2019年09月16日

2019 9月第3週海外GⅠなど レース回顧(part1)

 今週は世界各地で面白いレースが目白押しで、一度に紹介すると物凄く長くなってしまいそうなので、先に日本馬に関わりの深いレースだけ紹介してしまおうと思ってます。
 具体的には愛チャンピオンSと、昨日の凱旋門賞前哨戦3レースですね。それ以外は明日書く予定です。


★愛チャンピオンS https://www.youtube.com/watch?v=AqdcNvXb1po

 まずはディアドラが惜しい4着となった、伝統の愛チャンピオンSですね。
 ちなみにレース画像は一応張りましたが、特にラップが見られるわけでもなく、日本語実況のJRA公式の方がわかりやすいとは思いますので、出来ればそちらをご覧ください。

 レース展開は、まず最内のハンティングホーンが好スタートからハナ、それをマジカルが番手で追いかけ、内にアンソニーヴァンダイク、マジカルの後ろにマジックワンドが入っていって、やはりエラーカムは道中内に潜り込めない苦しい展開になりました。
 ディアドラはまずまずのスタートでしたが後ろからになって道中はインで機を窺い、ヘッドマンは折り合いを欠きつつ外目、マッドムーンがその間、という隊列でした。
 というか、珍しく隊列の予想が完璧に的中していて、なのに予想は当たらないという体たらくを発揮してしまったわけですが(笑)、やはり結果的に見ても前目内目で辛抱する競馬がマッチしていたのかなと思います。

 ペースは正直わからないんですが、マーフィーJは流れが速かったといっていますし、マジカルが強い競馬をした、という意味でも、それなりには流れていて、その分仕掛けが遅く直線で加速する展開だったと思っています。
 なので、直線向いて内に進路が作れず、外に切り返す時に前に一気に離されてしまったディアドラにとっては、一発狙いの結果噛み合わなかったレースとは言えそうですね。
 実際に最後あれだけの脚を使うていますから、スムーズだったら2着は確実にあっただけに、勝負の綾とは言え悔しい限りですけれど、ただ逆に言うと、ディアドラあたりの馬でもじっくり現地滞在で馬を作っていけば、噛み合えばこのレベルでも十分戦える、というのを示す内容でもあったと言えますね。

 勝ったマジカルは流石に欧州トップクラスの馬ですし、次は凱旋門賞と明言されていますから、四度目の正直でエネイブルに雪辱なるか、チームオブライエンの戦略含めて俄然楽しみになる内容だったなと思います。
 少なくともジャパンとマジカルは、共にハイペースが得意な馬なので、ペースメーカーには速い流れを作らせて、それをエネイブルが深追いしてくれれば、というところはあるでしょうね。クリスタルオーシャンが惜しくも故障引退してしまったので、前々での組み立ては少し楽になりそうで、逆に言うとキセキあたりには立ち回りが難しくなるイメージですかね。

 しかしやっぱり、この世代の3歳馬は基本10F以上では強くないんですよねぇ。
 アンソニーヴァンダイクも完璧な立ち回りでマジックワンドにすら勝てないわけですし、このレース自体は外を通した馬が不利だったとは思っていますけど、裏を返すとマジックワンドは人気なさ過ぎたレースだと思います。
 個人的な予想として、展開が読めていただけに、その中からの有利不利の摘出、徹底が甘かったなと反省材料の多いレースでした。本当に色んな意味で、ディアドラが2着に届いてくれていれば万々歳だったのですけどね(笑)。



 文脈的に書きやすいので、先にヴェルメイユ賞とニエル賞から見ていきたいと思います。
 このレースを制したのは愛オークス馬のスターキャッチャーで、スタートから果敢にハナを奪い、そのまま押し切る、今の絶好調デットーリJ×ゴスデン厩舎の勢いを感じさせる内容でしたね。

 馬場は良馬場でそれなりに時計も出やすそうなコンディション、ラップ的には88,20-23,65-12,04-11,54-12,20=2,27,63という推移でした。
 全体としてスロー寄りから、フォルスでちょっと上がって4角で一息、そして直線向いて再加速という、最近のロンシャンらしい推移にはなっていますが、ロンスパ、と見立てるにはそこまでフォルスが速くないので、直線でのヨーイドン、とも言えるかなと思います。

 その中で最速の11,54も、ラストの12,20とそこまでではなく、この日はニエル賞とフォワ賞もほぼほぼ同じくらいの時計の決着だったのですが、単純なラップ推移で言えばこのレースが一番インパクトは足りないのかな、とは思っています。
 ただ前走に続き自分でレースを作っての完勝ですし、3歳牝馬でまだまだ伸び代もありそうで、先々は楽しみな馬ですね。
 凱旋門賞は同厩舎エネイブルがいるのでおそらく選択肢になく、英チャンピオンズディの牝馬2400m戦か、BC遠征になるか、というコメントですし、より強い相手にどこまでやれるか期待しましょう。

 2~3着馬はやや人気薄のファーブル厩舎の2頭で、やはりこのコースでは侮れないところです。
 ただメンバー的にも馬の力量的にも、凱旋門賞で穴目になれるほどではないでしょうか。



 続いてのニエル賞ですが、こちらは仏ダービー馬のソットサスが、後方2番手から直線で前が詰まる苦しい競馬を跳ね除けて快勝、凱旋門賞に向けてまた一頭楽しみな馬が出てきましたね。

 ラップは87,20-24,06-12,34-11,79-12,07=2,27,46という推移でした。
 全体のペースも勝ち時計も3レースの中で一番速いのですが、まあ微差程度ですし、ここは単騎逃げの馬がちょっと離していたので、内容的にはスローからのロンスパ気味、最後は決め手と持続力のセットで、というイメージでいいでしょう。
 その中でソットサスは、最速地点でずっと前が壁で動けず、ラスト1Fで2馬身ちょっとを間を割って鋭く、という感じで、ラストは11,7くらいできていると思うので、思ったより決め手がしっかりしているな、と感じました。

 元々仏ダービーが超ハイペースの中での差し切りだったので、距離が伸びてスローバランスでどうか?と懐疑的に見ていたのですけど、相手が弱いとはいえ一定の目途は立てられる内容だったと思います。
 その上で、上に書いたように、オブライエン勢が速い流れを作ってくる可能性が高いので、この馬としては内枠で中団くらいで我慢、という形を上手く作れればワンチャンス出て来るかも、というイメージです。ただスタートからの出足があまり良くないので、ポジションが後ろになり過ぎないのが条件にはなりそうです。

 ルジェ調教師も、ここ10年余りでダービーとオークスをそれぞれ4度ずつ制覇、その中には凱旋門賞でも通用しそうな馬もいたのですけれど、不思議とこのレースにだけは未だ縁がないのですよね。
 名伯楽の悲願達成なるか、と言う意味でも、本番斤量が軽くなる点も含めて楽しみな一頭なのは間違いないですね。



 そしてキセキが出走したフォワ賞ですが、逃げたキセキは直線粘れず3着、勝ったのは順当にヴァルトガイストでしたね。

 キセキ陣営は、出来れば逃げ馬の後ろで壁を作って、というコメントでしたが、結局テンのスピードの違いでハナに立ってレースを作っていく事になります。
 そのラップは88,86-23,57-11,99-11,46-11,69=2,27,57という推移でした。
 ペースとしては3レースの中で一番スロー、その分後半はフォルスも平均11,79、そこからも12秒台までは入らずにロンスパ気味の流れから、直線でもう一脚、という推移になっています。

 単純にラップ的な推移で見ればやはりこのレースが一番レベルは高く感じていて、当然今のヴァルトガイストは、英国遠征2戦からも、ガネー賞圧勝からも完成期に入っているので、それは当たり前と言えばそうでしょう。
 この流れの中でピタッとキセキをマークして、最速地点でスッと抜け出してきたように、機動力と瞬発力の質、そして持続力も高いレベルで保持している馬で、こういう展開になってしまえばやはり負けなかったですね。
 ただ勿論本番は+1,5kgですし、基本的には緩い流れからの後半勝負がいい馬で、英国の2戦が強かったので去年よりは好走の幅は広いと思いますけれど、それでも並み居る強豪を押しのけて勝ち切るところまでいけるかは悩ましいところです。
 この馬も狭い所から一気に動ける馬ですし、本番は内枠が欲しいですね。

 キセキに関しては、かなりのスローになってしまった分後ろの脚が削げない展開でしたし、この馬場でヨーイドンの形で、ちょっと機動力と瞬発力の質で足りなかったのかな、というレースぶりでしたね。
 個人的にはもう少し平均寄りにレースメイクできれば、と思いますし、流れる本番の方がこの馬自身のパフォーマンスは上げてくる、とは思うのですけれど、それでもヴァルトガイスト相手でも逆転するのは容易ではないですし、それ以上に強い馬もいる中では、流石に勝ち負けは厳しいのかな、というイメージを持ったレースでした。
 スミヨンJはタフな馬場の方がいい、とコメント出してましたし、スタミナは通用すると思うのでそのあたりで期待、かもですが、どうあれエネイブルはなんだろうと馬鹿みたいに強いですからねぇ……。


posted by clover at 15:27| Comment(2) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 お疲れ様ですー。
 ディアドラは惜しかったですねぇー! 直線ラストは一瞬来た!と思って、見ていて思わず腰を上げそうにになりました(笑)

 所で日本馬の欧州挑戦について改めて分析してみたのですが、やっぱり日本馬が負ける時って、差し届かずよりも、そのほとんどが持続力で圧倒されてるんですよね。
 対して好走したり、あるいは勝ち切った馬を考えてみると、そちらも持続力に特化、あるいは強みを持っているばかりなんですよね(ディアドラは言うに及ばず、ディープ産駒で最も好走した3歳時のキズナしかり)。

 一時期はポジショニングなども大事なのかな?と個人的に思っていたのですが、キセキや去年のクリンチャーを見ていると、日本のレースにおいてレース全体のバランスで勝負するような馬は、欧州遠征に最も不向きなんじゃないか?と、自分の中だけですが、結論に至りかけてます。
結局欧州の競馬場はどこも直線が長いので、いくらレース全体で勝負しようとしても、どうしても最後は持続力に強みを要求されてしまうんですよねー。
 今は欧州のトップレースにおいては、持続力の強みがあって、初めてレースに参加、上位争いに参加できる、そういう視座から日本馬を見ています。勝ち負け加わるには持続力を最上位に置いた後半要素があるのが大前提で、その上でポジショニングなどレースの巧拙が問われる、と。

 そういう意味では、今年はリスグラシューが是非凱旋門賞に参戦してくれる事を宝塚記念直後から願っていたのですが(笑)
 それでも、どうやら参戦するらしい?ディアドラとブラストワンピースと、ハービンジャ産駒2頭にはけっこう期待しています。
Posted by ハル at 2019年09月16日 16:30
>ハル様

 いつもコメントありがとうございますー。

 そうですね、仰るように欧州競馬では結局持続力が根底にないとどうにもならない、というのは正鵠を射ていると思います。
 例外はエイシンヒカリくらいでしょうが、あの馬も先行馬にしては持続性能が高い馬でしたし、持続力があって、かつポジショニングセンスがあれば最高(乗り役の積極性も含めて)、というイメージですね。
 
 ディアドラは持続力は申し分ないですけど、やっぱりポジショニングで後手を踏む分展開や勝負の綾に左右されやすいのが、4着と言う結果に凝縮されているのかなと感じます。
 結局今の日本馬なら、アーモンドアイを1600~2000mで走らせるのが一番マッチするのかもですね。或いはそれこそリスグラシューを2000~2400mで、でしょうか。
 こうして書いてみると、持続性能が抜きんでているのが牝馬ばかり、というのも如何にも時代、ですね。

 ブラストワンピースは前走狭い所からの競馬でも頑張れていましたし、追走力はあるので、後は川田Jが強気強気のポジショニングをしてくれれば、ですかね。
 それでもぶっつけ凱旋門賞では中々厳しいとは思いますが、本文でも触れたように今年の本番は流れる公算が高いとも思うので、その点で極端に持続力全振り、みたいにならないのはプラスに転じると考えています。
Posted by clover at 2019年09月16日 17:10
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