2020年09月13日

2020 セントウルS・京成杯AH レース回顧

 今週はクッション値が発表されて初めてのレースでしたが、野芝オンリーの秋野開幕週としては、どちらも異例なくらいにタフな馬場でしたね。
 勿論少なからず雨の影響があったのは確かですが、それだけでは説明しきれないレベルで、全体的に時計は掛かっていたように感じます。
 クッション値自体は両場とも今日は10前後の数字でしたけど、ひょっとするとこの数字でも例年よりは柔らかいのかもしれません。
 なまじ海外の平均的な数値が7~10と発表した分、あまり乖離した数字を出せないのかな?なんて邪推しつつ、それを踏まえてのレース結果、きちっと回顧していきましょう。


★セントウルS

 中京は、午前中にちらほら雨が舞ったようですが、一応メインまで馬場は良のまま推移していましたね。
 クッション値が10,0でしたからそれなりに硬そうに思えるのですが、昨日今日と見ている限り、実はこの数字でもそこまで高速状態ではない、という可能性は感じました。

 実際今日は時計的にもそこまで出ていません。
 1勝クラスの2000mが63,3-59,3=2,02,6と、超スローとはいえ後半もそこそこ、知多特別が34,8-11,3-34,7=1,20,8と綺麗な平坦&平均ペースでここまでですので、標準寄り、とまでは言わないですが、せいぜいやや高速、くらいのラインでとどまっているのかな、と思います。
 バイアス的にも外差しが効かない、という程ではなく、ペース次第では中団からの差しも決まっていましたし、血統的にもややパワー型優勢のイメージでしたね。
 その中でのこのレースの1,07,9は、ハイペースの中で妥当なラインではあるのかな、と思います。

 逃げたのは内のセイウンコウセイでしたね。
 外のラブカンプーもかなり押していましたが番手から、その後ろにビアンフェが続き、ダノンスマッシュ、トウショウピストが好位、その後ろにミスターメロディとトゥラヴェスーラなど、縦長の展開でぽつぽつとした追走でした。
 中団よりやや後ろくらいにタイセイアベニールとメイショウグロッケあたりがいて、クリノガウディ―やラヴィングアンサーは後方寄り、シヴァージが最後方からのレースになっています。

 ラップは33,0(11,00)-34,9(11,63)=1,07,9(11,32)という推移でした。
 思った以上にセイウンコウセイが強気のハイペース逃げを展開し、コーナーでも11,4-11,6-11,9とペースを落としていません。
 総合的に追走力は問われていますが、結構前が離して、中団以降は平均からやや後傾、という競馬ではあるはずで、パワー寄りの追走面とそこからの持続力、というレースではないかと感じます。
 少なくとも後続も仕掛けが早くなって、坂加速そのものの適性は極端に問われていない感じで、どちらかと言うと中京1200mっぽくはない流れだったかなと思いますね。

 勝ったダノンスマッシュは、ここは色々噛み合ったのもありますが、やはり前哨戦は強いですね。
 スタートはまずまずでしたが、外のラブカンプーが抜群に速かった分、釣られずに自分のリズムで押し上げて4番手の外は絶好の入り方だったなと思います。
 展開的にも、序盤であっさり縦長になってくれたので、横のポジショニングも楽なところに入れましたし、後半も前に目標を置いて強気の仕掛けを打ちやすい形になりました。
 この馬自身は中京での坂で一気に加速、という展開は得意ではないので、その意味でコーナーから速いラップを踏んで、惰性で坂をこなせる形に持ち込めたのはプラスでしたし、ラストの持続性能・踏ん張りはいつものこの馬らしい内容だったなと思います。

 いつもながら前哨戦は本当に鮮やかに勝つのですが、さてここから中2週で本番でどうか?ではありますね。
 春もオーシャンSからの本番でやや精彩を欠く内容でしたし、秋の中山の方が適性が合うのは間違いないですけど、更に強敵も増える中でどこまで上積みがあるか?またスムーズなレースが出来るか?という事にはなるでしょう。
 ダノンの呪いも中々に強固なので、この勝利を見て本番で飛びつくのも怖い馬ではありますが、実力は間違いなくあるので、枠の並びや馬場など踏まえて慎重に扱いたいですね。GⅠを勝っていい馬ではあると思うのですけど、モズとグランは強いですからねぇ。

 2着のメイショウグロッケは、ここで来てしまうのか……と個人的には頭を抱えてしまう馬ではあります。
 前走単穴打った馬で、ここもちょっと怖いかな、と思ってはいたのですけど、流石に少し渋らないと時計的に苦しいか、と軽視してしまったのは我ながら格好の悪い話でした。
 馬自体はこの距離でもいいスタートから楽に中団のインが取れて、直線だけ外に持ち出す理想的な立ち回りが出来ました。
 自身は34,4-33,7とやや後傾走破ですが、その中でラストの持続面で一枚上の脚を使ってきましたし、スプリント路線でも少し力のいる馬場なら充分にやれる、という所を見せてくれましたね。
 強い馬だと思っていただけに、返す返す無印にしてしまったのは痛恨ですけど、今後は1200~1400m路線で面白い馬になってくれるのではないかと思います。

 3着のミスターメロディは、悪くないレースでしたけど、正攻法でダノンスマッシュに完敗ですし、まだ戻り切っていなかったかな、という感じです。
 展開的にももう少し総合力や器用さ、ここでは坂加速が生きる展開の方がいい馬のはずで、あの位置から早めに前を追いかけて、ですと、いい脚は一瞬タイプだけに最後甘くなってしまうのかな、という印象でした。
 本番に向けて上積みはあるかもですが、右回りがプラスになるかは難しく、ペース適性的にもモズがいる中でどうか?となると、序列的には流石に現状、ダノンスマッシュより上に取るのは、余程枠で恵まれないと難しいのかな、という感覚です。

 4着のタイセイアベニールは、やっぱりこういう後半型のスプリンターですよね。
 メイショウグロッケとほぼ同じ位置から、1頭分外で見劣ったというのは少し物足りなさはありますが、この馬としてはもっと溜める形でもいい、というのと、やはり夏3戦目で状態面でも下降線ではあったのだろうと感じています。
 来年の宮記念路線で面白い一頭になれると思うので、しっかり立て直した上でまた頑張って欲しいですね。

 5着のビアンフェは、この馬の場合は逆に、もう少し前についていった方が良かったかもですね。
 内外から速い馬が来る中で入り方が難しかったかもですが、少し消極的な縦のポジション差になったと思います。
 結局この馬も後半要素で違いを見せられるタイプではないので、後続が余力を持てる流れでは一歩足りない、となる感じです。
 ただ馬格があってパワー型の馬場は得意だと思いますし、今の中山のままで推移して、本番モズをピタリと追走、なんて形が作れると、こちらは巻き返しがあってもいいかも、とは見ています。この形でも踏ん張れてはいますし、やはりセンスのあるいい馬なのは間違いないですね。

 シヴァージはやはりこの頭数になると純粋に縦のポジションが取れないのは致命的ですね。
 セイウンコウセイは、ここでそんな無理して逃げる必要はないだろうと、幸Jに戻って強気すぎたのがうーん、ではありました。

 予想・券種的にも、本命馬の出方が完全に予想外だった分、筋違いになってしまいましたね。
 といってミスターメロディ本命が正しかったのか?というのも悩ましいところで、どちらにせよメイショウグロッケを拾えていないのは痛恨です。中京も昨日より微妙にタフになったような感じですし、クッション値の数字も含めて判断の難しい開幕週の馬場でしたね。


★京成杯AH

 中山は今日の降雨はなく、一応馬場自体は朝から良馬場でした。
 ただクッション値は10,1と昨日よりは柔らかくなっていて、時計もかなり掛かっています。
 1勝クラスのマイルが46,8-48,2=1,35,0、白井特別が37,8-36,3-35,5=1,49,6で、ペースが上がってもそこまで時計にならず、逆にスローでも後半スパッと切れる脚は使いにくい条件になっていたのかなと思います。
 少なくとも去年とは全く違うパワー馬場だったと思いますし、その中で平均寄りのハイでの1,33,9がハイレベルとは感じませんが、やや特殊な条件下で、純粋な評価が難しいところもありますね。

 逃げたのは、大外から一気に押し上げてのスマイルカナでしたね。
 トロワゼトワルはむしろ、スマイルカナが行くのを待ってからじわっと押し上げて番手外につける絶妙の立ち回りで、内からボンセルヴィーソも先行、ジャンダルムも前につけていきます。
 その後ろにシゲルピンクダイヤ、アンドラステ、アストラエンブレムと続き、中団後ろにルフトシュトローム、ストーミーシーも出負けしてやや後ろからとなり、メイケイダイハード、ラセット辺りが最後方列での競馬でした。

 ラップは35,0(11,67)-23,3(11,65)-35,6(11,87)=1,33,9(11,74)という推移になっています。
 馬場がかなりタフ寄りだった中で、バランスとしては46,7-47,2と少しだけハイ寄り、中盤の緩みもなく、この馬場なりの一貫スピード持続戦、という色合いでしょうか。
 ラストも11,7-11,7-12,2と加速は踏んでおらず、勿論番手以降の馬は坂手前で一足、の競馬ではあるものの、タフ馬場での総合力勝負、と考えるのが一番しっくりくる内容ではあります。
 まあこのペースならもう少し差し込みがあっても、とは言えるのですが、解説を聞いている限り、直線は結構な向かい風だったみたいですね。
 このパターンの時は差しが決まりにくいのも定石ですし、結果論的にも前目内目で立ち回った馬が上位を独占という、開幕週らしいと言えばらしい傾向のレース内容でもあったかなと思います。

 勝ったトロワゼトワルは、この並びなら逃げると思っていたのですが、流石マジシャン横山典Jの面目躍如、という所でしょうか。
 スマイルカナが強引にでも来る、というのを決め打ってのじわっとスタートから、去年同様にテンから飛ばし切るのではなく、最初のコーナーを抜けたあたりからじわっと加速して前に取りついていく入り方を選びましたし、それはこの馬にとってもプラスだったのでしょう。
 この馬も一貫ペースがいい馬なので、スマイルカナが紡ぐ流れはお誂え向きでしたし、それでも久々に番手からできっちり脚を使えた事、綺麗に折り合えたことは今後に向けて収穫になると思います。
 ここは流石にお釣りがあるか怪しいと思ったのですけど、このタフ馬場でもしっかり自身平均走破くらいで勝ち切ってきたのは立派ですし、いい馬ですね。混合のマイルGⅠになると敷居は高そうですけど、一芸がある馬なのでそれを活かす形を常に意識出来る舞台なら楽しみはありますね。

 2着のスマイルカナも、絶対的不利な中山の大外から正攻法で踏ん張り切る、強い競馬だったと思います。
 スタートはこの馬としてはむしろ悪い方に見えましたけど、そこから勢いをつけての出足の鋭さは流石で、そこで脚を使い、かつ道中目立って息を入れずとも、最後までスピードを維持できるこの総合的な持続性能の高さは本当に素晴らしいですね。
 距離もマイルがピッタリ、というのはあるでしょうし、トロワゼトワルに対して展開の幅と適性の幅は持っているので、こちらはある程度更に強敵相手になっても面白いんじゃないのかな、と感じています。
 2000mとなると流石に少し長い気はしますが、それでも秋華賞に出てきて、淡々と一貫ペースを選択した場合の怖さはありますし、今後が色々な意味で楽しみな一頭です。やっぱりこういう逃げ馬が活躍してくれると、競馬の質が引き締まりますしねー。

 3着のボンセルヴィーソは、いかにもこの馬らしい磐石の立ち回りで、しかしきっちり勝ち切れないあたりもこの馬らしいですね。
 こちらは内枠を最大限に生かす立ち回りが出来ましたし、強いて言えば4コーナー付近で、トロワゼトワルの絶妙なポジショニングの分一頭分下がる不利があり、それがなければ……とも思いますが、そのあたりは横山典Jの老獪さの勝利、と言っていいのでしょうね。
 馬はやはりべストはマイル、かつ時計の掛かる舞台なのは間違いないので、今後もあまり人気はしない馬でしょうが、噛み合いそうな所は積極的に狙っていいのでは、と思います。こうやって地味に2着しない分、ハンデも増えないですしねぇ。

 4着のジャンダルムも、今日は良い枠を貰って、本来の先行策からの粘り込みが出来ましたね。
 こちらも理想を言えば4コーナーでもう少し進出出来れば、という所で、外のミッキーと前のトロワゼトワルにスペースを潰されて踏み遅れてしまったのは勿体なかったですけど、まあそれがなくとも4着かな、という着差には見えます。
 この舞台がフィットしているのは去年の結果を見てもそうですし、ある程度馬場不問で、淡々と流れて総合力勝負ならまだまだやれる馬なので、こちらもどこかで穴狙いが出来そうなタイプですね。

 5着のシゲルピンクダイヤは、相変わらずゲートはごね捲るくせに、意外とスタートは最近きちんと決めるのですよね。
 スッと先行して、インに潜り込んで、という競馬は立ち回りとしては悪くないのですけど、こちらも前が少し構えていた分追い出しが遅れましたし、馬のタイプとしてもどちらかと言えば外からの方が伸びるイメージはあります。
 ただ+18kgと、過去最高の馬体重でもそれなりに踏ん張れていましたし、能力はある馬だけに今後の巻き返しは期待したいんですけどね。

 アンドラステやルフトシュトロームも内の渋滞に巻き込まれたクチではあるのですが、それにしてもダメダメでしたね。
 アンドラステはやっぱりべストはマイルじゃないかな、という感じですし、ルフトシュトロームはスムーズに外からの競馬でないと現状力を発揮出来ないのかな、と、残念な内容だったとは思います。
 ストーミーシーもここで溜める競馬なのか、と、昨日の積極性はどこに行ったの田辺さーん!という感覚でしたね……。最後は大外ぶん回しでもじりじりきているように、適性は噛み合っていたと思うんですけどねぇ……。

 予想・券種的には、馬場と風のアシストが大きかったとはいえ、久々にまずまず綺麗に的中出来てほっと一安心です。本当に夏競馬は絶不調でしたから……。
 なんだかんだでやはり前目内目で、追走が問われても崩れないタイプは中山では強い、という事だと思いますし、一概に3歳馬、という判断でなく、個体でスマイルカナは強い、と見て、大外でもそこそこ重い印を打てたのは悪くない予想だったと思っています。
 ボンセルヴィーソも良く走ってくれましたけど、どっちかと言うとこっちの方が安心して狙えた馬ではあって、その意味ではここまで人気がなかったのも僥倖でしたね。
 どうあれ、なんとかひとつ当てて気持ちは楽になりましたし、来週からのトライアル戦もしっかりと頑張っていきたいところです。馬場も思いの外どちらもタフ寄り、という中で、クッション値の推移は引き続き注視していきたいですね。


posted by clover at 16:33| Comment(2) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは★ 私もセントウル自信があってレース楽しみにしてたんですが(笑)

セイウンコウセイ自体は、まだまだ前に行けるスピードあるので、また狙いたいとこですね。

何も考えずにマイナス要素に目を瞑って前目内目で決まりだ〜と買った京成杯が的中するんだから、やはり馬券は難しいものです(笑)

とりあえず、秋口に1つ当てられたので秋競馬楽しみたいですね。
Posted by J.N at 2020年09月14日 04:13
>J,N様

 いつもコメントありがとうございますー。
 的中おめでとうございます!

 正直実績や適性からすれば、明らかにセントウルSの方が読み解きやすいレースには感じられましたものね。
 しかしまさか、これだけ好走実績の傾向がはっきりしている馬で一貫消耗戦の大逃げとは……という感じで、なまじ本命にしていただけに余計ガッカリ感が強いです。
 でも仰る通り、まだまだ馬は若いですから、どこかで穴を開けてくれると信じて、その時にきっちり取り返させてもらいましょう!

 中山はレース質としては悪くないんですが、見栄えはホント単調な競馬でしたし、前決め打ちでいいのか、というあたりで、しっかり予想力で当てた気になれないのはよくわかります。。。
 まあそれでも当たりは当たりですし、個人的にも夏のジリ貧をなんとかストップできたので、今週から気持ちを楽にして臨んでいけそうです。また微妙にトライアルふたつ、難しそうですけどね。特に中山は……。
Posted by clover at 2020年09月14日 15:51
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