2019年03月30日

2019 ダービー卿チャレンジトロフィー レース回顧

 今年のダービー卿チャレンジトロフィーは、上がり馬のフィアーノロマーノが、OPどころか重賞初挑戦ながら、好位追走からそのまま押し切る強い競馬で勝利、今年のマイル路線で台風の目となれるのか、そのレース内容をしっかりと吟味していきましょう。


 中山の芝は、こちらが思った以上に高速化していたな、という感じです。
 まあ毎年皐月賞前のBコース替わりでガラッと、となりやすいのですけれど、ただ今年は先週が重めでしたし、含水率も今日の朝時点でまだ12%前後と高めで推移していましたので、ここまで軽いのは想定できませんでした。
 そもそも芝のレースが少ないのですが、山吹賞でも後半は59,6の流れで上位は捲りからの差しと脚を出し切った馬がきていて、10Rも34,2-34,2と中山1200mにしてはかなりスローな流れで1,08,4ですから、超、まではいかなかったかもですが、高速馬場水準には確実に足を踏み入れていたと思います。
 その中で強烈に流れた、とはいえ、1,31,7と32秒を切ってきたのはかなり驚かされましたが、それでも比較的上位拮抗なので、そのあたりレースレベルをどう読むか、全体としては追走面を問われてもそこまで苦労しない馬が多かった組み合わせなのかな、というイメージです。

 レース展開はやはりのアポジーの逃げ、それを外から積極的にエイシンティンクルが追いかけ、ポケットにジョーストリクトリ、フィアーノロマーノもスタートからある程度促していきつつ2列目の外、いつでも動けるポジションを楽に取り切ります。
 その後ろにギベオンとマイスタイル、ヤングマンパワーが続いてここまでが先団、そこから少し離れて、丁度前後のバランスのまん真ん中にプリモシーンが一頭プレッシャーを受けずにスイスイと追走していました。
 ドーヴァーはその後ろ、ロードクエストもこのあたりで、ヒーズインラブとダイアトニックの出遅れたシルク組が内目からじわじわ押し上げ、後方にカツジとハクサンルドルフ、という隊列でした。

 ラップは33,9(11,30)-22,6(11,30)-35,2(11,73)=1,31,7(11,46)という推移でした。
 アポジーがいたので中盤は緩まないだろうと思っていましたけど、エイシンティンクルが比較的強気に絡んでいった事で前半もタイトになり、1000m通過が56,5は猛烈なハイペース、と呼んで差し支えないでしょう。
 バランスとしてはハーフで見ると45,1-46,6なので極端すぎるほどではないですが、それは思いの外馬場が軽かった分もあるでしょう。
 後半ラップが11,2-11,4-11,4-11,6-12,2と綺麗にゴールに向かって減速していく一貫消耗戦ですので、基本的には追走力特化戦の趣ですが、中団以降から差してきた馬は、かなり高いレベルの追走を問われつつも、後傾バランスでしっかり後半要素を高いレベルで引き出せた馬、という見立てで良く、馬場読みとは裏腹に高速持続力戦の適性が強く問われるレースになっていたな、と感じますね。

 勝ったフィアーノロマーノは、川田Jがインタビューでも人気し過ぎ、と言っていたように、この戦績の馬がここまで人気して、しかも勝ち切る競馬をするのだから、改めて日本の馬券ファンのレベルの高さを感じます。
 ただ大事に使われてきた中で、前走の変わり身と成長力、特に課題だった追走面を一気にクリアしてきた事でこの舞台と相手関係に対する適性は信頼が置けたのも確かですし、川田Jも積極的に、かつ繊細に、絶妙なバランスでエスコートしてくれたなと思いました。

 この馬自身は45,5-46,2とハイバランスでの走破になりますが、11,4-11,6のコーナー地点で外目を通して押し上げていきつつも、きちんと直線入り口で微差とはいえ加速ラップを踏めている感じです。
 11,3-11,3か11,4-11,2かそこは微妙なラインですけれど、とにかくこれだけの流れを外目から王道的に追走して、なお一脚を使い、坂でも後続が迫るとまた粘る、という感じで12,2でまとめているのですから、これはかなり強い競馬だったなと感じています。
 ハイペースになっても崩れないようになったので、これは普通に春の安田記念戦線でもある程度は戦える担保が出来たと思いますし、そこには間に合わずとも、馬場を問わずに強いので今後のマイル路線で楽しみな一頭になりそうですね。

 2着のプリモシーンは、福永Jが先週に引き続き最高に上手く乗ってきましたね。
 スタートしてシルクの馬が出遅れたからこの馬かな?と思いきや他の2頭で(笑)、流石スタート名人の福永J、という感じでしたし、そこから無理はせず、けれど消極的にはなり過ぎず、中団のエアポケット的なポジションに綺麗に嵌め込んだあたりは、枠の並びを考えても素晴らしい立ち回りだったと思います。というか、枠の並び的には普通はあそこにドーヴァーがいないとダメなんじゃ?とは思ってしまったのですけれど。。。

 ともあれ前半無理せずこの馬としては良い位置が取れて、内目である程度流れに乗りつつ脚を温存し、残り600m手前からじわっと外目に持ち出して、ロスを覚悟でこの馬の末脚を引き出し切る選択をしたのも、持続面で秀でている馬ですから正解だったと思います。
 勿論完璧に内目が捌けていれば勝ちまであったかもですが、まずはこの馬の最大限の脚を、という選択は頷けますし、まぁ大阪杯を控えての安全運転共言えなくはないですけど結果的にも文句のつけようはないですね。
 この馬自身タフなマイルで前傾バランスになってしまうと厳しい、と踏んでいたのですが、自身は46,3-45,4くらいのややスローバランスで走破していて、関屋記念同様に相対的なスローバランスの中で後半要素の高さを存分に示せた一戦、と見ていいでしょう。

 こういう競馬が出来るなら普通にヴィクトリアマイルは有望ですし、今日は本当にこの馬に合わせたメリハリの利いた騎乗が出来ていたので、本番でもそれが噛み合えば強敵相手でもチャンスは出て来る一頭だなと改めて感じました。
 勿論Bコースでの高速化が噛み合ったのもありますので、どんな馬場でも、という面では留保しつつ、春の府中はまず高速馬場なのでそこは安心できる条件かなと踏んでいます。

 3着のマイスタイルも、強い競馬に完璧な立ち回りで、流石横山Jの中山名人芸、と唸らされました。
 スタートは五分でしたが流石にこのメンバーに入ると前が速く、それでも前走の様に下手に下げ過ぎず、外枠からでも前々の流れに乗ってくれたのは良かったですし、ギベオンがある程度積極的に追いかける中で、ワンテンポ控えてスルリといつの間にかインに潜り込んでいたのには凄味を感じました。
 実際にコーナー地点はまだ速いラップでしたから、持続面では甘いこの馬としては最大限脚を残す最高の立ち回りになりましたし、その分坂上まできっちり伸びてきましたけど、最後ちょっと足りないのも実にこの馬らしいところです。

 ただハーツクライ産駒でマイル32秒の壁を克服するのは並大抵ではないと思っていますし、予想以上にマイラーとしての資質がありますね。
 この感じならマイルをベースに、しっかりポジションを取って追走力で勝負する形を作れれば、今後も大崩れはしてこないんじゃないかな、と感じました。個人的には痛恨の鼻差でしたけど(笑)、これ以上ないレースは見せてくれましたし、プリモシーンも外枠でしたからね。

 4着ダイアトニックは、ここは後ろからになって差し届かずだろう、とは思っていたのですけど、その予想はある程度当たったものの、しかしその形の中で見せてきた脚は今までのイメージを凌駕していて、あぁ、この馬もいずれ出世してくるな、とは強く感じさせた一戦でしたね。
 スタートが悪くて後方内目と、タイトな立ち回りでギリギリまで脚を溜めつつ進路取りをスムーズに、という競馬で、北村友Jは本当に流れた競馬での進路取りはすごく上手いんですよね。

 ここも4角ほぼインベタから、最高の角度で外目に持ち出して勢いに乗せて入っていけましたし、流石にポジション差を覆すほどの豪脚は見せられなかったものの、この馬自身は47,1-44,8くらいのかなりの後傾走破、後半45秒を切ってきている換算にはなるので、これは普通に一流馬の脚と言えそうです。
 ロードカナロア産駒で、距離延長と高速馬場がマッチした分もあり、まだどんな条件でも、とは言い難いですが、この感じならこちらもマイルの高速馬場で崩れるイメージはあまりなくなりましたね。それこそ関屋記念とか強そうです。

 5着ギベオンは、勝負に行って、なので仕方ない面もありますが、結局どういう流れでも仕掛けを強気にして長く脚を維持できるタイプではない、ってことでしょう。
 結果的にフィアーノロマーノの後ろから外々押し上げで、かなり前目の馬の中では仕掛けの意識が強かった中でラストは一気に甘くなっていますから、よりベターなのは流れた上でタイトに立ち回って、ギリギリまで一脚を残す競馬になるのだろうと思います。
 畢竟NHKマイルにしてもケイアイノーテックの持続面にやられたレースですし、その意味で流れるマイル戦はべスト、という陣営の読みは正しかったと思いますが、鞍上が基本外から積極的に、の蛯名Jでしたし、斤量もかなり見込まれていましたからそこは仕方ないのかなと感じました。

 流石にこの斤量とはいえ、ここで負けてしまうと第一線で、とは言いづらいですが、まだ4歳ですしこちらもマイルの流れる展開なら安定してきそうです。ただ同じマイルでも、スローバランスになるとポジショニングが良くても危うさはあると思うので、そこの読み次第で上手く上げ下げしてつきあっていきたいタイプですね。

 7着ドーヴァーはやっぱり差しの形を意識し過ぎで、内枠ならせめて中団にはいないと、って感じのレースでした。
 8着ヒーズインラブは出負けが痛恨でしたね。この流れでもジリジリ脚は使えているだけに、こちらも中団から進められていれば、という内容だったと思います。



posted by clover at 16:55| Comment(2) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。

私も印上位が1.3.4着で痛恨でした(笑)

明日の阪神は馬場によってはつまらなくなりそうで残念です。どうせなら超高速馬場でのキセキを見たかったのですが・・・。

PS

細かいところですが、フィアーノロマーノは京王杯SCを使ってますよ。
Posted by リュシュトゥ at 2019年03月30日 17:21
>リュシュトゥ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 プリモシーンはあれだけ完璧に乗られてしまうと仕方ないですよね。
 ここは上位3頭の騎手が、それぞれの持ち味をしっかり引き出した良いレースでしたし、時計の出る馬場の底力勝負になった事で苦しかった馬も多かった中で、それぞれ次に繋がる内容だったと思います。
 3人とも大阪杯参戦ですし、こちらでの手綱捌きも期待ですね。

 阪神は結局結構降ったっぽいんですよね。
 ただ10Rの時点ではまだ時計は出ていて、その後使っていませんし、内回りの芝レースは午後までありませんから、そこまででどこまで乾くかの見極めがポイントになりそうです。

 フィアーノロマーノはすみません、うっかり勘違いしてました。
 というより、あのレースがあるからハイペース適性が微妙?と前走辺りまでは思っていたのに、雑になると良くないですね。気を付けます。
Posted by clover at 2019年03月31日 03:39
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