国内ならば話が違う、とばかりに、好位外目から早め抜け出しの堂々たる競馬で年上のライバルたちを完封し、改めて絶対王者への一歩を踏み出しました。レースを振り返っていきましょう。


 今日の大井のダートは、思った以上に回復が遅めで、前半はまだ不良馬場、後半になってやっと重馬場に回復、という過程でした。
 時計的にはやはりそれなりに程よく乾いて脚抜きが良くなったか、全体的に昨日よりも少し軽いイメージで、A2クラスの1400mは1,26,9の好時計でしたし、一つ前のB3の1800mでも1,55,0が出ていたので、近年の大井2000mでのビックレースの中では、かなり軽い部類の馬場になっていたように思えます。
 なのでその中での2,05,3は全体時計としては物足りなさはあるのですが、これはレースが予想以上にスローバランスに振れた影響が大きかったですね。
 馬場のバイアスとしても比較的内目が伸びるイメージの一日でしたし、その辺りも踏まえて見ていきましょう。

 レース展開ですが、逃げたのはスタートでやや躓き気味だったもののねそこからリカバーしてのワイドファラオ、それをストライクイーグルが果敢に追いかけていき、そして外から早めにクリソベリルが3番手に上がっていきます。
 内からはモジアナフレイバーとルヴァンスレーヴ、チュウワウィザードもこのグループの外目で、オメガパフュームも五分のスタートから好位勢を見る絶好の位置で競馬を進めていました。
 中団くらいにノンコノユメとミツバ、ケイティブレイブは大外でもあり、序盤は無理せず後方寄りから、向こう正面でじわっと取りついていく形になりました。

 ラップは37,6(12,53)-51,6(12,90)-36,4(12,13)=2,05,3(12,53)という推移になっています。
 1コーナーまでが長い大井の2000mとしては異例なくらいにテンの3Fからゆったり、更に1~2コーナーで緩んで、ハーフバランスだと63,9-61,4と、都合2,5秒もの後傾バランスでのレースになりました。
 確かにワイドファラオしか逃げ馬がいなくて、後続が牽制し合って、のパターンは想定できなくはなかったですけれど、それでもこれだけのメンバーである程度つつく馬も出てくるかな?と思っていたのですが、やはり展開予想は一筋縄ではいきませんね。

 結果的に向こう正面で最初にケイティブレイブが押し上げはじめ、それを意識しつつのオメガパフュームも早めに仕掛けて3コーナーで一旦先頭に並びかけ、前を動かしたところで一呼吸入れるミルコJらしいレースメイクだったのですが、それ以上に前が余裕を持っていた、という感じです。
 後半は12,0-12,6-11,7-12,1で、大井なので3~4コーナーで緩むのは必然的なのですが、それでも例年に比べるとコーナーでそこそこ速いラップを問われていて、かつそこから直線での加速度、瞬発力の質的な部分でもかなりのものを要求されています。
 ラストも12,1としっかりまとめているように、中々後ろから差すというのは難しい競馬になっていますし、馬場のバイアス的にも早めに動いて内目に誘導出来た馬の方が、というのはあったのでしょう。

 勝ったクリソベリルは、川田Jらしい積極的な正攻法の競馬でしたが、ただ自分から前をつつく事はせず、あくまでもゆったりした流れの中でピタリ折り合いをつけつつ、後ろを待っていた感じのレースでしたね。
 3コーナーでオメガに被されかけて、そこからじわっと動かしていきましたけど、JDDの時よりもコーナーでの動き出しがスムーズで、このあたりはスタートの良さも含めて、トモが強くなっての成長ゆえ、と見ることはできるでしょうか。

 それにやっぱりこの馬、理想的にはスローバランスからの後半勝負なのかな、というのは改めて感じます。
 余裕を持って入れれば、後半は馬場の質を問わずにしっかり切れ味と加速を引き出せる感じで、チャンピオンズカップもあの流れでも実はハイペースではない、というのがありますからね。
 サウジ戦はまた例外的な超絶ハイなので、どこまで許容できるか、というのはポイントになりますし、基本こんな風に前目で王道の競馬をする馬なので、例えばこの舞台で61,5-63みたいなバランスになった時に、それでもオメガを完封できるのか?と、そこはまだ個人的には絶対的な信頼は置けないかな、とも考えます。

 ただ少なくとも馬場問わずに自分の形なら相当に強いのは見せてきましたし、どんな展開であれ、大井2000mでオメガパフュームを寄せつけなかったのは立派ですね。
 やはりしばらくはこの馬を中心にダート戦線は動いていくのでしょうし、情勢的に落ち着いてきたならば、再度の海外挑戦も期待したいところです。

 2着のオメガパフュームは、やはりこの舞台なら安定はするのですけど、ここまで顕著にスローになると、後ろから外目で勝負、というスタイルしか持ち合わせないのが、ここまで高いレベルだと弱点にはなってしまうのでしょうね。
 実のところこの舞台で私が初めて本命にしたら超スローとか、我ながら相性の悪い馬なんですけれど、その中である程度早めに動いたとはいえ、このペースなら正直向こう正面で捲り切るくらいのつもりで行っても良かったのではないか、とは思います。
 勿論この相手にそこまで強気な競馬は難しかったかもですし、全体的にそつなく得膜乗れていたとは思いますが、流石に前にあれだけの決め手を使われてしまうと、元々切れ味の質的に強気にはなれない馬でもあるので、これは仕方ない負け方かな、と感じます。

 少なくともこの舞台であろうと、スローでは絶対ではないのがわかったところで、今年はまだ2戦この舞台で大きなレースがありますし、特にクリソベリルが出てくるならば、もう少し緻密な戦略を練らないと、とはなるでしょう。
 正直ハイペースまで上がれば逆転できるのではないか、というイメージはなくはないんですけど、自分でレースメイクできない弱みは常に持っている馬ですから、よりロンスパのオプションはしっかり意識してくれればいいなと思う一戦でした。

 3着チュウワウィザードは、こちらもそつなく、ではあるのですけど、やはりテン乗りで少し馬をわかり切れていない部分もあったかな、という内容ではありましたね。
 この馬も出し切ってこそ、という面はあるので、クリソの後ろで外から動けそうな形は良かったと思うのですけど、オメガパフュームに先に動かれて蓋、コーナーでずっと窮屈な位置に閉じ込められ、そこから一気の加速を求められたのは、この馬の適性としてはやや苦しかったなと思います。
 これが川田J継続なら、そもそもクリソベリルの位置を取りに行くか、早めに被せて動いていくか、という選択も取れたかも?というのはありますし、高いレベルで言えば厳しい流れになってくれた方がこの馬も、というのはあるでしょうね。
 ただ空輸送明けでしっかり+体重で、というのは良かったと思いますし、秋も大きいところは沢山ありますから、改めてこの馬らしい競馬を見せてくれれば、と思います。このコースでも乗り方次第で、上位2頭とは互角に戦える素地はある馬だと思っていますので。

 4着ワイドファラオは、こちらは福永Jの、後続の意識を読み切っての超スローまで落とした戦略が上手く嵌った感じで、やはり今の福永Jは一味違いますね。
 前走を見ても地方の砂でそれなりの加速と切れを引き出せるのはわかっていたでしょうが、この舞台で二段階加速になるとどうか、というところで、ギリギリまでスローに落としこみ、逆に誰しもが先に動けない、動きたくないという、金縛り的な状況を作ってきたな、と思います。
 結果的に3角からの仕掛けで、かつコーナーで強制的に少し息は入っての2F勝負に近い構図なので、そこでしっかりこの馬も加速、出し抜く脚は使えていて、けれどそれ以上にクリソベリルが切れた、というイメージでいいでしょう。

 最後はやはり距離と底力の差は出たと思いますが、上手くバランスが取れれば距離は持つ、というのを示した一戦ですし、1800mまでは普通に最上位で戦えそうですね。
 ただ逆にハイペースになった時に地方でどこまでやれるかはまだなんともで、近走はハナで競り合う相手がいない幸運もあったので、そのあたりの兼ね合いで上手く番手以降の競馬でも安定するようになればより面白いと思います。

 5着ノンコノユメは、どうしてもこれだけコーナーでペースが上がるとそこで後手後手にはなってしまいますし、その分直線も外に出すしかない、けれど馬場的に外の方が伸びない、という所まで含めて、色々と噛み合わなかったなとは思います。
 どうしてもこの馬もここまで切れ味が問われると、対応は出来るものの差を詰めていくほどの質を引き出せないですし、ラストのポテンシャルは流石でしたが、やはりこのレベル相手ですと流れてくれないと、というのはありますね。
 裏を返せば、ハイペースまで上がれば去年くらいやれてい、まだそれだけの力は維持していると思うので、JBCや東京大賞典での一発は常に警戒しておきたいところです。

 6着ケイティブレイブは、今のスタイルではあの形で正解だと思いますが、流石にここまでスローになってしまうとポジション差もかなり大きく影響してしまうので、そこは仕方ないかなと思います。
 こちらもこれである程度流れてくれていれば面白かったと思うのですが、前に上手く支配されてしまいましたし、逆に言えばこういう遅くなりそうな時にはニュートラルに前に、という柔軟性を取り戻せればより素晴らしい、もっと安定してくるのかなとは思うのですけどね。

 10着ルヴァンスレーヴは、競馬の形として窮屈ではありましたけど、特に不利はないですし、けれど今回も一気に加速が問われたところで本来のフォーム、瞬発力を片鱗すら見せられなかったのは本当に残念ですね。
 やはり靭帯はどうしても馬のメンタルに影響が大きいのか、これは正直もうトップレベルに戻ってくるのを期待するのは厳しいか、と思わざるを得ませんし、あれだけ強い馬だっただけに諸行無常、ですね。

 券種的には、結局一番固いところが来てしまいましたし、浪漫枠も含めて色々広げ過ぎたかな、というのは反省ですね。
 ここまでスローを想定していなかったとはいえ、やつぱり素直に上位3頭は強かったわけで、単穴枠はともかく、券種的にももう少し絞って勝負すべき条件だったとは思います。
 まあガミガミとはいえ当たらないよりはマシ、という事で、首の皮を繋げての宝塚での逆転をなんとか狙っていきましょう。


posted by clover at 21:01
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