2019年11月30日

2019 ステイヤーズS・チャレンジC レース回顧

 今日の土曜重賞ふたつは、東西ともに中々ゴール前激戦で、内実はさておき盛り上がりましたねー。特にステイヤーズSで、オジュウチョウサンが動いて先頭に並びかけていった時の大歓声は、やっぱりこの馬人気あるんだなぁと強く感じさせました。
 その狭間の中京でも、アメリカ帰りのマスターフェンサーが格の違う競馬で完勝してくれて、海外明けだとダメになる馬も多い中で、こうやってタフに結果を出してくれるのは本当に嬉しいものです。


★ステイヤーズS

 今日の中山の馬場は良馬場で、開幕週らしくかなりの高速寄りの馬場だった、と思います。
 最終の2勝クラス1200mが33,6-34,2=1,07,8と中々の時計で、かつ再加速戦、そして葉牡丹賞が59,7-59,2=1,58,9という2歳レコードで、このレースの場合2歳戦らしからぬ超ロンスパになっているので、レベルがかなり高かったのではないか?というイメージは持っています。
 葉牡丹賞だけ切り取ってしまうと超高速まで考えてしまいますけど、個人的にはそこまでは行ってないんじゃないかな、という感覚で、その中でかなりのスローバランスから3,46,1は、触れ幅の大きいレースだけに判断が難しいですけど、まあ妥当なレースレベルではないか、とは思います。

 レース展開は、道中でコロコロ入れ替わったので正直きっちり書きにくいのですが、最初はレイホーロマンスが奇襲逃げ、それをオジュウチョウサンが追いかけて番手、その後ろにモンドインテロ、ヴァントシルム、チェスナットコートあたりが続き、リッジマンは中団外目、アルバートはやや後方よりに位置してしました。
 2周目のスタンド前で、最後方にいたネイチャーレットがまず動いて先頭を奪い、それよりワンテンポ遅らせて外に出したエイシンクリックが、よりペースを引き上げながら先頭に立っていきます。
 2周目はその分縦長になりつつ、向こう正面から後続も動いてこのレースらしいロングスパート特化戦になっていますね。

 ラップは38,1(12,70)-37,7(12,57)-41,0(13,67)-37,1(12,37)-35,8(11,93)-36,4(12,13)=3,46,1(12,56)という推移でした。
 パッと見で第3ブロックが極端に遅くなっているのはわかると思いますし、この2周目のスタンド前で後ろの馬が一気に動いたのも、それだけペースが落ちて我慢できなくなった、という面はあるでしょう。エイシンクリックあたりは終始3~4コーナーで首を上げていましたしね。

 なのでこのレース、ハーフバランスで言うと後半9Fは1,49,3と結構速く、前半に比べて9秒くらいペースアップしている計算になります。
 そして後半は意外と緩みがなく、ラスト1F以外で一番遅かったところでも12,6、向こう正面からは12,1-11,7-11,5-12,0-12,9と、はっきり3~4コーナー最速ラップになっていて、ロンスパからの持続&持久力特化戦みたいな感じになっています。
 こういうラップですと、コーナーで外々になりすぎると押し上げるのは苦しい、というのはありますし、基本的にはペースが上がった時点での縦横のポジショニングは重要な感じで、最後は大きく消耗しているように、この距離にしては中々に面白いレースになったなと思いますね。

 勝ったモンドインテロは、ビュイックJの好騎乗でしたね。
 外枠だったので前に行けないかな、と思っていたのですが、スタートから強気に出していって3番手、その後も出入りがある中で下げ過ぎずに常に前を意識したポジショニングをキープしつつ、馬の負荷も最小限に抑える形に上手く持っていけていました。
 オジュウチョウサンが先に動いてくれたので、ワンテンポ遅くそれを追いかけていく中で、極端に外を回さずに押し上げる事が可能で、その分だけラストの1Fまで脚を残せたのかな、という感覚です。
 馬のステイヤー適性を信じた強気の騎乗だったと思いますし、馬もしっかりそれに応えるいい走りで、悲願の初重賞とはなりますし本当に良かったと思います。
 まあここを勝ったからとて、次に繋がるかと言えばうーん、とはなりますし、ラップ的にも馬場を考えるとハイレベルとはお世辞にも言えない、そもそもアルバートが少し踏み遅れてる、という諸々の要素はあるのですけど、それでも勝ちは勝ち、強気さと冷静さが人馬ともに綺麗に噛み合ったいいレースでした。

 2着のアルバートは、難しいところではありますけど、スタンド前で仕掛けた馬にある程度ついていく選択はあっても良かったかもしれませんね。
 後半の、特にラスト7Fくらいは、後ろから早めに押し上げるだけのポイントがなかったので、その意味ではああなった以上コーナーで無理に動き過ぎず、最後の坂での食い込みに賭けるのは仕方ない判断で、実際に馬は頑張って伸びてきていますが、それでもスタミナを余さず出し切れたか、と言えば、その通りとは言えないイメージですね。
 マーフィーJにしては序盤のポジショニング、そこからの動き出しも消極的だった気はしますし、コーナー最速の流れでもっと早く動いてどうだったかは微妙なラインですけど、今の能力と状態でも勝つチャンスはあっただけに勿体なかったとは感じました。

 3着のエイシンクリックは、このレース最大の驚きでしたね。
 元々先行出来る馬ですけれど、あれだけ道中行きたがって頭を上げていて、仕方なくスタンド前で動かしていった感じなのに、そこからのロンスパでの粘りは脅威的ともいえました。
 まあオジュウチョウサンに対してで言えば、この馬が強く仕掛けていったのはコーナーからで、より細かく言えば4F勝負をしているのに、オジュウチョウサンは5F勝負をしている、その差が最後の差し返しに出たのかなとは思いますけど、本質的な長距離適性がないとああいう粘り込みは出来ないですからね。
 ルーラーシップ産駒で軽めの馬場でそこそこ速いラップを踏み続ける形となると、キセキ的な性能の片鱗を感じさせましたし、これはちょっと面白い長距離馬になってくるかもしれません。
 津村Jもテン乗りながら中々の騎乗で、最近本当に覚醒気味ですよねぇ。高速馬場で効率よく、トータルで速く走らせるためのラップの踏み方をかなり意識している感じで好感が持てますし、人馬ともに今後が楽しみです。

 4着のメイショウテンゲンは、流石にステイヤー適性はあるな、という走りでしたけど、強いて言えばスロー過ぎて、コーナーで結構速いラップを踏んだところではついていけてないのが敗因にはなるでしょう。
 ロングスパート自体は得意ですけど、11秒半ばくらいのラップも踏めない、瞬間的な脚はかなり遅い馬なので、適性としては難しいですし、このレースで言えばもう少し前半流れて後半12秒そこそこしか踏めないくらいのラインに入ってくれないと差し届かない、とは言えます。
 正直雨が降った時くらいしか狙いどころはないかなぁ、とも思いますし、逆にタフな馬場ならもう少し短い距離でもやれると思うので、今のところはそこだけ意識して取捨すればいいのではないか、と見ています。

 5着サンシロウはしっかり相手なりには走りますし、コツコツ稼いで偉い馬ですけど、ワンパンチ足りないのも確かで、今後重賞まで上がってくるかも不透明ではありますのでなんとも、ですね。

 6着オジュウチョウサンは、適性としてはやはりマッチしていましたけど、自分から5F勝負に持ち込んでラストまで伸び切る持久力はちょっと足りていなかった感じですね。
 この辺スタミナと持久力の定義的な部分は来週の能力分析の題材にしたいな、と思っているのですけど、ともかく有馬でも同じように5Fの後半勝負の中でラストは甘くなっているように、多分ロンスパで勝負するなら4Fまでがギリギリなのだろうと思います。
 それこそもっとラップの遅い展開ならまた違うかもですが、この馬は残り1000-800m地点で3馬身は詰めていて、後半11,7-11,7-11,5-11,9-13,3くらいのはずなので、軽めの馬場でも分散して11秒半ばまでは全然やれるのですよね。
 ただテン乗りミルコJで、陣営からのオーダーもある中で、これを早仕掛けだったと批判するのは流石に可哀想なところで、馬自身は精一杯頑張っていると思いますし、噛み合えば勝つチャンスもあった、とは思うのですけどね。


★チャレンジC

 こちらは唯一の3歳馬のロードマイウェイが、出負けから大外を回す大味な競馬ながらも、最後まで鋭く伸びてしっかりと差し切り、5連勝で初重賞制覇を飾ると共に、ジャスタウェイ産駒としても待望の初重賞になりましたね。

 阪神の芝は、こちらは超高速だったと思っています。
 2歳未勝利でも1400mで、かなりのハイペースとは言え1,20,5のレコード、2000m戦も2,00,4のレコードと、そこそこペースが上がれば時計は出ていますし、スローになった時の後半の上がりも相当に速く、時計の出る軽い馬場、というイメージそのものでしたね。
 なので、その中での1,59,1は正直全体時計としてはかなりレベルが低く、勿論その分後半はそれなりのラップを踏んではいるのですけど、それでもラスト1F12,0まで落としているあたり、この展開であまり強い馬がいなかった、というイメージにはなります。
 外国人ジョッキーが多いのはいいですけど、逆にこういうペースメイクが色々予定外の方向に転がる場合もあるので難しいですし、デットーリJと言えど詰まる時は詰まる、という事にはなりますねぇ。

 レース展開は、内の各馬があまり積極的に出していかない中で、長い休み明けのトリオンフが果敢にハナ、それを外からノーブルマーズが追いかけていく展開になります。
 内ポケットにはベステンダンク、その外にブラックスピネルがいて、ブレステイキングはその後ろ、外からテリトーリアルとステイフーリッシュが続き、ギベオンは前の馬群の後ろ、中目の苦しい位置からの追走でした。
 ゴーフォザサミット、ハッピーグリンが後方、ロードマイウェイもいつもは先行する馬ですが、出負けして後ろからの競馬になり、最後方に注文を付ける感じでケイアイノーテック、という隊列になりましたね。

 ラップは36,8(12,27)-47,9(11,97)-34,4(11,47)=1,59,1(11,91)という推移でした。
 ハーフで見ると61,2-57,9と3秒以上の超スローで、特に前半は3~4F目の13,0-12,6が遅く、2コーナー過ぎからは11秒台のラップに入って6Fロンスパ気味、そこから後半もう一段加速して、11,6-11,1-11,3-12,0とコーナー最速の持続特化戦になっています。
 まあ基本的にはこれ、前目内目が有利な展開ですし、向こう正面入り口からペースアップしているので、そこまでの隊列を崩すのは難しい流れでもあって、その中で基本的にはコーナーで足を残せた馬が上位に、という感じなんですけど、勝ち馬だけが結果的にやたら強い競馬をしているな、というイメージです。
 ただそれでも去年のエアウィンザーと比較すると、後半要素で全体的に平凡な内容だった感じで、色々言いたい事もある人馬もチラホラ、というところでしょうか。

 勝ったロードマイウェイは、出負けはまあ仕方ないとして、そこで焦らずに後ろからじっくりを選択、外目のロスは承知でも、長く脚を使える強みを最大限に生かす意識でルメールJが乗ってきましたし、馬もそれにしっかり応えた、というレースだったと思います。
 コーナー中間が11,1なのに、そこで3~4頭分外を回して、というのは中々にロスが大きいですし、けれどそれを経てもラスト1Fを大体11,7くらいでまとめてくる持続性能はかなりのもので、ずっと前目の競馬をしてましたけど、むしろこういうロングスパート戦の方が適性にはマッチしていたのかもしれません。
 この馬自身これまでよりパフォーマンスを上げているとは思いますが、この持続特化の展開で強敵がいなかったのも事実で、そのあたりは斟酌しつつ、それでもマイルから2000mまで幅広くこなす適性と後半の素材感は中々なので、来年の走りがとても楽しみですね。

 2着のトリオンフは、まあ贅沢を言えば流石にスローにし過ぎた感はあるのですけど、これだけの休み明けで少しでも楽を、というのは致し方ないですし、後半はコーナーで引き上げて後続の脚を削ぐ、コーナーワークのいいこの馬らしい競馬が出来ていたと思います。
 高いレベルで言うと持続戦向きではないので、最後差されてしまったのはその分かな、とも思いますが、これだけの休み明けでここまで走れればやはり潜在能力が一級品なのは見せられたと思いますので、来年の大阪杯あたりをターゲットに頑張って欲しいですね。
 後半型なら理想を言えば小倉記念的競馬なので、もう少しだけ本仕掛けを待てる形を作れるポジショニングの猶予をどこで取るか、全体のバランスが噛み合えばGⅠでもやれる馬だと思っています。

 3着ブレステイキングは、ムーアJらしいインで我慢我慢から一気に弾けさせる競馬でしたね。
 まあレース自体の仕掛けは早いので、そこを内で我慢していたのはプラスですし、直線もインに潜り込んだとはいえ進路取りは結構スムーズで、これでラスト伸び負けたのは、上位2頭には素直に力負け、とみていいと思います。
 ただやっぱり堅実な馬で、これだけ後半特化の競馬になってもかなり頑張れていますし、どこかで重賞のひとつくらいは取れる馬だと思っているのですけどね。

 4着ハッピーグリンは、程度の差はあれ先週のマカヒキと同じ嵌り待ちの競馬で、かなり上手く嵌め込んできたと思いますけど、最後の脚色はロードマイウェイあたりと変わりなかったので、現時点ではこれが精一杯なのかな、という感じです。
 競馬としては後半型で、仕掛けの速い展開そのものは向きますし、持久力戦になってもやれるのでそこそこ好走の幅はありますが、本来はもう少しポジションを取れる馬でもあるはずで、その辺りのバランスが噛み合ってくれば、GⅢくらいならチャンスはあるかな、と思います。

 5着ゴーフォザサミットもある程度頑張るのですけど、ここは進路取りでも苦労しましたし、どういう競馬をしてもワンパンチ足りない、適性も幅広いけど何かが足りないのは否めませんね。

 6着ブラックスピネルは、基本ここまで後半特化で味がある馬でもないので、最初から自分でペースを作る選択を放棄していたようなレースプランはちょっとなぁ、とは感じました。
 7着ケイアイノーテックも、型を作りたいのはわかりますしスタイルはマッチしているにしても、枠なりにもう一列前でいいんじゃない?とは思うのですけどね。
 8着ノーブルマーズは、番手につけられたのにコーナーで前を遊ばせて、この馬の苦手な後半特化にまんまと持ち込ませているのは正直残念な騎乗です。折角乗り替わってもこれだと、馬が不憫ではありますね。うーん、川田J本当に調子崩しまくってるなぁ…………。
 9着ギベオンは、正直前半の入り方が良くないな、と見ていましたし、道中もがっちりマークされて抜け出すところなし、最後はまた伸びてきているように、この展開でもスムーズなら地力で上位争いは出来たと思うだけに、ちょっと淡泊なレース運びになっていたなと思います。まあデットーリJも人間ですから、ねぇ…………。
 10着ステイフーリッシュは、この展開で終始外々、金太郎飴のようにいつも3コーナー過ぎからの仕掛けでは、前の馬のレースメイクの餌食になっても仕方ないですよね。まあ前走マイナス体重から、戻しながらの調整もあまり好感が持てなかったですし、負けるべくして負けたとは思いますが。


posted by clover at 17:25
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