今日は不思議と全場荒れ気味でしたけど、それにしても重賞ふたつも中々に難しいレースになりましたね。
個人的に武蔵野Sは、ペース読み間違えなければ、ってところはあるのですけど、諸々反省も踏まえて今後に繋げるため、きっちりと回顧していきましょう。
★武蔵野S
今日の府中のダートは,このレースの前までに2歳戦しかなかったので判断が難しいところもあるのですけど、良馬場でも未勝利マイルが1,38,8、オキザリス賞が中緩みからの再加速戦で1,25,1とまずまず出ていましたし、やはり良としては軽い方、だったと思います。
そうなると、流れてしまえばこのくらいの時計は出ても不思議ではありませんし、全体として追走面が強く問われた一戦になっていて、縦横のポジショニングで色々と明暗が分かれた感じですね。
レース展開ですが、まずドリームキラリがいつものように押して押してハナ、しかしそれを積極的にマジカルスペルが追い掛け、そしてなんと外から好発を決めたサンライズノヴァが3番手の外という、目を疑うようなポジションで競馬を進めてきました。
内からはグルーヴィットがポケット狙い、エアアルマスも芝地点ではそこそこダッシュを決めて好位、と思わせたのですが、ドリームキラリを行かせて外に、という所でやっぱり被せられ、砂を被って嫌がりズルズル後退していってしまいます。
デュープロセスも芝地点はイマイチでしたが、ダートに入ってリカバーして先団の後ろ、スウィングビート、ダンツゴウユウも先団に入っていきます。
そこから少しスペースが出来て、丁度中団くらいにタイムフライヤーが内目に潜り込んで追走、その後ろにワンダーリーデルとカフジテイクがいて、ダノンフェイス、アディラート、フェニックスマークなどが後方集団、最後方にアードラ―という形でしたね。
ラップは34,7(11,57)-23,9(11,95)-36,0(12,00)=1,34,6(11,83)という推移でした。
ハーフで見ても46,5-48,1なので、極端ではないもののメンバー構成を考えると結構ハイペースに振れたな、という感じで、マジカルスペルの内田J、更にはサンライズノヴァの森Jと、この2頭が積極果敢なレースを展開した事で、結果的に前々には厳しい流れになってしまった感じはします。
ラップ的にも中盤殆ど緩まず、一応坂地点で余力ある馬が一気に先頭に立つ、という形の中で加速ラップにはなっていますけど、全体的には消耗戦の色合いは強いかなと踏んでいます。
どのポジションでも高い追走力が問われる中で、コーナー地点でも緩んでいないのでロスなく立ち回りつつスムーズに、という競馬を両立させられるのがベストなのは間違いなくて、1~2着馬は綺麗にそれが出来ていたな、というのが率直な感想です。
勝ったワンダーリーデルは、横山Jが今週も抜群に上手かったですね。
芝スタートではいつもそこまでついていけない馬なので、内の馬が行くのを見てリズムを崩さずに進めつつしっかりインベタ、そのまま4コーナーまで前にスペースを置いてストレスのない走りが出来ていましたし、外を回した馬がコーナー地点で苦しくなったのもあって、労せずにコーナー出口からベストの角度で大外まで一気に持ち出す事に成功します。
そんな風に勢いに乗せつつ入れたことで、最速地点の11,6のところでスパッと切れて、この馬自身は11,3くらい、先に抜けていたタイムフライヤーを楽に捕まえてきましたし、そこからも惰性でしっかり伸び切っての強い競馬でした。
馬自身このコースと叩き2戦目がベスト条件だったのはあるでしょうし、どちらかと言えばハイペース向きの馬なので、ここまで淡々と流れてくれたのもお誂え向きだったと思います。
距離自体はクリアしそうですけど、坂スタートでそこまでペースが上がりにくく、コーナーが急な中京1800mがマッチするタイプか、と言われるとそこは微妙なラインで、今の充実度なら去年のウェスタ―ルンドみたいなインベタが嵌り切れば面白い、くらいは言えますけど、まあメンバーも違いますし、ここは有力馬が自滅する条件でもあったので評価は難しいですね。
2着のタイムフライヤーも立ち回りとしては完璧で、勝ち馬との差は要所の切れ味の差、としか言えないですね。
個人的には府中マイルでも、時計の出る秋より冬春のほうがマッチしそうなタイプかなとは見ていて、追走もパワーもあるので、今日くらい流れてくれれば中団、緩くなりそうなら前目など、臨機応変にポジショニングを意識しつつ進めていければ、今後もダート路線でチャンスはある一頭かな、と思います。
結局のところ切れ味不足が芝でもダートでも問題なので、それをどこで補ってあげるか、乗り手のセンスと胆力が問われると思いますが、左回りの方がコーナーもスムーズでしたし、中京1800mでそこそこ前目に入っていけるなら楽しみはありますね。砂を被っても問題なかったのも収穫、と言えるでしょう。
3着のダノンフェイスは、確かに前走復活の兆しは見せていましたし、流れてくれれば、という他力本願が噛み合ったのも確かですが、最後はいい脚だったと思います。
どうしても今は差し一手の馬になりつつあるだけに、狙いどころに難しさはありますが、今は少し息が入りやすいこの位の距離の方がマッチするのかもしれませんね。
4着ダンツゴウユウは先団の後ろで上手く脚を溜められましたけど、直線前が詰まって残り200mまで追えなかったのが勿体無かったですね。スムーズなら3着まではあったかもしれません。
元々この馬も追走特化のパワー勝負でいい馬ですし、久々に条件として噛み合った、ならばここまでやれた、というのは一定の評価は必要で、こちらも舞台とペースのスポットが狭いとはいえ、ひとつ目途をつけてきた内容とは言えるでしょう。
5着サンライズノヴァはうーん、結果的にあの位置から勝ちに行って59kgで粘っているのですから地力はある、というしかないんですが、流石に今日は強気すぎたきらいはありますね。
ただ今更になってここまでスタートが改善されたり、行き脚が良くなるのもまた意外で、その辺地方騎手ならではのなにかはあるのか?とも思ってしまいますし、単に馬の調子が良かったのかもですけれど、どちらにせよポジションが取れて悪い事はないので、来年のフェブラリーSに向けて収穫はあった内容、と見ていいのではないでしょうか。
7着デュープロセスはまぁ、難しいところですけどユニコーンSくらい走っている、と言えばそうなんですよね。
窮屈なポジショニングだったのもありますし、その中でしぶとく脚は使えているとは思うのですけど、流石にまだこのレベルに入るとワンパンチ足りない、というのはあるのかもしれません。
10着エアアルマスは、やはりどうにも競馬になっていなかったですね。
色々馬具などの工夫もあったようですけど、もろに砂を被ってしまうと嫌気を差す所は2走前から進歩がなかったですし、流石にこのレベルであそこまで遅れてしまい、しかもラップ的にも外を回すのが厳しいとなると苦しかったと思います。
といって逃げるわけにもいかないですし、わざと出負けして後ろからソロッと、も出来ないでしょうからねぇ。やはりこのレベルまで来ると、外枠以外では狙いたくないですね。
★デイリー杯2歳S
今日の淀の芝は良でしたが、やはり全体的には少し荒れてきていて、パワーを要するそれなりに時計の掛かる馬場、だったと思います。
9Rの宝ヶ池特別が48,8-46,2=1,35,0とかなりのスローとは言えここまでの時計、最終の2200mが61,9-12,4-59,5=2,13,8であり、1Fは速いラップを踏めても、それを2~3F持続するのは結構難儀という、タフ寄りの馬場には感じました。
その中である程度流れての1,34,5は先ず先ず、というレベルだと思いますし、この時期の2歳戦としては比較的出し切る形になって、素材と適性は色々浮き彫りになった面白い一戦でしたね。
レース展開は、まず内からじわっとコルテジアがハナを取り、ペールエールが番手外、サクセッションが2列目ポケットと有力馬が前につけていきます。
その後ろにインザムード、ライティアは少々頭を上げ気味の追走で、中団にトリプルエース、その後ろにウイングレイテスト、出負けしたレッドベルジュールは内外どちらでも選べる位置でじっと我慢していましたね。
ラップは35,3(11,77)-24,4(12,20)-34,8(11,60)=1,34,5(11,81)という推移でした。
思ったよりは全体で淡々と流れましたし、坂の上りで12,5と遅くなって、ハーフで見ると47,8-46,7とややスローバランスにはなりますが、坂の下りから11秒台に入っており、またそこでサクセッションマーフィーJが仕掛けていったのもあって、後半は加速力はそこまで問われず、切れ味の質とそこからの持続力が求められる底力寄りの総合力戦になっていると思います。
大枠で見るとある程度ペースアップしたところでタイトに立ち回れた組が有利だった面もありそうですし、まだ体力のつき切っていない2歳馬にとっては結構タフなレースになったな、という印象を持ちました。
勝ったレッドベルジュールは、喉鳴り情報やら+28kgやら出負けやら色々ありましたが、終わってみれば完勝でしたね。
むしろ出負けした分自分のリズムで、馬群に揉まれない楽な位置での競馬を選べましたし、道中は馬場の綺麗な外目を、そこから4コーナーではインに潜り込んで、最短距離をノーブレーキで走らせてくるあたりは、いかにも武Jらしいコスパのいいコース取り・戦略で、馬もそれにきっちり応えるセンスの良さ、要所の反応の良さを見せてきたなと感じました。
ラスト200m地点ではほとんど先頭に並びかけていますし、残り400m地点では少なく見ても3馬身はあったので、大体この馬は11,0-10,9-11,9くらいの走破になるはずで、下りからじをっとエンジンをかけて長くいい脚を繰り出してきましたし、最後まで後続を寄せ付けなかったのは素材かな、という感覚です。
やはり早期デビューからの休み明けはもはやトレンド、割り引く必要はないのかというのを改めて見せつけるレースになりましたし、まだ馬体には余裕残しを感じたので、次に向けての上昇もあるでしょう。
ただ多頭数マイルでの競馬になると、今日の様な出負けは致命傷になりかねないので、そこは注意して欲しいですね。ただこの形で後半の持続力と切れ味の質でかなりいいものを見せてきましたし、阪神の経験があるのもプラスで、本番でもかなり楽しみな一頭になったな、と思います。
2着のウイングレイテストは、こちらも全体でそこそこ流れて、かつ仕掛けが速くなって切れ味の質を極端に問われず、底力勝負になって良さが出てきたな、という感じです。
スタートは良かったですが、枠なりに控えて後方からで、コーナーでは上手く内目に潜り込んできたものの、武Jと狙いどころが少し被った感もあり、そこは枠と前準備の差でちょっと踏み切れなかったところがあったのは勿体ない、とは言えるでしょう。
ただこの馬も荒れ気味の馬場を苦にせず力強く最後まで伸びていますし、タフな競馬はマッチしている感じで、ここで賞金加算できたのは今後に向けて大きいですね。
阪神マイルですと流石に切れ負けしそうですし、タイプ的にはホープフルS狙いの方がいいと思います。
3着ペールエールは、悪くない競馬ですけど、このラップ推移でなら勝ち切って欲しい条件ではあったんですけどね。
敢えて言えばサクセッションの早仕掛けにある程度付き合うしかない位置取りで、コーナー外外になった分持続面で甘くなった感じで、新潟2歳の内容からも、もう少し一瞬の切れを問われた方がいいタイプなのかもしれません。
改めてレースセンスの良さは見せましたが、後半の絶対的な末脚の量で不安を露呈する内容ですし、本番で勝ち負け、というラインからは一歩後退に感じる走りでした。
4着トリプルエースは、道中の立ち回りが後手後手だったのが勿体無かったですね。
はじめて先ず先ずのスタートを決めたのですけど、馬群の中に潜り込む形で折り合いに専念、コーナーでも前が動いて流れていく中で窮屈な位置取りになって踏み遅れ、という感じで、直線入り口でスッと置いていかれてしまったのが致命的だったかなと思います。
ラスト1Fは対ペールエールで見ると一気に3馬身ちょっとは詰めていて、持続面では底を見せない結果だったと思うだけに、スムーズに出し切ってどこまで来られたかは見てみたかったですね。ただマイル自体はやはり問題ないと思います。
けれど、この馬もスパッと切れるタイプではないので、本番でチャンスがあるとすれば少し渋った時かな、というイメージにはなりますね。
5着ライティアは、ただでさえ小柄な馬が-10kgとギリギリの感じでしたし、レースも馬群の中で少し行きたがって苦しい立ち回りになってしまいましたね。
もう少し下げ切るか前に出していくか、メリハリのついた競馬をしてあげた方が良かったとは思いますし、道中のロスがなければどこまで伸びたかは難しいところですけれど、ちょっとこの一戦で評価を決め難い内容だったなと思います。
どちらにせよ馬体的に物足りないのは事実で、姉の影を無理に追わずに一度しっかり休ませて、成長を促した方が楽しみは膨らむタイプには感じますね。
6着サクセッションは、まあ本当に強い馬ならあれでも勝てるかもですけど、流石に早仕掛け過ぎでしたね。
マーフィーJらしい強気さと言えばそうですけど、やはり外回りでは御法度の下りスパートでしたし、馬自身遠征競馬で少しテンションが高いのもあって、最後は完全にガス欠、という感じでした。
実際ペースは速くはなかったですけど、それでもこの馬が体験する流れ、としては一番速いレベルではありましたし、経験の薄い若駒にあれで粘り込め、というのは少し厳しかったなと思います。
マーフィーJ自身京都ははじめてですし、内回りで早め先頭でふたつ勝ちましたけど、やっぱり外回りは一味違う中、このレースは早仕掛け、最終は逆に待ち過ぎという感じで、今日のところは洗礼を受けた格好ですが、明日に向けてしっかりアジャストしてくるか、そこは注目しておきたいところです。