2020年08月03日

2020 8月第1週海外GⅠ レース回顧

 では今週も、海外GⅠの回顧からはじめましょう。
 まあこの週はそれほど大きなレースはなかったですけど、日本に縁の深い馬の出走などもありましたね。



 まずはサラトガ競馬場での、古馬混合ダート9FのGⅠ・ホイットニーSです。
 このレースを勝ったのは、逃げてそのまま押し切ったインプロバブルでしたね。これで前走のハリウッドゴールドCに続きGⅠ2連勝と、いよいよ素質馬が本格的に軌道に乗ってきました。

 ラップは、アメリカ競馬としては異例なくらいの超スローペースになっています。
 25,12-24,62-23,62-23,17-12,12=1,48,65なので、序盤ドスローからの5Fロンスパ、ラスト1F以外は加速ラップなんですね。
 レースの上がり3Fが35,29という時点で超レアケースで、後半要素を高いレベルで問われた一戦だと思います。

 なのでまぁ、逃げてそのまま、というのは展開利も含めて妥当ではあります。
 ただこういう後半型バランスの競馬に対処できない馬もいるとは思うので、勝ち馬は前走も含め、ある程度好走スポットの幅を見せてきているのはいい印象ですね。
 比較的自在にレースを組み立てられますし、スタートも安定しているので、この路線のひとつの核として、BCは楽しみな存在です。

 2着のバイマイスタンダードと、3着のトムズデターは、以前取り上げたGⅡのスティーブンフォスターS経由組ですね。
 あのレースも平均くらいのラップで後半要素が求められ、その中でレコードに肉薄、という面白い内容でした。

 そこから敷衍すれば、このレースでも好走してくるのは必至だったと思います。
 ただ勝ち馬に上手く立ち回られてしまったですし、ペースもより遅くなって、前回以上の決め手を、というのは難しかったようです。
 特に3着のトムズデターは人気もしていましたが、スタートで出遅れ、最後方からラストまでジリジリ詰めてくる、という形なので勿体ないレースでした。この馬は10Fで平均ペース、くらいの中での差し脚を見てみたいですね。


★パーソナルエンスンS https://www.youtube.com/watch?v=4eGav3KdlVg

 続いては同じくサラトガの、牝馬限定混合GⅠ、9FのパーソナルエンスンSです。
 ここは現役最強牝馬のミッドナイトビズーが圧倒的人気に支持されていましたが、古豪の伏兵・ヴェクサティオスの大駆けに不覚を取ってしまいました。

 ラップは24,15-24,21-23,84-24,09-12,53=1,48,82となっています。
 こちらもアメリカのレースとしてはペースが落ち付き、ほぼ平均ペースからの5Fロンスパ気味な総合力勝負、という感覚ですね。
 ラストも大きく消耗はしていませんが、時計的にはよりスローのホイットニーSより遅く、この流れで差しあぐねたのは少しミッドナイトビズーに不満が出てくるレース、ではありますかね。

 レースはヴェクサティオスが2番手、ミッドナイトビズーが3番手で、3~4コーナー中間から2頭で揃って進出、ほぼ一騎打ちになっています。
 コーナーで1頭分外を回したロスはありましたが、直線競り合いの中で最後まで勝ち馬を交わせなかったのは、勝ち馬も中々強かったとは言えるのでしょう。
 でも、いつもそれなりに走っていた馬とは言え、7歳で重賞勝ち鞍もひとつだけ、というレベルではあるので、よほど馬場に適性があったか、ここにきて覚醒したか、評価が難しい好走です。

 一方のミッドナイトビズーは、タフな馬場だとハイペースの方がいいのかもですね。
 どちらにせよあまり後半の決め手を持っている馬ではないので、勝ち切るには馬場とラップバランスが大事なのか?というイメージにはなります。
 ここで負けてしまったのは、今後強豪との対決が待っている中では残念ですが、立て直してまた強いレースを見せてもらいたいものです。


★H・アレン・ジャーケンスS https://www.youtube.com/watch?v=pM8cSnvqV5M

 このレースも同日のサラトガでの、3歳限定ダート7FのGⅠになります。
 毎年さほどレベルの高いレースにはならないですが、過去にはいま日本で種牡馬をしているドレフォングなどが制していて、3歳世代のスプリント路線への登竜門のひとつ、というイメージです。

 ここは、前走ベルモントでのウッディスティーブンスSを制していたノーパロルが人気していました。
 しかしこの馬は逃げて最後失速、好位外目を追走していたエコータウンが、ウッディスティーブンスSでは完敗を喫した雪辱を綺麗に果たす格好になっています。

 ラップは22,67-22,64-24,55-12,67=1,22,53という推移になっています。
 一貫消耗戦ですが、アメリカのスプリント戦としては水準くらいのペースで、それでもタフ寄りの馬場で最後はかなり消耗していますね。

 ノーパロルは、前走にしても4F45,01の逃げで圧勝ですが、勝ち時計も1,21,41と、かなり軽い馬場での快走でした。
 故に今回は、質的には足りるペースでも、タフな馬場で相対的に前傾で入り過ぎて苦しくなった、という感じですね。

 その一方で勝ち馬は、前走では総合スピード的に完敗だったところを、最後消耗戦になる事で補えたイメージです。追走面は高いレベルで持ちつつも、質的に足りなかったタイプ、という見立てで、このあたりも個々の適性の面白さが凝縮されています。
 もっとも全体時計は、例年のこのレースに比べても目立つものではありません。
 今のスプリント路線自体もやや変革期なので、これからの成長次第では、となりますけど、すぐに古馬トップクラスと、となると、馬場や展開の恩恵は欲しい馬になると思います。


★ビンクグロスビーS https://www.youtube.com/watch?v=gba1m9ybl2s

 こちらはデルマー競馬場での、古馬混合のダート6FのGⅠになります。
 レースはかなりのハイペース展開になる中で、勝ったのは唯一の3歳馬であるコリュージョンイリュージョンでしたね。 

 ラップは21,58-23,15-25.68=1,10,41なので、これぞアメリカンスプリント、という感じの強烈な前傾戦です。
 ハーフの推定なら33,2-37,2くらいで、ラストはほぼ13秒を要するゴリゴリの消耗戦となって、ゴール前はガラッと形勢が一変しました。

 その中で勝ったコリュージョンイリュージョンは、まずまずのスタートから先行争いを避けて、道中は後方2~3番手を進みます。
 直線では雁行状態の先行勢の合間に滑り込んでいき、内目に進路を見出すと、しっかりと怯む事なく馬群を割って抜け出してきました。
 最後は最後方待機の2着馬の大外一気に肝を冷やす形になりましたけど、それでも唯一の3歳馬がこの形で勝ち切ったのは立派だと思います。

 この馬は一度だけ競争中止があるものの、まだ実質無敗ですし、今後も伸びしろがありそうで、スプリント路線でかなり楽しみな一頭になってくるでしょう。
 ただ時計的には、他のレースや例年との比較でもあまりいいものではなく、全体レベルが低かったのは否めません。
 その意味で、このレースを糧にもう一段の飛躍は欲しいところですね。

 2着のレキシトニアンは、スタートで大きく出負けし、流れにもついていけず、ノリさんが乗ってます?という感じの超ポツンでした。
 でも前がラップを落としてきた中盤からじわじわ取りついて、直線は大外に持ち出し、最後の脚は相対的とは言え迫力があったと思います。
 こちらもタフな馬場で、追走が問われての相対的なバテ差しが理想なのかな、という印象で、展開待ちの馬でしょうけど中々個性的で面白いですね。



 最後に、フランスのドーヴィルで開催された牝馬限定の混合マイル戦・ロートシルト賞ですね。
 ここは人気のウォッチミーが、中団から最後鋭い差し脚で前をきっちり捕まえ、貫禄のGⅠ2勝目を飾りました。

 そしてこのレースには、日本産のロードカナロア産駒・ノウイットオールも出走していました。
 これが初めてのGⅠ挑戦になりましたが、果敢に先行して最後の最後まで優勝争いに加わる3着と、中々の走りを見せてくれましたね。

 馬場は良で、ラップは35,81-22,93-11,42-11,57-12,32=1,34,05という推移になっています。
 2番人気だったゴドルフィンのサマーロマンスが逃げて、番手にノウイットオール、その一列後ろにウォッチミーと2着のハーフライト、という隊列で、全体としてはハイペース寄り、かつ仕掛けの早い持続力&総合力勝負という感じです。

 流石にこのメンバーでは、ウオッチミーの底力が一枚上だった、という勝ち方でしょう。
 ラストの消耗地点で明確に突き抜けてきましたし、時計勝負になって少し追走に苦慮した部分もあるかもですが、強い競馬だったと思います。
 時計的にも、ゴルディゴヴァの4連覇目の時の1,34,3を破る、おそらくレースレコードになると思いますし、良い馬場だったとはいえ大したものです。
 牝馬路線ならマイルから10Fまで安定して走る馬ですし、また牡馬相手でもマイルなら、と思えるので楽しみですね。

 2着のハーフライトも外からしぶとく伸びて悪くない競馬ですし、3着ノウイットオールも、速い流れに自分から乗っていってのこの内容は評価できると思います。
 まあロードカナロア産駒だけに、時計の出る馬場でのスピード勝負がフィットした可能性も高いので、これでGⅠレベルでも目途、と言い切るのは時期尚早かもしれません。

 ただまだキャリアの浅い3歳馬で、同期の人気馬は問題なく撃破していますからね。
 4着のスピークオブザデビルが、今年の仏1000ギニーの2着馬ですから、少なくともそことの比較では中々の走り、と言えます。
 もっとも仏1000ギニーはレベルが低かった可能性が高くて、勝ち馬はまだ走ってないですが、4着トロップビューはジャンプラ賞でも完敗でした。
 少なくとも英愛ギニー組の方が強いと思うので、そのあたりとぶつかってどこまでやれるか、今後が楽しみな一頭なのは間違いありません。


posted by clover at 16:56| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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