2020年01月12日

2020 シンザン記念 レース回顧

 寒風が吹き抜ける、冬らしいタフなコンディションでの一戦となった今年のシンザン記念は、ディープ産駒のサンクテュエールが内から先に抜け出したプリンスリターンとの叩き合いを制して、見事に初重賞制覇を飾りました。
 まあしかし、ルメ様容赦ないなぁ、って感じの差し切りでしたね。敗れはしましたが、原田Jの気迫と悔しさが画面上からでも伝わってくる、見応えのるレースになったなと思います。しっかりと回顧、していきましょう。


 今日の淀も良馬場でしたが、含水率は昨日から引き続きやや高めで、相変わらず内が走りやすい馬場っぽいのは変わっていませんね。
 正直今日はここまでの芝のレースが未勝利と新馬しかないので参考にはしづらいですけど、未勝利マイルが48,7-49,0=1,37,7と、そこそこのメンバーでもこの時計ですし、やはり相当タフだったのは間違いありません。
 勝ち時計の1,35,9は一応想定ラインなんですけど、ここまで後続が千切れるレースはイメージしていなかったですし、ちょっと馬場のバイアスと、それに対する適性がかなり大きく反映されてしまっているレースではある気はします。でも上位2頭は素直に強かった、と思いますね。

 レース展開は、まずプリンスリターンが絶好のスタートから先手を窺いますが、その内からヴァルナが積極的に出していってハナ、プリンスリターンが番手外をキープしていきます。
 サンクテュエールはスタートで珍しく後手を踏んだのですけど、最内枠を生かして即座にリカバー、しっかり2列目ポケットまで押し上げていったのは流石ルメールJ、という感じで、その外に初芝のディモールト、ルーツドールは先団を見ながら中団やや前の外目で、少し折り合いに苦労しつつ進めていきます。
 中団の内にコルテジア、オーマイダーリンとカバジェーロがいて、タガノビューティーは後方寄りの外目から進出、最後方にヒシタイザン、という隊列でした。

 ラップは35,4(11,80)-24,8(12,40)-35,7(11,90)=1,35,9(11,99)という推移でした。
 流れ自体はほぼ想定通りの平均ペースの中緩み戦で、ハーフで取ると48,0-47,9ですし、上りで12,6と緩んでから、12,2-12,2-11,5-12,0と、じんわり加速していきつつも本仕掛けは遅め、直線からのこの馬場での加速性能は高く問われています。
 ラストも12,0でまとめていて、総合力勝負ではありましたが、このラップで外から押し上げてくる馬が全滅、というあたり、よほど馬場のバイアスが強いのか、とは感じるところです。

 勝ったサンクテュエールは、ルメールJの冷静な手綱捌きと、図ったような差し切りが本当に見事でしたし、馬自身もこの馬場と初の遠征競馬でしっかり結果を出してきましたね。
 パドックでも落ち着いていましたし、スタートこそ珍しく出負けしたものの、二の足でのリカバーが鋭く、こういう緩急の大きな流れの中でも、前に馬を置いて冷静に走れていたように思えます。
 前走に比べると相対的にはそこそこ流れて、こういう馬群の中で集中させる競馬がマッチしているのかな、とも思いますし、直線も狭いところを力強く抜けてきて、最後しっかり内から牡馬を競り落とす競馬ですから中々でした。

 馬場がかなり特殊で、内枠の恩恵は相当に大きかったですし、レースレベルとしてどう評価すべきかは難しい一戦ですけれど、これまでと全く違う馬場で結果を残せたのは高く評価出来ますね。
 この感じですとある程度流れた方が競馬はしやすいのかな、と思いますし、どうしてもスケール感、という意味では、未だにそこまで強さを感じない所もあるのですけど、桜花賞戦線でどこまでやれるのか楽しみな一頭になりましたね。

 2着のプリンスリターンは、前走のポジショニングやコース取りなどの反省を踏まえて、非常に積極果敢な競馬を展開出来ていましたし、馬もやはり基本的にはこういう前受から一瞬の脚で抜け出す形が理想ではあったと思います。
 その意味で乗り方としてはほぼ文句なしですし、まあ純粋に追い比べの中での技術差はどうしても目立ってしまったとは思いますけれど、この馬自身の強みは引き出せていたはずで、この馬もこういう馬場でもやれたのは収穫になるでしょう。
 本当に競走馬としてすごく完成度が高い感じですし、距離もマイルがベストなのかな、という走りは出来ているので、このコンビのままでしっかり重賞・GⅠ戦線に挑んで欲しいかなと思います。ここで賞金加算できたのは大きいですね。

 3着のコルテジアは、前走はちぐはぐな競馬になってしまったですけど、こういうタフな馬場の適性が高かったのと、上手く馬群の中で自分のリズムを守る形でしっかり最後まで脚を引き出せたのは評価していいでしょう。
 理想はもう少し前、だとは思いますが、多分仕掛けが早くなると甘い適性なので、その意味でも今日の展開と馬場バイアス、枠は理想的だったかもしれませんね。

 4着オーマイダーリンも自分の脚は使えていると思いますが、流石にこのメンバーで前は取れませんし、力のいる馬場もプラスではなかったはずで、上手くインから捌いてきましたけどこの条件では力負け、と言えるでしょうか。
 やはり軽い馬場の方が強いと思うので、京都開催で使うよりは関東遠征も視野に入れて、クイーンCあたりならソコソコいい勝負できるのではないか、と思うのですけどね。

 5着ヴァルナは自分のリズムではいけましたし、ただこの馬場で、最速地点で一気に勝ち馬に来られていたように少し削がれていた感じで、マイルでもタフな馬場になってしまうとまだちょっと長いのかな、と思いました。
 自身ハイペースが合うかはなんともですけど、もう少し軽い馬場の1400mでスムーズな競馬が出来ればどこまで、くらいで、ちょっと地力的にも足りない感じは否めない一戦でしたね。

 7着ルーツドールは、初戦に比べてテンション高く、ゲート裏でこの時期なのにかなり発汗が目立っていたりと、レース前に消耗してしまった面はあるとは思います。
 かつここまでバイアスの強い馬場の中で、ずっと壁を作れず外々の競馬でしたし、またレース質としてはギアの上げ下げがそこそこ問われているので、そういう器用さを、淀の上り下りがある中で求められたのもダメだったかもしれません。
 馬場適性も噛み合わなかった感じですし、にしても流石にここまで何もないのは予想外だったので、4コーナーの下がりっぷりで正直愕然としてしまいましたねぇ。やはりこの時期の3歳馬は難しいところです。
 距離はもっとあっていいと思いますし、そこである程度自分のリズムに徹する競馬での巻き返しは期待したいですね。素質が高いのは間違いないので、オークス路線には乗ってきて欲しいです。


posted by clover at 16:28| Comment(4) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 お疲れ様です。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます(笑)

 昨日に引き続き、今日の京都が内有利のバイアスだったのは間違いないですね。結局ずっと外を回して勝ったのは昨日の京都メインだけ、でしょうか。

 ルーツドールは自分も本命だったのですが、レース後は反省しました。コントレイルと同日の馬場で行われた同馬のラップを考えれば、相手関係の違いはあるとはいえ、コントレイルより人気の1,6倍で本命を打っていい馬ではなかったですね。

 サンクテュエールは母ヒルダズパッションですから、キレキレのディープじゃない事は確かでしょうね。レースも上手いですし、大崩れはしなさそうなタイプかな。

 タガノビューティーは負けましたが、次どうするのでしょうかね。芝で続戦するなら、是非距離短縮して欲しいものです。父ヘニーヒューズですから、馬場が多少重くても中盤緩んだ時点で凡走しても仕方ないです。

 明日のフェアリーSはキンカメ牝馬でまず間違いなく中山マイルベストのアヌラータプラは有力ですが、個人的にはチェーンオブラブを狙っていますよ!
Posted by ハル at 2020年01月12日 17:49
いやはや、ルーツドールによる他馬へと寄せてからテンションマックスになり本当にごめんなさいでした。(苦笑)
外枠ならば相手からの被せブロックに遭遇せず、自らのリズムでレースが運べるだろうと思ったところでしたが。
それにしても、観ている側外びっくりするくらいにトモからも汗が吹き出るほど相手に寄せてからの入れ込みがマックスになるとは思いもよらずでしたわ。
スタートの序盤戦で池添と北村友に寄せて行ったところから、川田が手綱を引き抑えてヘッドアップする入れ込みの激しさではリズムも呼吸も乱れ汗も吹き出て終いの脚の余力も残せずレースにならんでしたね。
兎にも角にも、他馬との寄せでスイッチが入って入れ込みマックスにならんようリアアメリアと同様にノーザンによる調教の手腕には注目したいところです。

そして今回、本当に原田には一皮剥けるきっかけにして欲しいと思うところです(ルメールとの競り合い前に勝ちたい思いから内に斜行せず正々堂々真っ向の姿勢は良いので)。
これを学習できないと、今後のジョッキーキャリアも厳しいか?と考えられるだけに。
本人もレース後のVTRと藤岡陣営からの助言から十分に理解していると思いますが、合流地点の直線で福永を捉える手ごたえ十分なレース運びだったので、終い2ハロンのところからステッキ入れ追い出すタイミングが早くて。
結果、ルメールをアシストするようなステッキを入れての追い出しの早さが悔やまれた惜敗だっただけに。
福永を捉える手ごたえ十分ならば、あとは後続のルメールたちを警戒する神経を使って7分あたりの余力ある追い出しから競り合いの我慢比べレースに持ち込む胆力勝負が出来ることで惜敗の数も減らせるジョッキーへとステップアップ出来ると思うので。

ただ、個人的に新年一発目の馬券勝負でルーツドールの入れ込みまでは読めず惨敗でしたが。(苦笑)
原田による勝ちたいんや!と第三者にも伝わる騎乗ぶりによって、想定外に白熱あるG3レースでした。

しかし、先約によってルーツドールでなくサンクに鞍上だったとしてもノーザン主戦ジョッキーをノーザンのクラブ馬同士で奪い合いも仕方ないと思うルメールの冷静なエスコート炸裂でしたね。
冗談抜きに、昨シーズンの垢を落とし引きずることなく家族と一旦レースから離れるリセットのウインターブレイクは良かったと考えてしまうくらいに。(苦笑)
まぁ、先頭に抜け出した原田の追い出しタイミングに合わせることなくサンクの脚力を考え余力を残して勝機が見えるまでは絶対に無駄な追い出しをせんクレバーな騎乗ぶりを目の当たりすると。
たとえ、制裁がトップランカーとしてもノーザンからの信頼は失わないのも理解出来てしまいます。

それと、レシステンシアが出てくる桜花賞とその結果によってはNHKマイルにも照準を合わせた場合?
仁川や府中でレシステンシアが作り上げるであろう一息付かせない前傾ラップの展開になった際、今回メンバーだとキツい気配もあり。
今後、朝日FS組や阪神J F組が出てくるであろうトライアルレースは注目したいと思います。
とにかくノーザンの判断にはなりますが、賞金上乗せに失敗したルーツドールを賞金取りから桜花賞に向けてカツカツなローテーションを組んでくるとは考えにくいだけに。
Posted by ギャロップ at 2020年01月13日 02:15
>ハル様

 いつもコメントありがとうございますー。
 明けましておめでとうございます。

 ここまでタフな馬場なのに、バイアスも明確に出ているというのは、また今までにない傾向で本当に難しいですね。
 ルーツドールは私も流石にあそこまで一本被りするとは思っていなかったですし、外枠でも恰好はつけるかな、と思ったのですけど、仰るように安直に信頼していい条件ではなかったのも確かですかねぇ。
 サンクテュエールの方が適性面でどうか、と思ったのですけど、兄2頭よりは牝馬らしい軽さもありつつ、力強さも見せてきたので、凄く高いレベルでの物差しになる馬かもしれないですね。

 今日の中山はルメールJが無双してますし、アヌラーダプラに逆らう必要はなさそうですよね。
 チェーンは前走完全に脚を余してますし、ある程度スタート決めて位置が取れれば出すけど、中枠で後手後手になる確率が高いかなと踏んで嫌ってしまいました。
 結果的に三浦Jからの乗り替わり同士で決まりか、なんてこともありそうですけど、ここでどこまで走れるかは楽しみな一頭ですね。
Posted by clover at 2020年01月13日 15:12
>ギャロップ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 まあレース中にも敗因は多いですけど、昨日はそれ以前の消耗が厳しかったのは間違いないですよね。
 新馬が遠征競馬で、地元競馬ならと思ったのですけど、このあたりも競馬の難しさですし、改めて色々しっかり考えながら進めていかないとですね。

 プリンスリターンは確かにもう少しヴァルナを遊ばせて、ルメールJに進路取りを迷わせるような脚の残し方が出来れば面白かったですけれど、そこまで今の原田Jに要求するのは酷かな、とは思います。
 その意味で、ある程度脚を使える長さも測れたレースではあったと思いますし、勝つための引き算がルメールJのようにしっかり出来るようになってくれれば、この後のマイル重賞路線でも楽しみですね。

 ルーツドールは立て直してオークス路線でしょうし、今年もノーザンの使い分けと鞍上含めての戦略意図はしっかり見極めていかないと、特に大レースでは的中させるのが難しいでしょうね。頑張っていきましょう。
Posted by clover at 2020年01月13日 15:21
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