2019年11月03日

2019 アルゼンチン共和国杯・みやこS レース回顧

 今日はGⅠの谷間の2重賞でしたが、まあどちらも変な逃げの形になるとレースはこうなる、みたいな感じで、流石に中々全てのレースでスッキリわかりやすい、を求めるのも傲慢ですけれど、もうちょいなんとか出来なかったんか……と言いたくなる部分は出てくる感じの内容でしたねぇ。
 BCも、やはり今のアメリカの中では屈指のタフなダートになっているサンタアニタだけに、全体的に特別な適性が問われての波乱連発、って感じでしたし、改めて競馬の難しさと怖さを感じる土日ではありました。しっかりと回顧して、次につなげていきましょう。


★アルゼンチン共和国杯

 今日の府中の馬場も良馬場、懸念された降雨もなく乾いた条件でしたけど、流石に少しずつインは土煙が上がる感じで、すごく綺麗な馬場、というイメージからはズレてきたのかなとは思います。
 とはいえそれでも、2勝クラスのマイル戦が46,4-46,5=1,32,9と平均ペースでかなりの好時計ですし、まだギリギリ超高速のラインではあるはずで、またCコースになれば高速化、というお得意のパターンは踏んでいきそうです。
 その中でレース自体は、去年ほどの異常な馬鹿スローではないもののやっぱりドスロー、勝ち時計も2,31,5はかなり地味に映りますし、まあ色々言いたい事は出てくるレースでしたね。

 レース展開は、まず外枠から抜群のスタートを決めたオジュウチョウサンがスーっと果敢にハナを奪っていきます。
 それを外からパリンジェネシス、ウインテンダネスあたりも追走、ムイトオブリガートも先ず先ずのスタートから横山Jが強気に促して2列目ポケットまで潜り込んでいき、その後ろにポポカテペトル、ノーブルマーズなど、全体として外主導の先行争いになりました。
 アフリカンゴールドはそこまでスタート悪くは見えなかったのですが、特有の坂スタートで行き脚一歩、なんとか中団の中目に入っていく形で、ハッピーグリン、タイセイトレイルもその後ろ、トラストケンシンも後ろからで、ルックトゥワイスはスタートは五分でしたがいつものように下げて後方2番手、はっきり立ち上がっての出遅れになったアイスバブルが最後方のインを進む形になりました。

 ラップは44,2(12,63)-38,0(12,67)-36,2(12,07)-34,1(11,37)=2,31,5(12,12)という推移でした。
 ブロックごとの流れを見てもわかるように、外主導の割には前半からガッツリスローで、一応向こう正面半ばから最低限は引き上がってはいるものの、それでも5F戦、といううよりはほぼ直線3Fの瞬発特化に近い形で、ラストも11,3-11,1-11,7と坂地点最速ですから、あまり出し切る競馬ではなく、要所からの器用さや縦横のポジショニングなどで明暗が分かれやすい流れだった、とは言えるでしょう。
 1000-500-1000mで考えても62,0-31,6-57,9ですし、まあこれでも去年よりマシとは言え、オジュウチョウサンに逃げを打たせてこれか……とは言いたくなりますね。

 勝ったムイトオブリガードは、そういうスローを見越したかのような横山Jの迷いない序盤の立ち回りが素晴らしく、馬もしっかりそれに応える器用さと力強さを見せてきた、と言っていいでしょう。
 枠が中目で微妙だったのでスタートが重要でしたが、それをしっかり決めた上できちんとポジションを取る!という強い意志をもって入ってくれて、この流れで2列目ポケットはベストに近い立ち回りだったと言えます。
 向こう正面からじわっと差を詰めていきつつ、コーナーではある程度オジュウチョウサンの後ろであまりスペースを作っていませんでしたが、それは今日の馬場なら内が開く、と見越していたのと、この馬自身が一気に加速を問われても反応できる素地がある、と信頼していたからで、実際に残り400mからの最速地点でスパっと10秒台の脚を引き出して抜けてきました。

 ラストは11,7とちょっとは落としていますが、それでも高いレベルの後半要素をバランス良く駆使してきたと思いますし、まあこの流れで縦横共に最高のポジションに入り込んだ時点で、余程向こう正面から捲ってペースを壊す人馬が来ない限りは必然の結果、とも言えたと思います。
 馬自身まだ5歳秋でも成長している感じですし、スタートが今日くらい安定してくれれば、長距離路線なら高いレベルでやれそうで、有馬記念で見てみたいですね。

 2着のタイセイトレイルは、序盤のポジショニングがかなり悪くなってしまったので苦しいか、と思ったのですけど、予想以上にみんなが少し荒れてきた内を嫌って外に行く中で、全く労せずにインからスルスルポジションアップできた僥倖はあったかなと思います。
 ラップ的にも一応コーナーからそこそこペースアップしているので、タイトに立ち回ってマイナスになることはなかったですし、この馬自身ここまで切れが問われてどうか、とも思ったのですが、流石に左回りのハーツというべきか、期待以上に最速地点でスルッと動けていて、ラストもステイヤーらしいしぶとさで2着争いを制してきましたね。
 今日は色々噛み合ったのも確かですが、そこまで得意でない後半特化に近い形でも結果を出せたのは今後に向けていい材料ですし、戸崎Jもポジショニングはともかく、その後は腹を括ったいい騎乗だったと思います。

 3着のアフリカンゴールドは、まあ1番人気で3着、という結果だけ問えば最低限、ですけれど、正直今日のルメールJの乗り馬の中でもトップクラスに過剰人気だったのは確かですからね。
 斤量的にも結構見込まれていましたし、スタートからのダッシュもイマイチで中団になった時点では飛んでも不思議なかったですが、それでも道中極力ロスをなくし、直線もタイトに、あの狭い隙間を綺麗に割ってきての3着食い込みは正直見事だったと思います。
 ただやはり、ポジショニングを犠牲にする形で後半出し切る形では、最後タイセイトレイルも交わせなかったようにちょっと足りないのは事実なので、そのあたりがもうちょっと安定してくればより強い馬になりそうな雰囲気はありますね。

 4着ルックトゥワイスは、いかにもルックトゥワイスと福永Jのコンビ、って感じの競馬でした。
 ポジションはあれで仕方ないとは思いますが、やっぱり仕掛けどころが遅すぎて、出来る限りコーナー出口までタイトに、そこから外に持ち出しての3F勝負では、このスローの中では無理なんですよねぇ。
 この馬をこの流れの中で勝たすなら、ロスを承知で3コーナーからぶん回していくくらいでもいいはずで、勿論それで負けた方が非難は大きいでしょうけど、そういう馬なのは過去の戦歴が証明していますからね。
 実際に目黒記念程流れず、それでも去年のこのレースよりはまだ流れた、という中での4着はど真ん中ですし、馬自身追われて坂地点の反応は鈍いものの、ラスト1Fは11,1~2くらいで猛追は出来ているので、能力落ちとかそういうことはないと思います。
 まあ休み明け、故障明けで無難に、という意識もあったでしょうし、強いんですけど狙いどころは難しい馬です。むしろ今なら、中盤から淡々と流れる前提でJCの方が強い競馬が出来る可能性はあるかもですね。

 5着トラストケンシンは、後方からでもこちらもロスを小さく折りたたんで上手く立ち回ってきましたし、後半の切れ味に賭ける形でいい脚を使ったので、大分長距離戦が板についてきた感じですね。
 ハンデを考えてもアフリカンゴールド比較では妥当なところまで来ているとは言えますし、流石にまだ重賞ではパンチが足りないですけどいい馬ですね。

 12着オジュウチョウサンは、流石にそろそろ馬が可哀想に感じてきますね。
 そもそも長距離区分とは言え、超高速府中なんか走らすなよ、って話でもありますが、過去の平地戦だけ見ていても、切れ味勝負になってしまっては手も足も出ないのはわかり切っている筈で、せめて可能性を感じさせる走りをさせてあげて欲しいんですよねぇ。
 この馬の逃げ自体はその点アリだと思っていて、でも逃げただけで結局スローに落とし、向こう正面からも引き上げ切れず、分散しきれずではただ格好の目標にされるだけ、オジュウチョウサンの戦歴とプライドを貶めるだけの寂しい敗戦になってしまいました。
 せめてここで逃げるなら、淡々と道中12秒フラットを踏み続けて、後続に息を入れさせないタフなスタミナ勝負に持ち込むくらいはしてくれないとですし、貧乏くじとは言え松岡Jももう少し工夫する気はなかったのかなぁ、とは言いたくなりますね。

※追記
 レース後コメント見る限り、大逃げでタイトな流れに持ち込むつもりは陣営にはあったけど、はじめての逃げで馬が進んでいかなかった、と出ていますね。
 まあどこまで鵜呑みにしていいか、という部分もありますけれど、その辺ステイゴールド産駒らしい難しさもあるのかなと思いますし、改めてアップトゥデイトの存在が、障害でのオジュウチョウサンの強さを至高の域まで高めた立役者になっていた、ことがよくわかる談話だったと思います。

★みやこS

 京都のダートは、昨日に引き続き良馬場ながらも、かなり時計は出やすかったと思います。
 8Rの2勝クラスが、36,8-37,7-36,6=1,51,1と綺麗な平均ペースで、勝ち馬が強かったとはいえかなりの時計ですし、この時点で49秒台半ばまでは考えたのですが、強烈なハイペースになった結果1,49,1と相当に速い時計での決着になりました。
 ただ本当に内容としては、前が完全に自滅、というしかない形ですし、道中のごちゃつきやなにやらで、上位がこの展開で強かったのはともかく、あまりスッキリとしないレースにはなってしまいましたね。

 レース展開は、まずスマハマとリアンヴェリテが好スタート、どちらも譲らずに雁行でコーナーに入っていくところ、更に外からインティも押さえが効かずに前に突っかかっていく形になって、一気に縦長の隊列が形成されていきます。
 3頭から少し離れて、なぜかこんな時に限って好発を決めてしまったアドマイヤビクターが4番手、ワイドファラオ、アナザートゥルース、ノーヴァレンダと続き、中団あたりにアングライフェンとラビットラン、テーオーエナジーあたりがいました。
 そこからまた少し離れて外目からウェスタ―ルンドがじわっと進出開始、スタートが微妙だったヴェンジェンスといつものように後ろからのキングズガード、ロードアルペジオあたりが後方集団を形成、という隊列でしたね。

 ラップは34,9(11,63)-36,6(12,20)-37,6(12,53)=1,49,1(12,12)という推移になっています。
 まあわかりやすく前はオーバーペースで、渋った前の止まらない馬場ならともかく、良馬場で1000m通過59,0では流石にどれだけ追走力に担保があっても止まるでしょう、という話にはなります。
 誰が戦犯、とも言い難いですが、やはりあの形になってからだとスマハマが引けなかったのが一番ネックだったかな、という感じで、揉まれる競馬の経験がないとこういう所で融通・柔軟性がない形になってしまう感じでした。
 勿論リアンヴェリテもこういう馬ですし、更にはインティも、帝王賞でも前を追いかけてしまう所は見せていましたけど、逃げないと気性的に難しい面を改めて露呈してしまったのはかなり気掛かりではありますね。

 ともあれ、後半はずっと12秒半ばを踏んでいき、後ろと前の馬がガラッと入れ替わった400-200m地点で12,4-12,2と一応加速しているものの、ラストは13,0とバッタリ落ちており、どの位置からでも基本追走特化の消耗戦、とみていいでしょう。
 実際ほぼ最後方近くにいたヴェンジェンスやキングズガードでやっと平均走破くらいですし、そういう流れで上位3頭が強かった、そして前に行った組は同足掻いてもむずかしかったと考えて良く、ある意味次のレースに対しては度外視してもいい一戦になっていますね。無論あんまりチャンピオンズカップ本番にも直結するレース内容ではないと思います。

 勝ったヴェンジェンスは、しかし綺麗に嵌った、とはいえ、後半の大外一気の捲りの脚の鋭さは目を引きましたね。
 スタートは1400m路線時代から安定しない馬で、今日もやや後手、というところから無理せず下げての入り、そこから前が落ちてきたところでじわっと取りつきつつ、残り800m付近から一気に進出していって、文字通り一捲りで直線入り口ではもう先頭でしたからねぇ。
 上がりから逆算すれば、この馬は11,8-11,7-13,0くらいでは来ている筈で、この距離になっても後半の鋭さを引き出せた事、また良でも軽い馬場で追走が超高いレベルで問われたのも、元々短距離で戦えるこの馬としては噛み合ったのだろうと思います。

 流石にラストは甘くなっていますが、みんな足を削がれていてそこは粘り込めた要因のはずで、本質的に1800mがちょっと長い、のは事実でしょうが、噛み合えばこれだけ走れる、というのを見せてきたのはいいところですね。
 チャンピオンズカップを考えるなら、流石に後半勝負だけでは足りないはずで、内目の枠からある程度前に入っていく競馬が出来て、かつそこそこに流れてくれれば、でしょうか。でも本当にここにきて更に地力強化、重馬場専門のイメージだったのですがそれを覆すいい走りだったと思いまする

 2着のキングズガードも、こういう漁夫の利、ごっつぁんです展開になればちゃんと飛んでくるのですから偉い馬ではありますよね。
 前走も2000mでそこそこやれたように、前半ゆったり入りさえすれば距離不問で差し込んでこられる適性の幅が持ち味で、特にこういう追走特化になるとそれが苦手な馬も多い分序列が上がってくる感じですね。
 今回はそこそこは流れる、と踏んでいたのでその分印は辛うじて回せましたけど、ここまで嵌る展開は流石に滅多にないですからねぇ。それでもまだまだ力が衰えたわけではない、というところは誇示できましたし、今後も楽しみです。

 3着ウェスタ―ルンドは、結果論的に言えば押し上げのタイミングがちょっと早過ぎたのと、色んな意味で窮屈なところを通したのは勿体なかったのかな、という感じです。
 元々後ろからの馬ですが、思ったよりはポジションが取れていてそのあたりは流石のスミヨンJ、ただ向こう正面から早めに動いていって前に取りつき、しかも狭い馬群を縫って強引に進出していくのは、確かに欧州の騎手らしい立ち回りですけど、結果的にインティを押しのけての進出が落馬を誘発していますし、手放しで褒められたものではなかったと思います(ただインティ川田Jも、今回は大袈裟に引き過ぎていた気はしますけどねぇ……)。
 この日は新馬戦でも外押圧で過怠金取られていますし、本当に腕は超一流ながら紙一重のところもあるのが怖いのですよねぇ。

 馬自身の話に戻すと、こういう一貫して流れる形でここまで長く脚を使ってきたのは一定の評価しないといけません。
 もちろん前半のポジショニングが噛み合っていたのも確かですが、本来はもっと切れ味特化に振り切って強い馬なので、正直ヴェンジェンスと同じような立ち回りをしていれば勝っていたのでは?という間隔もあるのですけど、骨折明けの叩きの一戦でこれだけ走れるなら、こちらも力の衰えはないといえるでしょう。
 中京1800mは去年バッチリ嵌ったとはいえ規格外の末脚を披露した舞台でもありますし楽しみなのですが、地味にこの3着で賞金が足りないパターンは有りそうなのでそこがネックですよね。まあインティあたりが今日のダメージで回避してくれれば、ってのはありますし、そうなったらなったで複雑なんですけどねぇ。

 4着アングライフェンは、1800mでもここまで流れ切ってしまうとスタミナが活きる部分もありましたし、コーナーではインで下がってくる馬を捌けず、追い出しがかなり遅れましたから、ここまで離されたのは仕方なく、むしろこのペースでも最後まで脚を使えたことは評価すべきでしょう。
 こちらも息の長い馬ですが、ポジショニングが改善されて今が充実期にも感じますし、タフな馬場の方がいいかもなので、一度長いところの交流重賞も使ってみて欲しいですね。

 5着ワイドファラオは、基本前目で勝負する馬ですし、あの位置でもハイペースに巻き込まれてしまうので仕方ない部分はあるのかなと思います。
 ユニコーンSも追走特化で一足は使えていたように、このペースでも粘れる素材ではあるのですけど、結果的に少し距離も長かったのかな、と感じますし、前に行った組では唯一掲示板ですからその点底力と安定感を評価はしたいですね。次にこの負けで人気が落ちるようなら普通に狙い目だと思います、が、正直武蔵野Sを使った方が良かったのではないかなぁとは思ってしまうところでした。

 6着アナザートゥルースは勝ちに行く競馬の形でこちらも仕方ないとは思いますし、ただ大野Jらしくインに潜ってしまったのも結果的にマイナスで、色々噛み合わなかったなと感じました。
 9着スマハマは、結果的にハイペースでは微塵も抵抗できなかったわけですし(それでも先行3頭の中では粘っている方ですけど)、ここまで極端だと逆に見極めがつきにくいですけど、ハイペース向きではなかったとは思うのですよね。
 同時に包まれたくなかったのもあるでしょうが、リアンヴェリテが引いてくれるはずもないのですから、ここは腹を括って砂を被る競馬でも大丈夫か試すレースにした方が、並びを考えても良かったのではないかなとは感じます。まあその辺難しいところですけど、結果的に色々レースを壊す形になっていますしね。

 15着インティも、最後はコーナーの接触からズルズル下がって無理せずですが、そこまでの内容も悪いですよね。
 スタートはいつものようにゆったりで、二の足からグンとスピードに乗せていくのはいいのですが、ただ鞍上のコントロールを振り切るくらいに前に突っかかっていってしまって、少し落ち付きそうな所にとどめを刺してしまったのは、ある意味自爆と言っていいでしょう。
 かしわ記念あたりはまだ制御出来ていたように思えるのですが、ここ2走は前を追いかけて力んで終戦、という性質の良くない負け方ですし、このレース自体のダメージも大きそうで、東海Sの内容からもチャンピオンズカップの舞台が合わないはずはないのですが、それでもスムーズに逃げられなければダメ、というのが見え隠れしてしまうと厳しい感じはしますね。本番に出てきたとして、一番扱いに困る馬になりそうです。


posted by clover at 17:53| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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