2020年05月09日

2020 京都新聞杯 レース回顧

 今日の京都新聞杯は、キズナ産駒のディープボンドが中団からしぶとく脚を伸ばし、マンオブスピリットの猛追を退けて見事に初重賞制覇、叩き上げの底力をまざまざと見せつけましたね。レースを振り返っていきましょう。


 今日の京都の芝は普通に超高速馬場だったのかな、と思います。
 3歳の1勝クラスのマイル戦が、46,0-46,2=1,32,2の内回りレコード、鴨川特別が60,4-58,3=1,58,7と後半特化に近い形でかなりの好時計でしたし、錦Sはあまりにも2F戦過ぎて当てにならないですけど、外回りでもかなり時計は出やすかったろうと見ています。
 その中での2,11,7は、勝ち時計としては順当なラインかな、とは思うのですけど、ただスロー想定で、だったので、ここまでハイペースで流れて、となるとちょっとレベルとしては物足りないですかね。

 逃げたのは、内から注文を付けてのシルヴェリオでしたが、これがちょっと気合をつけていったら暴走気味になって、かなり縦長のハイペースを演出していきます。
 2番手が逃げを打つと見ていたホウオウエクレールで、その後ろにキングオブドラゴン、アドマイヤビルゴもいいスタートから特に無理せずスッと離れた4番手の内目をキープして、それをマークするようにディープボンドとプレシオーソ、ファルコニアと続き、マンオブスピリットは更に一列後ろの外目からやや追走に苦慮している感じでしたね。

 ラップは34,5(11,50)-23,8(11,90)-37,2(12,40)-36,2(12,07)=2,11,7(11,97)という推移でした。
 前半1000mが58,3で、後半1000mが60,9ですので、バランスとしては相当なハイペースですけど、流石にアドマイヤビルゴの位置ですと目視で59秒後半から60秒ジャストくらい、ほぼ平均ペースでの通過になっているかなと思います。
 坂の上り下りでやや緩んだところで後続が差を詰めてきていますので、後ろのグループは比較的仕掛けの早い、下り坂地点最速くらいのラップになっているのかな、と思いますし、後半のレースラップも12,5-11,7-12,0ですから、瞬発力はあまり問われず、前半の追走力と、後半の持久力を総合的に問われる、ややスタミナ型の競馬にはなっているのかな、と感じますね。

 勝ったディープボンドは、今回もまずまずのスタートからいい位置をスッと取れましたし、前にアドマイヤビルゴという絶好の目標を置きつつ、コーナーで常に一枚内目で立ち回って、ロスを減らしつつも進路確保には不安がない、といういい立ち回りが出来ていました。
 直線アドマイヤビルゴの外の持ち出してから、スッと瞬時には動けずに、先に外から押し上げてきたマンオブスピリットの脚色の方がいいか?と思わせましたが、ラスト1Fで手応え以上に踏ん張るのがこの馬の武器であり、しっかりと差し返す強い競馬でしたね。

 馬としては総合力をフルに生かした強い競馬だったと思いますし、こういうレース全体の仕掛けが早い形で、それを自分で主導するのではなく、上手く前に作ってもらって、というワンテンポ置ける形になったのも良かったとは思います。
 ただ正直時計的には、このペースならもう少し出てもいい馬場でしたし、ラスト12,0でまとめたとはいえ、やはりあくまでGⅡレベルかそれ以下か、という感覚ですので、この馬が一気に成長した、というわけではなく、力通りに走ったら勝てた、という内容に感じます。
 スパッと切れる脚が足りないのは見ての通りなので、府中ですと流石に切れ負けするかなぁ、とは感じますが、タイトに立ち回れる強みはあるので、ダービーでも内枠を引けて先行出来れば圏内ワンチャンスくらいはあるかもしれません。

 2着のマンオブスピリットも、淡々と流れて追走が問われ、追い掛けるのにやや苦労していたものの、潜在的にはそこそこ追走面はある馬ですし、いかにもルーラーシップ産駒らしい長くいい脚を使ってきましたね。
 展開が噛み合ったのは確かですし、この馬もまだ上がりの速い展開には課題を残すので、ダービーの舞台では馬場が渋るなどの恩恵がないと狙いにくいですけれど、菊花賞でちょっと面白そうな一頭ては感じます。
 北村友Jも枠なりにきちんと出し切る形は選択してくれたと思いますし、全体的には外差しの方が優位の馬場だったとも感じるので、一度上がりの速い競馬でどこまでやれるかは見てみたいところです。

 3着ファルコニアは、前半の入り方は良かったですし、一応アドマイヤビルゴがやや外目に出したところで内に潜り、出し抜いてやろう、という意図は感じる騎乗ではありました。
 が、正直今の馬場バイアスで内?というのもありますし、このペースなら前が止まるのは見えていたはずなのに、案の定4コーナーで詰め過ぎて一瞬前が壁、ブレーキを踏む形になっていますので、そこは勿体なかったなと思います。
 馬自身はあすなろ賞同様に、追走が強めに問われてあまり速いラップを踏まない展開の方がまだ踏ん張れる、というのはあったでしょうけど、それでも上位2頭と比較すればこの馬のラストは12,3くらいですから、やっぱりそこで甘くなるのはどうにもならない感じですね。
 川田Jの乗り方も悪くはなかったですけど、やや強引でバランスを欠いた面もありましたし、とはいえスムーズでも普通に3着だったようには感じますね。現状まだ総合力で見劣るのは否めないと思います。

 4着アドマイヤビルゴは、不安視していたハイペース適性がなかったようですねぇ。
 正直な話、流石にシルヴェリオで西村Jがあそこまで強引な暴走ペースを作っていくとは予想外で、こんな事したらそれだけでもノーザンのいい馬なんて中々回ってこなくなるんじゃない?なんて思ってしまうのですけど、挙句結果的に同じノーザン期待のこの馬の可能性まで潰してしまうとは、踏んだり蹴ったりと言うしかないですね。

 ともあれ、この馬は元々スタートセンスはありますし、立ち回りも上手なので、ポジショニングとしてあの位置を取るのが間違い、とは全く言えない上、きちんとペースは見極めて、出来る限りロスなく、自身平均くらいのバランスでは立ち回れていますから、その点は上手く乗っている、と言えます。
 敢えて言えばハイペースなのに下りからじわっと動いて、外目から勝ちに行ったのはありますけれど、でも前走で見せた持続性能からすれば、変に溜めて外から被せられる方がダメだったと思うので、個人的に乗り方として特に不満はないんですよね。

 実際にこの位のペースでこの馬場なら、強い馬なら直線でもう一段加速する余地を残せていたと思いますし、この馬もそこそこ反応は出来ていたものの地味、ラストは外から交わされてしまうとパタッと止まって、ラストが甘いファルコニアにすら差し返されているのですから、ちょっと残念過ぎる走りだったと言うしかないでしょう。
 結果的に、現状はスローのヨーイドン、後半特化のロンスパで速いラップを踏むパターンでしか強さを発揮出来ない、という感覚にはなりますし、このペースを克服して勝てたなら本番も楽しみはあったのですけど、流石にこれでは2強相手にどうこう言うのはちょっと無茶、という事にはなってしまいそうですね。

 券種的には、いくらメンバー構成が弱くて適性面で磐石に見えても、単勝1倍台前半の馬に全幅の信頼を寄せない方がいい、という当たり前の反省が浮き彫りになる、華麗過ぎる縦目決着でした。。。
 というか、せめて200円くらい縦目の馬連押さえておこうよ私、としか言えませんし、それでもまさかあの形から3着すら外すとは…………と、ちょっと開いた口がふさがらなかったですね。

 結局キャリアの浅い馬で、適性の幅を確実に見せていない場合のリスクはあると最初に自分でも触れておきながら、そうならないと決め打つ矛盾、論理の破綻ではあり、これは正直一番反省すべきパターンです。
 少なくともマイナスにしないくらいのリスクヘッジは簡単にできるレースでしたし、きちんと2~4番人気の馬自体の適性と序列は見えていたのですから、我ながらやっちまった感しかないですね。これが不調期のドツボ、という奴ですね…………。


posted by clover at 16:42| Comment(4) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アドマイヤビルゴ残念でしたね(><)

ただ、そもそもデビューも今年、身体も細い等身体が出来てない印象もありますし、これからに期待したいですね。グローリーヴェイズみたいなタイプになるかもしれません。

勝ち馬はキズナ産駒ですか…

キズナ産駒ってホントにタフと言うか、間隔つめても走ると言う意味でもそうですが、タフなレースの質で滅法強いイメージです。

アブレイズ
クリスタルブラック
そして今日のディープボンド…

如何にもアメリカンな馬ばかりで、逆によく真逆のレース質の日本でここまで重賞かてるなぁ…と。。。

キズナ産駒は一度アメリカ三冠に行かせてみたいな気がしますねぇ…
Posted by Claire at 2020年05月09日 19:44
>Claire様

 いつもコメントありがとうございますー。

 仰るようにまだまだ完成途上、という面は強かったですけれど、それでもこの相手、このくらいの流れであそこまで甘くなるのは残念でしたね。
 血統的にはともかく、馬のタイプ的にはステイヤー寄りというか、ゆったり入って良さが出るタイプかもなので、そこは長い目で期待したいですね。グローリーヴェイズほどの成長力を恃むのは流石に難しいかもですけど。

 確かに今のところ、キズナ産駒は上がりの掛かる競馬で強いイメージですよね。
 ただ以前よりも府中以外はあまり極端に高速化しない傾向が出てきているのと、それでも馬場が軽くて走りやすいイメージは浸透して、中盤から流れるレースが増えているのも、キズナ産駒には追い風なのだろうと思います。

 本当に芝ダート問わず走って、レース経験を糧にしぶとく成長してくるのは凄いです。
 こういうタイプは、アメリカで走るにしても、早い段階からある程度長期スパンで遠征させて、現地の競馬に慣れさせると面白そうですね。
Posted by clover at 2020年05月10日 03:54
年号が変わって一発目のダービー出走権争いレース予想による執筆活躍、無事に全消化してお疲れ様でした。
個人的にも、今回も保険を掛けたボックス買いで挑めば良かったと学習能力の無い無様な縦目馬券となりコテンパンだった若駒のG2レースでした。(笑)

それと、デビュー3年目の見習いジョッキー鞍上によるテン乗り先行馬は。
その見習いジョッキーの手腕によっては、行きに行き過ぎてしまうリスクが大いにある事を考慮しようと思いしられました。
今回、オーダー通りに前目に行ったは良いがいくらなんでも快速超特急過ぎるだろうと。
こうなると、リーディング厩舎に攻め専ジョッキーを買って出る営業からノーザンの有力馬に乗り慣れる経験値を上げた方が良いのでは?と思うくらいに。
そんなノーマークの存在だから前残りもあるんじゃないの?と、スケベ根性も働いてしまい猛省であり。(笑)

更に個人的に、トライアルレース最後の最後までラップ適性の落とし穴とも言うべき。
ハイペース及び平均ペース以上のラップ傾向を経験して勝った事がない無敗馬は、牡馬牝馬関係なしに疑え!と令和の時代になっても普遍性のある視座として使えるものだと大変に猛省材料となった優駿トライアルレースでした。
高額な無敗馬でも、闘って来た過程でレース適性に疑問ならば疑うだけの価値はあると。

とにかく、レース適性が重要視。
高額馬による良血無敗馬でも、闘って来たレース内容が要であり。
そして、来月には始まる新馬戦から勝ち抜き挑み続ける優駿トライアルレースでの推理予想の柱として大いに比重を置いて考えようと思います。
少頭数や多頭数レースでも持ち時計や何馬身差千切ってとかで勝ったでなく、ハイペースの中でも対応して来た質を伴った勝ち方に比重を置き測ろうと思います。
ドスロー競馬から直線勝負のみやスローから入って楽に先行が取れた上でのロングスパートなどで勝って来た有力馬たちは、とりあえず疑問符を付けて軸から外す形で。
後は、鞍上を託されたジョッキーによる手腕次第によって穴となる馬から探って行こうと思います。


それにしても今回、一本被りの最有力馬に乗っても藤岡弟いいポジショニングして良いね。
序盤戦からロスないポジション取りは出来ているし、この追走劇によって垂れるであろう西村たちを標的に合流点から勝ち気の川田たちと火柱が立つ競り合いか?
ここは、西村が先手ポジション争いから暴走に働いてしまったから垂れるのは分かっているから悠然に構えそのままロスを省く追走劇で問題もないだろうと見ていたら。
そこで、友道厩舎の攻め専ジョッキーも務める藤岡弟が最有力馬として力で捻じ伏せてやろうと。
早目に外へ出す無駄な動きから強気に行って、横綱相撲で負かしに行ったところで敗退。

仰る通り、ガツンと強い馬ならば心肺能力の差も見せつけて終いも鈍らずに。
横綱相撲でも競馬からガッツリ3角から早目に外に出しての追い出しから、もうひと伸びあって完勝劇がお約束なんですが。
このメンバークラスから、標的となって上等な早目に外に出す横綱相撲を取ってはいかんと陣営もジョッキーも身に染みた事が収穫だったか?と思うしかなく。
ただ、道中無駄に動かず川田と併走から瑠星を壁に外に出さない追走によって川田たちとの競り合いで。
どこまでの着差にて勝ち負け勝負出来たのか?、、、謎に終わってしまい非常に残念ですが。
川田がビルゴをベタマークからリカバリーで脚を使って、それでも先に外に出して動いてロスを被る競馬であの鈍りからファルコニアにも完敗だと何とも言えずですが。。。
血筋は天皇賞春連覇のフィエールマンと同じ様に、母系にニジンズキーの血が流れているディープの仔なんで。
ひと夏を超えてからの成長度によって、早熟派でないディープ産駒かもしれないので。
亡きオーナーと武による絆から、再スタートのレースでは武鞍上で挑んで欲しいところです。

それと、ファルコニア。
今回もスタート出が悪く、この駐立が拙くて立ちスタートとか改善出来たら。
リカバリーで無駄な脚も使わずに、すんなりと好位中団でポジションを取ってガッツリ脚を溜められるようになると思うので。
速いハロンラップを問われない、ローカル重賞レースに強いディープの仔にもなりそうな気配がありそうなので。
ひと夏を超えた後の成長度に、注目し続けたい一頭なところです。
Posted by ギャロップ at 2020年05月10日 21:52
>ギャロップ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 西村Jは先行はするとは思っていましたけど、まさかあそこまでガッツリ飛ばして、とは想定し辛かったですねぇ。
 先行意識が高いのは良いのですけど、馬と場合によりますし、高額の血統馬であんな事をしてしまうと余計に目立ってしまいますよね。

 前にもチラッと触れましたけど、追走面に関しては中々調教で、テンから自分でゴリゴリ飛ばして、とはならないので、実戦でしか鍛えにくい適性、だとは思うのですよね。
 そこで血統などはファクターになるのですけど、馬も個体差は大きいですから、ビルゴにとってはいきなりのこのペース対応は難しかった、と見るしかないでしょう。

 ペースに依存するタイプは、ポジションありきの競馬をしない方がいいのですけど、流石にあの人気で、ペースが速いから、と後ろからのレースをしてダメだったら、もっと叩かれてしまうでしょうから、私はあれで正しかったと思います。
 ダービーで勝ち負けするような馬なら、あれは克服しなければならない課題なのは間違いないですから。

 ファルコニアは仰るように速いラップ向きの馬ではなく、コーナーでの機動力があるので、後々ローカル向きの差し馬になるかもですね。
Posted by clover at 2020年05月11日 03:42
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