2018年11月05日

2018 エリザベス女王杯 プレビュー

★はじめに

 例年ですと秋天から一周箸休めを置いての、改めてのGⅠ連戦スタートの位置にあるレースですが、今年はJBC中央開催の関係もあって、感覚的には例年以上にGⅠが地続きになっている印象を受けますね。
 改めて今週も淀にトップジョッキーが集まる構図にはなるでしょうし、例年通りですとイマイチ盛り上がらない展開になる場合が多いレースでもありますが、そのあたり含めて注視していきたいところです。


★レース傾向分析

 いつも通りに去年の記事を参照しましょう。


 純粋な傾向分析としてはおそらくこれを踏襲すれば充分で、今年も積極果敢に飛ばしていきそうな逃げ馬は不在の組み合わせですし、序盤・中盤共にゆったり目に入っての後半勝負が濃厚です。
 かつレースの質的に、牝馬同士だからか4F戦になりにくい、というのも特徴的な部分ですので、そのあたりの例年のセオリーを壊すような強気の仕掛けやレースメイクが見られるか、という部分でも楽しみはあるかなと感じています。

 今年の場合は、去年のように明確に馬場悪化が顕著、と言う事もないので、その推移の読み解き、騎手心理へのアプローチも大切になってくるでしょう。
 少なくとも先週の芝は、Bコース替わりと晴天続きの影響で前開催より顕著に軽くなっていました。
 ただ土台として例年よりパワー寄りだったのも間違いなく、週間天気予報を参考にする限り、金曜辺りにそれなりにまとまった雨が降りそうで、日曜の時点では良に回復するものの、騎手の意識が追い付かずに相当なスローバランス、ラスト1F最速、みたいなレースになる可能性まで視野に入れておく必要はあるかもしれません。

 どうあれ基本的には前目内目狙い、かつ機動力と瞬間的な切れか圧倒的な持続力を持っている馬、というのが狙い目になってくるはずですので、そのあたりを踏まえつつ個々に考えていきましょう。


★有力馬所感

・モズカッチャン

 去年のこのレースを3歳にして制したモズカッチャンが、再びミルコJと共に連覇を目指します。
 レース質としてリピーターが強めのレースではありますし、去年ほどではないにせよ超高速にはまず至らない今の淀で、ハービンジャー産駒が躍動しやすい条件なのは間違いないと思います。
 馬自身は今年3走しかしておらず、どのレースもこの馬らしくしっかり力は出し切りつつ一歩足りないレースが続きますし、府中牝馬Sを熱発回避して本番ぶっつけになったのも、叩き良化のきらいがある中ではあまりプラスではないでしょう。

 あと去年のレースは、内枠から完璧なスタートを決めて絶好のポジショニングでしたし、この馬の総合力の高さが絶妙なバランスで噛み合う内容でした。
 基本的には堅実ながら勝ち味に遅いタイプなのは間違いなく、血統的にディアドラ同様、実は相当に強くなっている可能性もない事はないでしょうが、総合的に見て内枠以外で頭から狙うのはどうかな、という感覚にはなります。
 人馬ともにしっかり好勝負には持ち込んでくれるでしょうが、ミルコJのバイオリズムの悪さも含めて、今のところ本命視はあまりしたくない馬ではありますね。

・リスグラシュー

 今年もあと一歩のところで悲願のGⅠ制覇を逃しているこの馬、前走も強い競馬ながらディアドラに一蹴されもどかしさが募りますが、最強の助っ人モレイラJを鞍上に迎えて、まさに背水の陣、という感じの一戦になりそうです。

 ただ馬のタイプ的に、右回りですと左回り程機動性を引き出せない場面が多く、増してポジショニングにやや難がある馬でもありますので、スローで仕掛け遅れになりやすいエリ女が適性の高い舞台でないのは間違いないとは思います。
 積極性の強いモレイラJですし、近走短めの距離を使ってきたのが生きてスッと中団くらいが取れて、かつ坂の下りからロスを恐れずに強気に押していく競馬が出来ればいいですが、その為には枠の並びも重要になりますし、外過ぎない外、10か12くらいの偶数枠ならベストかな、と感じます。
 内で包まれて動けない形ですと去年の二の舞の可能性が強くなりますし、奇数枠では出負けのリスクが大きく、こちらも余程条件が噛み合わない限りは重い印までは回したくない感覚ですね。

・ノームコア

 粒揃いの3歳世代からは、秋華賞こそ体調の問題(鞍上の問題の間違いかもですけれど)で回避したものの、トライアルの紫苑Sではっきり成長を見せて突き抜けたノームコアが、向かうところ敵なし、5週連続でのGⅠ級レース制覇を目指す最強の鞍上のタクトで一気の戴冠を狙います。

 タイプ的には元々秋華賞よりエリ女向きだと思っていましたし、今年の秋華賞の流れなら、ミッキーチャームの番手くらいで競馬していたらかなり面白かった、とは思うのですが、どうあれその先行力と自在性、そして秋になって一気に高めてきた底知れない後半要素は大きな魅力です。
 走りのタイプ的に、距離が伸びて殊更にマイナスになるタイプではないですし、要所での加速性能の高さと、そこからの瞬発力の質や持続性など、このレースを勝つための優生的な性能は存分に保持している馬ですから、現状では本命に近い存在ではありますね。

 まあ世代レベルとして、アーモンドアイが別格の牝馬戦線がどこまで今の古馬に通用するか、今年は古馬の層もかなり厚いとは思っていますので、枠の並びなども含めてしっかり考えたいところです。
 やはりこの馬としては、逃げ馬を置いての番手外、いつでも動けてレースを支配出来る位置が欲しいですし、レース傾向的には内枠有利は揺るがないものの、あまり内過ぎて、それこそサンライズソアみたいに逃げるかポケットに甘んじるか、と選択の幅が狭まる形はあまり嬉しくないかもですね。
 理想はプリメラが内にいての真ん中くらい、どうあれ先行馬があまり多い組み合わせでもないですから、ルメールJのそつないポジショニングがあればまず好走は期待していいのかなと思います。

・カンタービレ

 3歳世代からはもう一頭、ローズSを制し秋華賞でも3着と気炎を吐いたディープ産駒のカンタービレが出てきますね。
 ローズSでの、前目から長く脚を使っての勝利は成長を感じさせましたし、前走の一転して後方からの競馬でもしっかり末脚の質を高めてきたのは評価していい材料だとは思います。
 ただし前走は、距離が伸びる中で後方からの競馬にシフトしたことで延長にギリギリ適応してきた、という見方も出来ますし、馬の本質的に更なる延長がプラスになるか、となると微妙なラインかもしれません。

 勿論後半型の競馬で、絶対量でここで足りるか、となるとそれは多分厳しいので、勝ち負けを考えるなら本来の先行策でこそ、となります。
 エリ女のレースパターン通りのスローバランスなら距離も誤魔化す余地はあると思いますが、先行グループの中でもノームコアやクロコスミアはかなり手強いと思っていますので、勝ち切るまでの絵図は描きにくい馬にはなってしまいますね。
 外枠なら消してもいいかな、とは思いますし、こちらは明確に内枠が欲しい一頭になるのでは、と感じています。

・レッドジェノヴァ

 この夏前から急激な成長を遂げて、前走ではサトノダイヤモンドに肉薄する凄味のある足を披露してきた今年の最大の上がり馬・レッドジェノヴァが、勢いそのままに初重賞制覇をGⅠで決める事が出来るでしょうか?

 一昔前ですと、京都大賞典で好走した牝馬は、スイープトウショウ然り、メイショウベルーガ然り、ほぼ確実にエリ女でも走ってきたイメージなのですが、近年はよりエリ女自身のスローバランス化、底力を問われない展開になる事が増えて、京都大賞典組ではないですが、宝塚記念を制したマリアライトの凡走など顕著な例になると思います。
 去年にしても、4F戦の京都大賞典を制したスマートレイアーが、仕掛けの遅い3F勝負の中で出し切れずに完敗、という話ですし、その意味でこのローテーションが以前より鉄板度が下がってきているのは確かでしょう。

 ただし今年の場合は、ウインテンダネスが下手逃げした事で京都大賞典自体が2F戦に近い推移になっていて、かつこの馬はサトノダイヤモンドあたりが外から一気に動いていくコーナー出口で内に包まれ、通過順を見ても一目瞭然に待たされての競馬になっています。
 そういう立ち回りでも、レースラップ12,1-11,2-11,8の上がりの中で瞬時に動けたのは加速性能と瞬発力の質の高さを感じさせましたし、その点で今年は比較的直結度が高いレースになったのではないか、と見ています。
 内から立ち回れるのもあらためて証明できましたし、内枠から好位のイン、せめて3列目までに入ってこられればかなり楽しみな一頭になります。

 まあ関東馬の連続輸送もあるので一概には、とはなりますが、小島太厩舎も来年春で定年解散となる中で、GⅠで勝負け出来る手駒はこの馬が最後、とも言えそうですので、乾坤一擲の仕上げと、池添Jの思い切った騎乗が噛み合えば、ですね。現状本命候補の一頭になりますし、情味含めて印は必ず回すつもりです。

・フロンテアクイーン

 堅実さでは右に出るものなし、けれど勝ち味の遅さでも独特のキャラを形成しているフロンテアクイーンが、久々にGⅠの舞台に登場します。
 常に相手なりに走ってくる総合力の高さが最大の武器ですし、今はある程度の先行力も保持していますので、やはり内目の枠からスムーズに流れに乗ってこられれば、他の馬の出方によっては圏内確保は充分に期待出来る馬にはなるでしょう。
 ただ近走内容としては、どちらかと言うとマイル近辺の距離で、適度に追走を問われてのレースで強みが出ていますし、前走も強い相手に3着は評価出来るとは言え、トータルで見た時に後半要素に限界があるのも確かだろうとは思います。

 器用さを活かす為にはやはり内枠必須の一頭ですし、その点でプラス加点できるなら印は回すにしても流石に頭までは厳しく、外枠なら多分他に面白い馬も多い中で軽視してしまうのではないかな、と考えています。

・スマートレイアー

 去年は京都大賞典を強い競馬で制しながらも、本番ではスローペースに泣いて悲願のGⅠ制覇には届かなかったスマートレイアーが、去年は無念の騎乗停止で乗れなかった最愛のパートナーである武Jを背に、本当に本当のラストチャンス、と言えるこの舞台で花咲く事が出来るでしょうか?

 少なくともレースぶりが去年よりも衰えている、というのはまず冷徹に見ていくと顕著ではありますし、ここも簡単なレースにはならないでしょう。
 ただ前走は向こう正面で引っ掛かって、坂の上りから一気に押し上げていく無茶な競馬ではありましたし、しっかりスタートを決めて好位列で折り合えるようなら、叩き良化型でもありますし怖さは出てくるかなと思います。
 基本的には持続力が最大の武器になるのは間違いないですので、出来れば坂の下りから自分で動いていけるポジションが欲しいですし、こちらも外過ぎない外がベターだと感じています。
 相手関係は去年よりも更に骨っぽくはありますが、往年の力をここ一番で取り戻してくればノーチャンスではないはずですし、人馬ともに頑張って欲しいところですね。

・クロコスミア

 去年は上手くレースを支配しての出し抜きであわや、という場面を作るも惜しい2着、そこからはあまり結果を出せていないものの、前走で復調の兆しを感じさせたクロコスミアが、二年連続で波乱の使者となれるでしょうか?

 馬のタイプとしてはこの舞台がバッチリ合うのは間違いないですし、雨の影響度などで仕掛けを遅らせても後続が動かない展開になるなら当然今年も浮上している一頭だと思います。
 前走は結局カワキタエンカの大逃げを見据えつつ実質超スローに支配したものの、前が遠い事で仕掛け自体は早くせざるを得なかったですし、その分持続力と切れ味の質の両面で足りなかったのですが、この馬としてはこの展開の中では十全に能力は発揮出来た、と考えています。
 そこからしても調子自体は去年と同様に見ていいですし、無論勢いは劣るものの、こういうタイプはかっちり噛み合えばいきなり激走してきますので、人気もそこそこ落ちるでしょうしマークをしておいて損はしないのでは、と見ています。

 プリメラが出てくるならこっちを逃げさせて番手かポケットが理想になりますし、同型ではノームコアは鞍上含めてかなり強敵になるでしょうが、圏内食い込みのチャンスはそれなりにある一頭だと今のところは考えています。

・アドマイヤリード

 忘れてはならないGⅠ馬のこの馬も、二年越しでのこのレースの参戦になります。
 馬のタイプ的に後ろからでは厳しい、というのはありますが、この馬の場合は休み明けは走りませんし、叩いての上昇度と、切れ味の質の高さを鑑みると、内枠を引いて、全体の仕掛けもそこそこ早まり、内がぽっかり空くところをイン差しに徹する、位噛み合ってくれば一発はあるかもしれないな、と見ています。
 VMの覇者とはいえ、本質的にマイルの馬ではないですし、この距離で溜めに溜めての爆発力が上手く噛み合えば、一昨年のクイーンズリングみたいなイン強襲はあるかもしれないのでそこだけは警戒しておきたいところですね。

・エテルナミノル

 ムラ駆けの傾向は強く、ゲートも安定しないのでなんともですが、今年に限れば結果を出しているのは2000mの比較的タフな展開で、去年は外々になって凡走したものの、2200mという距離自体がこなせない馬ではないと見ています。
 タフ寄りの馬場で引き出せる瞬間の脚の鋭さが最大の武器になりますので、中目の枠から好位列外目の動ける位置につけて、更に雨の影響が残って前開催位のタフなコンディションになれば少し怖さはあるかな、というイメージです。

・ミスパンテール

 流石にダイワメジャーの仔で2200mはちょっと長いのかな、とは感じます。
 オークス惨敗もありますし、ある程度先行力はあるので好位列にすんなり潜り込めるようならちょっと怖さはありますが、条件としてプラスになる馬が多い中での序列としては流石に下がってきます。
 2週続けての横山J×昆厩舎の名タッグの大駆けも流石に、とは思いますし、スペースを拾いやすそうな並びでの内枠とか、すこぶる条件が良くない限りは拾わないと思います。それこそスロー想定では、外からインに潜り込む余地は薄いはずですしね。

・レイホーロマンス

 この舞台に辿り着いて欲しいな、と思っていた馬ではありますが、現状そこまでの成長力を感じないのと、持続型でエンジンの掛かりが遅いタイプなので、如何に鞍上強化でも待ちのイメージが強い福永Jのテン乗りではどうか、とはなります。
 スローバランスで運よく仕掛けが早まり4F戦になってくれれば持ち味は生かしやすいとは思うのですが、ポジショニングにも難がありますし、総合力的にも流石に手は出しにくいですかね。

・コルコバード

 こちらも着実に階段を上がってきた堅実で素材感のある上がり馬ですが、レッドジェノヴァと比較してもあまりポジションは取れない、機動力や加速力は微妙で特化的な持続力型ですので、この舞台向きとは思いません。
 前走を踏まえても馬場が渋ってかつハイバランス、とかですと、追走面でも良さはありますので台頭してくる余地はありますが、良馬場なら流石に狙わないつもりです。


posted by clover at 20:25| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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