2019年11月04日

2019 JBC3競争 レース回顧

 史上初の浦和開催となったJBCですが、やはり南関でも屈指のトリッキーさを誇る浦和だけに、人馬ともに地元勢の活躍・健闘が目立つ結果になりましたね。
 全体像として痛ましい事故があったり、ゴール前の攻防の明暗で思う所もあったりと、情緒的な感情に染まりやすいレースばかりで、中々に感情の整理が難しいところもありますが、一先ずはしっかりレースそのものを見据えて丁寧に回顧、していきましょう。


★レディスクラシック

 ここは、アメリカからとんぼ返りの武Jが駆るヤマニンアンプリメが、芸術的なコーナリングから直線逃げるゴールドクイーンを見事に捉え、好時計での嬉しい初GⅠ勝利となりました。長谷川厩舎としても当然初GⅠですし、武JのJpnⅠ完全制覇も含めて記録づくめの内容で、本当にこれであの落馬事故さえなければ、素直にいいレースだったと言えるのに…………ですね。

 馬場状態はここでまとめて書いてしまいますが、思った以上に降雨があったようで、終日重馬場での開催となりました。
 他の南関ですと、重馬場になるとかえってタフな馬場になったりもするのですが、浦和はちゃんとその分だけ高速化する、という感じで、B2クラスで1,28,7が出ていましたし、それなりに軽い馬場だったのは間違いありません。
 ただその中でも、近年のこのコースで1,24,5は破格の勝ち時計になりますし、次のスプリントと比較しても、今日のヤマニンアンプリメが極めて強かった事に異論はないでしょう。どう見てもゴールドクイーンの勝ちパターンでしたからねぇ。

 レース展開は、この馬場で激しい先行争いが繰り広げられ、内からモンベルデュ、タイセイラナキラ、アップトゥユー、ゴールドクイーンが是が非でもハナを、とばかりに積極的な位置取りを仕掛けますが、その争いの中でタイセイラナキラの矢野Jが少し内に切れ込むのが強引で、結果的に少しだけ立ち遅れて挽回を企図していたモンベルデュの戸崎Jが落馬、救急車で搬送という痛ましい事になってしまいました。
 正直レースリプレイ見るのも気が進まない感じではあるのですが、改めて見てもやっぱり、体半分残しているのにコーナー手前からの切れ込みが強引には見えて、勿論モンベルデュの出足がつかなかったのもありますけれど、正直この時点で外の2頭の方がより速くて、ハナを切れる公算は相当低かっただけに、余計にその視野の狭さが悔やまれる格好ですね。
 人馬ともになんとか軽傷で済んでくれればなによりですし、戸崎Jにはこの後のGⅠでもいい馬が揃っているだけに、早期の復帰を祈っています。

 ともあれ、実力の違いで最後は強引にゴールドクイーンが外からハナを取り切ってハイペースで飛ばしていき、その先団に枠が外だったファッショニスタが加わっていきました。
 その後ろにラーゴブル―、ミッキーオフィサーあたりが続き、武Jのヤマニンアンプリメは抜群のスタートでしたが、周りの4頭が熾烈なハナ争いをする中で冷静に周りを見まがらポジションを誘導、戸崎Jの落馬の時もチラッと様子を窺う余裕があり、最終的には中団の内目から向こう正面入り口でじわっと外に出していく形を選択します。
 レッツゴードンキはスタートも良くなく、出足がつかずに完全においていかれて後方からの競馬、流石に浦和ではこの時点でジエンド、という感じでしたね。

 ラップは34,4(11,47)-12,2-37,9(12,63)=1,24,5(12,07)という推移でした。
 テンの争いが見るからに熾烈で、実際に数字的にも超ハイペース、いくら重馬場の浦和でもこれだけのハイラップはまず滅多にお目に掛かれず、そこは流石にGⅠに出て来る猛者が集った一戦、と呼ぶべきでしょう。
 それを外々から、コーナー中間でやっと制してハナ、となったゴールドクイーンや、外から押し上げていったファッショニスタにはそれなりにロスが大きい形の中で、武Jのヤマニンアンプリメだけが馬のリズムでしっかり追走出来ていた感じです。

 後半は12,2-11,9-13,0-13,0と、中間で一息入ったもののやはり浦和らしく3角手前から再加速、コーナーでも極端には緩まずですが、それでも消耗戦なのは間違いのないところです。
 まず決定的に前半の追走力が問われた上で、コーナー手前からの加速力とコーナリングの器用さが強く問われている一戦で、走破時計を見ても普通ならゴールドクイーンが圧勝していていいレースで、そのゴールドクイーンにこれだけの差をつけたヤマニンアンプリメ&武Jの立ち回りが神かがっていた一戦だと思います。

 とにかく勝ったヤマニンアンプリメは、馬の状態も報道通り絶好調だったのでしょうが、それ以上に武Jのエスコートが完璧に過ぎましたね。
 前走は外枠だった事でポジショニングがイマイチでしたが、今日は内枠で素晴らしいスタートを決め、周りの馬がこぞって前に入っていってくれたことでスペースが充分にあり、馬のリズムを保ちつつベストのポジションを取り切れたのは、多少恵まれた面もあるかな、と思います。
 ただ改めて武Jが、地方小回りの乗り方を熟知しているな、と実感させられたのは、向こう正面で迷いなく大外に持ち出し、しっかりと3角の入りで外から角度をつけ、少しでも減速を留める意識をはっきり持って入っていった点に尽きると思います。

 結局浦和の勝負所って3角、って場合が多くて、ここでスーッと動けるかは当然馬自身の器用さもあるのでしょうけど、騎手の扶助、少しでも馬に楽をさせるコーナリングを心がけてあげる事が、この競馬場では他よりかなり比重が高い、と改めて実感しました。
 勿論ファッショニスタ川田Jあたりも、ある程度外目から勢いに乗せて進めているのですけど、この馬の場合は馬自身の器用さも足りない、かつ横のポジションでまだ半端だった感じで、距離ロスよりも減速ロス、としっかり割り切ったエスコートを、きっちりアメリカ帰りで時差ボケもなくやってのける武Jのプロフェッショナルの凄味を、あの3角の入りにまざまざと見せ付けられました。
 実際に状態面などもあったにせよ、斤量が軽かった前走に比較してもコーナーでのスムーズさが段違いですからね。岩田Jとて地方競馬は知悉している方だろうに(勿論園田出身なので難関が庭、とまでは言えないでしょうが)、それ以上にいともたやすく馬を動かしてくるこの技術は、正に熟練の一言、馬もそれに応えて完璧な走りでした。
 道中ロスがない分、ラストもこの馬自身は12秒台で駆け切っており、ラップバランス含めて完璧な勝ちっぷりだったと思います。

 2着のゴールドクイーンも、やっぱりハナを切れてさえしまえばハイペースは全く苦にしませんし、少し雨が降って軽い馬場になったのも僥倖で、普通なら勝っていいレースだったのに、今日は相手が悪すぎました。
 もっとも、かなり強引にでもハナを奪えたのは、内のモンペルデュの落馬があった分、というのもあり、そのあたりは皮肉にはなってしまうのですけど、とにかく左回りの不安は払しょく、1400mまでの軽い馬場なら、ハナさえ切れてしまえばかなり強いのは証明できたと思います。
 個人的に距離はもう少し伸びてもやれるかな、という感触はあって、一度府中の1400m、1600mを使ってみて欲しいのはありますね。今日は人馬ともに腹を括ったいいレースでしたし、ただGⅠを獲る、という意味では千載一遇の舞台だっただけに無念でしょうね。

 3着のファッショニスタは、外枠から追走にかなり脚を使わされしまったのと、予想以上にコーナーでの機動性が鈍くて、流石にあれでは難しいですね。
 川田Jとしても、あの前の流れなら序盤からあそこまで無理に前に入っていく必要はなかったのでは?という感覚はなくもなく、昨日のインティもそうですが、ポジショニングありき、の部分がちょっと強く出ていて、ここ最近は柔軟性が足りていない印象はどうしても受けました。
 例えばヤマニンアンプリメの外くらいにいて、ヤマニンアンプリメの持ち出しをブロックしつつ向こう正面で一呼吸早くスパート、という形であれば、もう少しは抵抗できたのかな?とも思わなくはないですが、それでもこの馬の形は作っていますし及第点の内容ではあったでしょう。
 最後交わされそうで交わされない粘り、持久性能はやっぱりいいものがありますけど、大型馬だけにコースを選ぶ、というのはどうしても出てしまうのでしょうね。

 4着ラーゴブル―、5着ミッシングリンクは、枠なりに外目からある程度勢いに乗せて入っていけましたし、時計的にも自分の競馬はしていると思います。
 全般的に今日の浦和は外の馬場の方が伸びていた感触もありますし、その辺りをキャッチするのはやはり普段から乗り慣れている地元の騎手に一日の長があるのかな、とは思わせるところで、実際にこの後の2レースではそれがより強く出た内容になっていたと感じますね。

 6着レッツゴードンキはまずあのポジションではどうにもなりませんし、後半の脚もイマイチで、やはり浦和は全てにおいて合わなかったですね。


★スプリント

 ここも超熾烈な先行争いの中から、藤田菜Jのコパノキッキングが堂々抜け出し、GⅠ初制覇なるか!と大歓声のゴール前で、虎視眈々と追走していた地元浦和、御神本J騎乗のブルドックボスが強襲、見事に差し切ってフジノウェーブ以来の地方馬によるJBC制覇を成し遂げました。

 レース展開は、内からノブワイルドが好発を決めて、いつものようにマイペースに持ち込もうとしますが、そうはさせじと中央勢が強襲、サクセスエナジー、ファンタジスト、コパノキッキングと競っていって、レディスクラシックにも劣らない強烈なハイペースが展開されていきます。
 その争いから脱落したサクセスエナジーが意気阻喪の4番手、ミスターメロディが内枠から上手く外目に持ち出してその後を追走し、ブルドックボスとショコラブランがその後ろ、ノボバカラはスタートでごねまくった挙句に出負けして最後方からの競馬になっていました。

 ラップは34,1(11,37)-12,4-38,4(12,80)=1,24,9(12,13)という推移でした。
 直前のレディスクラシックで、まず滅多にお目にかかれない前半のハイラップ、と書きましたが、しれっとここでそれを上回る激流が展開され、特に2F目の10,5はえげつないラップですね。
 こちらも中間で一息は入っての再加速戦は変わらず、12,4-11,8-12,9-13,7という推移で、全体像として微差はあれど残り1Fまではレディスクラシックとほぼ同じ推移、しかしラストで13,7と一気に消耗したところで、短い直線でも足を残した馬の強襲が嵌った、というレースになっています。
 勿論どのポジションにいても追走が強靭に問われているのは間違いなく、全体としては中団以降で無理なく入り、かつコーナーの入り方をしっかり丁寧に進めた馬が上位に来ているのかな、という印象ですね。
 しかしまぁ、勿論地方馬&地方騎手の制覇もうれしいニュースではあるのですけど、流石にあそこまで行くとコパノキッキング&藤田菜Jの方を応援してしまいますよねぇ。ゴール前は本当に、浦和の直線なのにやたらと長く感じました。

 勝ったブルドックボスは正直このコースとハイペースがあまり向かないのでは、と思っていたのですけど、叩き3戦目で状態も上がっていたことと、雨が降って高速寄りのダートになった事、全体的にオーバーペース過ぎて、その中では追走面の不安が相対的に露呈しなかったのもあるのかな、と思います。
 スタートはとても良く、先行争いに加わるか、くらいの行き脚でしたけど、流石に前が暴走気味と踏んでクレバーにペースダウン、中団の外目、いつでも動ける位置につけていたのは流石の御神本Jでした。
 コーナーも巧みに外目から勢いに乗せつつ、それでも流石にそこではあまり差を詰めては来られませんでしたけど、直線に入って外から一頭だけぐいぐいと先に抜けたコパノキッキングを目標に追撃、強い競馬で捻じ伏せてきましたね。

 展開的にこちらの方が嵌ったのは間違いないですし、ラップ的に見ても前が完全にオーバーペースで止まっているのは明らかなので、この馬が伸びたわけではないのですけれど、それでもしぶとく最後まで減速を留めてこられる耐性は、長い地方競馬経験で培ったものだと思いますし、一時期不調期もありましたが、敢えて早期の移籍を決断したオーナーや、厩舎一丸の努力が実を結んだ見事な勝利だったと思います。

 2着のコパノキッキングは、充分合格点の立ち回りはしていますし、馬も強かったですけど、若干運も悪かったですし、外枠でやっぱり難しい競馬にはなってしまいましたね。
 そもそもとして、一頭だけ先にゲート入りさせられて、その後かなり長くノボバカラがごねていたのに、ずっとゲートの中で待たされていたのは不公平だったなと正直思いますし、そのせいでスタートミスするか、とも思ったのに、ちゃんと抜群のダッシュを決めてきたあたりの精神力は、人馬ともに褒められていいと思います。
 ただ結果的に、あそこまで激流になるならもう一列後ろでも良かったな、という感じで、外を回っていた分コーナーの入り方はとても良く、一気にスピードに乗せつつ完璧な立ち回りが出来ていたと思うのですけど、やはりハイペースだと1200mならともかく、1400mでは最後一気に甘くなってしまいました。

 それはレディスクラシックとのラップ差、時計差を見ても明らかですし、強い競馬ですが、敢えて厳しい事を言うならべストの競馬ではなかった、最後の差はその分だったとは思います。
 ただこの若さの騎手にそこまでクレバーな立ち回りを要求するのは酷ですし、そもそもそれを言ったら松山Jや藤岡佑Jは頭丸めて出直してこい、ってレベルですから、少なくとも馬との呼吸は合わせて、しっかり浦和の勝ちパターンを踏襲して素晴らしい競馬を披露してくれた、とは言っておきたいですね。本当に、あそこまで言ったら勝たせてあげたかったですけどねぇ。

 3着トロヴァオは、もう完全に嵌った形ですし、前の自滅的な部分も大きいのでなんともですねー。
 4着ノボバカラも、前走同様ポジションが取れないだけでこのコースとハイペースはマッチしているみたいで、惜しい競馬ではありました。
 5着ノブワイルドはあそこまで競り込まれてしまうと流石に苦しかったですし、それでも自分の時計よりちょっと遅いくらいで粘り込んではいるのですから立派だったと思います。
 6着ミスターメロディは、やはり内枠ですと砂を被る位置での競馬はし難いですし、下げて外に出して正攻法、では、距離も含めてちょっと足りなかったなと思います。
 10着ファンタジストはそもそもハイペース向きでもなく、ダートも合わない感じですね。
 11着サクセスエナジーも、強引に先団に加わろうとしてダメで、前をカットされて意気阻喪では流石に残念な騎乗でしたし、馬自身も下降線なのかな、と思わざるを得ない結果でした。


★クラシック

 ここは4歳世代屈指の実力馬であるチュウワウィザードとオメガパフュームの一騎打ちになって、そこはいいレースでしたけど、ゴール前の攻防の明暗が本当になんとも言えない感じではありましたね。

 レース展開は、ワークアンドラヴとシュテルングランツ、ストライクイーグルが先行して、チュウワウィザードが4番手でいつでも外目に持ち出せる位置、センチュリオンが外から続いて、ロードゴラッソとアンデスクイーンがその内目、オメガパフュームはスタートはやっぱり悪くて後方3~4番手からゆったりと、クインズサターンも後ろからの競馬になりました。

 ラップは36,9(12,30)-52,0(13,00)-37,2(12,40)=2,06,1(12,61)という推移になっています。
 序盤はそこそこ流れていますが、スタンド前で落ち付いて中盤はかなりの中緩み、後半は13,2-12,1-12,6-12,5と仕掛けはそんなに速くなく、コーナー手前からペースアップしての3F戦、という感じです。
 中緩みが大きかった分全体時計はちょっと遅めで、それでも後半の持久力勝負で人気の二頭のマッチレースは見応えがあると同時に、道中の駆け引きなどでやはり地元勢に一日の長を感じた一戦でもありますね。

 ゴール前の勢いはオメガパフュームの方が上で、実際にミルコJはウイニングラン的な戻り方をしていたのですが、文字通りゴール板の地点「だけ」、チュウワウィザードが懸命に鼻面を伸ばして先着、という感じで、イメージ的にはグラスワンダーとスペシャルウィークの有馬記念みたいなレースになりましたね。
 正直川田JもミルコJも、この秋はどうにもリズムが狂っている感じは強く、騎手にとって大きなレースの勝ち鞍は一番の薬ゆえ、それぞれにここは絶対に勝ちたい一戦だったはずで、この勝者と敗者のコントラストは正直残酷だなぁとさえ感じてしまう一幕でしたね。
 ミルコJもいよいよ、今週のラヴズオンリーユーが最後の砦みたいになってしまいますが、なんとか頑張って、持ち前の思い切りを取り戻して欲しいのですけどね。

 ともあれ、勝ったチュウワウィザード川田Jの立ち回りも特に非の打ちどころのない、教科書通り、というしかない精密な立ち回りで、馬自身もそれにしっかり応える操縦性と器用さ、力強さがあり、ここは人馬ともに嬉しいGⅠ制覇になったと思います。
 前半のポジションは、行きたい馬を行かせて、それでもいつでも動ける理想的な位置でしたし、前の3頭が後半当てにならないのはしっかりわかっていて、向こう正面で早めに外目に持ち出していったのも、ファッショニスタでの反省がきちんと生きている感じで、この辺りの理詰めの動きが躊躇いなく出来るのは川田Jらしい強みだなと思います。

 ペースも遅かったので、ある程度向こう正面の遅い地点から動かしていったのも結果的に大正解で、ラストまでそんなにラップが落ちない展開の中、絶対的な持久性能では相手に分があるので、直線までのポジション差をしっかり残していたのが勝因、と言って過言ではないでしょう。
 勿論この馬自身浦和がベストコースではないでしょうが、それでもそつなくどこでも強い競馬が出来るのは本当に強みで、やや実績馬に陰りが感じられるチャンピオンズカップの舞台では、この安定感は大切になってくると思います。
 ただ川田Jはクリソベリルとどっちに乗るのでしょうね?なんか向こうはキャロットだけに、これだけうじゃうじゃ短期外国人がいると…………なんて嫌な感じもなくはないんですが、どうあれ秋初戦を最高のスタートで、血統的にも、脚質や堅実さでも、ホッコータルマエの後継者的な感じでもあり、この先の飛躍がとても楽しみな一頭ですね。

 2着のオメガパフュームも、この馬としてはこれしかない、という丁寧な立ち回りで、文字通りミルコJの一鞍入魂、完璧なレースだったと思うだけに、勝ったと思ったところでのあの掲示板の点灯は本当に可哀想で、メンタル大丈夫かな、と心配にはなってしまいます。
 馬としては当然このコースがベストのわけはないんですが、前半は無理せず後ろから、いつでも進出出来る縦横のスペースは確保する、馬の力を信じたポジションで、向こう正面できっちり大外に持ち出しての3角の入り方も文句なし、そこから狭いところを縫っての進出も繊細なハンドリングで、本当に何度見返してもこれ以上ない、久し振りにミルコJらしい芸術的なライン取りだと思うのですけどねぇ。
 騎乗、としては武Jのヤマニンアンプリメと甲乙つけがたいレベルで、絶賛を差し上げたいのですけど、それで結果だけが伴わなかったのは本当に不運ではあり、今のミルコJの現況を暗示しているようで…………。
 馬としてはこの舞台でも最低限の競馬は出来て、いいスタートだと思いますし、この馬はチャンピオンズカップの舞台はちょっと短いので、東京大賞典連覇本線でいいと思います。

 3着センチュリオンは、外枠だったのも結果的にプラスでしたが、道中の立ち回りで森Jのしたたかさが光っていた3着、だと思います。
 いいスタートからある程度位置を取りつつ、自分の内にロードゴラッソ、アンデスクイーンという当面の敵が不用意に潜っていったので、すかさず外からブロックして窮屈な位置取りに追い込み、そして向こう正面でも早めに鞭を入れてスパート、あわよくばチュウワウィザードにも蓋をしよう、という意図が垣間見られました。
 流石にそれは川田Jの学習力によって回避されてしまいましたけど、それでもチュウワウィザードの外からスムーズにコーナーに入り、最後までしぶとく粘り込んでいて、馬の持ち味である後半の持久性能は存分に引き出せた、とみていいでしょう。
 元々マーチSの勝ち馬ですし、力を発揮出来れば、というのはありましたが、前走がだらしなかっただけに悩ましく、人馬ともに健闘の内容なのは間違いないですね。

 4着クインズサターンも、ちょっと距離が長い中でこの馬の競馬は出来ているのかな、という感じで、そつなく乗れていたと思います。
 5着ストライクイーグルも、ちょっと力が足りない中でバランスのいい立ち回りでしたし、馬の力は引き出せたのではないでしょうか。

 引き換え、今日の浦和の馬場で不用意に内に入れて、そこから動けなくなって失速のロードゴラッソ、アンデスクイーンの藤岡佑J、松山Jは正直残念な騎乗だったと言わざるを得ません。
 まあ松山Jの場合急遽の乗り替わりですし、戸崎Jと比較してはそれは…………ですけれど、それにしてもアイデアのない騎乗でした。ぶっちゃけ武Jの方に乗って欲しかったですねぇ。
 どうしても大箱中央の騎手だと、出来るだけ内目でタイトに、という意識が染みついているのはあるのですけど、それは場所によりけり、また馬場バイアスやコーナリングを含め、素人目でもこうした方が得だ、ってのはわかるくらいなのですから、乗る以上しっかり勉強して欲しい、とは正直思ってしまいましたね。




posted by clover at 17:20| Comment(5) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
好事魔多し—

先にクラシックのレース映像見て、良いレースだなあと思ってたんですけどね...

戸崎Jの負傷は本当に残念です。

エポカドーロとの出会い辺りから勝負師、レーサーとしての資質が花開いていたとこだったのになあと。



Posted by J.N at 2019年11月04日 18:04
申し訳。

指が悪さをしての連闘です(笑)

後味が悪いとこもありましたか゛、正に立ち見!というお客さんも沢山いましたしJBCの本来のあるべき姿はこれなんだよな。と、思いました。

それと、クラシックは日のあたりの関係か一見オメガが差し切ってるように見えましたねえ(笑)

ミルコは敗れはしましたが最高の騎乗でした。

これはチャンピオンズカップが楽しみでなりません(笑)
Posted by J.N at 2019年11月04日 18:14

JBC持ち回り開催システムは良いですね。

出走を決断してくれたキッキングのオーナーと菜七子さまさまによる集客力も上乗せされて、地元県だけと、あの浦和に2万8千超えの観衆とは兎にも角にも仰天です。(苦笑)

大盛り上がりのJBC、そこで主人さんの指摘通り。
昨日、サンデースミヨンとなって注目されたスミヨン騎乗による淀のレースは問題なしと思うくらいに。
浦和を舞台にしたG1レースの雰囲気は、みんなが未体験ゾーンだったとしても。
今回の矢野による端から被せての切れ込みは、、、、ですね。
これはジョッキー及び管理トレーナーから、レース後に怒髪の一撃があってもおかしくないくらいであり。(実際、戸田トレーナーみたいに実行に移したら不味いですが)

見解通り、米国帰りの武がテン乗りで浦和コースも熟知な見事な3角からの仕掛けによって古川を捉えた問題なしのレースを見せた上に、更に陣営によるJBC栄冠を狙ったローテも見事に嵌ったレースだっただけに。
その後、お立ち台インタビューから漏れてきた緊急車輌によるサイレンの音とのコントラストとして生々しく。
とにかく、戸崎の容態が右ひじの骨折との記事が早速に配信されたので早く回復することを願います。

この後味が悪い流れから、スプリントは俺がワイルドのオーナーだったら泣きたいくらいにノブ包囲網による突っつき合いはG1レースの醍醐味と思うマークでしたね。
左海も、突っつきに合ってスタートから脚を使ってしまい脚にお釣りのないレースとなってしまい悔しい思いと思うところです。
まさか、あそこまでファンタジストがテンを決めるとは思わんでした。(苦笑)
そこで、外から菜七子も果敢にターゲットはノブワイルドのみと潰しに行って見応えありました。
激流の中からスピードで押し切ったれ!で、これが1200だったらと思うくらいに勝ち気あるレースぶりでした。
とにかく、キッキングはソラを使う馬だから追い出しタイミングだけは気を付けろと観ていたら。
3コーナーからノブを捕まえる仕掛けに、観衆はテンションマックス状態でしたね。
それと、レース前からキッキングはワンターンが良いと嘆き節だったオーナーも労うしかないと思います。
今回の激流スプリント戦で、前に残って漁夫の利から3着入線のトロバオを3馬身離しての2着入線はキッキングは強しだっただけに。
しかし、ダービージョッキーである根本トレーナーは良い師匠ですね。
彼女がデビュー当時から、積極的にレース勘とジョッキーとしての引き出しを磨かせる為に地方へと参加させたのは客寄せとディすられようが積ませたことは良かったと思います。
馬券を買う無責任な立場ですが、人との巡り合わせは貴重と考えてしまいます。
そこで、天狗になるようならば3流以下ジョッキーですが。
以外に、天狗なって勘違いを起こし師匠と食い違いフリーの立場になったら伸びず終いの男ジョッキーがいるだけに。
あとは、勘違いもせず今後も経験値を積み重ねてもらいところですね。
レースの流れを読みながらの強かさは、悔しい思いした場数を踏んだ己のビックデータをベースに築き上げんと身につかんと思うだけに。
100勝ジョッキーになって減量の恩恵が継続でも減量幅が少なくなりスランプに陥入るかもですが、再びJBCで有力馬に乗って栄冠に輝くまでになってほしいところです。
何せ、50になっても米国からトンボ帰りな武以来、華のある国内ジョッキーが出現してないだけに。
それにしても、もうサクセスはアカンですかね?
テンでは、菜七子も外から来るから良いポジションで無駄に動かず意外にもテンが良かったファンタジストが垂れるのを捌きノブとキッキングを捉えてと思ったんですが、、、道中に首は高く上げる始末だわ、、、福永には捲られるわ、、、もう向こう正面では松山、、、個人的に応援してただけに参りましたね。
最後は、菜七子頑張れになって浦和のB級グルメであるカレーを喰う気力もなく。
これは次走、買うに買えん見送りも良さそうな失速ぶりに唖然となってしまいました。

それと、今回ミルコ1着はダメなんか?と思うところです。
冗談抜きに、ミルコによる憎めない笑顔が印象に残ってしまい。
今回スタートからプラン通り、川田をターゲットに一周目をゆったりと進み川田の3コーナーからの仕掛けどころにアジャストしながらド真ん中から笹川と森の間を突き抜けるあたりはG1銭ゲバと揶揄されたミルコによる見事なエスコートぶりを久々に見れただけにミルコで良いじゃない?と思うくらいに観ている側も心地よい併せ馬でした。
ミルコも、若手時代は草競馬並みのドサ回りをしながらのし上がって来たジョッキーだけに。
今回、小回りの浦和で焦らずコースロスなく進行し川田の仕掛けから勝負のエスコートぶりは本当に良かったので。
ここから、どっと押し寄せる短期免許の外国トップジョッキー参戦てんこ盛りな中央レースでミルコによる健闘ぶりには期待したいところです。
また見立て通り、パヒュームは年末の大井で狙いたい一頭ですね。

しかし、小回りコースによるG1祭りも良いですね。
ジョッキーによる腕や引き出しの多さも発揮されて見応えも十分にあって。
Posted by ギャロップ at 2019年11月05日 00:55
>J,N様

 いつもコメントありがとうございますー。

 正直リアルタイムで見ていたら、のっけからあのえぐい落馬だったので、その後のレースがいかにいい内容でも、ストレートに心に入ってこない感じでなんともでした。
 しかもその後の9、10Rで、やたら矢野Jが穴馬上位に持ってきてるのも、素直に称賛できない気分だったりと、色々無念なところは多いJBCではあったかなと思います。
 戸崎Jは開放骨折らしいですし、少なくとも年内復帰は厳しそうですね。ダノンキングリーとクロコスミア誰が乗るのか?ってのもありますし、仰るように最近は幅のある騎乗が出来るようになって魅力的でしたから、早期復帰を期待したいです。

 クラシックはストップモーションで見ない限りオメガに見えますよねぇ。
 ただちゃんとゴール前だけはチュウワの鼻づらがひょいと出ているのが見えますし、この馬の類い稀なる勝負根性は本当に素晴らしいなと感じます。
 2頭ともにチャンピオンズカップは本当に楽しみで、オメガも去年はスローからコーナーで動けず、でしたが、今年はミルコJが乗れるなら、もう少し工夫は見られるかもですし、頑張って欲しいですね。

 しかし浦和であの入場人員…………正に立錐の余地もなく、って感じだったのではないかと思いますね。
 売り上げからしても、やっぱりコパノ×藤田菜Jが客を呼べる、売り上げを出せるコンテンツだって事も改めて証明しましたし、もっとキャパの大きい舞台で、またこういう粋なコンビが見たいものですね。
Posted by clover at 2019年11月05日 04:38
>ギャロップ様

 いつもコメントありがとうございますー。
 現地にいらっしゃったんですかね?だとすれば本当にお疲れさまでした。

 やっぱりどの角度から見ても、あの落馬の原因になった矢野Jの斜行は酷かったと思いますし、陣営も本当にやり切れない想いになっているのではないでしょうか。
 馬がなんとか大けがでなさそうなのは不幸中の幸いですけど、戸崎Jもリズムが決して悪くはないところで、本来大一番になるはずの2週間を前に離脱は無念の思いがぬぐえないでしょうねぇ…………。

 藤田菜Jは、色々不運がある中でも精一杯頑張りましたし、馬も強かったですよね。
 ある意味武Jの3角でのスマートな下がり方が、藤田菜Jのベストなコース取りを後押ししてるようにも見えましたし、ノブもきっちり潰しましたから、ヤマニンアンプリメとは別の意味でいい仕事はしてますよね(笑)。
 ただ流石に下がっていくのが速すぎて、逆に藤田菜Jの早仕掛けを誘発したのも皮肉なところで、競馬は本当に一瞬ごとの攻防に様々な思惑が詰まった魅力的なスポーツコンテンツだなぁと再認識させられます。

 ミルコJは正直不憫なくらいでしたよねぇ。
 浮かれ気分で検量所に戻ってきて少ししたところで掲示板が点灯したので、その瞬間の表情が画面に出なかったのは幸いというべきか、リズムの悪い時はどれだけいい騎乗をしても…………というのは非情なものです。
 まあ川田Jとしても、ひとつ気持ちを楽にする勝ち鞍にはなると思いますし、先ずは今週、伏兵の立場でどう乗ってくるか、外国人ジョッキーの猛威にどう対抗していくか、期待してみていきたいと思います。
 ミルコJも、ラヴズオンリーユーだけはなんとか持ってきて欲しいですけどねぇ。
Posted by clover at 2019年11月05日 04:45
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