2020年06月08日

2020 6月第1週海外GⅠ レース回顧

 今週は久しぶりに、注目すべき海外の大レースがてんこ盛りで、ある意味それがGⅠの谷間にずれ込んでくれて、スケジュール的には楽ちんで助かります。。。
 ただレース内容はやや期待したものとは違ったものになってしまった感もあり、やはりクラシックを無敗で制する事が至難である事を改めて痛感させられたりもしました。
 サラッとですがその辺りまとめて振り返っていきましょう。


★コロネーションC https://www.youtube.com/watch?v=4j7kND0Y5_w

 例年は英ダービーとセットでの開催となる古馬12F戦の伝統の一戦・コロネーションCですが、今年は英国競馬再開の狼煙、という意味を込めてのレースになりましたね。
 舞台もエプソムではなく、ニューマーケットを使用してでしたが、堅良と綺麗な馬場を味方に、ガイヤースがスイスイと逃げ切って今年の飛躍を予感させる強いレースを見せてきたと思います。

 頭数は7頭ですがそこそこ骨っぽい相手は揃っていて、けれど文字通りスタートから一切後続を寄せ付けない一人旅でしたし、時計もこのニューマーケットの12Fのレコードを更新との事です。
 これで10戦7勝なのですが、未だ良馬場では負け知らずであり、去年の凱旋門賞のようにタフな馬場になってしまうと駄目ですが、条件が整った時の爆発力、スピード持続性能は目を瞠るものがあります。
 この感じなら今年は古馬の中ではエネイブルに並び、凱旋門賞での主役候補になってくるかな、と感じますし、今後のローテーションも含めてとても楽しみですね。

 2着のアンソニーヴァンダイクも、軽い馬場なら必ず堅実に差し脚を使える馬なのですが、この日はガイヤースのスピードに手も足も出ない、という感じでしたね。
 どうしても去年も勝ち切れない競馬が続いていましたし、ワンパンチ足りないのは否めませんが、ここからもう一段パワーアップして最上位に食い込んでこられるか注目です。

 3着ストラディバリウスは久々の12F挑戦でしたが、好位のインからしぶとく粘り込んで、やはりこのスピード色が強い競馬でもやれるところは示しています。
 勿論この馬はこの後ロイヤルアスコットのゴールドCが最大目標になると思いますけれど、この感じなら多少タフな馬場の2400mならもっとやれそうですし、凱旋門賞挑戦も視野に入れて欲しい馬ではありますね。2016年のオーダーオブセントジョージみたいな走りが出来ても不思議ないと思うのですが。

 ブルームやデフォーはこの軽い馬場向きではなかったかもですが、それでもちょっと力の差を感じる負け方でしたね。


★英2000ギニー https://www.youtube.com/watch?v=OH6EWAJk3jU

 このレースを迎えるにあたって、断然の主役は史上最強の2歳馬、とまで称されたピナトゥボだったのは間違いありません。
 なんならコントレイル以上に素質としては評価されていた、くらいのイメージだったわけで、ギニーが延期になってもそれは揺らがずに圧倒的人気でのレースでしたが、しかしここで勝ったのは、日本でもお馴染みマーフィーJ騎乗のカメコでしたね。

 この日も馬場は堅良で、勝ち時計も1,34,72と、2000ギニーレコードを更新する素晴らしい内容でした。
 レースはピナトゥボがある程度先行、その前にウィチタがいて、カメコは丁度ピナトゥボの真後ろでマークするような形から、残り400mで馬場の真ん中に持ち出すレースでしたね。
 正直映像を見ても特にピナトゥボに不利はなく、残り400mあたりでは悠然と抜け出しそうな気配はあったのですけれど、追われてから思いのほか伸びあぐね、前を行くウィチタを捕まえ切れず、後ろからカメコに差されるという、かなり残念なレースになってしまいました。

 そこから後続は3馬身近く離していますし、結果的に時計だけを見ても上位勢は強かった、というのはあるかもしれません。
 加えてカメコはオールウェザーとは言えマイルの経験があり、最後の踏ん張り、という部分でその差は出たのかな、というイメージは持っています。
 それにしてもマーフィーJのエスコートは冷静で完璧でしたし、馬もこの高速決着にしっかり対応して、競馬の幅を広げてきましたね。次は英ダービーに向かうとの事で、二冠達成なるかに注目です。

 逆にピナトゥボは一気に評価を落とす格好になってしまいましたが、まだ一度敗れただけではあり、立て直して改めてマイル路線でどこまでやれるか、色々選択肢はありますがまた強い競馬を見せてくれると信じて見ていきたいですね。


★英1000ギニー https://www.youtube.com/watch?v=QXWKbvPxw64

 こちらも無敗のフランケル産駒・クアドリラテラルの無敗制覇が期待されましたが、勝ったのはフィリーズマイルで3着とクアドリラテラルの後塵を拝していたオブライエン厩舎のラブで、後続を4馬身以上突き放す圧勝劇でした。

 画像で見てもかなり雨が降っているのがわかりますが、馬場自体はまだ良で、それでも勝ち時計1,35,80なので前日よりは少しタフだったのかもしれません。
 ただフィリーズマイルの時に比べれば全然軽い馬場で、スピードタイプのラブがここで巻き返してきた、逆にクアドリラテラルは軽い馬場でやや切れ味と持続を欠いた内容に見えました。最後内から差し返されて3着、というのは、ピナトゥボ同様にややスケールで底を見せてしまった感じは否めません。
 序盤は2頭とも先団で雁行状態でしたし、どちらもスムーズな競馬は出来ていますので、この条件においては勝ち馬のスピードが圧倒的だったと見做すべきですね。

 ただ逆にオークスに向けては、ラブは明らかに延長がプラスにはなりませんし、むしろロイヤルアスコットに回りそうな気はします。
 クアドリラテラルは2400mでもやれそうな雰囲気はありますので、路線を違えての活躍には期待したいですね。


★サンタアニタダービー https://www.youtube.com/watch?v=o7QrjU2YJYE

 転じてアメリカのケンタッキーダービーに向けての一戦・サンタアニタダービーも、かなり開催時期が遅れての実施になりましたね。
 今年はアメリカの三冠が、まずベルモントSを1800mに短縮して最初にやり、9月にケンタッキーダービー、10月にプリークネスSというスケジュールで、ある意味アメリカ三冠としてはもっとも過酷度の低いまともなローテーションになっているとも言えます。。。
 アーカンソーダービーでも、三冠に向けての有力馬が出てきていましたが、ナダルは既に故障で戦線離脱、ほぼ引退、という話ですし、個々でも申請誕生は期待される中で、勝ったのはオナーコード産駒のオナーエーピーでした。

 人気は勝ち馬を前走のサンフェリペSで破って未だ無敗のオーセンティックでしたが、先行するオーセンティックをまうしろでじっくりマーク、コーナー出口で一気にスパートして捲り切り、出し抜けを食らわせる形での押し切りは、馬の能力もさることながら、スミスJの老獪さが存分に発揮されていたと感じます。
 ラップは23,07-23,81-24,09-25,13-12,87=1,48,97ですから、まずアメリカらしい綺麗な一貫消耗戦で、勝ち馬はその流れの中でストレスのない、それでいて追走にも無理がないベストの位置を取れていたかなと思いますね。
 近年のサンタアニタにしては時計も優秀ですし、食い下がったオーセンティックも含めて、この2頭は素直にクラシック戦線の主役候補と見ていいのではないでしょうか。

 ただアレですね、オナーコードの子供でオナーエーピー、って命名の短絡さは流石に気になります。。。
 オナーコードがエーピーインディ産駒なわけで、要はロードカナロア産駒にキングカナロアとか、ロードカメハメハとかつけてる感じですから、こんな安直なネーミングの馬が三冠とか取ってしまったらどうするんだ、と余計な意識が働いてしまうわけですね。
 まあ馬はかなり強そうなので、次に素直にベルモントSに向かうのかはともかく、先々楽しみです。


★ハリウッドゴールドカップ https://www.youtube.com/watch?v=Nz7a_A8sZA0

 こちらも伝統の古馬10FのGⅠですが、勝利したのはインプロバブルでした。
 去年のケンタッキーダービーで一番人気に支持されるなど、素質は高く評価されていたのですが、その割に実績が伴わず、去年後半も大きなレースでは善戦止まりと歯痒い競馬が続いていて、今年はようやくそれを払しょくする走りが見せられるようになってきたのかな、と感じます。

 もっともここは2着がハイヤーパワー程度で、かなりメンバーが弱かったのは事実ですけど、それでも番手から早め抜け出しで一気に突き抜けたレースぶりは、BCクラシックに向けて楽しみな走りだな、とは思えました。
 時計的にもやはりほぼ一貫ハイペースで2,01,69ならまずまずのラインだと思いますし、これをきっかけに更なる飛躍を期待出来る馬だと感じています。


posted by clover at 17:04| Comment(2) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。

ガイヤースはエプソム開催じゃなかった事が勝利に大いに貢献したとはいえ、勝ちっぷりは見事でしたね。最後も悠々といった感じで、ほとんど差を詰めさせませんでしたし。
それにしても、逃げ一手の欧州馬というのも珍しいですよねー。奇襲的なレースなら、愛チャンピオンSのケープブランコなどあったりしますが。

逆に、ストラディバリウスはエプソム開催の方が良かったでしょうね。正直、このレースでは同馬の内容を一番注目して見ていました(笑)種馬としての需要はなくとも、ステイヤーって好きなんですよね。

ピナトゥボの初戦は残念ではありましたが、トゥーダーンホットのように持ち直す可能性もありますし……。(あの年の3歳マイル路線のレベルには目を逸らしつつ)
1400,1200路線も豊富ですからね。ただシャマーダル産駒はエイブルフレンドは別格として、パキスタンスターが代表するように一瞬の煌めきのような産駒が多いのは確かなんですよねー。

1000ギニーのラブは完全にスピード型ですよね。
ただ血統的にはクアドリラテラルの方がスピード系の血が多く入っていて、距離延長、どうかな?という思いもあります。
トライアル組で目ぼしい馬がいれば、そっち優勢かなーと。

仰る通り、アーモンドアイを見ても、勝ち続ける事は本当に難しいです。その上で、日本の二冠馬二頭は今後どうなるか、楽しみでなりませんね。
デアリングタクトの今後はデータ不足で予測困難ですが、ディープマイスターとしてはコントレイルの将来が興味を引いてやみません。
コントレイルは二冠馬となった以上に、今までのクラシックを勝ったディープ産駒とは一点、決定的に違う所があります。それは、ダービーが終わってなお、ほとんど苦しいレースを経験していない点です。
自分はディープ産駒が走らなくなる理由が血統以上に精神面にあると見ているので、コントレイルがその答えをくれるかもしれません!

欧州競馬も本格的に始動ですね。
昨日はマーティンボロ産駒が初勝利を上げ、サクソンウォリアーの半妹がデビュー戦を勝利で飾ったそうですし。
Posted by ハル at 2020年06月09日 00:50
>ハル様

 いつもコメントありがとうございますー。

 ガイヤースみたいな個性ある馬はいいですよね。近年だとハイランドリールにイメージが近いでしょうか。
 自分で速い流れを作ってそのまま押し切れるタイプの逃げ馬は清々しくて好きですし、今年は良馬場でエネイブルと戦わせてあげたいですね。
 ストラディバリウスも長距離で強すぎるだけで、普通に12Fでも強いですよね。こちらもタイトな流れがマッチした面はあるかもですが、今年もゴールドCはともかく、秋の路線は少し挑戦があってもいいのでは、と思えました。

 ピナトゥボはここからスプリンターに落ち着くのか、それともマイルでも勝てる馬になるのか、2歳の煌きだけで終わってしまうのか、予測が難しくなりましたね。
 確かにシャマーダルは、自身もさっさと引退してしまった馬ですし、そういう傾向はありそうなのがちょっと嫌ですけど、あれだけ強いレースをした馬なのですからなんとか復活して欲しいです。

 確かに血統だけだとクアドリラテラルも?にはなりますが、意外とフランケルって長距離に適応する馬を出してくるからそのあたりに期待でしょうか。
 今年はトライアル路線も整頓されてない状況になりそうですし、ただでさえ適性がガラッと変わる舞台ですから余計に読みにくいですよね。

 というか今更ながら、ニューマーケットのストレートマイルから、あの強烈なアップダウンのエプソムの12Fって、距離は違えど問われる適性は似ている日本の牝馬二冠とは違い、えげつない差異ですよねぇ。
 元々欧州の方が適性の細分化は進んでいる中でも、それでもそれを乗り越えて勝ってこそ二冠、三冠の価値はある、という、ジェネラリストなスーパーホースを求める浪漫がきちんと残っているのがいいなぁ、と思います。
 つくづくキャメロットが三冠取れなかったのは口惜しい限りですよねぇ。未だにあのセントレジャーと、あとゼニヤッタの最後のBCクラシックだけは、もう一回やり直させてあげたいと思ってしまいます。。。

 今年の日本競馬は揃って無敗の三冠を期待できる素晴らしい状況ですし楽しみですよね。
 コントレイルは確かに、今のところほぼ競り合いを経験せずに、というのは凄いですよね。ディープもそうでしたけど、絶対能力が違い過ぎて、競馬というより自分との闘い、という状況なら、精神的に長持ちする、というのはあるのかもしれません。
 秋はまともな王道路線のようですけど、同世代の内はそう苦労する事もないでしょうし、やはり鬼門はルドルフもディープも跳ね返された、古馬初対戦のJCか有馬、という事になりそうですね。

 もう欧州で、日本に馴染みのある血統が走るのも普通にはなってきましたね。
 でもやっぱりサンデー系は、海外に流れていくのがちょっと遅すぎたきらいはありますよねぇ。
 微妙な戦績のディープ牡馬は、ある程度どんどん海外に輸出していくべきじゃないか、とは率直に感じますし、もっとやれるポテンシャルはあると思うのですけどね。
Posted by clover at 2020年06月09日 03:53
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