2019年11月02日

2019 京王杯2歳S・ファンタジーS レース回顧

 今日は2歳重賞ふたつで、将来性を見る上で楽しみな一戦でしたけれど、どちらもそれぞれに意外性と納得がありつつ、良い競馬になってくれていたな、と思います。
 にしても、府中はともかく京都が随分高速化してきたな、というところで、しっかりとレース回顧していきましょう。


★京王杯2歳S

 府中の芝は良で、こちらはほぼ文句なく超高速馬場だったろうと思います。
 全体的にスローペースは多いので難しいですが、未勝利の2000mでも61,3-59,0=2,00,3が出ていますし、ノベンバーSも61,0-58,0=1,59,0と、かなりのスローですが後半は速いラップを連続する形になっていました。
 Bコース2週目ですが、極端に内有利、とまでは言えず、馬場バイアスとしてはフラットに近い印象でしたし、決め手がある馬ならば多少ロスがあっても、というイメージでいいと思います。
 そういう馬場なので、スローバランスでレコード決着もまた驚くほどではないですし、結果的に勝ち馬だけがこの超高速馬場ならではのハイラップ持続戦でより良さを発揮してきた面は強いレースだったと見ています。

 レース展開は、まず内からアポロニケが主張するものの、外のビアンフェがフラットに速く、特に譲る事もないまま外から一気にハナに立ちます。
 その外からグランチェイサーもいいスタートを決めて2列目、内ポケットにマイネルグリットが入っていって、ヴァルナは少しスタートが良くなくてリカバーしつつグランチェイサーの後ろ、タイセイビジョンはいいスタートでしたが二の足で無理せず後方寄りで待機するも、ただ少し道中折り合いに苦労しているシーンもありました。
 グレイトホーンは出負けからリカバーして中団のイン、カイトレッドなどは後方からの競馬で、全体として淡々と流れたフェアな競馬だったと思います。

 ラップは34,9(11,63)-11,8-34,1(11,47)=1,20,8(12,54)という推移でした。
 ビアンフェがある程度ニュートラルに入っていって、中盤も少し緩めていますがそれでも11秒台、そしてコーナー出口から11,3-11,3-11,5と、しっかり分散させつつ引き上げて、切れ味特化にならない総合力戦に持ち込んでいたな、と思います。
 軽い馬場なりの最低限の追走も問われましたし、そこからの要所の反応、そして最後は府中なのでやはり持続力勝負、という所で、一頭だけその点でちょっとモノが違った、という見立てでいいでしょう。

 勝ったタイセイビジョンは、こういう馬場でしっかり持続性能を引き上げてきたな、と思います。
 これまではハイペースの競馬しか経験がなかった上に、そこそこいいスタートも決められて前半の流れの中で少し行きたがる素振りはあったものの、そこはしっかりルメールJが宥めて直線、スッと外に持ち出して合図を送ると、坂の最速地点ではジリジリでしたが、坂上のラスト1Fでズバッと突き抜けての完勝でしたね。
 今日も5勝とエンジン全開のルメールJだけに、仕掛けどころや伸び所はしっかり把握していますし、その上で馬の素材をきちんと出し切ってくるバランスの取り方が本当に素晴らしかったと思います。

 この馬自身はラスト200mから1,5馬身くらい詰めていますし、おそらく上がりは11,2-11,0-11,3くらいのはずで、流石に瞬間的な切れ味の質的にはそこまで目立ったものは見せられていませんでしたけど、高速馬場で長くいい脚を維持できる能力はしっかり見せてきたなと思います。
 タートルボウル産駒としてはトリオンフも結構こういう脚の使い方が上手な馬でしたし、このレースで言えば一昨年のタワーオブロンドンみたいな競馬が出来ていて、流石にマイルがギリギリかもですが、今の時期なら距離延長はこなしてくるとは思います。
 ただ勿論マイルの後半勝負になると、サリオス筆頭に強敵は多いですし、もう少し前半要素含めてバランス良く入りたいですかね。今日のスタートなら、マイルなら中団やや前くらい取れても、と思いますし、その辺りが上手く噛み合ってくれば本番でも圏内は狙える馬ではないかと感じました。

 2着のビアンフェも、+24kgながら最後までしぶとく粘る外連味のない良い競馬を披露してくれましたね。
 とにかくスタートが良くて、そこからのダッシュも抜群、ほぼニュートラルにハナを取り切ってのマイペースでしたが、藤岡佑Jも切れ味特化では分が悪いのは感じていたのか、この時期の2歳馬としては淀みなく淡々と流していき、仕掛けの意識も早く持っていたのが素晴らしかったと思います。
 馬もきちんとコーナー出口からスッと反応して2列目を引き離す競馬が出来ていますし、坂地点までは減速せずに粘れていて、思った以上に後半型の競馬、1400mの距離にも対応してきたなと感じました。

 ただ勿論この馬はラスト11,8とそこそこ落としていて、持続力の総量的にはやっぱり第一線で戦うには苦しい、というのは見て取れたとは思います。
 前半の追走はもっと問われても全然問題ないだけに、もしも本番出て来るなら敢えて厳しいペースに持ち込んで活路を、とは思いますが、流石にマイルだとこっちは長すぎるイメージは持ってしまいますね。

 3着ヴァルナは、スタートがもう一歩だったのと、グランチェイサーのポジション取りが抜群だったので、結果理想的な位置より一列後ろになってしまったのが苦しかったかなと思います。
 エピファ産駒ですからああいう馬群に包まれる形も好ましくなかったとは思いますし、それでも直線鞍上の叱咤に応えて内に刺さりつつ一瞬はいい脚を見せていて、けれど一瞬で止まってしまったあたりも含めて、立ち回りで勝負したい馬、というのは明確に見えてきたのかなと感じます。
 この距離ですとポジショニングで苦労する面もありそうですし、基本線はマイルで、上手く前目でレースを支配する形を作りつつ、加速性能が最大限に生きる形に持ち込めればもっと楽しみはあると思うのですけど、ややスポットは狭いかな、と感じさせる内容でした。

 4着グランチェイサーも、前走の暴走からしっかり立て直して、外から非常にスムーズな良い競馬でしたが、これで圏内を外す形ですとやっぱりシンプルに後半型の競馬向きではない、とジャッジせざるを得ないでしょうか。
 全体でここまで波が少なく流れる中で、一番スムーズ、といってもいいくらいでしたので、このレベルですともう少しペースが上がるか、もっとトリッキーな形になったほうが出番があるのかもしれません。

 5着グレイトホーンは、少し出負けしてリカバーしつつ、というのは、ここまでしっかり流れてしまうとやっぱりロスにはなったかな、と思いますし、直線もそこまで進路取りに苦労はしていない中でジリジリ、どの地点でも破壊力を見せられていなかったので、総合的に見ると1400mは少し短いと感じます。
 元々前受したい馬でもありますし、それこそビアンフェみたいな競馬が出来ればもうちょっと面白かったかもですが、瞬発力の質はちょっと、いやかなり足りないのかな、というイメージは持つ内容でしたね。


★ファンタジーS

 京都の芝は、Bコース替わりと晴天でどうなるか注目でしたが、こちらは思った以上に結構あっさりと高速化してきたな、という感じでした。
 勿論それでも府中の超高速ほどではないんですが、近江特別が35,7-35,8-35,1=1,46,6と淡々と流れて先ず先ずの時計でしたし、最終もスローで1,47,2、マイル新馬も勝ち馬が強かったとはいえ1,35,2が出ていて、先週までのタフ寄りの馬場から、一気にやや高速までは回復してきたと思います。
 とはいえその中で、かなりのハイペースになったとはいえ、1,20,7という勝ち時計は全く想像していなかったラインの速さですし、スピード勝負としてはレベルが高い一戦だと思う一方、去年とは違い本番にはあまり結びつきにくいレースになったのかな、という感覚はありますかね。

 レース展開は、内からエレナアヴァンティが果敢にハナ、それをレシステンシア、モズアーントモー、レジェ―ロあたりが追いかけていってかなり速い流れになります。
 その後ろにヤマカツマーメイド、ペコリーノロマーノが続き、中団外目にクリアサウンド、内目にシャレードとケープコッドがいて、パドゥヴァルスがその後ろ、マジックキャッスルはやや後方寄り、クリアサウンドの後ろからレースを進めていました。
 ヒルノマリブ、ラヴォアドゥ―スあたりが後方からの競馬で、かなり流れた分縦には長い隊列になっていて、この時期の2歳戦としてはタフな展開になっていますね。

 ラップは33,7(11,23)-11,9-35,1(11,70)=1,20,7(11,52)という推移になっています。
 見ての通りかなりのハイペースで、地味に坂の下りになる中間点が一番遅いラップ、このあたりで後ろはじわっと取りつきつつ、後半は11,7-11,5-11,9という推移であり、これでもしっかり前から加速できる馬がいた、というのが中々のインパクトではありました。
 ラストもそこまで落としていませんし、適性としては追走特化に近い、スプリント寄りの性能が問われていたと思うのですけれど、レース質そのもの、上位の素材はきちんと評価していい一戦なのかなと見ています。

 しかし勝ったレシステンシアは強かったですね。
 正直すぐ外にケープコッドがいて、この馬が逃げるかな、と思っていたので、序盤の立ち回りが難しくなると見て嫌ってしまったんですけれど、いいスタートから二の足も抜群、楽にこのハイペースに乗っていって飄々と走れている感じで、中盤上手く息を入れつつ最後までスムーズな形を作れていたなと思います。
 残り600mあたりからじわっと詰めていって、直線残り200mで堂々先頭と横綱相撲でしたし、この馬のラップとしては11,6-11,4-11,9くらい、しっかりこの流れからでも加速する余地を残せていたのが、いかにもダイワメジャー産駒らしいところかな、と感じました。

 新馬もタフな馬場でハイペースからの一脚、と似たようなバランスで勝ち切っていて、レースパターンとしては馬場が軽くなった分、前後半の質を少しずつ高めてきた、と見做していいですが、別パターンのレースになってどうか、は当然課題になってきます。
 特にこういう脚の使い方が出来る馬は、後半の持続勝負などは基本向いていない事が多いですし、距離伸びてマイルになって、となると、強敵もズラリ出揃う中で、残り200mまでは抵抗できても最後の坂の持続勝負で苦しくなるイメージは見えてしまいます。
 逆に後半型の脚を削ぐつもりで、阪神マイルでもガンガン飛ばしていくのはちょっと面白いのですけど、そこまでの果敢なレースメイクを無敗馬でやれるか、となるとやっぱり難しいとは思いますし、あまり本番で狙いたくないタイプの馬なのは間違いないですね。逆にフィリーズレビューなら全力で買いだと思います。

 2着のマジックキャッスルは、本当に高い総合力があってどんな競馬でも出来ますけど、このレベルになってくると決め手が全般的にちょっと足りないのか、というイメージにもなります。
 元々1200mで下ろしたように潜在スピード自体はありますが、この日は後ろから溜める競馬で、少し外の馬に被せられる形にもなって厳しい展開でしたけど、馬も怯まず最後までしぶとく伸びてきていて、初遠征競馬、というのも含めて考えれば合格点の内容だろうと思います。
 ただやっぱりこの馬も後半特化のマイルで、となると少し難しい感じはあるのですよね。競馬が上手なので大きく崩れるタイプではないでしょうけど、再度の輸送にもなりますし、ここでこのペースをついていった事がどう転ぶかも含めて、ちょっと様子見はしたいかなと感じます。

 3着クリアサウンドもバランスのいい走りが出来ていますし、外目のロスを構わずに強気の競馬でしたけど、最後甘くなったあたり、この馬にとってはもう少しゆったりした流れの方が良かったのだろうな、とは感じます。
 ただ立ち回り自体はスムーズで力は出し切れていると思いますし、じゃあ後半型にシフトしたとしてウーマンズハートとは決定的な後半量の差はあるので、そこを本番で埋めてこられるか、となるとやっぱり少し厳しいかな、と思いますね。
 そもそもこの賞金で出られるか、って話になりますし、距離自体は1400mでいいと思うので、紅梅Sあたりから地道にまた積み重ねていく方がいいのかな、とは感じました。

 4着ヤマカツマーメイドは、前の速い流れにギリギリ乗り切らないあたりで上手く立ち回っていましたし、本当に競馬が上手ですけど、ここまで前傾特化になった事で要所の器用さなどがあまり活きる展開にならず、そうなると決め手に欠く、というのはあったと思います。
 勿論悪い競馬ではないですが、自分の前にいたレシステンシアにも上がりで見劣るとなるとやはり厳しいジャッジにはなってきますし、こちらはもう少し距離があった方が競馬はしやすいのではないかな、と思いますね。

 5着ヒルノマリブも、大外ぶん回しから最後頑張って伸びてきていますし、やっぱり1200mの馬ではないな、という競馬は見せられましたけど、道中のポジショニングやコース取りなど含めて、やっぱり馬の素材を活かし切った騎乗とは言いにくく悩ましいところです。
 どうしてもスタートが悪いのもネックになってしまいますし、この流れで差しは噛み合う部分はあったはずで、その中でもう一歩スケール感を見せてくれるかな、と思っていたのですけど、勝負の外での走りにもなっていますし判断に困りますね。
 タイプ的にもう少し時計が掛かってくれた方が良かったのかな、とも思うので、その辺りも含めて今後の路線には注目しておきたいところです。



posted by clover at 17:07| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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