2020年05月11日

2020 ヴィクトリアマイル プレビュー

★はじめに

 春の府中のGⅠ5連戦の2戦目となるヴィクトリアマイルは、捲土重来を期す女帝・アーモンドアイの参戦もあり、実に重厚で面白いメンバー構成になりましたね。
 とは言え元々牝馬限定戦で、展開も結果もトリッキーで読みにくい伝統はあり、果たして今年も荒れるのか、それとも強い馬がしっかりと貫禄を示してくれるのか、そのヒントを少しずつでも探っていきましょう。


★レース傾向分析

 去年迄のプレビューになります。


 去年のこのレースは、アエロリットの果敢な逃げで44,8-45,7=1,30,5という異次元のレコード決着になりました。
 その前の2年が、渋った馬場とはいえかなりスローバランスだったのと比較すると、それなりに振れ幅が出やすいレースとも言えますし、アエロリットというある程度先行力を当てにできる馬が不在となった今年、果たしてどのようなラップが刻まれるかは注目点です。

 元々NHKマイルCに比べると、Bコース替わりで先行馬が強気にレースメイクしやすい=中盤ペースもそこまで緩まない傾向はありますが、それでも牝馬戦なので安田記念よりは緩む可能性もある、という位置づけではありました。
 ただ近年はむしろマイル路線でも牝馬優勢の時代ですし、また騎手の意識の面でも、府中の超高速馬場で時計を出すビジョンがある程度確立されて、淀みの少ないペースになりやすくなってきているはずです。
 今年もコントラチェックやトロワゼトワルなど、時計勝負に持ち込むべきスピード型の馬が出てくるので、去年同様にかなりの確率で、高速持久力戦、後半高速ラップを踏み続けるレースになるのでは、と考えています。

 もっとも、現時点の予報ではまた土日が雨になっていますので、状況によっては2~3年前のようなレースになるパターンもあるでしょう。
 ただ土台の馬場が軽いのは間違いないですし、基本的にはこの舞台に高い適性を保持しているかどうかを、プレビューの段階ではしっかり吟味しておくべきかな、と思っています。


★有力馬所感

・アーモンドアイ

 有馬記念ではまさかまさかの惨敗を喫してしまい、雪辱を期したドバイも中止と、どうにも去年の秋天からはリズムの悪さが目立つアーモンドアイですが、その絶対能力の高さは誰しもが認めるところで、ここはスッキリと勝利によって、不穏な空気を払拭したいところです。

 少なくとも今更にこの馬の高速持久力適性を云々するのは野暮な話で、その面だけで言うなら現役最強はおろか、歴史上でもトップクラスの能力を保持しているのは疑いの余地がありません。
 去年の安田記念にしても、スタート直後に致命的な不利を受け、全く淀みのないラップを後方外々から追走したのに、最後までしぶとく伸びて肉薄してきたわけで、スムーズに走れればここで最上位なのは当然でしょう。
 あえて言えば、マイルが少し短いのは確かで、そこまで抜群にスタートダッシュがいい馬ではないので、レースの流れの中で、去年のような不利がなくともポジショニングで苦労する可能性はありますが、そこはルメールJのエスコートだけに信頼を置けると思います。

 後はシンプルに、前走の惨敗のダメージを馬が引きずっていないかどうか、ドバイの空輸送の疲れが残っていないかで、そのあたりは調教などから判断するしかありません。
 現時点では、馬にしっかり活気があって、問題なさそうに見えますが、牝馬だけに疑いを持って見る必要はあるでしょう。
 枠もあまり内外極端でない方がいいのは確かですし、相手もかなり骨っぽいので、勝ち切って欲しい舞台ですけれど、そうならないパターンもある程度は考えておくべき条件ではありますね。


・サウンドキアラ

 今年は重賞3連勝と正に破竹の勢い、鞍上の松山Jも絶好調のコンビで、去年は屈した舞台での雪辱を誓います。

 この馬は去年の時点で、0,7秒差で走れていて、血統的にもディープ×ミスプロ&ダンジグ持ちですから、適性は疑う必要がないでしょう。
 時計勝負の対応力もありますし、去年は外枠でポジショニングが悪くなった分のロスもあったので、近走のように内目の枠からスッと好位列を取れるようなら、今年は勝ち負けに加わって不思議ないレベルに至っていると感じています。

 この馬の場合、この舞台で、と考えると、ややスロー寄りになって、より後半特化の度合いが強くなると、決め手の絶対量はそこまででもないので、そこは弱みになるかもしれません。
 どちらかと言えば速い流れを、自身平均で走破する、あたりのイメージを持って入って欲しいですし、安定感はこのメンバーでもピカイチなので、アーモンドアイとは違うベクトルでの物差しとして、この馬を差せるかどうか?は意識してみておきたいかな、と感じています。


・ラヴズオンリーユー

 この馬に関しては、人気するなら消したいのは山々ですけど、怖さも相応にあるのは間違いないですね。
 まず府中の高速馬場適性は、オークスを見ても文句なく、血統的にも裏付けられて、去年の牝馬三冠で一番レベルが高かったのは間違いなくオークスなので、その点でも絶対能力は相当の域にある、と考えていいはずです。

 ただこの馬も順調さは欠いていて、かつドバイではターフでなくシーマクラシックを使う予定だったように、陣営もマイラーとは考えていないでしょうから、次なる舞台に向けてのステップ、という位置づけの面があるのも間違いありません。
 それでも、この距離でもそれなりにスタートはいい馬なのでポジションを取れてしまうチャンスはありますし、例えば35-22,5-33,5みたいな後半5Fの特化戦になった時に、このタイプは上手くこなしてくる可能性は出てきます。
 あと地味ですけど白梅賞が結構強くて、新馬の超スローから一転、ハイペースでも問題なく追走して、しっかり末脚を引き出せているように、潜在的な追走力はそこそこのものがあるので、それが高速馬場で絶対的なものを問われてもクリアできる可能性はそれなりにある、とは判定しています。

 それでもいきなり、このトップマイラーが集う舞台でスピード勝負は厳しい気はしますし、ミルコJも昨日勝った事で、やっぱり大きなレースは抑えねば、層がそれなりに出てきそうですから、内枠ならまだしも、外枠ならあまり評価はしたくないのが本音です。


・プリモシーン

 この馬も去年の実績がありますし、馬場が軽いほど単純にパフォーマンスが上がる馬なので、上位勢の中でも一番雨が降って欲しくない馬にはなるでしょうね。
 今年はレーンJですので、タイトな立ち回りには信頼を置けますし、それこそ去年のノームコアのような無駄と無理のないレースプランを組めるようなら、当然ここも走破圏にある、と見做すべきです。

 ただゲートがそこまで安定している馬ではなく、レーンJは存外ゲートは得意ではない感触もあるので、そこは頭の片隅においておきたいですね。
 あとこの馬の場合は、中盤が緩んで再加速とか、器用さが強く問われるとそれもマイナスになるので、一先ず想定しやすいいくつかの展開で、どうあれある程度はこなせる感触を持てるアーモンドアイやサウンドキアラより上に評価するには、余程馬場と枠の並びに恵まれないとかな、と思っています。


・ノームコア

 去年の覇者ではありますが、本当に完璧なレースでしたし、強さで考えるとプリモシーンのほうが上の競馬はしているのですよね。
 この馬の場合はそれよりも適性の幅の方が魅力で、富士Sも強かったように多少タフな馬場でもこなせること、加速性能が高くてトリッキーな流れの対応力があるのが武器で、そのあたりを感性で支えられる横山Jとのコンビも面白いとは思います。
 まあ宮記念完敗からのローテーションはあまり感心しませんが、ストレイトガールも似たようなローテーションで毎年好走していますし、後半の高速持久力適性があればそこはリンクしてくるので、極端に延長を嫌う必要はないと考えます。

 前走1200mを使った事で、ポジショニングの意識が強く出てくれれば儲けものですし、今年もかなり流れそうではあるので、チャンスがある一頭なのは間違いないですね。今年も出来れば内枠が欲しいところです。


・スカーレットカラー

 この馬も去年の府中牝馬Sで見せた爆発力はすさまじく、あれを再現できるようならここでも、とは思えます。
 この馬のベストの武器は、後半高速持久力適性も保持しているのと同時に、プラスして瞬間的な切れも相当に高いレベルで引き出せる点で、5Fで長く脚を使いつつも10秒台の切れ味を坂地点で見せられるからこそ、あのポジショニングでも勝負に加わってこられるのはありますね。

 ただ今回は、この馬の良さを上手く引き出せていた岩田Jから石橋Jに乗り替わりで、あそこまで思い切った溜めとコース取りが出来るかどうか、半端にポジションを取るとかえってダメになる典型タイプでもあるのが難しいところです。
 基本的には内枠で、4コーナーまでは内で我慢、それでいて全体が流れて中盤もタイト、レースラップ自体が坂加速出来ないくらいのバランスになるとかなり面白い、とは思いますが、流石に31秒台決着になると絶対的な総合速度で足りない懸念も出てきます。
 乾坤一擲の武器はあるだけに評価が難しい馬ですけれど、どうしてもポジショニングからすると強くは推せないのかな、というイメージです。


・ダノンファンタジー

 正直前走は、中内田厩舎らしからぬ前哨戦仕上げだったのかな、とは思うのですが、それでもあの甘さはちょっとガッカリではありました。
 この馬の武器は総合力になりますし、高速馬場もローズSがかなり強かったのでそこそここなせる、とは思うのですけど、ただ今回は、この舞台の適性面で相当にレベルの高いメンバーが集ってしまっており、その中でどこまでやれるか、となると、上積みを見込んでもちょっと難しい、当落線上かな、と考えます。

 実際のところ、超高速馬場の後半特化では基本グランアレグリアには完敗続きで、あの馬がここにいれば当然上位評価だった、それでも抜けているとまでは判断できないでしょうから、それより落ちる馬で強く狙うのは厳しいでしょう。
 去年のミッキーチャームくらいはやれそうですけど、勝ち負けに持ち込むとすれば、余程ギャンブル的に前半から突っこんでいくとか、非凡な発想は欲しいところで、でも川田Jにそれを期待するのは違うかな、とも思うので、内枠なら紐には考えますけど、強く狙う予定はありません。


・ビーチサンバ

 この馬の場合はゲートが兎にも角にも鍵になります。
 血統的にも戦績的にも、高速持久力適性は結構高いと思っているのですけど、あくまで結構、のレベルなので、それを前々で引き出せるかどうか、なのですよね。
 ペースが上がってもやれる馬ではあるので、内枠でポンっと出て、サウンドキアラより前を取れれば、或いはサウンドキアラなら逆転の余地はあるかな、と思えるのですけど、基本出負けしてしまうので、そこをギャンブル的に狙えるかどうか、ではないでしょうか。

 多分この条件ならダノンファンタジーよりは走れると思うので、福永Jが前目を取ってくれると期待出来そうなら単穴まで考えても、なのですけど、現実的には紐までですかね。


・コントラチェック

 この馬もスムーズに逃げられて、自分のペースで進められれば、とは思うのですけど、ただタイプとしてこちらは加速型の逃げ馬なのですよね。
 今までの鮮やかな勝利は大抵、ある程度しっかりペースを引き上げて、勝負所で一気に加速して、という、波のあるラップの中での強さなので、逆にこういう淡々とした高速持久力適性があるのか?は地味に未知数です。
 ただ血統的に見て、母系がかなり重いですし、そういう適性があるなら今までもここまで崩れなくて良かったレースはあるのかな、というイメージで、トロワゼトワルの出方次第で楽逃げが出来たとしても、後半の絶対的な質でここではちょっと足りないのではないかと判断しています。


・シゲルピンクダイヤ

 こちらも時計勝負で云々、とは思えないのですよね。
 桜花賞はまずまずでしたけど、グランアレグリアに完敗なのは他の馬と同じくで、ポジショニングで勝負できないのと、後半要素としても持続特化型、スローバランスで良さが出る馬なので、前半から質的に問われるこの舞台が合う気はあまりしません。
 実際後ろからになると、46,5-44,5くらいは普通に求められるわけで、この前半46,5は絶対的に結構高い壁なので、それをこなせるタイプのマイラーではないのではないか、と判断しています。


・シャドウディーヴァ

 この馬もやはりハーツクライ産駒ですし、マイルで32秒の壁は結構重そうだな、と感じています。
 ピンクダイヤ同様にこちらもそこまでポジショニングが武器にはならず、後半も瞬間的な切れは高いレベルではちょっと足りないので、東京新聞杯くらいの馬場になってくれればまだしも、ですね。少なくともあの馬場でプリモシーンに負けている限り、超高速馬場では手も足も出ないと思います。


・セラピア

 ここ2走は強かったですし、多彩なパターンで勝ち切ってきているのは中々の魅力ですが、流石にトップマイラー集うここで通用するほどの能力と適性は見せられておりません。
 府中の坂加速適性もさほど期待出来ませんし、田辺Jだとポジショニングも甘くなりそうなので、積極的に狙う要素は薄いと思います。


・ディメンシオン

 前走は久々の積極策で頑張りましたし、時計勝負での素地もそこそこあるので、ここもすんなり2列目くらいに入っていけるようなら、とは思います。
 ただ絶対能力的にはかなり足りないですし、相当ベストのバランスで流れに乗っていけることが絶対条件ではあるかな、というイメージで、松田Jもこの舞台でどこまでそのバランスを意識出来るかは疑問符なのですよね。
 あと地味に右回りの方がいい馬だとは思うので、やはり穴目でも強く狙えるか、となるとでしょうか。


・トロワゼトワル

 京王杯はうたかたの夢だったか、とばかりにその後は鳴かず飛ばずですけれど、腹を括って半端に緩めず前半から突っ込んでいく形と、超高速馬場でガラッと噛み合うチャンスは持っているのは確かです。
 三浦Jがそこまで思い切った逃げを打てるか、ですけれど、コントラチェックは武Jなので、こちらが内枠で積極的に主張すれば無理に競りかけてはこないはずで、その点並び次第では紐に一考、してもいい馬だとは感じています。
 中京でいい競馬が出来ていますし、左回りでスムーズな形が作れれば、加えて先週のように風の恩恵などあれば、少し面白いとは感じています。


posted by clover at 17:03| Comment(2) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
馬場が相変わらず軽いので今日みたいな(暑すぎ!な)天気が続けばスピードだけで押し切れそうですが、週末の雨とBコース変わりの影響具合が気になるところですね。
記事にも書いてあるとおりトロワゼトワルが内へ入って主導権握れそうな枠並びなら、自分も印厚めに考えてます。
馬自身は京成杯AHのレコード勝ちで時計の裏付けあるのでOK。
三浦騎手も関東リーディングが視界に見えてきましたし、府中のワンターンなら何度も波乱演出しているので期待したいです。
Posted by が茶 at 2020年05月11日 21:16
>が茶様

 いつもコメントありがとうございますー。

 突然夏本番って感じでビックリですねぇ、体を壊さないように気を付けないとなりません。
 芝にとってはすくすく育ちやすくて、健康的な時期なのかもですけどね。
 基本的にはその辺りも含めて、Bコース替わりの頃にエアレーション効果が薄らいで内有利馬場になりやすいですけど、今年はどうなるか注目ですね。

 なので穴目、を考えると逃げ・先行馬は視野に強く留めておくべきですし、トロワゼトワルの場合はやはりやや速い流れに持ち込む胆力は欲しいところです。
 コントラチェックは逆に、少し緩めて有力馬が脚を出し切れない逃げの形がベストに思うので、揃って噛み合うイメージは薄く、どちらが楽に先手を主張できるかの並びは大切になりそうですね。

 三浦Jもなんだかんだで2カ月休んでこの数字は立派ですよね。他の関東騎手がドンマイ過ぎると言えばそうなのですけれど。。。
 ただやっぱり大きなレースではあまり結果を残せていないジョッキーですし、それでも青葉賞あたりは少し意識の高まりが感じられる内容だったので、そろそろ平場王、なんて揶揄は吹き飛ばすGⅠ制覇を成し遂げて欲しいものです。
Posted by clover at 2020年05月12日 16:30
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