2020年07月30日

7月開催の注目馬ご紹介

 今日は久々に、次代のスターを探せ!カテゴリの記事になります。
 紹介するのは3頭で、どの馬もちゃんとレース結果を見ていれば誰でもわかる実力馬・素質馬ではありますが、ある程度多角的に掘り下げていく事で理解を深め、今後さらに注目してもらえれば、と思います。


★ダンシングプリンス

 1頭目は、7/12(日)の2勝クラス、福島ダート1150m戦をレコードで圧勝したダンシングプリンスですね。

・現時点での戦績表 https://db.netkeiba.com/horse/2016105282

 デビューが遅れて、実質の初出走は3歳夏終盤の小倉芝1200m戦、そこでは出遅れて後方から、直線鋭い脚で伸びてくるものの2着となっています。
 自身34,8-34,2=1,09,0の走破バランスで、ラスト1Fは11,4~5くらいの脚を使えており、芝でも充分にやれる素質はこの時点で見せていました。
 ただそこで出走できる未勝利がなくなり、次走が1勝クラスの阪神芝マイル戦、この時の阪神は超々高速馬場で、47,1-46,0のスローバランスを好位内目から追走、最速地点の400-200mあたりまでは内目で踏ん張っていたものの、ラストで一気に甘くなって11着完敗ですが、着差自体は0,6とそこまで大きくもありません。
 この2戦を見る限りは、距離は1400mまでがベター、ハイペース寄りの方が持ち味は出る感じですけど、総合力のある面白い馬なのですが、ここで一度地方転出となります。

 地方では船橋のダート1200m戦に3回出走し、全て逃げてハイペースを刻み、圧勝を続けています。
 時計的にも優秀ではありますが、それはクラスなりに、でもあり、自身最速が1,13,0、かつほぼ全て一貫消耗戦ではあり、そのまま地方にいて、高いレベルでどこまでやれたか?という点では少し疑問符は残る内容になっていると思います。

 そして再度中央に転入し、この時に厩舎も、栗東の鮫島厩舎から、美浦の宮田厩舎に移っています。
 宮田厩舎はあまり馴染みがないな、と思って調べて見ると、今年開業したばかりの新進調教師で、ただ2歳勢のラインナップを見る限り、ノーザンお抱えの一人、という位置づけにはなりそうですね。
 ダンシングプリンスは社台の馬ですけど、その辺りの繋がりもあってのご祝儀的な転厩なのかな、と思いますし、実際にこの厩舎の初勝利が、ダンシングプリンスの中央復帰初戦、4月の中山ダート1200m戦でした。

 このレースは良馬場でしたが、全体的にはそこそこ時計の出ている週でした。
 その中で7番枠から好スタート、楽に芝地点でダッシュを効かせてハナを奪い切ると、ハイペースに持ち込んで後続を圧倒、ラストはほぼ馬なりで突き放す一方、という素晴らしい競馬を披露しています。
 ラップは33,6-36,7=1,10,3で、一貫消耗戦でラスト13,1を要していますけれど、ただ全く追っていないのでその気になれば9秒台も出たかも、という走りは見せていて、明らかに船橋との比較で、時計の出るダートの方が適性が高いのは見て取れますね。

 そしてそこから3カ月の休養を経ての織姫賞も圧巻の競馬でした。
 ここも3番枠からいいスタート・ダッシュを決めていくと、不良で時計の出る馬場だったとはいえ、30,7-35,4=1,06,1と、破格のレコードで4馬身差圧勝を決めています。
 ラップも後半11,6-11,8-12,0と、一応推移としては一貫消耗戦ですが減速幅はかなり小さく、流石にこのレースは残り50mくらいまでしっかり追われていたとはいえ、それでも素晴らしい全体時計とラップになっていると感じます。
 純粋に前半に3秒足して考えても33,7-35,4ですから、そこまでハイバランスになり切らない所で更に一足、という鋭さとスピード持続力を発揮していて、やはり軽い馬場でより本領を発揮するタイプと言えるのでしょう。

 血統的には父パドトロワ、母父バブルガムフェローと、これだけ切り取るとかなり地味ではあります。
 ただ母はデュランダルの半妹で3/4同血、父系も母がグランパドトゥでかなりの良血と、芯の部分では社台・ノーザンの神髄的な血が強く含まれており、そしてサンデーサイレンスの3×4という奇跡の血量も保持しています。

 兄姉は、スウェプトオーヴァーボード産駒のプリンセスメモリーが芝短距離を中心に6勝、丁度織姫賞にも出走していて6着だったコウギョウブライトもスウェプトオーヴァーボード産駒です。
 父のパドトロワはスウェプトオーヴァーボード産駒ですので、この兄姉と3/4同血になるわけですが、ただ父の母系にフジキセキからのサンデー血脈が入っている事で、兄姉が持たないサンデーのクロスがあり、それがスピードを底上げしているように感じます。

 高いレベルで言えば、ダート短距離でもマテラスカイのように、時計の出る条件の方が明らかに強いタイプで、おそらく姉の走りからしても、自身の3歳時の走りからも、芝短距離でも充分にやれる力は持っていると思います。
 当面は結果が出ているダートを選択していく事になるでしょうが、それこそアイビスサマーダッシュみたいなレースにもフィットしそうなタイプですし、色々な選択肢を見据えつつ大事に育てていって欲しいですね。ダートと芝、どちらでもスプリント路線でかなり楽しみな一頭です。


★ハギノリュクス

 続いては、7/19(日)の函館のダート1700m未勝利戦で破格の走りを見せたハギノリュクスです。

・現時点での戦績表 https://db.netkeiba.com/horse/2017101819

 この馬は年明けの芝1800m戦、アドマイヤビルゴが勝った新馬戦でデビューしていますが、戦績を見ての通り、芝ではスピード、特に後半のスピードが足りていないと明確にわかる内容になっています。
 スタートで不利があった3戦目以外は、スタートも出足もそこまで悪くはないのですが、やや立ち回りとしても中途半端な部分はありましたし、いつもコーナーで少し置かれて、直線バテ切ってはいないのだけど伸びてくるほどの切れもない、という地味なレースの繰り返しでした。
 或いは一度くらい、思い切って逃げてハイバランスに持ち込んでいたら違ったかもですけれど、どちらにせよ芝での伸びしろはほとんど感じない馬です。

 が、こういう馬がダートでガラリ一変するのですから、本当に競馬は面白いものです。
 ルメールJを配しての初ダート挑戦となったレースで、いいスタートから楽にハナを奪うスピードを見せると、そのまま道中も淡々とペースを緩めることなく快走、後半もほぼ追うところなしの馬なりで、後続に2,5秒もの圧倒的大差をつける驚異的な逃げ切りを披露してきたのは驚きました。
 ラップとしても29,6-36,8-37,2=1,43,6と、ハイバランスではありますが極端ではなく、スタートダッシュ以降は常に淡々と12秒前半から半ばを刻み続けて最後までバテない、という素晴らしい持続性能を見せてきました。
 ラストも12,5-12,2-12,5と、一定加速してそこからは完全に馬任せ、追えばもっと詰まったかも、と思わせる内容なのに12,5でまとめていて、当然全体時計としても未勝利としては有り得ないレベルの水準です。

 この日のダートは良馬場で、それでも夜間に雨があり、少し時計は出やすかったとは思います。
 それでもソリストサンダーが圧勝した2勝クラスの駒場特別が、29,5-36,6-38,2=1,44,3と、中盤まで同じようなラップを踏みながら、ラスト13,4と失速してこの時計、という内容ですし、このラップで2着とは0,6秒差がついてもいます。
 ソリストサンダーは先週、連闘で3勝クラスに出てきて、インからしぶとく食い下がり僅差3着と、上でもやれる目途を立てていますし、その馬に対しても明らかにラップ的に圧倒している、というのはちょっと信じられないレベルですね。

 馬場差があるので単純比較は難しいのですけど、そもそも今年の夏の函館開催の、ダート1700m戦の一番時計でもあり、マリーンSで同タイムで圧勝したタイムフライヤーの上がりが奇しくも37,2なのですよね。
 その比較で言えば、ダート初戦で、単騎逃げの楽なレースだったとはいえ、古馬OPクラス、勝ち馬の実力からすれば普通に重賞で勝負できるレベルの時計をマークしたと言えて、これはしばらくダートでの快進撃は止まらないんじゃないか、というイメージにはなります。

 血統的には、父がルーラーシップで母父がアグネスタキオン、母の母系がシアトルスルーと、非常に質のいい血が揃っていて、これで芝であれだけ鈍足、というのも中々に奥深いところではあります。完全アウトブリード、というのも、その一因であるのかもしれません。
 この母の母、アベニューズレディの血脈からは、今のところ中央での活躍馬が殆ど出ていないようなのですが、この馬は少なくともダートであと2~3つは楽に勝てるでしょうし、ゆくゆくは牝馬の交流重賞でも戦えるレベルの馬なってくると踏んでいます。

 あとこれは余談ですが、ひとつ下の妹が私御贔屓のエピファネイア産駒で、血統的にはサンデーの3×4を持っているのですよね。
 この血統のタフなパワーと、サンデーのスピードが上手く噛み合えば、こちらも結構楽しみな馬になるのでは?という期待感がある上、馬名がハギノロマネスクと、実にうちのブログで御贔屓にしてあげたい感じです。。。
 既にゲート試験も通っているようですし、この姉妹でバンバン活躍して、この血統の価値を底上げしてくれればいいな、なんて思っています。

 ちなみに一つ上の姉である、ハービンジャー産駒のハギノベルエキプも、三津谷Jから乗り替わればもう少し頑張れそうな雰囲気はあるのですけどね。。。
 別に意図的ではないんですけど、ダンシングプリンスにしても地方に行く前の勝てなかった2戦は三津谷Jが鞍上でしたし、ハギノリュクス自身はそこまで騎手に恵まれていなかったわけではないですが、やっぱり鞍上も大事だなー、と思ってしまう次第です。


★レイパパレ

 ラストは先週7/26(日)の糸魚川特別を快勝し、3戦無敗とした良血・レイパパレですね。

・現時点での戦績表 https://db.netkeiba.com/horse/2017105335

 デビューは年明け直ぐの京都開催のマイル戦で、この時は非常にタフな馬場でしたが、49,0-48,5=1,37,5の流れを番手追走から楽に抜け出しでの快勝でした。
 ラストのラップが12,3-11,5-12,0と、内回りでコーナー出口から一気に加速を求められているのですが、ここであっさり先頭に立っているように、タフな馬場での加速性能がとても優れていて、この辺りは母父クロフネが強く出ているイメージになりますね。

 2戦目はそこから5ヶ月ちょっと空いての、阪神での1勝クラス・牝馬限定古馬混合のマイル戦でした。
 混合戦とはいえほぼほぼ3歳馬だったレースですが、ラップは46,9-47,0=1,33,9と平均ペース、かつその中で後半は11,3-11,7-12,1と仕掛けの早い、阪神外回りらしい持続力を強く問われた総合力戦、というイメージでしょうか。
 ここでは少しゲートで後手を踏んで出負けしますが、すぐにリカバーはして、3列目のインに潜り込んでいきます。
 直線では外に持ち出せず、中々進路確保出来ませんでしたが、狭いところを抉じ開けるように一気に伸びてきて、最後は持続戦に強いオーマイダーリンを寄せ付けず、という、味わいのあるレースぶりを披露しています。

 ここでは一定の追走を問われた上での後半要素を引き出せるか?という面でしっかり答えを出していますし、この馬としても減速基調の中での最後の抜け出し、ではありますが、それでも一定持続面でも違いを見せてきたのは大したものと言えるでしょう。
 馬場は開幕週でしたがややタフ、鳴尾記念が2,00,1の日なのですが、阪神は外回りと内回りでタフさが違う時もあるので、そことの比較で素晴らしい時計、と鵜呑みにするのはやや早計かもしれません。
 それでも総合的にレベルの高い競馬で、苦しい位置取りと進路になりながらも怯むところなく完勝、かつこの時は休み明けで+20kgでもあったので、成長も見せつつレースの幅も見せてきたという意味で価値は高いと感じています。

 そして先週の糸魚川特別では、高速馬場適性と後半特化での強さも見せてきました。
 ラップが35,8-36,1-33,4=1,45,3という推移で、最低限序盤中盤も流れていますが、それでも馬場に対しては明確にスローペース、ではあったと思います。
 ただこのレースが後半ラップ的にも全体時計的にも図抜けていい、というのもあり、その中で古馬牡馬相手に完勝してきたのは、斤量面の恩恵があるとはいえ流石の一言ですね。

 スタートはまずまずで、少し前を追いかけていく中で折り合いを欠くか?という気配もあったのですけど、好位のインに入れる事で上手く宥めつつ進めていて、前進気勢と操縦性のバランスが現時点では上手く整っている感覚ではありましたね。
 むしろ初距離で、相対的に今までよりは緩く感じる流れの中で、ですから、少し折り合いを欠くくらいの方が健全ではあり、それは裏返すと、決してこの展開がこの馬にとってベストではなかった、もう少し追走が問われてバランス型のレースの方がより強みが生きる可能性も示唆しています。

 ともあれこの流れで直線まで我慢、残り600mあたりから外に持ち出そうとしますが、ピッタリ外にカントルが張り付いて進路をカットされると即座にインに切り返し、前を行く2頭の狭い隙間を、前走同様全く怯む事なく突き抜けてきます。
 後半のレースラップは11,3-10,8-11,3ですが、この馬はこの最速地点でスパっと腑抜けてきており、おそらく待たされていた分も踏まえて見れば、11,3-10,6-11,3と見ていいのではないでしょうか。

 新潟なのでトップスピードとしての10,6をそこまで高く評価はしない方がいいかもですけど、それでも一瞬でこの速度まで持っていける加速性能はやはり非凡であり、それをタフな馬場でも軽い馬場でも同じように引き出せるのもいいですね。
 またこの週の新潟は、全体的に外差しの方が優勢だった感もあるので、ラップ的にインベタの優位性が高くないこのレースで、内を突いて外からの差しの古馬2頭を寄せつけなかったのはやはりかなり強い、と感じました。

 誰もが思うでしょうが、適性的にも実力的にも秋華賞路線の隠し玉、最終兵器となれるだけの馬だと思います。
 出来れば中京のローズSを使ってくれると、トップクラスとの力差が測れて有難いのですが、賞金的にも足りる、気性的にも問題ない、と、本番に直行されると中々扱いに困る馬にはなります。
 ただディープインパクト産駒でシャイニングレイの全妹ですから、脚元含めてレース数は使わない方が、という判断になりそうな気はしますね。
 レースセンスはいいですし、追走面もポジショニング面も、タフ馬場になっての適性も高いので、デアリングタクトにとっては厄介なタイプと言えそうです。


posted by clover at 17:00| Comment(2) | 次代のスターを探せ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。いつも楽しく読んでいます。
この”次代のスターを探せ”は非常に嬉しい企画です!来月以降も是非お願いします!
レイパパレはどうやら賞金は足りないみたいなので、まずはトライアルで大注目してみます。
あと自分が出資している馬がいつかこのコーナーに出るのをひそかに楽しみにしています。(ちなみに出世頭:パンサラッサ、期待の星:バスラットレオン)
Posted by ken at 2020年07月31日 22:06
>ken様

 コメントありがとうございますー。

 このカテゴリは。初期に紹介した馬が思いのほかみんな期待通りに出世してくれたのもあって、自分の中で少しハードルが高くなっちゃってたんですよね。
 企画としては先物買いで楽しみが大きいので、今回の記事くらいのラインで面白い馬が出てくれば、是非また書きたいとは思っています。

 パンサラッサは書くなら1勝クラスを勝った時点でしたし、バスラットレオンは逆にあっという間にスターダムに乗っていってしまう可能性はありますよね。。。
 どうしても立ち位置的には、やや出世レースからは遅れた馬、というカテゴリにはなるので、その辺りの匙加減は難しいですが、もう少し積極的に探してみようと思います。
Posted by clover at 2020年08月01日 04:04
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