2020年09月12日

2020 紫苑S レース回顧

 秋雨がばらつく中での、秋華賞トライアルの紫苑Sは、キズナ産駒のマルターズディオサが、番手追走から直線楽に抜け出し、春の鬱憤を晴らす快勝で改めてGⅠ戦線に名乗りを上げましたね。
 蓋を開けてみればやはり基本的には春の実績馬が強かった、という一戦でしたが、スローで僅差の内容でもありますし、次に向けてしっかりと回顧・吟味していきましょう。


 中山の芝は、スタートは良でしたが、2Rあたりから雨が降り始めてきました。
 特にレース映像を見ても、3Rの時間帯がかなりの豪雨で、そこで一気に稍重まで悪化、その後も断続的にしとしと降り続けた事で、ずっと稍重のままの推移でしたね。

 時計的には、それでも流石に開幕週で、極端にタフ、という事はなかったと思います。
 1勝クラスの1800mが36,5-35,5-36,2=1,48,2、3勝クラス1200mのセプテンバーSが33,7-34,8=1,08,5ですから、思ったよりはタフ寄りでしたけど、それでも標準レベルくらいではあったように思えますね。
 注目のクッション値は朝の時点で11,2とかなり硬い数字で、そのイメージ通りに馬場バイアスとしては、どちらかと言うと内有利に感じました。

 そういう条件の中で、スローペースとはいえ、2,02,1はうーん、そこまで目立つ内容ではないです、かね。
 確かに春の実績馬がしっかり結果を残した、とは言えますが、同時に今年の春の実績馬は、ごく一部のトップクラス以外は団栗の背比べ、だとも見ていますので、そのレベルの実績馬を凌駕するほどの上がり馬がいなかったレース、という見方も出来ると思います。

 レース展開は、まず内からショウナンハレルヤが逃げ、番手にマルターズディオサ、ポケットにスマートリアンと、キズナ産駒がレースを主導していきました。
 その後ろにクロスセルとシーズンズギフトがいて、中団前後にミスニューヨーク、マジックキャッスル、パラスアテナと続きます。
 スカイグルーヴとホウオウピースフルが中団やや後ろの外目、ウインマイティ―はスタートで出負けして後方3番手からじっくり、最後方にチェーンオブラブ、という隊列でしたね。

 ラップは36,3(12,10)-49,9(12,48)-35,9(11,97)=2,02,1(12,21)という推移でした。
 三分割で見ると平均寄りの中緩み戦ですが、ハーフで取ると61,8-60,3なので、中緩みが1~2コーナーで起きている事は見て取れます。
 中山らしく向こう正面からじわっと加速はするものの、馬場意識もあったか極端ではなく、それでも後半は12,0-11,8-12,0-12,1とコーナー最速ではあります。

 ただ数字的に、極端な切れは問われていないので、コーナー外々でも致命的なロス、という程ではなかったでしょう。全体としては馬場もタフ寄りの中で、持久力性能と立ち回りをバランス良く問われているのかな、というイメージです。
 流石にあまりにもポジションが後ろでは苦しく、後ろから外々も苦しい、ただ現実的な位置からなら外でもやれた、という感じですね。勿論前目内目にいて悪いことはなかったですし、総合的に見ても、みんなそこそこに力は発揮している、けれど、えっ!この位置からこんな強い競馬が!みたいな印象深い走りをしている馬も特にいない、というレースだったと思っています。

 勝ったマルターズディオサは、流石のトライアルホース的な強さを見せてきましたね。
 春は強行ローテで馬体を減らし続けて、同時にレースでの積極性も薄れていってのしりすぼみでしたが、しっかり立て直して+12kg、理想的な状態でトライアルに臨めた感じです。
 なのでスタートの一歩目から行きっぷりが違いましたし、やはりこの馬はああやって位置を取って勝負するのがらしい姿ではありますね。
 レース自体も上手くスローに丸め込んで、かつ自分で3~4コーナー中間から動いていき、直線早め先頭で押し切る強い競馬でした。
 勿論馬場や展開利はありましたが、それを味方に出来る自在性と操縦性あればこそで、本当にらしさ全開のいいレースだったな、と思います。

 ただこういう馬なので、改めて遠征競馬での秋華賞本番でどうか?というのは出てきます。
 高速馬場適性も今のところまだ確信が持てるほどのものは見せておらず、安定して先行できるのは武器になると思いますが、息の入らないタフな流れで同じように何処まで踏ん張れるのか?となると、今回よりはメンバーも強くなる中で、プッシュ出来る要素としてはあまり大きくはない、という感覚です。
 今日はタフ寄りの馬場の2000mもこなしましたし、その意味では本番も少し渋って、展開に紛れがある方がチャンスが出てくるタイプかもしれませんね。

 2着のパラスアテナも、距離伸びて後半の良さを引き出してきましたね。
 大外枠だったのでどこまでポジションが取れるか、と思っていたのですけど、最後入れのおかげかかなりいいスタートを切れて、楽に中団から前を視野に入れての競馬が出来たのはプラスだったかなと思います。
 コーナーもずっと3頭分は外なので、上位勢の中で一番ロスは大きかったと思いますが、この血統らしく長く脚を最後まで維持してきたのは面白い要素ですね。

 この馬もじゃあ本番で、より時計勝負になってどうか?というのは出てきます。
 ただカーネーションカップが高速持久力戦で結構強い競馬でしたし、タイプとしておそらく前半に無理しなければ、というのはありそうです。
 内枠を引いて前半は中団インで我慢、そこから後半ロンスパ気味に分散してくれれば面白さはありそうですが、この馬の場合は似たような位置にデアリングタクトがいそうなので、そことの兼ね合いは出てくるでしょうね。
 少なくとも一連の内容で、本番強く狙うだけのインパクトがあるか?というと、もう少しパンチが欲しいな、というのは本音です。

 3着のシーズンズギフトは、外枠でしたけどこちらもルメールJが上手く御してきましたね。
 楽に4番手あたりまで取れたのはちょっとビックリでしたし、折り合いもしっかりついて、馬群の中からでも集中して走れていたのは成長を感じました。
 最後は内を突く形で少し甘かったように、この距離と馬場がベストではなかったかもですし、骨折明けの影響も少なからずあったでしょう。
 ある程度時計が出る馬場で流れてしまった方がレースはしやすいとは思うので、その点で本番も楽しみはあると思いますが、こちらも枠次第の面は出てきますかね。今日のレースを見る限りは内枠でも良さそうなんですけれどね。

 4着のマジックキャッスルも、春に比べて現実的なポジションが取れたのは評価していいかなと。
 馬体の成長がなかったのはもどかしいですが、レースぶりは元々センスの高い馬で、それを無理に溜め過ぎているきらいもあったので、こういう出たなりの位置で競馬をしてくれたのは収穫になると思います。
 個人的にこのレースの掲示板組で、高速馬場で一番パフォーマンスを上げるのはこの馬だと思いますし、やはり内枠で今日の様なレースが出来れば、穴目として狙いたい一頭にはなってくるかな、という感触です。

 5着のミスニューヨークも堅実な競馬を続けていますけど、やっぱりシンプルに総合力でワンパンチ足りないのかな、というラストの脚色ですね。
 血統的にも非根幹距離のほうが持ち味が生きそうなタイプで、本番乱ペースになった時にこういうタイプの堅実さが武器になるシーンもあるかもですが、基本的には一枚下の序列、という判定でいいと思います。

 6着ウインマイティ―は、力は見せましたけどあの位置からでは厳しいですね。
 まあここまでラップが上がらないレースだから、というのもあるでしょうが、スカイグルーヴやホウオウピースフルなど、後ろから外目を押し上げていった馬は全滅した中で、一応最後まで前との差を詰め続けてきたのは評価していいと思います。
 本来はもう少しポジショニングがいい馬ですし、追走面も一定は保持しているので、本番で内枠を引いて、中団より前で競馬が出来るようならば、巻き返しのチャンスはあるでしょう。
 ただオークスは一定頑張れたとはいえ、2000mのスピード勝負となると少し距離が足りない感覚はあるので、こちらも本番であまり強く狙いたいタイプではないかな、というのが本音です。

 スマートリアンは、ショウナンハレルヤが早く潰れ過ぎて、シーズンズギフトと1頭分のスペースを取り合って後手を踏んだのが痛かったですね。あそこでシーズンズギフトのタイミングで進出出来ていれば、もう少し上位に肉薄できたと思うのですが。
 スカイグルーヴは、馬体が戻ったのはプラスですけど、その分まだ中身が伴っていなかった感じですし、展開や位置取りも含めて噛み合いませんでしたね。やはりこの馬も本質的には前目でレースを進めてナンボですし、後半要素で勝負するには余程軽い馬場でないと、となりそうです。素質はあると思いますけど、本領発揮は来年待ちですかね。
 ラヴユーライヴは、やっぱり輸送で一気に縮んでしまって、スタートから馬に覇気がありませんでしたね。もまれ通しの苦しい競馬でもあり、それでも最後はそこそこ伸びていたように能力は高いと思うので、いずれ出世はしてくると思いますが、ここは先物買いが過ぎた感じです。

 予想的には、基本的に前目内目の立ち回り競馬、という見立ては間違っていなかったのですが、前で粘り込める馬のチョイスは盛大に間違えましたね。
 まあ正直マルターズディオサは立ち直れば、とは思っていたので、無印は良くなかったなと反省していますが、パラスアテナは大外で狙いにくかったなー、と思います。しかし本当に、開幕週なのにこのレースだけは不思議と外枠ばっかり走るのですよねぇ。


posted by clover at 16:42| Comment(2) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
舞台が中央に戻ってきたこともあって、秋の大きなところが見えてきて楽しみになってきましたねぇ。ここに来て増加の兆しが見えてきてしまったコロナに、盛り上がりを邪魔されなければ良いのですが…

マルターズディオサは終わってないんだったらここは勝っとかないとというところでしたが、上手く立て直してきましたね。ここで一応ロンスパの形でもやれる
ことは示したということで、前受けでどんな展開でもこなせる強みは秋華賞で最も活きますから、あとは走れる状態で出てこれるかどうかでしょうね。

基本この世代は牡牝とも1強を除けばレベル低い扱いですが、牝馬に関してはJF→チューリップ賞辺りは全うなレベルにあったとは思っていて、マルターズと
クラヴァシュドールは特殊な桜花賞のダメージがオークスに出たと考えればオークス好走組より上位と見ています。今週のクラヴァシュも立ち直っている
のであれば、この2頭が上手く立ち回ってデアリングタクトに一泡吹かせることはあるんではないかな…などと思いながらローズSを楽しみにしています。
Posted by I.C.スタッド at 2020年09月13日 20:57
>I.C.スタッド様

 いつもコメントありがとうございますー。

 仰る通り、特にチューリップ賞はまともにそこそこ質の高い後半型のレースではあるのですよね。
 スマートリアンあたりもそこを意識して重く狙っていたのに、肝心の勝ち馬を軽く見ている自分のバランスの悪さは痛感しました。
 ただ状態面ばかりはやってみないと、ですし、2戦続けて崩れてしまうと、それまでずっと堅実だっただけに様子見したくなってしまうのですよね。

 実際に、あの桜花賞はダメージが大きそうでしたからねぇ。
 デアリングタクトにしても、オークスのパフォーマンスが抜群、というほどでなかったのはその影響もありそうですし、まして並の馬なら、という事なのでしょう。
 クラヴァシュドールにとっても、前半ゆったり入れる中京の2000mはフィットしそうですよね。前哨戦の中内田厩舎でもありますし、フアナとデゼルは手強いと思いますが、ここはしっかり貫禄を見せて欲しいものです。

 ただ、仮にクラヴァシュドールが勝ち負けしたとして、この2頭はまた前哨戦使った分本番で息切れし、結局フレッシュなデアリングタクトが持っていってしまう感もしなくはないですね。。。
Posted by clover at 2020年09月14日 03:58
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