2020年06月25日

2020 6月第3週海外GⅠ レース回顧

 今週はプレビューと帝王賞があったので延び延びになりましたが、まずはロイヤルアスコットの残りを中心に海外回顧、明日は新馬戦回顧をきっちりやって、既に枠番も出た宝塚記念に全力投球と行きたいところです。
 それにしても、かなり有力馬が外に回った感がありますし、雨の降り方次第で色々考えなくては……と、地味に難しい並びになりましたねぇ。


★コモンウェルスC https://www.youtube.com/watch?v=nT2EDFBf6Hc

 ここは休み明けながらそれなりの実績を保持していたゴールデンホードが、序盤2~3番手から早め抜け出しできっちりと押し切る完勝劇を演じました。

 4日目のアスコットも稍重表記でしたが、全体的には重に近い時計の要し方だったように思います。
 その中で全体の流れは、映像のラップを信頼するならある程度ハイペース、テンの入りはゆったりですけど、2F目からは直線コースらしいスピード一貫勝負で、終盤も徐々に消耗していく中、追走面を武器に押し切った、という感じですね。
 ただ時計的には1,14,56と、翌日のダイヤモンドジュビリーSと比較すると流石に結構見劣りますし、あくまでも3歳馬同士の争いのレベルでは、という但し書きはつく完勝だったとは思います。

 また2歳時は、モルニ賞、ミドルパークSとアースライトに競り負けていて、まだアースライトが今季復帰していないのですけれど、この馬がいない隙に、という色合いもあったのかなとは思います。
 それでも愛2000ギニーの3着馬や、チェヴァリーパークSを豪快な追い込みで制した牝馬のミリスルあたりを全く寄せ付けていないのですから、やはりスプリント路線では安定してきそうですし、今後の混合戦でどこまでやれるかですね。


★コロネーションS https://www.youtube.com/watch?v=mlpE7TRDGbs

 このレースはシーザムーン産駒で、かのアルファセントーリの半妹になるアルパインスターが、姉を彷彿とさせる突き抜けで圧勝、このレース姉妹制覇を飾りました。

 最終日の馬場も稍重と、ずっと渋った馬場での開催になりましたが、その中でのラップは大体50,4-51,8=1,42,2とかなりのハイペースで、レース後半はずっと13秒前後のラップを踏み続ける消耗戦になっています。
 この流れを好位のインでじっくり溜めていった勝ち馬は、直線も最内をスルスルと抜けてきて、最後の1Fまでラップを落とさず引き離してきたのは中々のインパクトでした。
 姉のアルファセントーリも、このレースで凄い勝ち方をしたものですけど、馬場が違うとはいえやはり底力を感じさせる内容で、血は争えないのかな、と感じる一幕でした。
 ここは長い休み明けでしたけど、休み前の重賞では1000ギニー圧勝のラブを下していたりと素質は見せていた馬ですし、今年の欧州3歳牝馬は中々に粒揃いだな、と感じます。

 2着に入ったのはアメリカからの遠征馬のシェアリングで、こちらはBCフィリーズターフの勝ち馬だけに、適鞍を求めての挑戦がそれなりに実を結んだと言うべきでしょうか。
 アメリカの軽い芝から、いきなり欧州のタフな芝で結果を出したのは凄いですし、もう少しレース慣れしてくれば、というのと、BCも後半型の競馬で良さが出ていたので、もう少し良馬場でゆったり入れる条件なら面白そうです。

 3着クアドリラテラルは、やっぱり一度負けを知るとフランケル産駒って微妙なのか、と思わせる、最後は根競べに耐え切れなかったような下がり方でしたね。
 まあ単純にこういう馬場やハイペース向きではないのかもですけど、2走続けて先行して、でもあるので、或いは後ろから前半はしっかり溜めて、という競馬の方がマッチするのかもしれません。巻き返しは期待したいですけど、どうでしょうね?


★セントジェームズパレスS https://www.youtube.com/watch?v=SZA5_NB0aDI

 ここはピナトゥボの復権なるか、または英2000ギニーで先着したウィチタが返り討ちにするか、という前評判でしたが、直線その2頭の叩き合いを更に外から捻じ伏せてきたのは、今季2戦目のキングマン産駒・パレスピアでしたね。デットーリJはコロネーションSに続いて連勝と、やはりロイヤルアスコットに滅法強いところを最終日で高らかにアピールしてきました。

 レース自体はコロネーションSと違いかなりのスローで、53,7-48,7=1,42,4くらいのバランスなので、全体時計がコロネーションSより遅かったのは気にしなくていいでしょう。
 この馬場でもラストの2Fが11,7-11,7なので、タフな馬場での瞬発力と持続力を問われていると思いますし、その中で勝ち馬はずっと外々から、なので、結果的に1枚上の競馬をしてきた印象です。
 なんだかんだこの馬も無敗での制覇ですし、マイルの距離に対する適性がとても高そうで、特にラストの持続性能、内の2頭を捻じ伏せた脚色は光っていたので、今後の活躍も非常に楽しみです。

 対照的にピナトゥボは、最後方でしっかり折り合い、直線も狭いところをスムーズに割って、これは勝ったかな?という競馬だったんですけど、今回もラスト100mで甘くなって、内のウィチタにも差し返されそうになっていたのはやはり物足りないパフォーマンスだったと思います。
 やはりこれを見てしまうと、前走同様にいい脚は一瞬タイプで、ペースが上がった方が強いんだろうな、よりスピードタイプなんだろうな、というのは見て取れますね。その意味でマイルは、流れてしまえばともかく、後半特化だと少し長い、というのはどうしても出てしまうのでしょう。
 この感じですと素直に距離短縮を視野に入れるべきかな、とも思いますし、未だにあのナショナルSの衝撃は頭にこびりついていますので、どこかでもう一度あの煌きを取り戻して欲しいものです。

 3着のウィチタも、スローのヨーイドンで要所の加速地点の反応が微妙でしたし、こちらももう少し総合力勝負に持ち込んだ方が良かったかもですね。
 ただ安定はしていますし、今後もこの世代の物差し、古馬とでもそれなりにはやれそうなイメージです。


★ダイヤモンドジュビリーS https://www.youtube.com/watch?v=F8djqOYgR1A

 このレースは、コディアック産駒のハローユームザイン(ユームザイン産駒ではないネタは去年もやりましたね)が、いいスタートから内の集団を率いていき、一旦交わされそうになりつつも踏ん張って接戦を制し、去年のスプリントCに続いてのGⅠ2勝目を飾りました。ちなみに鞍上のストットJは、これがGⅠ初勝利だったようです。

 ここも非常に紛れのない淡々とした一貫スピード勝負で、馬場を踏まえれば1,13,42は悪くない時計でしょう。
 この流れをほぼ主導する形で進めていき、最後はデットーリJのGⅠ3連勝なるか、のセプティカルと、一気に追い込んできた去年このレース2着のドリームオブドリームズを凌ぎ切っての勝利は見事なもので、鞍上に取ってもまさしく夢のまた夢を退けて現実に、という素晴らしいレースになった事でしょうね。
 一貫調子なので、相手関係やコースを選ぶ感じはある馬ですけど、古馬になって純正スプリンターとして本格化していると思いますし、こちらも今後が楽しみです。



 コロナの影響でアメリカの競馬もかなりスケジュールの再構築がされており、普段なら三冠レースの最後、過酷な2400m戦として開催されるベルモントSは、今年は三冠の最初の一戦として、1800mで行われました。
 ここで勝利したのは、フロリダダービー馬のティズザロウで、ニューヨーク生産馬としては138年ぶりのベルモントS制覇だそうです。
 この馬自身良馬場では未だ無敗を継続し、ケンタッキーダービーのみならず、変則三冠に向けていいスタートを切った形ですね。

 この時期のベルモントは芝ダート問わずかなり高速化しますが、今年もその例に漏れず、だと思います。
 このコースで1800mだと、ワンターンの左回りなのでより時計が出やすい、というのもあるでしょうが、ハイペースで流れたとはいえこの時期の3歳馬が1,46,53は立派な時計ですし、個人的にはここにカフェファラオがいたら面白かったのになぁ、とか考えてしまったりもしますね。
 ラップは23,11-23,05-23,78-24,52-12,07で、基本アメリカらしい減速戦ですが、勝ち馬は4コーナー外目からスパートして、ラストまでラップをそこまで落とさず突き抜けているのが素晴らしいですね。

 ただこのレースに関しては相手も弱く、アーカンソーダービーの勝ち馬は2頭とも脱落、サンタアニタダービー組も間隔の短さもありスキップしていたので、まあ順当勝ちなのは否めません。
 この馬場で、次に書くレースが凄かった事も含めると時計的価値がどこまで、とはなり、ましてタフ馬場のケンタッキー2000mでアドバンテージになるかはまだなんともですね。
 次走は2000mのトラヴァースSを目指すようなので、そこで改めて真価が問われる事になりそうです。



 ニューヨーク牝馬三冠の初戦に位置づけられる牝馬限定のマイル戦・エイコーンSは、去年も新星ガラナがえげつない勝ち方で話題になったのですが、今年はそれを更に塗り替える衝撃で、デビュー3戦目のイントゥミスチーフ産駒・ガミーンが大楽勝しました。

 バファート厩舎らしい青のシャドーロールで、スタートから頭一つ抜け出たガミーンは、淡々と速いラップを刻んでいき、4コーナーでも余裕綽々、最後は殆ど追わずに後続を突き放すだけで、18馬身強、という着差もさることながら、1,32,55という勝ち時計が3歳牝馬戦としては戦慄の一言です。
 なにしろアメリカダートのマイルレコードは、50年以上前にドクターファーガーが出した1,32,2で、それに肉薄する時計はこのベルモントのマイル戦、特にメトロポリタンSあたりでは時々見るものの、それでも歴史的名馬に忖度するように更新される事のない不滅のレコードではあって。

 それに3歳牝馬が肉薄した、というだけでも凄いのですが、実はこのレースのラップは、22,48-22,80-24,05-23,22=1,32,55と、確かにハイバランスではあるのですが、実は直線でかなり再加速を踏んでいるのですよね。
 つまりアメリカらしい一貫消耗戦より一段上の競馬をしているわけで、もしもコーナーで緩めなかったら、或いは最後までしっかり追われていたら……そう思わせる圧倒的なパフォーマンスでした。

 血統的にも、イントゥミスチーフは去年のチャンピオンサイアーで、ミスプロを一滴も持っていないのでミスプロ系牝馬との相性がいいのが売りなのですけど、この馬は実は母系にも一滴もミスプロがない、近代アメリカ競馬ではかなり異端の配合に思えます。
 勿論トレーニングセールで高価格でついている馬ですから、それなりに素質は見せていたのでしょうけど、血統の面白さと難しさを改めて感じる馬でもありますね。
 少なくともこういう再加速戦が出来る以上、距離延長もある程度はこなすはずで、今後ケンタッキーオークスあたりも含めて、牝馬路線を席巻する可能性は大いにある1頭かなと見ています。


posted by clover at 17:18| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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