2020年10月11日

2020 毎日王冠 レース回顧

 遅くなりましたが、毎日王冠を回顧していきましょう。

 かつてはスーパーGⅡの地位を恣にしていた当レースですが、近年は強い馬の本番ぶっつけローテが主流となり、逆に秋天のステップとしてここを選ぶ馬はグンと少なくなりました。
 その風潮もあり、今年も10頭と寂しい頭数での一戦となりましたが、3歳馬サリオスの圧巻の走りが、レースの格に花を添えてくれましたね。しっかりと内容を振り返っていきましょう。


馬場・展開回顧

 昨日までの大雨で、さぞ今日もタフな馬場……と思いきや、府中の排水能力の高さをまざまざと見せつけられる一日になりました。

 そもそもスタート時点で重まで戻っていましたし、午前中の新馬で既に稍重と、京都より断然回復が速かったです。
 時計的にも、午前中の未勝利マイルで1,36,2、そして午後の1勝クラス1800mでは、スローバランスで1,47,7まで出してきました。

 最終の2勝クラスの1400mも、ややスロー寄りの平均で1,22,3なので、流石に高速馬場、とまでは言えないと思います。
 それでもたった一日で標準レベルに戻してきましたし、この感じですと土台はやはり府中らしく超高速なのかな、というイメージですね。

 バイアス的にもやはり、乾いていく過程でインの回復が顕著でしたし、昨日の様な大外からの差しはほとんど見られませんでした。
 そういう条件なので、ある程度前目でスムーズに立ち回れる馬が優位ではあったでしょうが、それでもこのレースの1,45,5は好時計だな、と思います。
 率直に、勝ち馬だけがGⅠクラス、というのが歴然とわかるレースだったのではないでしょうか。


 レース展開は、いいスタートを決めたトーラスジェミニが敢然とハナを奪っていきます。
 内からコントラチェックも抵抗したのですが、相手の出足が早く諦めて2番手からで、前2頭が後続を引き離して飛ばしていく形になりました。

 4~5馬身空いて、単独の3番手にダイワキャグニー、そしてそれをピッタリとマークするように、好発のサリオスが4番手につけていきます。
 その後ろにサンレイポケットとザダルがいて、カデナとアイスストームがその後ろ、サトノインプレッサはスタートで大きく煽り、後方2番手からのレースでした。

ラップ分析

 レースラップは、34,5(11,50)-35,6(11,87)-35,4(11,80)=1,45,5(11,73)という推移でした。
 前の2頭が飛ばしていますので、実質的にはダイワキャグニーの位置で平均くらいのイメージでいいと思います。

 ダイワの位置で、1000m通過が59秒くらいであり、そこから4コーナーで前との差を詰めに行く形なので、実質的には追走も問われつつの後半持続戦、というイメージでしょうか。
 レースラップが11,8-11,9-11,7ですけど、後続は残り600mから11秒前半ラインの脚を問われている感じですね。

 まず追走面で余力を残していないと、その加速についていけなくなりますし、そこからの持続も求められていて、府中らしい後半型の底力勝負、というイメージでいいと思います。
 その中で全く適性に隙がなく、最後まで圧倒してきたのがサリオス、という事になりますね。

1着 サリオス

 この馬は大丈夫だ、と信じてはいましたけど、とりあえずきっちり結果を出してくれてほっとした気持ちが強いです。

 レース内容は、ルメールJのコメント通り、完璧、の一言でしょう。
 抜群のスタートから馬のリズム任せで楽に4番手の絶好位が取れましたし、4コーナーでは無理に追いかけ過ぎず、ダイワキャグニーを風よけにして足を溜める余裕さえありました。

 直線で少し外に持ち出し、残り400m過ぎで追い出すとあっさり加速、スパッと坂で切れてダイワキャグニー以下を置き去りにしています。
 かつラストもしっかりこの馬らしい、持続力溢れる重厚な走りを見せてくれました。

 おそらくこの馬のラップは、11,3-11,1-11,7くらいでしょう。
 まだコーナーでは無理に追いかけていませんでしたし、坂地点での鋭さが群を抜いていましたからね。
 ダービーの時も坂上までの鋭さはコントレイルと互角でしたし、極端に速いラップが問われなければ後半要素も隙がありません。

 当然追走面も楽にクリアしていて、自身は大体59,5-46,0くらいの後傾走破ではあるでしょうけど、それでもまだ湿りの残る馬場で、全くバランスを崩す感じなく力強い走りでしたからね。
 皐月賞でコントレイルといい勝負をしたように、非常に高いレベルでは少し力のいる馬場の方がいい、というのはありそうで、その点は今日は噛み合ったとも言えます。

 斤量も軽かったですし、この相手ですから勝って当たり前、と言えばそうだと思います。
 ただ内容もしっかり問われるところで、充分過ぎるこの馬らしさと力強さを見せてくれましたから、これは本当に先が楽しみで仕方ありません。

 正直ハーツ産駒って、3歳秋で一旦成長しきれずに伸び悩んで、また4歳秋くらいになってから、天井解禁、ってイメージなんですよね。
 その意味で、きちんと春からの成長も見せつつ、絶対能力も抜群に高いこの馬は異質だと思いますし、ハーツ産駒の代表馬になれる可能性を強く感じます。

 今後は間隔を空けてマイルCSか香港か、という話です。
 確かに今まで詰めて使ったことはないですけど、去年のダノンキングリー然り、このレースを強い勝ち方をして、けど秋天スキップ、というローテは少し寂しいものがありますね。
 ただこの馬は、適性距離であれば世界のどこに行っても強い、と思っています。

2着 ダイワキャグニー

 去勢明けですが、内田Jのコメントも前向きでしたし、頑張り屋のいい馬ですね。

 スタートも良く、飛ばしてくれる馬がいたので実質単騎で楽に3番手、そこから坂下で先頭に並びかけてと、この馬の勝ちパターンはしっかり踏襲してきました。
 今日は相手が悪過ぎた感じで、流石にGⅠクラスの馬相手では、いくら得意コースで、展開も噛み合っても厳しかったですね。

 最後も甘くなったところで差し込まれましたが、ギリギリ2着は残しましたし、今のこの馬の力は出し切ったと思います。
 強いて言えば、もう少し渋りが残った方が楽に2着だったでしょうね。現状は超高速の府中は少しバランス的に苦しいものがありそうです。

3着 サンレイポケット

 思ったより位置が取れましたし、最後の持続で踏ん張ってきたのは成長と充実の証ですね。

 スタートは五分でしたが、そこから意識的に押してポジションを取ってきましたし、この馬自身の1000m通過は60を切ってきていると思います。
 今まで追走面で良さを見せた事がなかった馬だけに、それでどうか?というのはありましたが、結果的にやはりそれなりには削がれていたと思います。

 コーナー外目とは言え、実質11,3~4くらいのラップの中でモタモタと置かれてしまいましたし、少なくとも切れ味は引き出せていません。
 ただ最後の1Fでの持続面での踏ん張りは悪くなく、ジリっと伸び返して3着まで届かせたように、スタミナ面はしっかりしているので、端的にやっぱり少し距離が足りない、という話になるとは思います。

 個人的にステイヤーコースでもやれると思うので、アルゼンチン共和国杯とか使ってみても面白いのでは?と感じるのですけどね。地味ですがかなりいい馬です。

4着 カデナ

 この馬もいつもよりはポジションを取っての競馬でしたが、やはりその分甘くなっている感はあります。
 ただ府中でそこそこの時計勝負の中でもやれた、というのはいい要素で、この後秋天でも、内枠で位置は取りつつ我慢する形なら、というイメージは持てる内容でした。

 色々頓挫も多かった馬ですが、今は好走スポットはそこそこ広くなっていますし、どこかでもうひとつくらいは重賞を取れそうですね。

5着 ザダル

 この馬にとっては、馬場がかなり回復してくれたのは恩寵だったと思います。
 でもその割にもうワンパンチ足りなかったと言うか、この時計と展開なら、もう少し持続面で良さを発揮して欲しかったな、という感覚はあります。

 立ち回りとしても、サリオスの後ろ、内目をタイトに、かつスムーズに運べてほぼ完璧でしたしね。
 でも坂上からの反応がもう一歩で、前走の強さを思うと、完全にパンパンの良でないと良くないタイプなのか?とも感じてしまいます。

 素材としてもここに入ればかなりやれると思っていただけに、少し残念ではありますが、もう少し力をつけてくれればこの路線でも楽しみはありそうです。

その他の馬

 トーラスジェミニは、少し休みを入れて、という状況でもあり、形としても自分の競馬なので仕方ないかな、とは思います。
 まあコントラともども、少し飛ばし過ぎたのは確でしょうが、それでも結構踏ん張っていますし、面白いタイプの逃げ馬ですね。

 サトノインプレッサは、ここまで回復してしまうと出負け関係なく厳しかったでしょう。
 実際に後半の脚をほぼ使えていませんし、矢作調教師のコメント通り、軽い馬場の1800mでは忙しい、に尽きると思います。
 流石に菊でどうこう、というには根本の素材が足りないと思いますけど、タフ馬場自体は走るので、日経新春杯みたいなレースで狙いたいですね。

予想・券種回顧&反省会

 堅い決着でしたし、最後冷や冷やでしたけど、久し振りに綺麗に的中できてよかったです。
 流石にこの条件でサリオスが負けるとは思えなかったので、もう少し強い馬券を選んでも良かったのですけど、スタイルを崩しても碌なことはないですからね。

 ただ本質的には渋馬場想定だったので、紐の噛み合わせはズレているとも言えて、そこは難しいところです。
 サンレイポケットなど、この時計の出る馬場、と見ていたなら逆に拾えなかったかもなので、そのあたり含めて細かいところの精度はもっともっと磨いていかないとですね。

 とりあえず、どちらも安いとはいえ、府中の開幕でポンポンとふたつ当てられたのは気が楽にはなります。
 明日の南部杯もこの流れの良さを引き継いでくれればいいんですけどね。


posted by clover at 20:23| Comment(8) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。

今日は東西重賞を共に実績馬がキッチリと勝利しましたね。どちらも見応えのある内容でした!

サリオスは順当勝ちでしたねー。
自分も評価が怪しがられる三歳馬の中でも、コントレイルと共にサリオスは違うと思っていたので、昨日からの流れで馬場の回復が不透明にせよ、価値ある内容で勝ってくれて良かったです。

次走はどうなるんですかね? いかにサリオスといえど、さすがに今のグランアレグリアと同じような位置から持続比べをするのは厳しいですよねー。
鞍上問題もありますし、例年なら香港なのでしょうが、今年に限ってはマイルCSに出てきても。

ダイワキャグニーはこの距離の壁みたいな所がありますね(笑)
若い頃に出てきた時も、強い馬にはキッチリ負けるけど、それ以外には先着を続けています。
去勢が遅かったので往年のキレはありませんが、これから先も長く活躍してもらいたいものです。

仰る通り、サトノインプレッサはこの馬場で府中だと厳しいですね。
セントライト記念に出てきたら一考していたのですけれど。

さて、来週からまた忙しい週が始まります。
お互いに気持ちよく三冠レースを終えられるように予想を頑張りましょう!
Posted by ハル at 2020年10月11日 21:42
お疲れ様です。
サリオス圧巻でしたね。ゴーサインを出してからの走りは素晴らしかったです。やはり今年はコントレイルとサリオスが抜けているという事でしょうね、つくづく生まれた年がというやつですね。ただサリオスの場合、成長力という意味では期待感ありますし、おっしゃる通りハーツの代表産駒更には日本を代表する名馬にすらなりえるでしょうから楽しみですね。
コントレイルの素晴らしいライバルとして是非とも再戦を見てみたいですね。
しかしまぁコントレイルの株も上がりましたね、同世代にこんだけ強いライバルがいるとワクワクしますわ。
Posted by ブソン at 2020年10月11日 21:56
>ハル様

 いつもコメントありがとうございますー。

 本当にサリオスはレースセンスが抜群ですよね。
 結局ダービーも、距離を踏まえてかいつもより後手に回った分、余計にコントレイルに離された、という面はありそうですし、2000m前後を軸に幅広い距離で活躍出来そうです。

 ただ仰るように、次はどこ?って話にはなるのですよね。
 今年は短期の来日組がほぼいないっぽいので、余計にルメールファーストが発動しそうなんですが、といって秋天でもマイルCSでも乗れないだろ、って話にはなりますからねぇ。
 阪神マイルでグランに勝つなら、最低でもグランより2列前で競馬しないと、とはなりますし、鞍上の積極性が求められそうなので、その点でも心許なさはあるのですが……。

 香港にしても、情勢&コロナは比較的落ち着いているとはいえ、年末にどうか?というのも不透明ですしね。
 強い馬がシーズン2走しかしないローテは残念ではあるので、出来ればマイルCS⇒香港まで視野に入れて欲しいのですけどね。

 ダイワキャグニーは去勢明けすぐであれだけ走れたのは凄いですよね。
 今後長くこの辺りの距離のGⅢ戦線で活躍出来そうですし、今ならもう少し長い距離でも楽しみですね。

 いよいよ三冠最終戦がはじまりますね。
 どちらかと言えばデアリングタクトの方が危うさはありそうですけど、それでも2頭とも破格の強さなので、なんとか歴史的快挙の瞬間を見たいものです。
 それを気分良く眺めるためにも、週中からの分析もきっちり頑張っていきます。
Posted by clover at 2020年10月12日 03:51
>ブソン様

 いつもコメントありがとうございますー。

 流石にこの相手では力が違い過ぎましたね。
 最近の風潮として、トップホースとそれ以下、GⅠレベルとGⅢレベルの乖離がかなり大きくなっている感じですし、昨日の東西の結果はそれを正確に反映しているのかな、と思います。

 仰る通り、どこかでコントレイルとの再戦は見たいですね。
 今年は恐らくないでしょうが、来年のドバイとか大阪杯とか、そこまでにどちらもタイトルを積み重ねつつ、中距離で雌雄を決する事になれば最高に楽しみです。
Posted by clover at 2020年10月12日 03:55
回顧ありがとうございます♪
今週もお疲れ様でした♪

今週も両重賞どちらも見応えのあるレースでしたね。先週のグランもものすごかったですし、秋競馬はかなり面白くなりそうな予感です♪
というか、今年のレースは春から中々締まったレースが増えたなという感じで、騎手の意識が高速馬場に追いついできているのかな?

サリオスは流石!と言ったパフォーマンスでした。これで3歳世代のレベルも一定以上はあると言うのをみせましたし、自身の距離適性もやはり追走力が問われる2000m以下がベストかなと改めて感じるレースでもありましたね。

私も去年の冬までは何でマイルに拘るのかなぁ〜なんて思っていましたが、どうやら会員さんに話を聞く限りでは遺伝子検査ではC:Cの短距離型ならしく、堀さんも実はNHKマイルを最初は狙ってたらしいそうで… まぁ今となればダービーのラスト2Fまでの急加速とラスト1Fでの失速なども考えると、やはりノーザン陣営側が正しいのかなという感じもしますね。
Posted by Claire at 2020年10月12日 06:50
東京の馬場の回復は早かったですねぇ。まぁこれは想定の範囲内でしたが、サリオスが1.45.5を出してくるのは想定外でした。現状3歳、特に牡馬は低レベル
世代ですけど、この馬はどの世代に出してもGⅠレベルで間違いないし、サリオスを問題にしないコントレイルってどんなレベルにいるんだって話にもなりますね。

しかしねぇ…適性外だから菊花賞に行かないのは別に構わないんですけど、これで秋天に行かないというのはねぇ…僕はアーモンドアイが稀代の名馬であることに
何もケチをつけるつもりはないですけど、これだけ忖度してGⅠの新記録を作ることに何の感動もないし、逆にマイナスなイメージにしかならないです。
記録というものはその偉大さを後世に残すのだから後々を考えれば大事なことですけどね。何の責任もない外野の立場からすれば、
記憶として残念なものにしかならない行為はねぇ…まぁ、自分がノーザンの当事者であれば何の躊躇もなく使い分けしまくるでしょうからねぇ…
Posted by I.C.スタッド at 2020年10月12日 10:14
>Claire様

 いつもコメントありがとうございますー。

 サリオスは文句なしでしたね。
 仰るように中盤が引き締まってタイトに流れると、素直に馬の能力が直結しやすいので、レースとして迫力が増すと思います。
 勿論強い馬を負かすために、自分の武器を最大限に生かす、という意味でのスローやペースの上げ下げはあっていいですし、ただ無闇に溜めるだけ、という競馬が駆逐されつつあるのは個人的にも嬉しいところです。

 なるほど、サリオスはそういう背景があったんですね。
 でも血統的には明らかに長距離向きに思えるだけに、遺伝子とは不思議なものですね。
 能力が高いので2400mもこなせる範疇だったでしょうが、やはり古馬になったらマイルから2000mの、アーモンドアイ路線の継承者となりそうです。
 どこかで一度、2000mでコントレイルとの再対決が見たいですねー。
Posted by clover at 2020年10月12日 16:52
>I.C.スタッド様

 いつもコメントありがとうございますー。

 この時計は正直びっくりしましたね。
 回復が早かったとはいえ、並の馬に出せる時計ではないですし、仰る通りどんな世代でもトップレベルで走れる、万能型の名馬だと思ってます。
 今は明らかに牝馬優勢の時代ですから、コントレイルとサリオスの2頭で、その時代の趨勢を覆して欲しいものです。

 まあサリオス自身の話をすれば、これまで間隔を詰めて使っていない馬ですからね。
 でもオールドファンからすると、毎日王冠の覇者が秋天に出ないのは寂しい話です。といってレース間隔を広げるのは絶対に無理なスケジュールですからねぇ……。

 前のコメントでも触れましたけど、正直超高速馬場ならアーモンドアイはクロノジェネシスには勝てるだろう、みたいな計算が透けて見えるのは嫌ですよね。
 勿論実際走ってどうかはわかりませんけど、あれだけ宝塚で強い競馬をした馬に完勝!だからこのGⅠ8勝は内容にも価値があるぞ!みたいなドラマの作り方は稚拙ですし、アーモンドアイ自身にも失礼だと思います。

 やっぱりこれも古い考えかもですけど、真のチャンピオンホースは、同世代、上の世代、下の世代のトップホースを全て蹴散らして、問答無用で時代に君臨する存在であって欲しいですよね。
 サリオスならアーモンドアイ相手でもかなり抵抗は出来るはずですし、トップホース同士の対決がどんどん少なくなっていくのは本当に残念です。
Posted by clover at 2020年10月12日 16:59
コメントを書く
コチラをクリックしてください