2020年09月10日

クッション値導入につき、改めて路盤データの用い方を考える

 あまり大物のネタを仕込んでいる時間がありませんでしたので、今日は今週から公表されるクッション値の用い方について、雑談としてサラッとまとめてみましょう。
 まあ基本的には、JRA公式ページを熟読すればいい話で、そこで見られる要素を前提につらつらと語っていきます。
 ただ公式ページはリンクが上手く貼れないので、JRAの出馬表⇒馬場情報⇒馬場状態及びクッション値に関わる情報を横目で見つつ読んでいただければ、と思います。


★そもクッション値とは?

 言葉の印象からすると、馬場の柔らかさを示す指標に感じますが、どちらかと言うと硬さ、反発係数を表すもののようですね。
 JRAの馬場造園は、この数値を一定の範囲内に収める事で、繊細な競走馬の脚にかかる負担を一律、かつ最小限に抑えるべく、日々努力を重ねている、という事でしょう。
 参考数字などを見ても、この数字が高ければ常に速く走れる、というわけでもないようです。あくまでも馬の脚力を最大限に引き出し、負担も減らすバランスを意識しての設定だと言えますね。
 かつての日本の馬場はコンクリート、と揶揄された事もあったようですし、その時代の実情がどうだったかはともかく、少なくとも現代は、馬場の硬さ、という観点では世界標準に近しいものを用意しており、実際に故障率低減も達成しています。

 つまり数字としてはあくまでも安全管理の一環としての指標ですけれど、ただそれの許容範囲内での増減が、競争能力に与える影響もある、という認識に応える形での公表となった、と考えておけばいいのでしょうね。


★クッション値の高さ=高速馬場なのか?

 まずシンプルな話として、馬場は使い込んでいく内にレースやメンテで踏み固められ、徐々に硬くなっていくのが当然の摂理です。
 むしろ開幕週などは、馬場が硬すぎると時計が出過ぎる上、それ以上硬くなり続けると危ない、という観点で、エアレーションやシャタリングなど、馬場を適度に柔らかくする処置が敢えて加えられている事が大半です。
 だからと言って開幕週に時計が出ない、というのは、一昔前のエアレーション黎明期には時折見かけましたけど、最近はその匙加減もある程度安定してきたのか、あまり見受けられません。

 となると、高速馬場、というより、時計的に速く走れるかどうか、というのは、実はクッション値そのもの以上にシンプルに路盤の平坦さが維持されるかどうかで変わってくる、と考えるべきなのでしょう。
 勿論路盤が同等条件であれば、クッション値が高い方がより時計は出やすい、のは間違いないと思います。
 ただいくらクッション値自体は高くても、路盤が荒れていれば、スムーズに加速し続けるのが難しくなり、結果的に時計は出ない馬場になるのでしょう。おそらく今年の夏の阪神なども、内の路盤は硬かったけれど、相当に荒れていたので時計にはならない、けれど内外の差もない、という状態になっていたのだろうと推察できます。

 府中などは、コース替わりで一気に高速化・内有利が進展する事が多いです。
 その要因として考えられるのは、そもそも府中の馬場は良でも含水率が高い、という点です。
 公式ページでも触れているように、絶対ではないものの、クッション値の低さ=含水率の高さ、というのは成立しやすく、その分使用しても、クッション値の上昇が抑え込まれやすい、というイメージになります。
 その上で、これはいずれ長いスパンで数字を追い掛けつつ検証したい面でもありますが、おそらく馬場が掘れていく、荒れていくという状況は、クッション値が高い=馬場が硬い方が発生しやすいのだろうな、と考えています。

 無論これは、馬場の表面に水が浮いているような馬場は別枠で、あくまで馬場表面は乾いている時の、路盤の含水率との関連性の話になります。
 いわば前日夜に雨が降って、路盤には水分が多めに残っている稍重の馬場でレースをするのと、当日雨降りの稍重でレースをする場合は、馬場の荒れ具合が違う、という認識を、数字から見たらそうなるのではないか、という観点ですね。

 ともあれ、そういう観点からすれば、だから含水率の基礎値が高い府中は、それだけ馬場の均質化が保ちやすく、その結果としてコース替わりの時に最内が荒れていない馬場になりやすく、また適度に踏み固められてはいるので高速化しやすい、という方程式は成り立つのではないでしょうか。
 参考値として挙げられていた、アーモンドアイが2,20,6を叩き出した日の府中は9,8だったそうで、これは指標で言えばやや硬め寄りではありますが、決して極端に反発力が高い馬場ではなかった、とは言えるので、あくまでもこの数字だけを見て、時計が出る出ないを判断するのはナンセンス、と言えるでしょう。


★発表値の汎用性は?

 公表されるクッション値計測のプロセスも、公式ページを読んでいただければわかるので詳しくは割愛します。
 少なくともそこでわかるのは、まず4コーナーから直線にかけてのごく一部の数字であり、かつそれを全て平準化したものである、という事です。
 内柵から2~3mの地点、となると、馬で言えば内から2~3頭目のラインなので、あくまでもインを通した馬にとっての、となり、外の馬場との差異が明確にわかるわけではありません。
 せめて含水率のように、4コーナーとゴール前の数字で分けて発表してくれればいいのですが、それもしないっぽいので、その点はやや不親切ではありますね。

 わかりやすい用い方としては、内の馬場のクッション値が高いのに伸びない=馬場が荒れている、という見極めになるでしょうか。
 多分先週までの新潟とかは顕著にそんな感じの数字だったろうと思いますし、あそこまで行けば見た目で充分判断出来ますけど、僅かな差異を数字で嗅ぎ取るときに、ひとつの証左として活躍してくれるイメージは持てます。
 逆に前の日に雨が降った時など、クッション値が下がっていれば、路盤に水を含んでいる事は想定しやすくなります。
 でもその時に内馬場が荒れていないと見極めがつくならば、インから乾いて内伸び馬場になる傾向を早めに捕まえられる可能性もありますね。
 いわばその計測時点での馬場ではなく、そこからの変化を考える上での起点になりやすい数字ではあるのかな、と考えています。

 あとやはり、この指標が有効に活用しやすいのは、馬場が荒れていない開幕週になるでしょうか。
 実際のところ、エアレーションやシャタリングの処置で、どのくらいまで馬場の柔らかさを作り込んでいるのか、というのは、今までは蓋を開けてみないとわからない所はありました。
 また芝の生育状況が異なる季節では当然処置も違ってきますし、そのあたりが数値化されていくのは、前年の馬場と比較して、という意味での見極めがとてもしやすい、蓄積する事で価値を増すデータになると思います。

 これで内外の差も出してくれていれば理想的だったのですけどね。
 実際、開幕週って意外と外差しが決まったりすることは多く、これは技術的に、内の馬場の方が馬が走る絶対数が多い=路盤が硬くなるのも早いので、その分外より最初は柔らかく処置しておく、という塩梅によって生まれている可能性は高いです。
 その点を数字の差で実感出来れば申し分なかったのですけど、流石にそこまで細かいデータを求めるのも傲慢というものでしょう。

 ただ、公式に基本的なクッション値の想定範囲が7~12、となっている以上、いくら柔らかくする、と言っても、良馬場前提で7より低い数字になるような馬場にはしない、とは考えられます。
 つまり人為的な処置の下限が7、とは言えるので、もしも開幕週に内目の馬場がその数字に近いほど、相対的に外の馬場の方が硬い可能性は出てくる、と考えられるでしょう。
 逆に内馬場の数字が普通水準、もっともその平均がどのくらいになるかも、ある程度の蓄積がないと明快には言えませんが、9くらいの馬場であるなら普通にイン有利、と考えてしまってもいいのでは?という印象です。

 今週からの中山と中京は、どちらも野芝オンリーで一番時計が出やすい芝設定ではあります。
 なので当然どちらもエアレーションとシャタリングの処置は施されていますので、その上でこのクッション値がどういう数字で出てくるかは楽しみですね。
 特に中京は、比較的開幕週は外差し馬場になる事も珍しくないので注目していきましょう。
 ただ今のところ週末の天気が微妙で、雨馬場ですと正確なデータとはならないでしょうからそれは残念なところなのですけどね。


posted by clover at 15:51| Comment(2) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中山は金10.8→土11.2と当日明け方まで2ミリの雨が降った後でも硬くなってきましたね。
G前、4角、中間点で各5回計った平均値なので、多少誤差はあるにしても平均値1個で公開するのは正直どうなのかなと思います。
こうなるとどれぐらいバラつきがあるのか全15回の結果が知りたいところです。

あとnetkeibaのクッション値コラムを読む限りだと、開催後半は芝が掘れた部分の測定は避けるみたいなので、信用性は怪しいと個人的には感じてます。
内外もあまり差がないみたいと言うぐらいなので、せめて計測サンプルぐらいは出して欲しかった思いはあります。
cloverさんの内外データを出して欲しいのも決して傲慢じゃないとは思うんですけどね。

時計との連携に関すると、クッション値が一定以下で低くなればなるほど時計は比例してかかる印象はありますね。
あとは馬によって硬めの馬場が得意・苦手の傾向がわかれば理想的ですが、こればかりは統計取らないと実際連動する馬がいるのか分からないので暫く様子見ですね。

ちなみに香港のシャティンではオールウェザーで測定実績があるので、ダートでどうなるのかは少し気になりました。
特に中央・地方の各競馬場でどう違ってくるのかが興味深いです。
Posted by が茶 at 2020年09月12日 12:39
>が茶様

 いつもコメントありがとうございますー。

 まあ正直、一回だけの数字では何とも言えないものはありますよね。
 午前中にかなり雨が降って、今はそれなりにタフ寄りの馬場、という感じですし、内伸び馬場っぽいのは内が硬い証左とも言えますが、判断に悩みます。

 結局本質的に予想の為のファクターではない以上、計測箇所そのものをああしろこうしろ、と批判するのはお門違いなのかなとは思ってます。
 ただ15回計測するのであれば、せめて当日の情報としてではなくても、含水率みたいに過去分をPDFで出す時は、全施行回のデータを残してくれても、とは思うので、その辺りまで含めてしばらくは様子見、ですね。

 確かにダートの数字もちょっと見てみたいですね。
 時計が出ない=クッション値が低いなら、地方の深いダートの方が、というはずなんですけど、それが具体的に見えるなら面白いですね。
 定期的に、ではなくとも、予想の目安として、それぞれの地方競馬場を計測した数値データがあるといいなぁとは思います。
Posted by clover at 2020年09月12日 15:16
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