2020年08月21日

8月開催前半の注目馬ピックアップ

 前回久々にこのカテゴリで記事を書いた時に、ある程度定期的にやってくれれば、というコメントを頂きました。
 結局そこから3週間は空いているのですけど、その間に走った面白い馬を、ある程度敷居を下げてサラッと紹介してみようかな、と思います。
 実際毎週毎週目につくほどの走りをする馬がゾロゾロ出てくるわけではないので、半月に1回、或いは一月に1回くらいが妥当なペースではあるかな、とも感じますしね。


★サトノウィザード

 まずは8/1の月岡温泉特別を勝った、ロードカナロア産駒のサトノウィザードですね。
 開催2週目の新潟もまだまだ高速馬場でしたが、その中でラップバランスが47,1-45,6=1,32,7とかなりのスローに振れる中、道中後方寄りから直線大外一気でぶち抜きました。
 レースの上がりのラップが11,2-11,2-11,1とラスト最速になっていて、これはこの馬一頭だけがえげつない上がりを駆使してきた故、でもあります。

 実際に、如何に新潟外回りとは言え、上がり32,4はこの現実的な流れの中では簡単にはお目にかかれません。
 特に残り400-200m地点での切れ味が凄まじく、自身はおそらく10,8-10,5-11,1くらいの推移でしょう。
 少なくともこのメンバーでは瞬発力の質・持続性能ともに2枚くらいは抜けていた、という見立てが出来るレース内容でした。

 ただ、元々この馬は、超スローのヨーイドンなら凄く強い馬でもありました。
 新馬からして、2000m戦でラスト最速の上がり33,3でカントルを一蹴して注目を集めたのですが、その後はタフ馬場や厳しい流れの中で、中々持ち味を生かすチャンスが訪れませんでした。
 今更にしてみると、この年の若駒Sってやたら豪華メンバーで、3着以下の馬の大半が重賞勝ち馬か、既にOP近くまで上がってきています。
 その癖勝ち馬のヴェロックスが未だ重賞は勝っていなかったり、この馬もようやく2勝クラス勝ち上がりだったりと、歪な出世ぶりではあり、それはこの馬に関しては、好走スポットが広くない、ここに尽きるのだろうとは思います。

 実際にタフ馬場やコースによっては1勝クラスでも苦戦していたわけで、それでも上がり特化の競馬なら常に安定して出色の脚を使えているのも間違いないのですよね。
 そしてこのレースは、そういう不安定さもある中で、最低限流れた中でも爆発力を引き出せた、という点で成長が見込めます。
 鞍上は右回りの方が走りはスムーズ、と語っていますが、この内容なら左回りでも充分に強いでしょう。
 やはりシンプルに軽い馬場で直線の長いコース、府中か新潟、阪神外回りあたりが好走スポットになりますし、今後は舞台を絞っていけば順調に出世してくるだろうと見ています。
 個人的に、来年の関屋記念に出てきたら本命候補の一頭と心に銘打っておきました。


★ビーマイオーシャン

次は、8/2の札幌の2600m1勝クラス・積丹特別を勝った、エピファネイア産駒のビーマイオーシャンですね。
 この時期はまだ札幌もかなり時計の出る馬場でしたが、このレースはテンの1Fを除き、道中のラップが全て11,9~12,4の間に収まる、一貫した持久力戦、スタミナ勝負になっています。
 このラップの中、外枠から先行して道中も外々、かつ向こう正面から自分で前をつついていってそのまま突き抜けて圧勝、というのは、相当なスタミナ能力を感じさせる走りでした。

 同じ週の土曜日に、2勝クラスの阿寒湖特別があって、そこを前々から押し切ったアンティシベイトも、かなりいい競馬をしていたと思います。
 ただシンプルにラップ的に見ると、このビーマイオーシャンの方が強い競馬をしている感じはあるのですよね。
 この馬自身はデビューが遅れたものの、芝の長距離に矛先を向けてからは安定して走っていますし、スタートセンスと先行力、そこから長く脚を使って崩れないのは、菊花賞戦線に向けて非常に魅力的です。

 ちょうど明日の札幌メインの、札幌日刊スポーツ杯にエントリーしていて、お誂え向きに前走アンティシベイトの2着だったゴーストが出てきます。ルメールJに鞍上強化のおまけつきでもあります。
 なので、ここもすんなりクリアできるようなら、菊花賞に向けて賞金面でも、能力的にも現実的に面白くなりそうです。
 エピファネイア産駒としては、屈腱炎でリタイアしてしまったロールオブサンダーの後釜として、コントレイルを脅かす上がり馬として是非に台頭してきて欲しいところですね。


★フアナ

 続いては8/15の土曜日の小倉開幕週最終レースを走ったフアナです。
 この日の小倉は超々高速馬場と見て差し支えない条件でしたが、1勝クラスの1800m戦で1,44,9、なんて時計が出たのも、その印象を加速させる一因ではあったでしょう。
 とはいえこのレースに関しては、単純に1~2着馬がこのクラスのレベルの馬ではなかった、という見立てが正しいと思います。

 レースラップは35,1-35,1-34,9=1,44,9と、綺麗な平均ペースで、中盤の淀みもない真っ向からの底力勝負・総合力勝負でした。
 この流れの中、2着馬は順調に使ってきている馬で、内枠から道中も内々をタイトに立ち回る、川田Jらしい完璧な競馬を見せてきました。
 それに対しフアナはフローラS以来の休み明けで、馬体重も+28kgと、成長分を見込んでもまだまだ仕上がり途上だったと思います。
 その上やや外目の枠で、道中もずっと少し外を回し、勝負所の4コーナーも3頭分くらい外から、という、この緩みの全くないラップの中ではロスの大きい競馬をしています。
 それでも問題なく外からきっちり捻じ伏せてきましたし、これは文字通り素材の違いを見せつける勝ちっぷりだったと言えそうですね。

 そもそも未勝利勝ちも強く、フローラSも外枠でなければ、という強い競馬が出来ていた馬でもあります。
 ここで先着された2頭が、オークスでも2・8着とそこそこトップクラス相手にやれていますし、となると当然この馬も、という算段は出来ます。
 現実的にはやっと1勝クラスを勝っただけですが、もしもトライアルの出走枠に滑り込めるなら楽しみは出てきますね。この日の走りを見ても、秋開幕の超高速馬場なら、中山でも中京でもかなり有力視できるかなと思っています。


★ソリストサンダー

 最後に、8/15の土曜の札幌メイン、3勝クラスダート1700mのTVh賞を制したソリストサンダーですね。
 実はこの馬、前回のこのカテゴリ記事でハギノリュクスを紹介した時に、それに対しては少し見劣るものの、それでも2勝クラスでは完全に抜けた競馬をしている、と評価した馬でもありました。

 その後連闘で臨んだ大雪Hこそ、スローからの上がり勝負で内に包まれ、上がり勝負で牝馬シネマズソングの切れに屈する形にはなりました。
 その反省もあったのか、再度内枠を引いたこのレースでは、道中はある程度下げてスペースをしっかり残しながら進め、3コーナーから外を一気に捲る競馬を敢行、直線一気に突き抜ける非常に強い勝ち方を見せてくれましたね。

 札幌ダートはこの日は重馬場で、そこそこ時計は出やすかったとは思います。
 それでも完全に湿り切っていた感じもない中で、29,8-35,8-36,8=1,42,4と、全体でも極端なハイペースではないのに、あの位置から楽に捲り切ったのは相当にインパクトがありました。
 自身の上がりは35,9で、レースラップが12,0-12,2-12,6ですが、おそらく11,6-11,9-12,4くらいは使っているでしょう。
 コーナーで速い脚を繰り出しつつ、ラストまで減速幅を留めてしっかり走り切れており、出し切っての持続性能と、高速ダート性能の高さを見せてきたと思います。

 元々この馬は、2歳時に不良馬場のプラタナス賞で、近頃引退・種牡馬入りが発表されたダートの怪物・ルヴァンスレーヴの2着に食い下がった実績があるのですよね。
 ただそのレース以来、ずっと1200~1400mだけを使い続けていて、この距離では前半のポジショニング、追走面にずっと課題を見せてもいました。
 ある程度時計の掛かる条件では好走出来ていたものの、適性的には噛み合っていなかったのでしょう。

 それが4走前から、ダート1700mを使い始めてガラッと安定してきましたし、このレースも定量戦でこの強さですからね。
 時計的には既にOP戦レベルはクリア、重賞でも普通に戦えるレベルにあると思いますし、マイル~1800mの距離でどういう競馬が出来るか楽しみです。
 個人的には武蔵野Sでも、展開ひとつで圏内に食い込めるくらいのチャンスはあるんじゃないかな、と感じていますし、横山武Jとのコンビもフィットしているので期待したいですね。


posted by clover at 17:23| Comment(2) | 次代のスターを探せ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ビーマイオーシャンは抵抗できずに完敗でしたね~。意外でしたが、さすがルメールとも思いました。
オープン以上に出ている3歳馬も、「ブラックホール(札幌記念)、ヒュッゲ(札幌日経オープン)、ギルデッドミラー・プリンスリターン(中京記念)」など古馬の壁に跳ね返されているケースが今年は多い気がします。唯一(?)勝った「スマイルカナ(米子S)」は、次走の京王杯AHでサマーチャンピョンを取れるか楽しみですね。
またサリオスの毎日王冠は3歳馬のレベルを占う気がします。

夏~秋の重賞で強い勝ち方をする3歳馬は、改めてなかなか貴重だなと。「ブラストワンピース(新潟記念)、ダノンキングリー(毎日王冠)、プリモシーン(関屋記念)」は強い!という勝ち方で、3頭共にさすがG1級という感じです。
Posted by ken at 2020年08月24日 22:21
>ken様
 
 いつもコメントありがとうございますー。

 ビーマイオーシャンにとっては、少し序盤の速いペースが堪えた感じですね。
 明らかに後半型のステイヤーだけに、そこは懸念材料でしたけど、ここまで顕著に露呈してしまったのは残念です。
 スタートからの出足も、騎手が期待していたほどスッと進んでくれなかった感じもありました。
 やはりタフな洋芝の北海道シリーズで、2600mを3回使うというのは厳しい条件だった、というのもありそうですね。

 それに、この時期に3歳馬が古馬に挑むというのは、斤量のアドバンテージだけでは覆せない面もあるのでしょうね。
 馬場や展開、相手関係もあるので一概には言えませんけど、今年の場合はサリオスが太刀打ちできないと、一気に世代レベルに暗雲が立ち込める事になってしまいますねぇ。
Posted by clover at 2020年08月25日 14:43
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