★はじめに
スプリンターズSはまるっと存在を忘れていたプレビュー、先週も三日間開催などで忙しくスケジュールが押していますが、簡潔に、かつ鋭く書けていけたら、と思います。
★レース傾向分析
まず例によって去年の記事です。
去年の記事で、まず重たい馬場にならないレース、なんて書いた途端に、史上初の重馬場のレースになったわけですが、思えば去年の秋はこのレースを皮切りに延々悪天候と台風の攻勢で凄まじいタフな馬場に変貌していったんですよね。
今年は逆に、開幕週から思いの外タフな馬場、という特殊な状況になっていて、週末の天気も少し怪しい感じではあり、これまでのレースデータそのものが直結しにくい、むしろ去年のレースが一番参考になるかも?というイメージを持っています。
基本的に先行争いは激しくなりがちなレースですし、今の馬場なら時計的には良でも1,59,0くらいが想定されますので、そうなると相対的なハイペース、後半もあまり速いラップは問われない可能性は強く出てきます。
無論一週使って一気に高速馬場に変貌するパターンも有り得ますので土曜日の競馬は注視する必要がありますが、例年ですと出番のないパワータイプや差し追い込みタイプでも或いは、という期待が持てるレースにはなりそうですね。
★有力馬所感
・アーモンドアイ
とはいえ、史上5頭目の牝馬三冠を目指すこの馬にとって、馬場のトリッキーさなどは丁度いいハンデになってしまうかもしれません。
言うまでもなく春二冠のパフォーマンスは圧巻の一言で、後半要素という観点では、加速性能・瞬発力の質・そこからの持続力と、全てにおいて他馬を寄せ付けない凄まじい性能を搭載しており、またある程度タフな馬場もシンザン記念で克服済みと、ほとんど死角がありません。
敢えて言えば内枠を引いてスタートがしっかり決まってしまった時に外に出せずに、というパターンはあるかもで、このくらいの馬になると外枠の不利よりはスムーズに走れるほうが、というのはありそうです。
脚質的に流石にテンのペースが上がるここで、オークス程の好位は取れないとは思いますが、極端な後ろからにでもならない限りまず届くと見ていいですね。
春よりもライバル陣営の動向もややトーンダウン、という感じですし、こちらもぶっつけなのはありますが、そもそも桜花賞を掟破りのぶっつけで楽々勝ち切った馬なのでその点も心配ないと考えます。
今のところは本命を打たざるを得ないかな、とは思いますし、相手探しの中で面白い馬が拾えていけたら、という感覚ですね。
基本的にここはしっかり勝ってもらって、JC参戦でどこまでやれるか是非に見たいところです。
・ラッキーライラック
こちらは中間に頓挫がありローズSを回避し、ここもなんとか間に合ったかな、という印象はあります。
更に運のない事に、主戦の石橋Jが落馬負傷で乗り替わりとなるのもプラスではないでしょう。まあ今年躍進している北村友Jを確保し、大舞台での大きなチャンスをものに出来るか、という所でも注目ですが、そこまで乗りやすい馬、というイメージでもないのでこれがどう転ぶかも判断の難しいところです。
ただ当然能力的には、アーモンドアイ以外の相手はこれまで歯牙にかけてこなかったわけで、レースセンスの巧みな馬ですからトリッキーな京都2000mもプラス、右回りになるのもプラスと判断は出来ます。
アーモンドアイに対して勝ち負けに持ち込むなら当然内枠が欲しいですし、全体の並びの中で対抗か連下か悩むところですが、一連のレースから流れてプラスになるとはあまり思っていないのでそのあたりも鍵ですね。タフな馬場自体はこなしてくるとは思うのですが、評価の難しい一頭になったなと思います。
・カンタービレ
ローズSは早め先頭から堂々の押し切りで、今までのイメージを一新する強さでした。
あのレースは上手く乗られた感はありますが、今回は武Jを確保し、ちゃんと出し切ってくれるだろう、という部分では信頼が置けるのと同時に、元々は流れるレースで良さがあったので、その点もプラスには働きそうです。
ただ一方で、前走の強さを見ると高速巧者の可能性も出てきたなと思うので、今の少し力の要る馬場がどうか、とは思いますしっ、先行争いも激化するとは思うので、その中でどれだけスムーズにいいポジションを取れるか、また前走にしても本仕掛けそのものは遅めでしたから、下りから4F勝負になった時に直線までしっかり脚を残してこられるかなど課題は結構あり、こちらも無印は怖いですが重い印を打つほど信頼が置けるか、と言われると少し判断に悩む一頭です。
・プリモシーン
春は不完全燃焼の競馬が続いたものの、関屋記念を制してその素材の確かさをしっすかりアピールしたこの馬はどうでしょうか?
正直タイプ的には純正マイラーだな、とは見ていて、前走の時計面でもそうですが、あまりギアの上げ下げを問われない一貫スピード勝負向きの感覚はあります。
なので高速馬場で淡々と58,5-58,5くらいを刻むなら面白いのですが、どうしても中盤の緩みに合わせてしまったり、相対的に前傾になった時の不安は多く、脚質的に距離が伸びても前を取れるかは相当に不安視できます。
単純に後ろからになった時に、流石に末脚の絶対量でアーモンドアイを凌駕できるとは露ほども思えないので、やはり評価としてはそれ以下、にはなってしまい、馬群を器用に捌けるイメージも今のところ薄いので、異端ローテも含めてちょっと評価しにくい馬かな、とは考えています。
・サラキア
モレイラJの騎乗停止で池添Jとの元鞘が決まったようですが、タイプ的には京都内回りが合うとは言えず、それでも前走のようにインで我慢しつつしっかり脚を引き出す競馬が出来た時はワンチャンスはある馬かな、とは見ています。
小倉戦がかなり強く、前半から流れる中でポジションこそ取れなかったものの終始手応えは楽、直線も悠々突き抜けており高速馬場向きで、その点渋ったり、いまの重い馬場のままだったらどうか、とはなりますが、単純に末脚だけならプリモシーンよりも持っているかな、というイメージです。
どうしてもタイトに立ち回るしかチャンスはない分ピンかパーか、という競馬にはなりそうですが、池添Jの意地もあるでしょうし、上手く内枠で出負けをリカバー出来そうなら思い知る島で視野に入れてもいい馬だとは思っています。
・ミッキーチャーム
北海道開催で怒涛の3連勝、しかも色々なパターンの競馬に適応しての勝ち切りは中々インパクトがありました。
特に前走は、自らハイペースで逃げてファストアプローチを堂々の時計勝負で撃破していますし、タフな馬場と前傾戦に明確に担保があるのは心強い点です。
逃げなくては競馬出来ないタイプではないでしょうが、前走気分良く行き過ぎた分今回折り合いなどは苦労しそうで、頭から飛びつけるかは判断が難しいですけれど、秋華賞、というロケーションに対して脚質と脚の使い方がマッチする馬なのは間違いないと思っていますので警戒はしたいですね。直前の気配も含めて注視したいところです。
・トーセンブレス
実績的にはかなりのものがあるものの、前走の敗因が不明瞭なこの馬はどうでしょうか?
正直阪神外回りの1800mはベストに近いと思っただけに、あの一切見せ場なしの負け方はかなり気になりましたし、今回それが払拭されているという確信もない中で、脚質的にも向かない内回り京都ですから、基本的には実績は尊重しつつもここでは無印、にせざるを得ないかなとは見ています。
ただ前走思いの外ポジションが取れたのもあり、失速が状態面に依拠しないもので、今回も藤岡佑Jで積極策を打った時にワンチャ噛み合う可能性は残っていますし、まともならこのメンバーでも3番手グループには入ってくる馬ですから警戒は怠れないと思います。
・オールフォーラヴ
穴馬候補としてはかなり楽しみな馬です。
過去の戦績からもタフな馬場で上がりの掛かる競馬の方が強く、前走は明確に切れ負けしていますから、そこそこ渋ったりタフな馬場のままの時に、前が58くらいのラップを刻むのにしっかりついていって、それでも脚を残すチャンスは持っている一頭かな、と考えます。
タイプ的にアルメリア賞はそこそこ走っているものの、阪神よりは京都向きだと思いますし、坂の下りから強気に分散させていく競馬が先導出来れば、頓挫明けのラッキー以下のグループとはそこまで差はないと思いますけどね。
・ハーレムライン
紫苑S組は1~2着馬が回避してしまって、着差的にも中々拾いにくいところではありますが、ハイペース先行でガラッと一変する可能性としてはやはりこの馬に想いを寄せたいところです。
ある程度ハイペースからでもしっかり質の高い一脚を繰り出せるのが最大の武器だけに、コーナーを上手く立ち回れる枠からスムーズに先行出来れば楽しみはあって、オールとどっちを単穴にしようかな、くらいに考えている馬です。
前走は流石に馬体にも余裕がありましたし、一度使って良化してくると思うのでかなり楽しみにしています。
ただ前走のラストを休み明けでなく距離、と考える事も出来ますし、やはり内枠はしっかり取って欲しいですけどね。
・パイオニアバイオ
この馬の場合は、明確に渋った時に怖さがあるかなと踏んでいます。
元々良馬場では切れ味の質や持続力で足りないのをポジショニングの上手さで補っていましたが、元々そこまで出足鋭く、というタイプでもないですし、前半34秒台も有り得るくらいに逃げ・先行馬が揃った中では序盤は我慢しかないでしょう。
良馬場ですとそのままスピードで押し切られてしまうので、やはり少しでも渋りが欲しいですし、切れはないもののかなりしぶとく伸びる馬ですから、去年のような消耗戦になった時に最後突っ込んでくるイメージは作れる一頭ですね。
・ゴージャスランチ
抽選待ちにはなるでしょうが、素材的にはかなり評価している馬で、高い追走力と加減速の性能の高さを保持していますので、意外と秋華賞の舞台にマッチする馬だろうと踏んでいます。
前走のように逃げても引きつけ過ぎて先に動かれたカンタービレに切れ負け、というのはょっと残念な結果でしたが、逆にそこそこ流れつつペースが落ち付かない時の安定感も含めて評価は出来ますし、抽選が通るようなら楽しみはあると思います。
・ダンサール
こちらも抽選待ちですが、過去ある程度好走の幅を見せてきつつ、前走が圧巻の先行押し切りで、パフォーマンスだけならここでも、と思わせるものはありました。
少なくともエクレアスパークルを好位からぶっちぎってくるのは500万下のパフォーマンスではありませんでしたし、要所の機動性と、そこから高いスピードを維持する力は中々のものです。
質的には少し足りないと思いますが、そこは常に早めに動いて出し切ってくれるミルコJになりますし、タフな馬場で相対的に速い上がりを繰り出せるタイプとは思うので、雨が降ってくれればなお面白いかなと見ています。
・オスカールビー
こちらも前走は面白い勝ち方で、中山の芝はこの時点では高速だったのでは?という疑惑はあれど、前半から飛ばしてラスト200mでもう一度加速する余地を残していた、というのはかなりのパフォーマンスです。
他にも逃げ先行馬が犇めくレースだけにポジショニングで信頼し辛いのはありますし逃げてこその強さ、という感覚はある為に鵜呑みにはしづらいですが、何頭先行馬が抽選を通るかによっても変わってきますし、おもしろさはあるかなと見ています。
南部杯は現地で応援させていただきました。ルヴァンスレーヴは圧巻の走りでしたね。馬券は外しましたがファンになりました。
明日は大井競馬場で、東京盃が開催されますね。今回もブログの更新楽しみにしています。
コメントありがとうございますー。
南部杯、現地はかなり盛り上がったようですねぇ。
結果的にあのレースが今後のダート界のターニングポイントになったかも、という印象ですし、ルヴァンスレーヴは春より更に走りに力感が増して、それでいてすごく素軽くもあり本当に素敵な走りをするんですよね。
今となってはなんで伏竜S負けたの?と思うくらいですが、きっと追いかけていくと素晴らしいシーンを沢山見せてくれる馬になるでしょうね。
東京盃も絶対王者候補が出てきますし、非常に楽しみです。