2019年12月05日

分析用語定義の明確化と、いくつかのケーススタディ

★はじめに

 超高速馬場、と一口で言っても、実は昔のコンクリート的な馬場と、今のクッション性の高い馬場では時計の出方や走りの質も変わってきているでしょうし、とりわけ最近は、今までの括りでは簡単に識別しにくい高速決着も増えてきました。
 その辺りを踏まえ、一度改めてレース全体・前半要素・後半要素と明快に切り分けての用語定義を、自分の復習も兼ねてやっておこうかな、と思いますし、その定義を敷衍する形で、いくつかのレースや、能力適性を検証していこう、というのが本日の趣旨です。

 なるべく平易・簡潔・明晰を心がけて書いていくつもりですが、わかりにくい部分もあるでしょうし、その考え方は違うんじゃないの?と疑問に思う事もあると思います。
 これはあくまでも私個人の観点ですし、まだまだアップデートの余地はいくらでもあるでしょう。
 それだけ競馬とは奥深いものだと思っていますので、質問やご提案などお気軽にお願い致します。読者の皆様と知見を共有し、高めていければいいな、と思っております。


★用語編・レース全般

<スピード>
 所与の条件下での純粋なタイムトライアル能力。
 適性面で最大限に噛み合った時に繰り出せる絶対的な速度の高さ。

<スタミナ>
 相対的に長い距離を、一定のスピードを維持して走り切れる能力。
 心肺機能の高さ・筋肉の質・操縦性の良さが総合的に求められる。

<有酸素運動>
 息継ぎをしながら、一定以下のスピードで走る事。

<無酸素運動>
 一時的に無呼吸状態となって、所与の条件で最大限のスピードを振り絞る事。
 一般的に、サラブレッドの無酸素運動の限界は2F程度と考えられている。

<息の入り>
 無酸素運動から有酸素運動への切り替え。
 もしくはスピード質の高い有酸素運動から、質の低い有酸素運動へのシフト(ペースダウン)に付随。


★用語編・前半要素

<加速力(ゲート加速力)>
 ゲートを出て何完歩で最大速度まで引き上げられるかを表す言葉。スタートダッシュ。

<瞬発力(ポジショニング瞬発力)>
 先行争いの中で引き出せる瞬間最大のトップスピードの質を表す言葉。

<先行力>
 上記二つの要素を総合した表現。レースの流れの中で前目のポジションを取る能力。

<追走力>
 レース前半で、どのくらいのペースについていけるかの限界を表す言葉。
 純粋速度的な限界を絶対的追走力、前後半のバランス的な限界を相対的追走力、と区別して考えている。

<ギアチェンジ力>
 レース前半でのペースの上げ下げ、息の入れ方の上手さを表す言葉。
 今までの回顧では意識的に使っていない言葉なので、今回の新定義言語のひとつ。


★用語編・後半要素

<加速力(後半型ギアチェンジ力)>
 レース後半でいかに素早くトップスピードまで高められるかを表す言葉。
 後半のスパートにおいての、有酸素⇒無酸素の切り替えの可・不可や、そのスムーズな移行も含めて考える。

<瞬発力(後半型トップスピード)>
 レース後半で、その馬が引き出せる最大限の切れ味の質を表す言葉。
 絶対的に見た場合、単純に瞬発力と括ると、まだ筋疲労が発生していない時点でのスタートダッシュの方が、1F単位で引き出せる速度は上になる。
 その為に、あくまでもある程度の速度で走ってきて、筋疲労がある状態から引き出せる最大限の速度と、区別して考えている。

<持続力>
 一旦無酸素運動で引き出した最大限のスピードを、どこまで減速幅を留めて維持できるかを表す言葉。
 無酸素運動の持続性そのものも含めて、総合的に判断する事は多く、基本的にはレース最終盤のラップの下落度で判定する。

<持久力>
 所与の条件下で、ほとんどの馬が無酸素運動に切り替える余力を持てない流れになる場合がある。
 その時に、一定の速度を淡々と維持し、減速幅を低く保って走り切れる能力を表す言葉。

<高速持久力(ギアコントロール)>
 近年の超高速馬場で問われやすい、ギリギリ有酸素運動のラインでスピードを維持し続ける能力を表す言葉。
 馬場の質にもよるが、11秒前半までは、このトップギア手前の4速くらいで引き出せ、持続力よりは長く引き出せると考えられる。
 この概念自体は以前にも検証したが、下記別項でもう少し細かく腑分けしてみたい。


★クエスチョン&ケーススタディ


Q1,スタートから2F目は無酸素運動の範疇に入るのか否か?

 前々からレースを語る上で気になっていたのは、レース全体で見た時に、多くの場合で2F目に最速ラップを踏んでいる、しかもそれが瞬発力の質として見れば、明らかに後半で引き出せるものより速いのをどう解釈するか?という部分でした。

 これはまずシンプルに、やはりレース前半と後半の適性は別物、と見做すべきかな、と私は今のところ考えています。
 用語定義でもサラッと触れたように、まだ筋疲労が蓄積していないスタート直後と、それが発生して乳酸による硬直も出てきているレース後半では、引き出せるスピードの限界値も違ってきて当然でしょう。
 なので、あくまでもポジション争いで引き出す瞬発力の質と、後半引き出せる瞬発力の質は、それぞれ別の能力だと思います。

 それは呼吸の観点からも補完できるところで、特にレース後半は、ある程度息が整っていない状態から、頑張って無酸素運動に入れていく必要はあります。
 でもスタート直後に息が乱れている事はまずないですし、当然無酸素状態にも移行しやすいはずで、このギアチェンジ力も前半と後半で難易度が違う、適性として区別すべきだろうと思っています。

 その上で、当然相当に速いラップ、例えば10秒台後半から半ばくらいまで引き上がれば、馬個体の性能差で多少の振れ幅はあるにせよ、無酸素運動状態に入っている場合は当然出てくると考えるべきかな、と見ています。


Q2,前半の無酸素運動は、後半のそれと負荷的に差異はあるのか?

 基本的にレース後半で一度無酸素運動に入った場合、それが途切れるとそこから息を整えるのはまず無理で、乱れた呼吸の中でどこまで速度を維持できるか?という尺度でしか解釈していませんでした。
 ただ、前半部でも無酸素運動に入ると仮定した時に、それは後半型のものと違うのか?違うとしたらどこなのか?というのは考えてみる余地があるでしょう。

 私なりの結論から言えば、おそらく前半での無酸素運動に関しては、1Fまでならそこまで大きな負荷ではない、となります。
 それはレースを見れば当たり前のことで、スタートダッシュでかなり速いラップを踏んだ逃げ先行馬がそのまま後半で再加速して勝ち切る、なんてザラですからね。
 つまり息が整っている状態からの1F程度の無酸素運動ならば、すぐに有酸素運動に切り替えれば問題なくある程度息が整った状態で進められる、という事でしょう。このあたりは人間が走るのでも同じと言えばそうですしね。
 ただし、その切り替えがうまく出来ない馬もいて、俗にいう前半無理が出来ない馬、というのは、この部分で引っ掛かるのではないかなと個人的には考えています。


Q3,無酸素運動は分散して使えるのか?その限度はどこにあるのか?

 中緩み戦において、逃げ馬が後半再加速する、なんて事は普通にあります。
 なので結論的に言えば、無酸素運動は分散して使えると言えるのですが、じゃあその場合の限界がどこにあるか?となると、やはり私はレース全体で総合して2Fが平均的なラインになってくるのではないかなと見ています。

 今年のアエロリットのVMと安田記念がケーススタディとしてはわかりやすいんですが、VMの場合はテンで10,6とかなり脚を使い、ここで無酸素運動に一度入っているため、後半600-400m地点で11,2と加速してから、坂地点での減速が早く来ています。
 対して安田記念は、前半10,9で留め無理して入っていない分だけ、同じ様に600-400m地点最速でも、その後の2Fの落差が小さいです。
 これは総合して見ると、VMでは前後半で1Fずつ、安田記念では後半で2F、その無酸素運動状態を使っているのではないかなと解釈できます。

 基本的にこれまで、ハイペースの方が時計が出やすい、と考えられてきました。
 ただ近年の超高速馬場ですと、例外はありますが基本的に後半型の競馬をした馬の方が速い時計を出すシーンが多いです。
 それは用語的に当てはめると、スタートでは無理せず、中盤から高速持久戦ラインに乗せて、そこから後半持続力を2F引き出す、という形が、一番効率よく速度エネルギーを利用出来ている、という事になるのかなと考えています。
 実際に、ペースバランスはかなり違うのに、アエロリットのVMと安田記念の走破時計が同じ、という所からも、純粋に効率として見れば安田記念の方がバランスのいい走りが出来ていた、とは言えるでしょう。

 勿論レースの場合、単純に前目内目にいる事が有利なのはありますので、無酸素運動を前半に1F消費して、その分しっかり位置を取り切ってしまうのも戦略として正解のひとつにはなるでしょう。
 ただその場合、後ろの馬も一緒くたに無酸素運動状態に巻き込めないと、ポジショニングのアドバンテージはあまりない、とも言えて、逃げ先行馬の場合レースメイクがより重要になる、というのもそこに出てくるのだと思います。
 先行争いが激化して、結果的に無酸素運動状態が前半で2F続いてしまえば、スプリント戦ならまだしも、マイル以上では確実にそこでジエンドですし、また息を入れるにしても、程度を考えないと後続に楽をさせてしまうパターンもあります。

 基本的に前半で一回無酸素運動状態を使ってしまえば、後半で使えるのは1Fだけ、と考えた時に、それを出来る限りゴール板に近い位置、400-200m地点最速に持ち込みたいのは山々です。
 ただそれでスローにし過ぎれば、後ろは楽にポジション差を詰めて、かつそこから2Fの持続性能を繰り出せますから、そうなると基本太刀打ちできません。
 だからこそ、コーナーから引き上げて後続を早い段階で持続ラインに入れてしまうとか、ギアコントロールを伴う工夫があってこそ、前半のポジショニングには意味が出てくるわけで、そのあたりを騎手がどこまで意識出来ているか、という判別も、近代競馬では大切な要素になってくるのでしょう。


Q4,持続力とは加速ありき?

 人間が走っていてもそうですけれど、一度スピードに乗せてしまって、それを惰性である程度維持する事には、そこまでエネルギーは必要としないと思います。
 また、スタート直後の加速は、多くの馬にとってはそこまでの負荷にならない、というのも検証しましたし、そこで無酸素運動状態まで行くかどうかはともかく、そこからある程度のスピードに乗せて維持していく事が難しくないのは競走馬も一緒でしょう。
 その度合いがニュートラルに近い持久力ラインか、4速あたりでの高速持久力ラインかによって、維持できるレベルも違ってくると思いますが、ともあれそういう状態から少しでも加速しよう、と企図する事で、はじめて後半の持続力、という概念は意味を持つことになるのだと思います。

 勿論それは数字上の事で、実際は加速しようと思っても出来ない、無酸素運動状態に入れてももう体力的に加速できない、という状況もあるのかもですが、やはり持続ラインに入ったかどうかは、全体ラップから馬場の軽さを踏まえての、加速度と瞬発性を総合的に判断して見做すべきだと思います。

 そしてその、どんな状況からでも加速できるかどうか、も適性のひとつではあるのですよね。
 上で定義したように、加速力とは単なるペースのアップダウンだけでなく、呼吸態勢の切り替えも含めて、だと思っているので、シンプルに一度前半でそれを使ってしまうと、どんな流れでも後半では引き出せない、いわゆるワンペース型の馬と、もう一度引き出せる総合力型の馬がいる、という事になります。
 ワンペースタイプですと後半加速は望めないので、あくまでも前半から飛ばしていって、というのが基本戦略にならざるを得ないですし、総合力タイプならある程度そこを恣意的にコントロールする事も可能なわけです。またそれが、馬場に依存して差異が出てくる場合もあります。

 例えば、モズスーパーフレアが超高速馬場で強いのは、前半どれだけ飛ばしていっても、後半に一度は加速できるギアを残せる、という所にあり、けれどタフな馬場ではそれを残せないという弱点もあって、こういう部分を個別に見ていくと本当に多彩で難解になってくるなぁとは思います。 
 ともあれ、私の定義としては、基本的に後半型の持続力を引き出せるかは、加速とセットで考えたい、という事です。
 まあすごく砕いて言えば、ワンペース型って根性なし、って話ではありますかね。スタート直後の楽な場面なら加速出来ても、後半苦しい所から加速できない、って事ですから(笑)。


Q5,高速持久力の限度はどのくらい?

 これはまだ自分の中でも確定的な話になっていないので、上の用語では触れなかったのですが、この能力も前傾消耗型と、後傾加速型のツータイプに腑分けできるのではないか、と見ていて、ただその限度としては同じくらいになるのではないかと仮定しています。

 結論から先に出しますと、高速持久力そのものは5Fくらいが限度ではないか、と見ています。
 それをスタートダッシュから維持してきたパターンが前傾消耗型、途中から加速していきつつ、その後ろ側に持続力をくっつけてきた場合が後傾加速型、という考え方で、つまり無酸素運動状態とセットで7F程度は引き出せる可能性があると考えます。

 前傾消耗型の場合はシンプルな考え方として、スタートからぶっ飛ばしていってのスピード特化でも勝ち切れるのが、大抵1400m戦までだからです。マイル戦以上になると、一貫消耗戦での逃げ切りはまず見なくなるのが一つの証左になるかなと思います。
 コース形態などでそれが引き出しやすいかどうか、というのもありますが、ともかく2F目で無酸素運動状態で一気にスピードに乗せて、そこから有酸素に切り替え、後半加速はしないけれどラスト1F手前まである程度の速度を維持したまま突き抜けてしまう、というレースは、特に高速馬場では発生しやすいです。
 丁度先週も、阪神1400mの2歳戦は大体そんな感じでしたよね。

 そしてこの観点で、ケーススタディとして面白いのが今年の京王杯AHのトロワゼトワルです。
 このレースの特異なところは、前半の2~3F目が、10,6-10,4と加速している点です。
 そこからは一貫して減速ラップなのですが、この場合、馬場が軽すぎた中で、実は2F目の10,6でも完全に無酸素には入っておらず、後続を引き離していった3F目が無酸素運動状態で、そこからの5Fを前傾消耗戦で持たせてしまった、つまり前半を上手く誤魔化して、実質1400m戦をしてきた、という解釈が、この定義を用いれば可能になります。
 ラップバランス44,2-46,1=1,30,3での日本レコードでしたし、近年の超高速馬場解釈とはまた違うパターンの高速時計だったので、あの時点で判断に悩むところはあったのですけど、中山、というコース形態も含めて、こういう可能性も現出してきた、という見立ては出来るのではないかなと改めて考えました。

 後傾加速型に関しては当然、去年のキセキJCや、今年の天皇賞のアエロリットがわかりやすいですよね。
 どちらも残り1600mあたりからしっかり淡々と速い流れを刻んでいって、600-400m地点が最速、そこからの持続力で踏ん張る、という競馬になっています。
 アーモンドアイはこういう競馬の適性が異常に高いのは間違いなく、高速持久戦を5Fやった後に、瞬発力の質を更にもう一段引き上げて、持続力でも他と一線を画した能力を引き出すのですから、もはや超高速馬場の申し子、と言うより外にありません。
 ディープインパクトもこの適性がとっても高かったはずで、21世紀における超高速馬場、という括りでは、この2頭が双璧になってくるのではないかなと思いますね。


Q6,スタミナ=持久力ではない?

 今まで回顧の中でも、スタミナがある、という言葉を結構曖昧な文脈で使っていたな、と思っていたので、そこはしっかり定義しておきたいなと改めて考えました。
 一先ず言えるのは、スタミナとはあくまで潜在能力・ポテンシャルの話であって、レースの中での適性とはちょっとベクトルが違うものになる、という点です。

 上で書いたように、スタミナとは心肺機能と筋肉の質、そして道中力まずに走れる操縦性が総合的に噛み合って現出するものですが、レースの流れの中で一概に測れるものではない、と考えます。
 もしもリアルにスタミナを測りたいのであれば、広いセパレート付きの直線コースを用意して、ペースメーカーも用意して、淡々とハロン12,5くらいを刻み続けてどこまで脱落せずに耐えられるか、みたいなレースにしないと、正確な判断は出来ないと思います。

 勿論スタミナ性能を保持している方が、長距離レースを走るにあたって一つのアドバンテージにはなるでしょう。
 ただこれには落とし穴もあって、スタミナ性能が高いと、当然相似的な概念の持久力性能も高くはなりますが、でもこの能力は他の後半型要素とは違い、複合的な要素になりにくいのですよね。
 むしろ持久力があると、加速力や瞬発力面で見劣る事が多く、これは本質的な意味でスタミナを問われるレースが少ない近代競馬の中ではやはり弱点になりやすい、とも言えます。

 先週走ったアルバートなど非常にわかりやすい例で、この馬は基本的に加速性能が高くなく、前半後半に限らず、一気に加速を問われると良くないのがあります。
 特に前半要素が意外とネックになりやすくて、前半ペースが上がりやすいコースだと、長距離でも安定しないのは、スタートからの加速でリズムを崩し、そこから立て直すのが下手、ギアチェンジ力が低いと推定する事が出来ます。

 基本的に言えば、前半60秒、となった場合にずっとハロン12で行けるわけではなく、スタートの1Fは13秒くらい、そこから一度11秒に引き上げて、3F目からペースダウンして12秒、となるのがレースの流れとしては普通です。
 後半60秒ならずっと12秒そこそこ、となる時もあり、そういう時に問われるのが持久力なので、この定義はかなり限定的だと考えて然るべきでしょう。
 つまり、ずっとゆったりしたワンペースで走り続けるのがスタミナ能力で、前半の追走や先行力、或いは後半の加速力などとは相性が悪く、そこを複合的に持ち合わせていないとダメ、という事なんですね。

 ステイヤーズステークスの場合、1コーナーから上り坂で、ほぼ確実にテンからペースが上がらないコースだというのが、単純な距離以上に、アルバート的な馬にとってプラスなんだと思います。
 ダイヤモンドSも同じような傾向にあり、逆に春天や阪神大賞典は、スタートしてすぐに下り坂があるのでそこでペースが上がりやすく、60-64-60みたいな急・緩・急のレースになりやすいのが、純粋ステイヤー型の馬にとっては実はネックになっているのだと考えています。

 リッジマンもそのタイプですし、オジュウチョウサンも多分そうだろうと見ています。
 先行出来る事と、その追走で削がれないかどうかはまた別の問題なのが難しいところですけど、こういう馬は距離に限らず一定いますからね。
 シュウジなんかも、取ろうと思えばダッシュ効かせてポジションは取れるけど、ハイペースではめっきり甘い、というタイプですし、その意味でもステイヤーズSはオジュウチョウサンにとってここしかない、とは思ったんですけどね。
 あそこまでドスローで後半要素が高く問われると、また別の適性が求められてしまうのが競馬の難しいところで、適性の幅というのは中々に希有な能力なのだと改めて考えさせられます。


★終わりに

 とりとめのない内容ではありますが、今年の競馬を見ていて改めて色々考えた事を一通り触れてみました。
 適性を見極める上で、何が良かったのか、を考える以上に、何がダメだったのか?を見つける方が大切だとは思っていますが、どちらにせよそれを正確に考えるには、土台の理論が精緻である事に越したことはありません。
 特に近年は、走りやすくて時計も出やすい馬場が続出する中で、騎手のペース意識や競馬観なども随時刷新されていると思いますし、そのあたりを汲み取るための概念はしっかり用意しておきたいな、と考えています。

 より細かい部分で言えば、馬の運動力学とか癖なども含めて実地的に知る事が出来ればべストなのでしょうけど、一先ずはわかりやすい数字・ラップ的観点の読み解きをより頑張っていきましょう、という話です。
 最初にも書いた通り、疑問質問などあればお待ちしていますし、議論を通じてより面白い観点が見出せれば、と思います。


posted by clover at 07:28| Comment(2) | 能力分析ツール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです、コメントはしてませんがいつも見ております。毎日詳細な記事を書き続けられていて尊敬しかないなといつも思っているのですが、どうしたらそんなに
書き続けられるのか、疲れて嫌になったりしないのでしょうか?。自分は2016世代を1年間分析し続けて、それ以上続ける意欲が湧かなかったところがあるので…

いわゆるラップ・タイム分析をする上で、その理論が他人に分かりやすく説明されることってあまりないので、今回は久々に書きこんでみたいと思いまして、

僕的にはスピード・パワー・スタミナの3要素を、
スピード=トップスピード
パワー=加速力
スタミナ=持続力(高速域・低速域)
と考えています。スタミナの概念が難しいなと思っていて、一般的なスタミナとされるのは低速域での持続力だと思うんですがそこは現代競馬ではあまり重要とされていない。
基本的には高速域での持続力が重要と考えています。ただ中距離以上ではテンからゴールまで高速域で押し切ることはできないので、低速域で走る区間が出てきます。
スプリンターは低速域のエネルギー効率が悪く(高速域でも低速域でもあまり消耗度が変わらないので)距離が持たない、ステイヤーは高速域の持続力が低い
(あるいはそもそもトップスピードが遅い)ためにそもそも通用せず淘汰されつつある状態という認識です。極端に言えば低速域を効率よく走れるスプリンターが
中長距離をこなしているというのが現代競馬なのかなという認識ですね。また、
スタートダッシュ=スピード×パワー
末脚=スピード+スタミナ(高速域)
と考えていて、高いレベルのスピードを持つことは必須な上で、スタートダッシュが速い=パワーが高いレベルの馬、末脚が速い=スタミナ(高速域)が高いレベルの馬
という感じです。

だいたいcloverさんの考え方と同じようなものだとは思うんですが、前後半で違う適性と考えたことはあんまり無かったですかねぇ。でもQ1の2F目の最速ラップが
自分の中でずっと納得しきれないもやもやした部分だったんですけど、前後半の違う適性で考えるとしっくりきますね。逆にQ4の持続力が加速ありきって言うのが
どうもしっくりこないんですが、これは僕の思う持続力(高速域)がcloverさんの高速持久力と=だからなのかなぁ?。高速持久力だったら加速ありきではないのでしょうかね?
Posted by I.C.スタッド at 2019年12月06日 21:52
>I.C.スタッド様

 いつもコメントありがとうございますー。
 奇遇な話ですけど、実はこの記事を書き上げて、最後に質問などお気軽にどうぞ、と打鍵した時に、そう言えば最近I.C.スタッド様がご無沙汰だなぁ、ってふと思ったんですよね。
 勿論気の向いた時にコメント頂けるだけで有難い限りですけれど、やっぱり記事の方向性で触発される読者様の色合いが違うんだなぁ、とは思いますし、今後も定期的にこういう分析ツール記事はアップデートはしていきたいですねー。

 ブログの継続性に関しては、まぁ大前提として言うなら、私が比較的自由に自分の時間をマネジメントできる暇人、という事に尽きるとは思いますが(笑)。
 後はやっぱり生来の気質もありますよね。私は基本めっちゃ保守的で、何かを始めるまでの腰の重さは酷いものですが、一度始めてしまえば長続きする人間なので。
 実際に競馬以外の趣味も、それこそ小中学生時代から延々と継続しているものがいくつもありますし、逆にそれらをマネジメントするので精一杯なので、新しい事に挑戦する余力とやる気がない、というのが悩ましいところです。。。

 加えて、やる気に任せて無理はしない事にはなります。
 基本的にお休みの日であろうと、ひとつの趣味に費やすマックスの時間は決めていて、どれだけ気が急いてもその幅を超えてまで無茶はしない事で、上手くやる気の持続力を維持していく感じです。
 どうしても、熱っぽく冷めやすい、というのは、物理的な時間の無理が祟る事が多いので、そこは注意してコントロールしていますかね。

 ともあれ、基礎的な要素に関してのお考えの披瀝、ありがとうこざいます。
 仰るようにある程度個々の要素も、複合的な要素に絡めて考えていった方がより精確なイメージを掴みやすいかもですね。
 それに加速力にパワー、という考え方はなるほど、と思います。私はもう少しぼやっと、どうあれ加速する段階ではエネルギーが必要、くらいに思っていたのですけど、実質的に馬場があって、そこを捉えて推進力を生む、という視座で言えば、確かにパワーが的確に思えます。
 その上で馬場の軽さで求められるパワーの度合いが違ってくる、と考えると馬場適性の幅に関してもしっくりきますね。

 近代競馬はスピードが根本にあって、という考え方も全面的に賛同ですね。
 こないだステイヤーズSを走っていたメイショウテンゲンなんて、諸にトップスピードが遅いタイプですし、それこそ呼吸が大きく乱れないレベルでの走りの上手さが今の競馬で求められにくいのは確かだと思います。

 記事で書きそびれたんですけど、道中どのくらいのペースなら筋疲労や呼吸の乱れが殆ど出ないのか?という分水嶺的な部分も考えてみたいところです。
 今年はダノンプレミアムのマイラーズCや、サートゥルナーリアの神戸新聞杯で、400-200m地点でテンのダッシュと変わらないラップを踏んだりしていますし、低速域から高速域、またその逆のギアチェンジ力も、時には強く問われるパターンもあるんだなと思いましたしね。

 結局突き詰めると馬の生態から考えていかないと、ってところもあって、例えば鼻の穴が大きい馬は一度に酸素を多く取り入れられるから、心肺機能の高さとセットで持ち合わせればより優位なのかな?なんてのも考えてます。
 筋肉の質としても、人間でいうスプリンターとマラソンランナーほどの差ではなく、中距離寄りのスプリンターの筋肉の作り方、なんてのを、厩舎力や傾向からも突き詰めていければ面白そうですよね。
 なので、やはり前後半は馬の疲労度の差がある中で、似て非なる適性は問われると見ておくと、今のところは納得できる部分が多いですね。

 持続力と加速力の関係性については、改めて見ても少しタイトルと内容がズレているというか、タイトルが言葉足らずだった気はします。
 私の定義ですと、持続力=既に減速地点に入っている、というのは確かですので、正確に言うなら、持続力を引き出すラインまでスピードを高めるには、レースの流れの中で多少でも加速する、という要素が必須条件になるのか?という感じでしょうか。
 これは前傾漸減型のそれでも、スタート直後の加速がそうだと定義すれば噛み合うかな、と思いますが、このあたりはもっとあれこれ突き詰める必要はありそうですね。
Posted by clover at 2019年12月07日 15:26
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