2020年09月06日

2020 小倉2歳S・新潟記念 レース回顧

 最後の夏競馬も天気・馬場共に荒れ模様の中、やはりどちらも中々に一筋縄ではいかない結果に終わりましたね。
 果たしてこの結果がどこまで秋に繋がってくるのか、その辺りも踏まえつつ、サクサクと回顧していきましょう。


★小倉2歳S

 台風の影響が心配された小倉ですが、無事に開催出来て一先ず何よりです。
 馬場も午前中の時点では良、未勝利1200mで8秒台が出ていて、標準レベルの馬場でした。
 ただ午後になって、一気に雨が降ってきて、芝もあっという間に重馬場まで悪化してしまいました。
 それでも渋った馬場の中でのレース施行数がまだ多くない、という事で、1勝クラスの1200mが1,09,3、2勝クラスで1,09,2が出ています。

 そこから10Rも芝戦だったので、更なる悪化はあったでしょうし、馬場バイアスもどんどん外差し色が強くなっていったのは間違いないかな、と思います。しかも台風で風も強そうでしたし、その辺りも難しい条件でしたね。
 そういう2歳馬には過酷な条件なので、時計の1,09,6は中々優秀なラインかな、とは思います。外枠に恵まれたとはいえ、上位2頭は強い競馬でしたね。

 レース展開は、まずフリードが先行し、番手にモントライゼ、その後ろにフォドラとリサコーハクが続きます。
 中団にセレッソフレイムと掛かり気味のアールラプチャー、メイケイエールはスタートをソロッと出して、それでも少し噛み気味でしたけどギリギリ我慢できている感じでした。
 道中から直線もほぼみんなが外を狙う、という形の中で、雨の中のレースらしくバラバラっとした印象でしたね。

 ラップは33,9(11,30)-35,7(11,90)=1,09,6(11,60)という推移でした。
 全体としてハイペースなのは間違いなく、馬場状態に合わせて前半・後半共に落ち込んだ感じで、バランスとしてはこのレースの平均ど真ん中、くらいのイメージでいいでしょう。
 よってパワー寄り、相対的な追走力が強く求められた上で、後半もう一回直線で踏ん張る、という総合力・スケール感も求められた感じですね。
 位置取り的には、シンプルにバランスで言えば後ろからの方が楽でしたけど、この時期の2歳馬がハイペースを後ろからでも追いかけて差すのは簡単ではないので、素直に上位2頭はそれぞれに持ち味を引き出して強かった、という見立てでいいと思います。
 実際に後半は、11,8-12,1-11,8と再加速ですからね。特に勝ち馬は、このラップで悠然と差し切ったのは中々のインパクトでした。

 それにしても、初戦素人の感覚は当てにならないと言うべきか、騎手のジャッジが的確だったと言うべきか、メイケイエールは強い競馬でしたね。
 ゲートに難があるのはわかっていたので、最初から無理に出して折り合いを欠くよりは、この馬場だしゆったり出してじっくり行こう、という意識を武Jも持っていたでしょう。
 外枠だった分、そこから自分のリズムでのリカバーは簡単でしたし、それでもあまり追いかけ過ぎないように少し抑えながら、勝負所でモントライゼの後ろを狙う形でかなり外を回していました。

 ただラップ的にもそこまでコーナー外がロスになる展開ではないですし、自身の走破としてはハイ寄りの平均に近いところなので、この馬の現状のポテンシャルを最高に発揮できる乗り方をしてくれたのではないでしょうか。
 ミッキーアイル産駒で、かなりスピードが勝ったタイプに見えるので、阪神JFや桜花賞戦線に向けての距離延長は、偏に折り合いが鍵、とはなるでしょう。
 まだ現状後半勝負でどこまで切れるか、もわからないですし、未知数の部分は大きいですが、明らかにスケール感はあるので次走、それ以降も楽しみな一頭ですね。

 2着のモントライゼも、競馬センスの良さとパワーをしっかりと見せてきたかなと思います。
 ただこの馬自身は1,6秒の前傾ラップで入っていて、ここまで追走が問われたのははじめてなので、最後に甘くなったのはその辺りが影響しているのかもしれません。
 こちらもダイワメジャー産駒で、距離に限界はありそうですが、1400mならこなすと思いますし、いずれは高いレベルでのいいスプリンターになってくれるのではないかな、と思います。

 3着のフォドラも、前走に続いて苦しい展開の中で能力は見せてきましたね。
 この日の馬場ですと内枠は苦しかったですし、逃げる形も作れない中で、それでも渋った内からしぶとく伸びていたのは、馬の根性が凄いなと素直に感じました。
 ただ夏に1200m重賞二つ使って、善戦したけれど賞金的には、というのは難しい立ち位置ですね。こちらも今のところ追走面で良さが出ている感じなので、距離を伸ばしていいかは微妙ですし。
 ともあれ一度しっかり立て直して、1400mくらいで平均くらいの流れに持ち込んで何処までやれるかは見てみたい馬です。今日も着差ほどの能力差はないと思います。

 4着ルクシオンは差しに徹する形で上手く力は発揮したのかな、と思います。
 今年はヨカヨカがいる分目立ちませんが、九州産馬としては大健闘と言えるでしょう。

 5着のフリードも、悪条件は承知で果敢な逃げでしたし、こちらは良馬場・高速馬場なら1400mまで楽しめると思います。個性的な逃げ馬に成長して欲しいですね。

 券種的には、狙った穴目の馬が、馬場なのかペースなのかさっぱり駄目だったのでどうにもなりません。
 どちらにせよメイケイエールを買うならスケールを信じて一点、しかなかったですし、フォドラもこの枠では買いにくかったですからね。少頭数ですし、人気決着ですけど、難しいレースだったと思います。


★新潟記念

 新潟は、台風の影響で多少風が強いかな?くらいで、馬場には影響なく良馬場ですね。
 時計的には3歳の未勝利マイルが47,9-46,8=1,34,7なので、標準レベルには出ているといえますが、やはり決して高速馬場ではありません。
 その上で、昨日よりも更に外差し傾向は強まっていますね。新馬戦などは完全に外枠決着でしたし、そのあたりの影響もそれなりには出ていたでしょう。

 ただ他のレースでも、基本的に逃げ馬からして馬場の真ん中を選んでいくような状態ですし、一概に外枠だからいい、という事もないはずで、結局馬場バイアスなりに立ち回りの上手さは常に求められる、という話になるのだと思います。
 そういう条件なのですが超スローペースでの1,59,9という時計は流石に遅かったですね。
 結局ウインガナドルの三浦Jがヘタれたペースを作った事で、出負けしたジナンボーがああいうトリッキーなリカバーを成功させて好走する下地を作りましたし、10年くらい昔の新潟記念のような、直線だけのヨーイドンが現出した、という事になりそうです。  

 レース展開は、まず注文通りにウインガナドルが、少し押しながらですがスッと先手を主張していきました。
 その後ろにインビジブルレイズ、サトノダムゼル、アールスター、リープフラウミルヒと続いて、ワーケアも先団の後ろ、そしてジナンボーが出負けから、みんなが避ける最内を通してじわっとリカバーし、一気にハナを奪い切る形を作っています。
 メートルダール、プレシャスブルーなどがその後ろ、ブラヴァスは丁度中団の外目で、サンレイポケットがそれをマーク、ピースワンパラディがその内にいて、後方にはアイスストーム、カデナ、サトノガーネットなどのお馴染み差し馬が肩を並べて追走していましたね。

 ラップは36,8(12,27)-50,0(12,50)-33,1(11,03)=1,59,9(11,99)という推移になっています。
 ハーフで見ると61,9-58,0なので4秒近い極端なスローの上、近年の新潟外回りにしては珍しく中緩みも顕著で、結果的に4コーナーでラップが引き上がっていません。
 一応最低限、13,0-11,9と加速はしていますが、その前が遅すぎたせいで、ラップそのものとしては緩い、という印象ですね。
 その結果として、そこから10,8-10,7-11,6、レースの上がり3Fが33,1と、もう一段階一気の加速を問われつつの究極的な瞬発力&持続力特化戦になっており、一定そういう適性を持っていないとどうにもならない、というレースではあったと感じます。

 その上でやはり最低限ポジションをを取れる馬の方が、というのもありますし、外差しバイアスの分、結果論的には外枠から自分のリズムでソコソコの位置を取れた馬が楽だったのかな、というイメージですね。
 これでせめて3~4コーナーからペースアップしていれば、コーナーのロスもあって簡単ではなかったはずなのですけど。
 まあそれでもジナンボーは2着に残していますから、一概にそれがダメ、とは言えなかったはずで、つくづくウインガナドル三浦Jの消極的なレースメイクが恨めしい一戦にはなりました。。。

 勝ったブラヴァスは、福永Jらしいバランスの取れたポジショニングとコース取りで、最後は馬もしっかり力を発揮してきましたね。
 正直ここまでの瞬発力特化が得意とは言えないと思うので、特に最速地点での反応はもう一歩でしたが、最後の持続力地点でジリジリジリジリ伸び続けていたのがこの馬らしい脚でした。
 実際にレース後コメントを見ても、追い出してフォームが変わって、スッと加速するような器用さはまだ足りないのでしょうし、晩成なのは間違いない中でも、これだけしっかり走ってくるというのは中々先が楽しみではあります。

 個人的に晩成型のキンカメ産駒は5歳が一番強くなる、と思っていますので、流石に今年の秋に一線級との太刀打ちは難しいでしょうが、来年春の中距離路線がとても楽しみになってきました。
 キンカメ最後の傑作になれる可能性は秘めている馬だと思いますし、この上がり特化のレースでも結果を出せたのは収穫になると思うので、更に順調に成長して欲しいですね。

 2着のジナンボーも、結果的にしっかり自分の形に持ち込めればしぶとい、というのは見せられたと思います。
 出負けした時はやっぱりな、と思いましたし、そこから内を通してリカバーするのは、今のバイアスだとリスキーじゃないか、と楽観的に見ていたのですけど、実はドスロー過ぎた分、それが正着だったというのが、この馬にとっては僥倖でした。
 実際あの前半なら、あんな風にリカバーしても自身12秒前半でしょうから、ロスはなかったと言えますし、やはり基本的には前にいてこその馬ですからね。
 結果的にも、この馬自身がヨーイドンがベストではないにせよ、ポジショニングの優位性で最後までしぶとく残してきた、という格好になりますし、今日に関してはミルコJの積極性も吉と出た、と言っていいと思います。

 ただやっぱりスタートが徐々に悪くなっているのは気掛かりですね。
 ある程度好走スポット自体は広い馬ですし、ワンパンチは足りないにしても、ポジションが取れれば強い相手にもそこそこやれるタイプなので、そのあたりが改善してくれば、より上のレベルでも面白さはあります。
 けどミルコJ主戦の限りはそのあたりの不安はずっと付き纏いそうですし、難しい馬ですね。まあ左回りの2000m近辺なら基本的には安定してくるのでしょうが、流石に秋天は家賃が高いですしねぇ。

 3着のサンレイポケットも、今の充実ぶりと底力を感じさせるいい走りでした。
 ただやっぱり一気にスパッと切れる馬でもないですし、ポジショニングがいい馬でもないので、ここまでスローで後半特化になってしまうと、質的に圧倒できるほどのものはなかった、という所でしょうか。
 まあ一列前にいたブラヴァスとの差は詰めていますし、斤量差はあったにしても強い競馬だったと思うので、左回りの中~長距離路線で一目置ける存在になってくるのでは、と思います。
 ピースワンパラディがここもイマイチでしたけど、ジャンポケ産駒も最後にもう一花、大きなところを狙える馬が出てきてくれればと思いますし、この馬はその可能性を感じさせますね。

 4着のサトノガーネットは、自分の競馬に徹する以上仕方ないとはいえ、上がり31,9で物理的に届かないレースですからうーん、とはなりますね。。。
 とはいえやはり後半の持続特化戦は強いですし、あの立ち回りからすれば、出来ればもう少し残り1000mからペースアップして、ラスト12秒に近いラインまで来るロンスパになっていれば届いた、とは言えるでしょう。
 能力はあるけれど、完全に展開待ちなので、人気では買いたくないタイプになっちゃいますね。でも一時期のスランプは脱して復調してきたので、府中牝馬Sあたりに出てきたら何処までやれるか楽しみです。

 5着のサトノダムゼルは、積極的な位置取りは悪くなかったと思いますけど、早仕掛けからの持続面でちょっと足りなかったですね。
 正直このラップなら、あれくらい強気でも残せる馬は残せると思うので、後半の素材面で少し底を見せた内容です。
 現状はもう少しバランスの取れた総合力勝負向きかなと思いますし、2000mも少し長い可能性はありますね。それでも上がり馬でいい走りはしてくれたので今後が楽しみです。

 カデナもこのペースだと差し一手は辛い、に尽きるでしょう。
 ピースワンパラディも結果的に内枠が仇で、スロー過ぎて外に持ち出すタイミング、スペースがなかったですし、窮屈な走りになってしまった分勿体なかったとは思います。
 が、ラストグンとくるところもなかったので、スケール面で見るとやっぱりまだ重賞ではちょっと足りないのかな、という感じですかね。
 ウインガナドルは流石にここまでドスローにしてしまうとそれは切れ負けするでしょう……。三浦Jも最近は、気風のいい逃げをよく見せてくれていたのでテン乗りでも平気かな、と思っていたのですけど、今日は正直ガッカリしました。せめて60で入ってくれ……。

 予想・券種的には、一応スローの振れ幅は意識していたとはいえ、ここまでの超スローも、ほぼ3F特化の瞬発力戦もイメージしなかったので、完敗・惨敗、大懺悔というしかありません。
 本当に今年の夏は、ほぼほぼ歯が立たなかった、というのが正直なところで、予想力不足を痛感します。
 まあ終わった事をくよくよし過ぎても仕方ないので、来週からの本場での秋競馬で巻き返していきましょう!


posted by clover at 16:31| Comment(4) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
cloverさんこんにちは♪

いや〜この夏競馬は
本当に福永様に助けられてます
新潟記念と北九州記念も助けられました〜
来週から福永様が一週お休みになられるので
自分もお遊び程度で秋競馬を開幕しそうです。

あと岩田騎手はもっと前だけ見て真っ直ぐ
追って欲しいですね。ちょっと危ないですねよね。
Posted by カズ at 2020年09月06日 17:04
>カズ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 福永Jは本当に馬場読みが熟練しているので、バイアスが偏りやすかった今年の夏競馬では、特に輝いていた気がしますね。
 最近はいよいよ本当に一段上の騎手になってきたと思いますし、いい意味で不惑の境地に入ってきたかな、と感じます。
 コメント発信も以前より辛口に寄りつつも深掘りしている印象ですし、色々はっきりしているので頼りになりますよね。

 今週は騎乗停止でしたね。
 ミスターメロディは久々の中京1200mだっただけに勿体ないですけれど、ここで英気を養って、コントレイルとのコンビで秋競馬を大いに盛り上げて欲しいものです。
Posted by clover at 2020年09月07日 03:40
こんばんは★ 新潟記念は奴が出走したので楽しみにしていたんですけど、うん。外しました(笑)

ウィンはcloverさんの本命とあって気にして見ていたんですけど、返し馬が怪しさ抜群で評価下げました。

代わりにジナンボーの評価上げたまでは良かったんですけどねえ。

ウィンが怪しいのにカデナを対抗にしたのが間違いでした(笑)

今年の変則開催は個人的に秋からがメチャクチャ楽しみだったんですけどね...

コントレイル生で見たかったなあ...
Posted by J.N at 2020年09月08日 04:10
>J,N様

 いつもコメントありがとうございますー。

 確かに今回、ウインガナドルはスタートからの行きっぷりもイマイチでしたし、馬場や状態に問題があったのかもしれませんね。
 その上での基礎的な判断として、前の馬が優位な展開なら前目や外目主体、というのはシンプルですけどやっぱり真理だなぁとも感じました。
 今年は変則開催もあって難しいですけど、今週からはクッション値導入などもありますし、新たな視点も取り入れつつ上手く予想していければ、と思います。

 でも本当に、このペースだと今年はJRAの有観客開催はないかもですね。
 実際コロナが終息傾向にあるわけでもなく、人を入れれば感染拡大の温床になるのがわかっていて、当座の売上自体は確保しているのにリスクを負う必要はないですからねぇ。
 現場観戦派には特に辛い年になったと思いますし、そういう時に限って歴史的名馬が二頭も出るかもしれない、というのも皮肉な話ですよね。
Posted by clover at 2020年09月08日 15:35
コメントを書く
コチラをクリックしてください