2018年12月30日

2018 東京大賞典 レース回顧

 地方競馬の有馬記念とも言える、一年の集大成的なレースとなる東京大賞典、今年はルヴァンスレーヴ不在でも強力な中央勢3騎に人気が集まり、その中で見事栄冠に輝いたのは、今年の競馬を象徴するように3歳馬・外国人ジョッキーのオメガパフュームでした。レースを振り返りましょう。


 まず昨日の大井の馬場ですが、一日開催を空けて、その間一切降雨がなかったせいもあるのか、いきなり随分重くなったなぁ、という時計の出方になっていましたね。
 Bクラスのマイル戦でもハイペースで流れて43秒台が精一杯、というのは、例年この時期は馬場が重いにしてもそれ以上に、という感覚ではあり、それでも流石に子のメンバーであれだけ流れて2,05,9というのはかかったな、というイメージはなくはないでしょうか。
 タフな馬場の適性など含めて、結果的に上位3頭の地力を覆すほどではなかったにせよ比較的競ったレースにはなっていますし、そのあたりをレベルとしてどう判断するか、になるかなと思います。

 レース展開は、まず抜群のダッシュを見せたスーパーステションが内から果敢にハナ、そしてそれを間からヤマミダンス、リーゼントロックが追いかけていって、更に大外から、馬群にすぐ取りつかず、大外を真っ直ぐ自分のリズムで押し上げていくデットーリJ的なライン取りで、アポロケンタッキーマーフィーJが奇襲的先行を決めて番手に進出していきました。
 結果前の2頭が飛ばし、少し離れて前述の2頭、そして隊列的にはケイティブレイブがその次ですが、ポジション差的にはほぼ中団くらいの位置にはなって、内にエイコーンと、この日は珍しくスタートを決めたモジアナフレイバー、その一列後ろの外目にやや出負けしたゴールドドリームが取りついて、オメガパフュームもスタートは今一歩、序盤は後方寄りの内目でじっくり構えて向こう正面からじわじわスピードに乗せていく格好でした。
 サウンドトゥルーも序盤は定位置の最後方で、そこから向こう正面で押し上げていくこの馬らしい競馬はしていたかな、と思います。

 ラップは36,1(12.03)-50,2(12,55)-39,6(13,20)=2,05,9(12,59)という推移でした。
 ハーフでも61,2-64,7と3,5秒の前傾ハイラップにはなっていて、ただそれでも絶対的なペースとしては今年の場合帝王賞の方がよりハイバランスではありました。そこを意識しつつ、結局それでもこの馬場でこのペースなら、後ろにいてもある程度は追走面は問われてきますし、向こう正面でラップもそこまで落ちてはいないのでポジション差を覆すためにはコーナーでの機動性も求められた感じにはなっています。
 後半が12,2-12,4-13,2-12,8-13,6と、3~4コーナー出口で淀むのはいつもの事ではありますが、そこからの加速度の低さ、ラストの落ち込み具合はこのクラスとしては珍しいレベルではあって、より一貫したスタミナ勝負、という色合いは強く出ている感覚はありますね。

 勝ったオメガパフュームは、やはりこの枠で序盤は悪いポジションになってしまったのですけれど、流石のミルコJというか、特に好調期は絶対に仕掛けどころを間違えないな、という完璧に近い競馬でした。
 今まではどうしてもコーナーの加速で少し手間取り、其の分直線伸びては来るけれど足りない、という形が多かったのですが、今日は速い流れの中でもしっかり向こう正面で促して、スピードに乗せて3~4コーナーに入っていったところが素晴らしかったですし、道中はゴールドドリームの内にいつつ、しっかり勝負所で外に出して蓋をする形を作れたのも、それこそホープフルSの仕返しでもないでしょうが、どちらかと言えばコーナーでの機動性はゴールドドリームの方が断然上、と思っていただけにこの馬でそれが出来るか、と感嘆した部分です。

 勿論、この馬自身でも上がりは38,4(平均12,80)とやや前傾くらいのバランスの走破になっていますし、淀みなく流れて苦手なコーナーでの減速ラップになってくれたこと、そしてスタミナをしっかり生かせる消耗戦になってくれたことが逆転の大きな要因だったとは思います。
 シンプルにこの馬は1800mですと少し短い、というのはあるはずで、それも乗り方次第で克服できる余地はあるとは思うのですが、どうあれチャンピオンズカップの様に前にスローでコントロールされてしまうと、ポジショニングが良くないこの馬では余計に苦しいものはあったはずで、条件的にガラッと一変した中で、しっかりこの馬の最大の武器をミルコJが引き出してくれた、と言えるでしょう。
 JDDの時は逆にこの馬がコーナーで閉じ込められて上手く加速の流れに乗っていけなかった面は大きかったはずですし、この距離でこういう展開ならルヴァンスレーヴ相手でもやれる、とは思うのですが、その時はミルコJがルヴァンスレーヴに乗っているでしょうからねぇ。。。
 スウェプトオーヴァーボード産駒はレッドファルクスのイメージが強いものの、こないだもリッジマンがステイヤーズステークスを勝ったり、意外とこういうスタミナ無尽蔵タイプも輩出してくるのが面白いんですよね。この馬もタフな条件なら崩れないでしょうが、小器用ではないと思うのでやっぱり川崎記念とかですと少し割り引きたい感じです。周りも右回りの方が合いそうですが、この先どういうローテーションを選択してくるかも含めて目が離せませんね。

 2着のゴールドドリームに関しても強い競馬は出来ていますが、やっぱり高いレベルで言うなら、大井2000mでここまで時計が掛かるタフな馬場が一番いい、とは言えないでしょうし、その意識を上手くミルコJに突かれた部分はあると思います。
 スタートは良くなかったですが外枠なのである程度リカバーしつつ中団外目で、ただ前にケイティブレイブを置いて、その後ろなら確実に進路が取れるという意識の中でコーナータイトに立ち回っていたら、外からオメガパフュームに蓋をされて少し勢いに乗せ切れなかった分が最後に響いたところはありそうでした。
 この馬は追走面では全く不安がないのですが、その中でケイティブレイブの外から仕掛けていってどうだったか、コーナーの機動性はこの馬が一番だったはずなのでそれは見てみたかった感覚はあるものの、それでもケイティブレイブは捕まえているのですから強いは強い、んですよね。
 しかし少なくとも帝王賞の時点では、この馬とケイティブレイブの牙城を崩すのはもう容易ではないと思っていたのに、たった半年でここまで勢力図が塗り替えられるのですからわからないものです。

 この馬としては次が一番得意な府中マイルの舞台にはなりますし、どうもルヴァンスレーヴが軽い故障っぽくてそこに間に合わない感じもあるので、そうなれば少なくとも適性的にこの馬が一番手にはなってくるでしょう。
 少なくともオメガパフュームやケイティブレイブはまず府中マイルでは厳しいですし、去年も超早仕掛けでノンコに漁夫の利を与えてしまった面は大きいですから、来年はルメールJとのコンビでまずしっかりそこを勝ち切って欲しいです。

 3着のケイティブレイブは、改めてこのレースではっきり見えてきたのは、この馬の二つの武器のバランスの取り方になりますかね。
 今回は枠の並びもイマイチだったとはいえ、結果的に帝王賞に比べて序盤の入り方が消極的にはなっていて、それでもあの位置では完全にハイバランスではありました。
 去年の帝王賞などは、出負けした事で結果的にかなりのスローバランスで入って、そうすると後半長く長く脚を使えたわけで、今年のJBCにしてもスローロンスパで強かった、となると、あの後半要素を引き出すにはその相対的なバランスが大切だと考えられます。

 一方で高いレベルで追走を問われてもちゃんと直線で一足は使えるという面も持っていて、今年の帝王賞や、それ以外も大抵のレースはそちらのパターンで強い競馬が出来ているのですが、その場合はやはりシンプルにポジショニングの優位性を強く持たないと、という事にはなってきます。
 まとめてしまえば、今日くらいハイペースですとあのポジションでも前傾走破になってしまうので後半要素の爆発力は引き出せず、そしてポジショニングを悪くした分末脚の絶対量で上位2頭に敵わなかった、という事になるわけで、そう考えると地味に難しい馬だな、と感じました。
 無論チャンピオンズカップが太くて、そこから絞ってココ、という中で万全の体調だったかなど他の要因も考えられますが、結局のところ後半要素を最大限に引き出すためのスポット自体は結構狭いのに、福永Jはそこにそこそこ固執してしまうというか、今日みたいに半端に下げる形になってしまうとかえって良くない、とは言えるはずです。
 ただオメガパフュームの位置でもハイバランスになっているように、この流れの中で後半要素を引き出すにはそれこそサウンドトゥルーくらいの競馬が必要だったわけで、それは展開に左右される面が大きすぎるので、やはりトータルで見た時に、個人的には流れ云々よりはポジショニング優先で競馬した方が安定して強い気はするのですよね。

 結局この正攻法では上位2頭に完敗だった以上、そのあたりが来年の課題になってくるとは思います。
 理想論的に言えば、自分で逃げてスローバランスに組み立ててしまい、向こう正面からロンスパが一番強い気はするのですけど、他の馬がそれを許してくれるかはやはり難しい面がありますし、鞍上の意識含めてこれからは強い馬相手にどう出し抜く形を作れるか、この馬のベストとベターの踏み分けをしっかり模索して欲しいかな、と感じるレース内容でした。

 4着サウンドトゥルーも、自分の競馬は出来ていますが、やっぱり向こう正面で淀みがないと純粋にポジション差を詰め切れないですね。
 追走面自体はある馬ですから、もっといい時期なら流石にラストここまで落ち込めばもう少しズドンと来てもいいはずで、やはり力が落ちてきているのは隠し切れない、とは言えるものの、まだ大井の2000mなら展開ひとつで圏内に食い込む力はある、とは証明したレースだったとは言えます。
 陣営も今回は手探りの中で、馬体も少し減らしていましたし、そのあたりが噛み合ってくれば来年は南関を盛り上げてくれる、とは思うのですけどね。

 5着エイコーンもしっかり善戦してきて来年が楽しみになりました。
 大井のコースでもインぴったりでしっかり直線加速する余力を残せていましたし、全体的に器用さとパワーがかなり増してきたと感じます。
 ただやっぱり突き詰めれば、この展開でこれだけ強かったという事はステイヤー色は強めなのかな、と感じていて、中央の重賞クラスでの1800mでは1~2戦は様子を見たいかな、というイメージですね。
 むしろこちらも川崎記念とかダイオライト記念なら、左回りも上手ですからかなり合いそうですし、中央なら1900m以上のステイヤーコースで狙いたいとは感じます。自分で動ける今なら、乗り手の意識次第で1800mでも強い競馬が出来る余地はあるかもしれませんが、現状の相対的な評価ではそうなりますね。

 6着スーパーステションも、今年の戦績に恥じない良い競馬を見せてくれましたね。
 アポロケンタッキーにつつかれて終始息を入れるところのないハイペースになってしまったとはいえ、道営の競馬でも主にそういう展開を作って後ろの馬の脚を削ぐのが最大の武器でしたから、ある意味でこの馬の競馬により徹する事が出来た、とも言えるでしょう。
 流石に上位には完敗でしたが、上位3頭以外なら展開ひとつで、という感触はありますし、去年はまるで結果を出せなかった南関でも強さを見せられたことで更に来年が楽しみになりますね。交流重賞でもGⅡGⅢクラスなら普通に勝ち負け出来るレベルにはなっていると思うので非常に楽しみです。



posted by clover at 04:06| Comment(6) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今年前半はゴールドドリームの天下が暫く続くのかなと思っていたら急激な世代交代の波が来てますね。特に3歳勢は距離問わず層が厚く来年も盛り上げてくれそうですね。そして2歳にしてもノーヴァレンダ等、力がありそうな面子がいますからここ数年、新味に乏しかったダート界が一気に華やかになり嬉しいです。まあ既存勢力もノンコやサンライズ2頭など自己条件になれば強力なのがいますから対決が楽しみです。でもホープフルのサートゥルナーリアもそうですが面白い馬が増えてもデムルメの体は増えないんですよね。
Posted by BOBO at 2018年12月30日 08:45
>BOBO様

 いつもコメントありがとうございますー。

 そうですねぇ、正直ゴールドドリームって、歴代のダートトップホースの中でもかなり強い部類にいると思っていたのでそこは少し驚きです。
 逆にその見立てが正しいなら、今は歴代トップクラスが数頭いて、更にルヴァンスレーヴなんかは歴史的名馬ラインに届いていると考える事も出来ますね。
 その辺は結局証明のしようがない話ではありますけれど、仰るように次の世代からも楽しみな馬は出てきそうですし、ダートのトップホースは芝よりも全盛期は長くある傾向ですから、来年・再来年くらいまではダート戦線がとても盛り上がりそうですね。

 けれどデムルメはふたりしかいない、というのも仰る通りで、やはりあと2~3人は同じレベルか、そこに食い下がれるラインでの乗り手が、それぞれお手馬で戦い続けるという構図になって欲しいですよね。
 やっぱりモレイラJには通年免許取って欲しいなと私は思いますし、そこに日本人ジョッキーも絡んで欲しいです。
 川田Jの更なる躍進や武Jの意地に期待したいところで、福永Jは……うーん、昨日一昨日を見ているとどうにも、なんですけれど。。。
Posted by clover at 2018年12月30日 18:04
お疲れさまです。

ホント最後の最後までデムルメでしたね!
昨日は明らかに馬場が重いなというのは掴めていて、だったら3強の中ではケイティブレイブが浮上するだろと軸に据えてしまい…汗

残り400でゴールドドリームとオメガパフュームがすぐ背後に迫っているを見てやっちまったなと思いましたね。。

オメガパフュームってこんなに強かったんですねぇ。最後まで良い脚を使うことは分かってたんですけど、直線向くまでの差のつめかたが素晴らしかったと思いました。
このあたりがミルコJの真骨頂なんですかね?

ケイティブレイブはキレ負けするんだから
もっと緩めない形で後続に脚を使わせてたら違ったんじゃないかなと舌打ちしてたんですけど(笑)、cloverさんが指摘されてたようにハイバランスでしたからさらに失速してたかもですね。

競馬はホント奥が深いデス…

来年も回顧やプレビューを隈無く読ませて頂きレベルアップを目指します!よいお年をお迎え下さい!

Posted by チャッキー at 2018年12月30日 22:01
>チャッキー様

 いつもコメントありがとうございますー。

 オメガパフュームは印象以上にステイヤー色が強いと思うので、むしろ重い馬場になってお誂え向きだったのはあると思いますね。
 チャンピオンズCは弟デムが下手だったとは思いますし、基本的にコーナーから動かそうとしてもダメな馬で、向こう正面から勢いを乗せていって、その惰性で減速幅を少なくしてコーナーを乗り切るイメージがベストなんだと思うんですよ。
 ここでのミルコJは、序盤は敢えて無理はせず、その分しっかり向こう正面で詰めていくメリハリをきちんとつけてくれたので、あのコーナーでの機動性に繋がったとは確信しています。

 ケイティブレイブもタフな馬場の方がいいのは間違いないですよね。
 私の考えとしては、この馬の場合ハイバランスになってしまったら、少しのハイでも、超ハイでも、最後に使える脚は少しだけになってしまう、というイメージですので、このレースに限って言えば、ヤマミダンスとリーゼントロックよりも前、前の2頭の2~3馬身後ろについていっていた方がもっと際どかったはず、とは解釈しています。
 あと、スローバランスがベストとは言っても、それがペースに対して相対的なのか絶対的なのかが掴み切れてはいなくて、このレースでしたらそれこそサウンドトゥルーの位置にいないとスローバランスにはならないので現実的ではないですが、例えばフェブラリーステークスあたりで48-47,5くらいで入れた時に後半の爆発力を引き出せるのか、というのは一度試して欲しいんですよね。
 でも2000mなら、とりあえず前に行ってスローに支配出来れば万々歳、よしんばつつかれて流れても対応は出来る、という意識の方がいいとは思っています。中途半端が一番良くない感覚はあるのですけどね。
Posted by clover at 2018年12月31日 17:58
あけましておめでとうございます!今年もcloverさんの予想を楽しみにしています!よろしくお願います!
東京大賞典は、ミルコJの巧みな手綱捌きでオメガパフュームが勝ちましたね。向正面の動きと直線でゴールドドリームを行かせなかったのがポイントかな、と思いました。そして、3歳世代はやはり強いのかな、と。
今年は明け4歳と古馬の意地を見せてほしいと思います!
(間違えて記事へ送るにしてしまいました…すみませんm(_ _)m)
Posted by おっちゃん at 2019年01月02日 09:01
>おっちゃん様

 いつもコメントありがとうございますー。

 オメガパフュームというやや不器用な馬で、しっかり本命に蓋をする競馬が出来るから、絶好調時のミルコJは手が付けられないんですよね。
 少なくともここ10年単位で、ここまで秋の古馬混合戦で3歳馬が勝ちまくった年は記憶にないですし、それぞれに違う持ち味があって面白いですから、今年はダート戦線が例年以上に盛り上がること請け合いだと思います。
 その精鋭揃いの中で、しっかり適性面の差を見極めて的確にジャッジしていけるように頑張らないと、ですね。
Posted by clover at 2019年01月02日 17:58
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