2019年11月16日

2019 東京スポーツ杯2歳S レース回顧

 後のダービー馬のみならず、GⅠで活躍する馬を続々と輩出する、2歳戦きっての出世レースである東京スポーツ杯2歳S、今年も素質を謳われたディープ産駒がこぞって出走し人気を集めましたが、その中でも一頭群を抜く走りで、コントレイルが直線強烈な突き抜けを見せて圧勝、来年の主役の座をあっという間に奪い取る衝撃のレースを披露しました。レースをしっかり振り返っていきましょう。


 今日の府中の芝ですが、Cコースに替わってまた一段軽さを取り戻した感じで、まず間違いなく超高速馬場だったとは思います。
 なにせ新馬のマイル戦で47,1-46,2=1,33,3、その次の1勝クラスの1400mも1,21,0とほとんどレコードに近い時計で、ユートピアSは超スローでしたので時計は平凡ですが後半は45,3、やはり相当に軽い瞬発力と持続力を要求される馬場になっていたと思います。
 とはいえ、流石に2歳のこの時期に1,44,5は桁違いにも程がありましたね。
 もしもこのレースにコントレイルがいなかったと仮定した場合、アルジャンナが1,45,3で圧勝、それでもダービー最右翼、と評されていたことはまず間違いないのですが、その走りが完全に霞む脅威の末脚でした。
 勿論諸条件などあっての走り、と留保はつくでしょうが、単純なインパクトだけならディープインパクトの若駒Sに近しいものを感じましたね。

 レース展開は、リグージェがちょっと出負けしたくらいである程度揃ったスタートから、外のマイネルデステリョが果敢にハナを奪って小気味よいペースを刻んでいきます。
 それを内からラインベック、間からゼンノジャスタ、外からソウルトレインが追いかけていき、コントレイルはその先団を見るように丁度中団の、ストレスの掛からないポジショニング、その後ろに内からリカバーしたリグージェがいて、アルジャンナも馬のリズムを重視しつつ後ろからコントレイルをマーク、最後方にオーロラフラッシュ、という隊列になりました。

 ラップは、35,3(11,77)-35,3(11,77)-33,9(11,30)=1,44,5(11,61)という推移でした。
 個人的にはマイネルデステリョの津村Jの逃げはすごく満足いくもので、ある程度全体でコントロールはしつつも、中盤で変に緩めない底力と持続性能を強く試されるレースになっていて、まあまだ体力が付き切っておらず、速い流れの経験も少ない2歳馬にとってはかなりタフな展開だったと言えるでしょう。
 しかしこの流れでも全体のバランスがかなりスロー、になってしまうくらい、コントレイルの突き抜けは異次元で、実際に時計としても毎日王冠や府中牝馬Sという、その後のGⅠ戦線を上位馬が賑わせているレースと全く遜色のない内容ですから、畏怖すら覚える強さであったと言えます。

 後半ラップ自体は11,7-10,8-11,4で、中間からコーナーでも全く緩みはない一貫ペースなのですけど、そこから勝ち馬が坂の上りで一気に加速、10,8までレースラップを引き上げてしまっては、もうこの時点で勝負ありとしか言いようがないですし、ラストもある程度しっかり追ってはいたものの11,4でまとめているのですから、えげつない、なんじゃこりゃ、と言うしかありません。
 試みにアルジャンナの位置で取るなら、ラスト3Fは34,7と大分平均ペースに近くなり、ラインベックですと35,4で完全にフラット、というレベルになるので、文字通り素材の差が三分割されたレース、と考えていいと思います。

 しかしコントレイル、正直普通に走れば勝つだろう、とは思っていたのですが、ここまで強いとは…………ですね。
 スタート前にムーアJを振り落としでもしたのか、再騎乗していて少し不穏な空気だったのですけど、いざレースに入れば、流れてくれたのもあるにせよ道中の折り合いは完璧で、勝負所からも軽く促すだけでスーッと進出、そしてなにより坂地点での加速力が半端ありませんでした。
 残り400m地点で1馬身半差くらいまではきていたので、この馬としては11,1-10,6-11,4くらいで、最後落としていると言えばそうですけどそれも非常に高いレベルの話であり、それ以上にこのペースでも全く削がれず、普通に古馬GⅠでも通用するレベルの瞬発力を悠々繰り出してくる、というのは、何度でも言いますがちょっとえげつない、2歳では有り得ないレベルですね。

 勿論血統的にディープ産駒で、母系にファピアノが2本入るミスプロのインブリードがあり、これは過去の傾向からも、府中の超高速決着で淡々とスピード持続力勝負になった時に最も強い血統であるとは言えます。
 マイネルデステリョがこんな風に逃げても、だから大丈夫だろうという体での本命でもあったのですが、予想以上に流れて強かったですし、裏を返すと超高速馬場巧者過ぎて、タフな馬場でのパフォーマンスは微妙、という可能性も僅かながら頭の片隅に置いておいた方がいいタイプではあります。
 またスピード色が強すぎるのと、後半要素で加速と切れが上位に来ているあたりからも、本質的にはマイラーっぽい、それこそダノンキングリーと同じようなタイプなんじゃないかな、とは思うので、無論3歳春なら誤魔化しは効くにしても、2400mがベスト、ではないのは確かだろうとは感じます。
 それでもこのスケール感と操縦性の良さは2歳馬離れしていますし、もしも朝日杯に出るならまず負けないとは思います。サリオスも強いですけど、あちらはハーツ産駒らしく持続特化の方向性なので、一瞬の切れではこちらに軍配が上がると思いますしね。でも一度マイルで勝ってしまうとその後が難しそうでもあり、そこは贅沢な悩みになりそうですね。

 2着のアルジャンナも、全体で流れた中で後方でじっくり、素材を問われるレースで流れにも噛み合わせつつ、この馬の精一杯の走りは出来ていますし、実際にこの馬の時計でも2歳レコード、充分例年ならクラシック主役級と評されていい走りは出来ていますからね。
 勝ち馬との差としては、やはり2000mで下ろした分前半の速い部分でスムーズに流れに乗っていけなかった事と、一瞬の切れ味の差になるはずで、ラストの持続面だけならそこまで遜色はなかったですし、2400mになれば付け入るスキはちょっとあるかも、というイメージは持てます。
 この馬自身は血統的にもミスプロがかなり薄くて、そこまでマイラー色は強くないですし、1800m以上でしっかり実績を積み重ねつつ、大舞台までにちゃんと理想的な成長曲線を描ければ、というところですね。ただあまり器用さもなさそうなので、無理に皐月賞戦線は狙わなくてもいいかもしれません。

 3着ラインベックは、この枠からでも改めて競馬の上手さは見せましたし、アルジャンナあたりと比較すればこの流れを前々でついていくのは2歳馬にとってはきつかったと思うので、着差ほどの差はない、とは思っています。
 ただやはり本物であれば、あの位置からでも一足くらいは加速して然るべきではあり、素材感・完成度という視座ではやはりまだまだ足りなかったというのを露呈したレースではあったかなと感じます。
 競馬が上手なのは強みになりますし、ある程度トリッキーな流れに対応力はあると思うので、この馬は皐月賞戦線の方が楽しみはありそうですね。差流石に絶対能力ではいかんともしがたい感じですが、立ち回りの上手さが活きる舞台でなんとか台頭を、という感覚です。

 4着オーロラフラッシュも、こういう一貫戦は血統的に向いていたと思いますし、それを後ろで我慢できていたので噛み合ったはずで、それでこの差ですから流石に地力の差が大きすぎた感はあります。
 それと、この4着はあまり鵜呑みにしない方が良くて、自分でレースを作れる馬ではないので、自己条件で緩い流れからの加速戦とかになればコロッと負けるタイプだとは思います。

 5着のリグージェは、出負けもあって終始おっつけ通しの感じでしたし、内から進路取りも窮屈な感はあって、力は出し切れていないと思いますけど、それでも絶対的な素質の差は突き付けられたレース内容でしたね。
 この感じですとスローからの後半勝負向きですし、もう少し距離が長いところで期待したいですね。ゆりかもめ賞とか、青葉賞戦線でコツコツ稼げそうなイメージはあります。


posted by clover at 16:40| Comment(2) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。
コントレイル、凄かったですね。
個人的にはダノンプレミアムの2歳時並に衝撃でしたが、ディープに近しい衝撃とは…とんでもないですね(^^;
まだまだクリアしないといけない面は多いと思いますが、その分今後が楽しみです☆
このままディープ産駒で超A級馬がいないのはやはり寂しいので期待は大きく持っておきます。
Posted by のぶ at 2019年11月16日 19:23
>のぶ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 ラップ的な観点で言えば、馬の底力というのは中盤のタフさである程度見極められると思っているのですよね。
 今回のコントレイルの場合、上がり33,1は当然すごいのですが、それを自身1000m60秒を切るくらいの追走の中から引き出した事、後半4Fで44秒台後半、5Fで56秒台半ばを叩き出している点が、2歳馬離れしたパフォーマンスと評価している根拠にはなります。

 ダノンプレミアムも鮮烈でしたが、ラップ的に言えば常識的な2歳トップレベルのラインを突き抜けている、とまでは言えない妥当な流れでしたし、特殊な舞台だけに眉唾な部分はあるにしても、自身の後半要素だけでこのレコード、ぶっちぎりをあっさりやってのけたのは、文字通り規格外の可能性はあると踏んでいます。
 次走はマイルは避けてホープフルSになるようで、当然昨日とは全く別の適性を問われるので、そこでもすごいレースを見せてくれるならいよいよ本物のはずですし、今からワクワクが止まらないですね。
Posted by clover at 2019年11月17日 03:40
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