2020年06月29日

2020 6月第4週海外GⅠなど レース回顧

 新馬戦などは明日明後日二日かけてしっかり回顧するとして、まずは海外の大レースをサラッと回顧していきましょう。
 今週は木曜に雑談として前半戦の反省会、金曜にエクリプスS展望というスケジュールを予定しています。



 移動制限などの影響もあってか、近年では非常に珍しい、15頭と多頭数でのレースになった今年の愛ダービーは、1番人気に支持されたオーソライズド産駒のサンチアゴが、好位のインから直線早めに抜け出し、僚馬タイガーモスの追撃を辛くも振り切っての勝利となりました。
 ちなみに15頭の内、パパオブライエン6頭、兄オブライエン3頭、弟オブライエン1頭と、オブライエン一家の運動会だったのはお約束ですが、結果はパパの馬が1~4着独占と威厳を見せる格好になりましたね。

 レースは雨の影響で稍重くらいの馬場でしたが、その中で正直ペースなどはわかりません。
 ただ比較的馬群が密集する中でのタイトな競馬になっているとは思いますし、勝ちタイムの2,38,17からもソコソコの消耗戦だった可能性は高そうです。
 勝ち馬はその流れに上手く好位のインでじっくり乗り、直線半ばでスムーズに進路確保すると、そこからの一足での出し抜きが鋭かったですね。最後は外からジリジリと肉薄されましたけど、欧州の馬らしい正攻法で強い勝ち方だったと思います。

 ヘファナンJも今期は、移動制限のせいでムーアJがアイルランドの競馬に乗っていないので、その分オブライエン厩舎のトップ馬が回ってきますし、その中できっちりそつなく結果を出し続けるあたり、やっぱり地味ですけど上手な乗り手だなぁといつも思います。
 馬自身も長い休み明けで、ロイヤルアスコットの14F超のクィーンズヴァーズをいきなり勝利と、それまでマイルまでしか経験のなかった馬としては破格のパフォーマンスを見せていましたし、そこから中1週でも力強い競馬を見せてくれて、その辺りの使われ方と強さは流石であり、この辺は色々日本のトップホースも見習う余地が沢山あるよなぁとは感じますね。

 基本的にこれで一旦休養に入って、秋はセントレジャー本線、来年は長距離路線を目指すという話ですね。
 キューガーデンズが引退となってしまいましたし、この厩舎の新たな長距離エースとしての期待が持てる一頭なのは間違いないですね。


★プリティポリーS https://www.youtube.com/watch?v=aWVjx1QdG-c

 同じくアイルランドでの3歳古馬混合の牝馬10F戦となるプリティポリーSは、一度現役引退表明から、撤回しての復帰戦となったマジカルが、弾丸のようなスタートを決めてスタートから先頭に立つと、最後までまるっきり影を踏ませない圧倒劇でGⅠ5勝目、楽な相手だったとはいえ、まだまだ健在という所を遺憾なく発揮してくれましたね。

 この日の馬場は良まで回復していましたけど、それでもカメラに露がまとわりついているように湿り気味だったのは確かで、2,12,29という勝ち時計は速くはないですけど、それ以上に内容が良かったなとは思います。
 スタートからの前進気勢の良さは、馬が活力を失っていない証左ですし、追い出せば即座に反応して鋭く差を広げてきて、実にマジカルらしい操縦性の良さと堅実さが煮詰まったいいレースでした。
 ヘファナンJも愛ダービーに続いて2日連続のGⅠ制覇ですし、やはりバランスのいい、ダメージも少ないそつない騎乗だったと思います。

 エクリプスSにも登録がありましたが、流石にそこは回避して、次走はキングジョージになるらしいです。
 エネイブルもエクリプスS次第では3勝目を目指して、となるでしょうし、今年もこの牝馬からは目が離せない事になりそうですね。


★サンクルー大賞典 https://www.youtube.com/watch?v=S4waZeAwxqM

 ここはガネー賞に続き5頭立てと、今のフランスの中長距離路線の地盤沈下を感じさせる陣容になりましたが、その中で勝利したのはガネー賞でソットサスの僅差2着に食い込んだ古豪ウェイトゥパリスで、7歳にして悲願の初GⅠタイトルとなりましたね。
 サンクルーはいつもラップが出ないのでその辺は不透明ですが、5頭立てで一段の競馬、馬場も良で見た目にも綺麗でしたから、基本スローからのロンスパじゃないかな、と感じます。

 その中で道中最後方だったウェイトゥパリスですけど、直線は馬群の間からジリジリと食らいつき、ラスト100mで一気に外から内で粘る2頭を飲み込むという、前走同様に持続力で良さを見せての勝利、だったと思います。
 まあ流石にこれで凱旋門賞路線でどうこう、というレベルの馬では本来はないと思いますが、今が充実しているのは確かなので、コロナ関連での相手関係次第では、の部分は出てくるかもしれませんね。

 2着のナガノゴールドは内からしぶとい競馬で惜しかったですけどね。やっぱりスミヨンJとはとても手が合っている印象です。


★ジャストアゲームS https://www.youtube.com/watch?v=HMwXTFGUGS4

 こちらはベルモントパークでの、牝馬限定の芝マイルGⅠですが、ニュースペーパーオブレコードが逃げてそのまま後続を寄せ付けない完勝で、2歳時のBCジュヴェナイルフィリーズターフ以来のGⅠ制覇を飾りました。

 馬場は稍重から重位の感じで、ただその分全体の意識が下がったのか、かなり離しての逃げになった割に、レースラップは48,13-47,49=1,35,62と、アメリカ式を計算に入れても平均ペースくらいに落ち付いていますね。
 勝ち馬は淡々と残り400mまでハロン12を刻んで、そこから一足使って突き放した、という形ですし、ある程度馬場適性も出たレースかもですが、渋った中での相対的な追走面と切れが秀でていた、という見立てになると思います。

 一方人気を分け合っていた、去年のBCマイル勝ち馬のウニは、休み明けもあったのでしょうが道中から行きっぷり・反応が悪く、直線の弾け方もイマイチでしたね。
 タイプ的に渋った馬場もスロー寄りのペースも合わなかった感じで、実際に去年勝ったレースは大抵序盤からガンガン流れるレースだったので、叩いて積極的なレースが組み立てられるようになれば戻ってくると思います。


★フルールドリスS https://www.youtube.com/watch?v=Ch1cUK3hryo
★スティーブンフォスターS https://www.youtube.com/watch?v=ASWaRTmq_f8

この2レースは、チャーチルダウンズでのGⅡ1800m戦なのですけど、メンバーとラップ的観点でちょっと面白かったのでまとめてサラッと取り上げます。

 まずフルールドリスSは、サウジ以来のミッドナイトビズーの復帰戦で、かなりのハイペースの中で4コーナー中間から一気に進出、あっという間に先頭に立つと、直線はほぼ流しての勝利でした。
 流石にこのメンバーでは格が違い過ぎるレースぶりですし、強かったんですけど、かなり流していたとはいえ、時計的にはラスト1F13,5を要して1,48,99という勝ち時計は、ハイペースの中ではやや物足りなさもある、という感じにはなります。
 ただやはり牝馬戦線を牽引していく一頭なのは間違いないですし、3歳時に後塵を拝し続けたモノモイガールも、今期は1年半ぶりの復帰戦を無事に勝利したので、是非どこかで再戦が見たいものですね。感覚的にはアーモンドアイとラッキーライラックの関係性に近いです。

 そして、上のレースの時計が物足りない、としたのは、すぐ次のスティーブンフォスターSで、勝ち馬のトムズデターが、1,47,30というコースレコードに0,02秒差まで肉薄する素晴らしい時計を出しているからなんですよね。
 ただ面白いのは、このレースは全体で平均からややスローくらいのペースになっていて、800m通過が48,13、1600m通過が1,35,30で、ラストの1Fが12,00でまとめているのですよ。
 フルールドリスSが46,15、1,35,40と、前半ぶっ飛ばしてバタッと止まってのアメリカらしい消耗戦であるのに比べると、これだけ外池差が出る、というのも珍しい話です。

 まあ勝ち馬がだから今後大活躍するだろう、とかそういう話ではなく、アメリカ競馬でも、シンプルに一番速い時計が出るのってフラットな平均ペースなんじゃない?って事ではあるのです。
 どうにもアメリカはテンからの削り合い、スピード尊重の意識が高すぎるのですけど、やっぱり昨日の宝塚記念を見ていても、どんな馬場であれ高い追走力を持っている馬、というのは一握りで、鍛えるのも簡単ではない要素、というのは感じるのですよね。
 だからこそいざそうなった時に着差が広がりやすい、とも言えますし、だけどより均質に高いレベルで力を発揮するなら、そういう削り合いで才能を潰してしまっている可能性も含めて、もう少しペース構築の意識が変わってきてもいいのに、と、このレースを見て感じたわけです。

 実際三冠レース全てでスーパーレコードを保持しているセクレタリアトでも、ケンタッキーダービーなどはラスト加速ラップだったという話ですし、ハイペースだけが速い時計を出す最良の手段ではない、というのは確かな話だと思うので、そういう視座でもこのレースの上位馬の今後は注目したいなと考えています。


posted by clover at 16:20| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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