2020年01月27日

2020 1月第4週海外GⅠ レース回顧

 今日も書き出しがかなり遅くなってしまいました。
 元々今月後半はそれなりにバタつく予定だったのですけど、ただ事前の想定から直前でコロコロスケジュール変更があったり、突発的なプラスアルファが出てきたりで結構てんやわんやしていて、多分3月まであまり落ち着かない生活になりそうです。
 それでもちゃんと毎日更新は続ける気満々ですけれど、流石に3月までは列伝とか、仕込みや執筆に時間のかかるコンテンツは保留になってしまうと思いますし、昨日のように回顧でも更新時間がずれ込む、などという事態もありそうなので、そこはご了承くださいませ。


★ペガサスワールドカップ https://www.youtube.com/watch?v=U0p81GQYAxk

まず、今年からのペガサスワールドカップシリーズは、レースの出走条件や賞金が大分変更になりました。
 去年までは出走枠をゲートひとつにつき100万ドルで売りに出し、それを原資に破格の優勝賞金と、下位にまで手厚い賞金を用意していたのですけど、今年からはそれを廃止、普通に出走できる代わりに、総賞金も300万ドルと大きく減額されています。
 今年から総賞金2000万ドルのサウジCが出来たように、中東のオイルマネーに対抗して世界一の賞金合戦を釣りあげていくのは不毛だ、という事に漸く気が付いたのか(笑)、それでも単純にこの売り方ではスポンサーがつかない(特に欧州勢がある程度無茶でも挑戦してくれないと厳しい)というのもあったのかもしれません。

 ともかく、最初からそう告知されていればともかく、結構直前になってそれが発表された事で、元々このレースに出走を予定していたスターホースの何頭かは、より賞金の高いサウジカップに路線を変更する事になりました。
 その筆頭としては去年の3歳牡馬では間違いなく最強格のマキシマムセキュリティ、それに牝馬路線で無双していたミッドナイトビズーあたりもここには出てこず、エントリーの段階でも過去3年に比べると小粒なメンバー、という印象は否めませんでした。
 挙句に、人気を背負うはずだったマリブS覇者のオマハビーチ、オマハビーチをBCダートマイルで退けて勝利したスパントゥランの2頭が直前でスクラッチ、結果としてまともなGⅠタイトルホルダーがほぼほぼいないという非常に物淋しい一戦となってしまいましたね。

 その中で勝利したのは、こちらも明け4歳世代の成長株であるムーチョグストでした。
 この馬は2歳時にもGⅠでインプロバブルの2着があったりしたものの、去年の春はクラシック路線はパスして裏街道を歩み、脚光を浴びたのはハスケル招待ハンデでマキシマムセキュリティの僅差2着に食い込んだあたりからでしょうか。
 その後トラヴァースSでも3着し、ここは4ヶ月の休養明けでの参戦でしたが、外枠からかなり強い競馬を見せてきました。

 ガルフストリームの1800mは、1コーナーまでが短く、基本的には内枠有利で、アメリカのダートの中でも時計は出やすいコースです。
 でも今回、10番枠から抜群のスタートを決めてあっという間に内に切れ込み先頭に立つと、そこから行きたい馬を行かせて2列目のインをがっちりとキープ、3~4コーナー中間で外目に持ち出して進出していき、直線入り口で先頭に立ってそのまま後続を全く歯牙にかけず突き抜ける、という素晴らしい勝ちっぷりでした。

 ただ時計的には、23,77-24,01-24,06-23,99-13,02=1,48,85となっていて、まずアメリカ競馬としてはそこまでテンが速くなく、その分外枠からでもすんなりあの位置を取れた、というのはあります。
 道中もずっと12秒平均の淡々とした流れで、ラスト1Fだけかなり消耗して13秒台に入っていて、この時計で更に後ろが千切れた、というあたりからも、レースレベルは実績と比例してお察し、というところではあるのでしょう。

 勿論細かい馬場レベルまではなんとも言えませんが、今回で4回目のこのレース、年々勝ち時計が遅くなっていて、実際にアロゲートとガンランナーは歴史的名馬、去年のシティオブライトも押しも押されぬバリバリのGⅠホースだったのに対すると、まだまだ実績。実力ともに足りないのは明白だと思います。
 でも裏を返せばまだここからののびしろも期待出来ますし、今のアメリカの古馬路線は混沌としていますので、少なくともこの勝利で、BCクラシックに向けての路線の中で主軸の一頭になる資格は得た、と考えていいのではないでしょうか。次走はサウジを予定しているようなので、さっそま試金石にはなりそうです。

 2着以下はまあ、敢えて取り上げるほどの価値はないかな、とは思いますかね。


★ペガサスワールドカップターフ https://www.youtube.com/watch?v=7xfKWgKbksI

 去年はアエロリットが参戦した事で注目を浴びたターフですけれど、今年は総賞金100万ドルと、一気にごく普通の水準のGⅠになってしまいましたね。
 それでも鉄の女・マジックワンドの参戦があり、ダートよりはまだ豪華に感じられるメンバーでの一戦になりましたが、それでもメンバーレベルの低下を象徴するように、勝ったのは伏兵のズールーアルファでした。

 マジックワンドが外枠から逃げてレースを引っ張り、良馬場の中かなりのスローペースになっています。
 ラップが24,06-24,39-23,49-22,88-16,78=1,51,60という推移になっています。
 このコースは去年詳しく解説しましたが、芝コースはダートコースの内側にあるのでかなりコーナーがきつく、外から加速していくと遠心力の関係でかなり苦しくなりやすいイメージです。
 去年は重馬場のハイペースになった事で、あまりそういうコースの特性やバイアスは出ませんでしたが、今年は序盤スロー、向こう正面からじわっと上がって、コーナーでもかなり速いラップを踏んでいる事で、立ち回りの上手さ、そもそもの枠の有利不利が結構顕著に出ていますね。

 後半の700mが39,66で、ハロン平均に直すと11,33なので、やはりコーナー地点でかなり前が加速していく展開、5Fロンスパからの二段階加速みたいなイメージでいいと思います。
 なのてコーナーでタイトに立ち回れたかはかなり大きく、結局ワンツースリーは道中最内コースを通っていた馬で、そして3着馬がコーナーで少し外に出したことで、その直後、3列目のインでじっくり構えていた勝ち馬にとっては完璧に噛み合う形になったレースだったと感じます。

 勝ったズールーアルファはかなりの遅咲きで、重賞戦線に顔を出してきたのも去年の6歳シーズンから、セン馬でもあるので息が長いのはありますが、それにしても良く陣営も辛抱したものです。
 ただ去年はGⅠでは善戦こそすれ勝ちには届かず、それでも前走のBCターフは、窮屈な競馬でもしっかり僅差の4着に食い込んだように、力をつけてきていたのは間違いないでしょう。
 今回は最内枠から、いいポジションでじっくりガマンの競馬が出来ましたし、道中も無駄な動きなく、直線もそそのままマジックワンドの内に入って一気に突き抜けてきた瞬発力は見事でした。

 おそらく直線はこの馬は10秒台の切れ味を引き出している筈で、そういうレースに適性があったのもありそうです。
 ジョッキーもかなり落ち着いて乗っていましたし、丁度どこかのニュースで富田Jのインタビュー記事見ていて、オルティス兄弟についで、このガファリオンJも若いけど上手い、と評されていたのでタイムリーだなぁと感じましたね。
 流石にここから去年のブリックスアンドモルタルのように飛躍、というのも難しいかもですが、それでもマジックワンドを退けたのですからそれなりのレベルにはあるはずで、注目していきたい一頭です。

 2着のマジックワンドも流石の鉄女ぶりを発揮、ただここは逆にスローに楽に支配出来過ぎて切れ負けしてしまった感覚ですね。
 でも今年も世界各地で素晴らしい走りを見せてくれそうですし、どこかでビックタイトル獲得を期待したいですね。


posted by clover at 20:24| Comment(2) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやー、お上が海外馬券発売による対象レース変更を発表しましたね。
そこで、伝統あるメルボルンCが馬券発売の対象から除外とは残念であり。
指定枠があるのか?謎ですが、ミッドウィーク開催の伝統あるG1レースでは売り上げが見込めなくとも発売対象の除外はなしで良いとは思うところですね。
オージーの建国ヒストリーを学べる機会でもあって、学びあるレジャーとしても適材でもあり。(笑)
また、ダガノディアマテや休養中であるサトノルークスなど非根幹距離のステイヤーレースに挑んでも面白いと思うので。
みんな好位を取りたいザワザワの最中、端からロスを省く決め打ちしたイン突きズドンとかイケそうでもあって。(笑)
しかし結局、欧米のビックレース全て馬券対象にして貰いところであり。(笑)

それにしても、レーシング運営もやはりオイルマネーの大旦那が付くような大スポンサーの存在が無いと大賞金レースの維持は難儀ですね。
サッカー界もそうですが、中東マネーが絡むと選手の移籍金から年俸からスター選手たちが集まる故に放映権までインフレを起こすから。
中東マネーと賞金のインフレ争いは、本当に良く考え良いスポンサーを見つけて運営しないと競り勝てないから深く思案した上で上手く運営して欲しいと思うところです。
また、資産運用大国の米国ではペガサスWC出走権を投機の対象としてコロコロ売り転がすとかあってたまったもんではなく。(苦笑)

そんな中で、マジックワンドの連闘策や遠征も苦にしない鉄人ぶりには涙が出ます。
また、先行力あって折り合えるからレースの組み立てが毎回と出来る鉄人なので。
中山の内回りコースかッ!と、ツッコミ入れたくなる小回りレーシング場でもイケてしまうから世界サーキット戦略は良いかと思います。
俺も馬主だったら、マジックワンドと共に世界サーキットで世界一周しますね。(笑)
それと、今回スタートからみんな手綱を引くゆったりな展開から赤帽子が外と背後からマジックワンドをベタマークするも怯まず最後の追い出しで抑え切るところは痛快です。
が、、しかし最後はインすくいに遭遇し切れ負けしてしまったところがマジックワンドらしいと思うしかないところですね。
もう少し、末脚殺しの一息つかんラップの刻み方から一踏ん張りでギリ勝ちを狙うプランもありかな?と思ったところです。
それでも勝った馬は、序盤で小回りコースだけに1角に入るまでの内へのポジション争いに押されヘッドアップするも。
その後、直ぐに折り合ってインベタ追走から終いの追い出しではグッと首を沈めて競り落とすのだから勝負根性もあって良いですね。
しかし、こうしたワールドレースを観てしまうと日本のレベルは今回のメンバーならば4歳世代の大将格が殴り込んでも勝てると思ってしまうくらいに確実に日本のレベルは上がってますね。
まぁ本番になったら、日本の馬はテンが速いから欧米軍団による日本潰しから乱ペースもあり得て蓋を開けてみないと分からんところですが。(苦笑)

余談その二。
ノーザンファームの御大が授賞式の席で、会場の高揚した雰囲気とAJCCの貫禄勝ちで良い気分になってしまったのか?
ブラスト、リベンジ凱旋門を口にしてましたね。
それはアカンって、再び行ったら馬場が合う合わないの問題以上に日本馬を簡単には勝たせない追走力のいるラップでやられてしまうからリベンジ凱旋門は無かったことにした方が良いと思っています。
当時、下馬した後に川田が脚に震えがあるくらいにブラストは疲労していたとコメントしてたから。

それよりもノーザンは、サンデーサイレンスを受け継ぐ倅たちから追走力とスタミナのお化けを産み出す為にも欧州の繁殖名牝たちと配合し凱旋門賞を狙って欲しいと思うところです。
多分?サクソンウォリアーで、それをクールモアが証明するかのような種付けを続けると思うので。
ワールドクラスの大生産ファームであるクールモアにやられる前に、ノーザンも日本のクラシックディスタンスの他に本丸は凱旋門賞で欧州のビックレースタイトルをターゲットにした郷に従った配合も考えて欲しいと思います。
日本のスピード競馬には合わんけど、欧州のスタミナ競馬に合い更に二枚腰から放つ切れ脚はサンデーの血も良く出ていて凱旋門で勝てるとなると。
今の日本の個人オーナーだったら、それならばとダービーを狙う他にも買うかと需要もあるかもしれないので。(苦笑)
また、短期免許延長でシーズン開幕前まで日本滞在するオイシンや久しぶりに短期でやって来たスミヨンも、凱旋門賞鞍上狙える物色込みで日本に乗りに来ているだけにジョッキー確保も事欠かずと思うので。(笑)
兎にも角にも今後は、欧州がガリレオならば日本はサンデーサイレンス!
ノーザンには、そんなサンデーのブランド力が上がる配合を試みて欲しいところです。
Posted by ギャロップ at 2020年01月28日 05:28
>ギャロップ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 我々は気軽に、日本馬が出なくても大レースなら売ればいいのに、と思うのですけど、やっぱりどうも農水省指定のレース数があるっぽいですね。
 今回も欧州のレースと入れ替えでオージーのレースがいくつか消えてしまって、同時に去年英チャンピオンS売らなかったのはそもそも指定レースじゃなかったのか、という事実をはじめて知りました。。。

 個人的にはあのオージーの、今の日本では見られない24頭立てとか予想のし甲斐があって楽しかったんですけどねぇ。
 ただ売り上げを見ても、やっぱり平日の昼間とかですと殆ど伸びないですし、浪漫よりも売り上げ至上主義なのはJRAですから仕方ない、とはなります。
 でもオージー遠征熱が盛り上がったところで、冷や水をかけるような施策はどうなのか?とも思いますけどね。

 日本に比べれば色々フレキシブルな海外でも、やはり資本主義の原理から逸脱した経営は簡単ではないでしょうし、その意味で、まだしっかり伝統の重みだけで競馬を運営できる欧州の基盤と底力はやはり凄いな、と感じます。
 アメリカも今は年々競走馬の生産が減って、いろいろ過渡期にあるのは間違いないですけど、あちらの人はよりシビアだから、賞金少なくなったら出てこない、という露骨さが伺える今年のペガサス開催でしたね。

 だからこそ、ちゃんと来るマジックワンドの偉さと凄味はきわだっていましたし、でも弱メンバーでもきっちり負けるあたりもマジックワンドでしたね(笑)。
 ターフなんかは優勝賞金60万ドルですから、せいぜいスーパーGⅡレベルではあり、確かにこれだと日本馬はリスクを負ってまで遠征はしないでしょうし、その点ではアメリカがよりガラコパスになっていく可能性も感じさせました。

 ブラストとフィエールマンに関しては、去年はレース前のニューマーケットからの直前輸送がダメだった、という話はあるらしいですし、馬場も馬場でしたからね。
 フランス滞在で、前哨戦もゆとりを持ってインターナショナルSあたりから、とかにすれば、という考え方はアリっちゃアリだと私は思いますけど、まずは春、ひとつでもGⅠを勝ってからの話ではありますよね。

 サンデーブランドの中からより適性を煮詰めていく、という考え方は、日本の強みを生かす意味でも正しいと思いますし、いろいろ多様性を試していきつつ、もう少し挑戦的な配合などは視野に入れて欲しいですよね。
 ハーツクライ産駒の父とステイゴールド産駒の母で、サンデー3×3とか意外と爆発的にタフな馬場で走るかもですしねぇ。
Posted by clover at 2020年01月28日 18:53
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