2018年07月29日

2018 クイーンS・アイビスサマーダッシュ レース回顧

 札幌開催は今年もモレイラJが参戦して盛り上がっていますが、しかしその中でもしっかり期待以上に結果に繋げてくるのは流石ですね。
 その相乗効果的にルメールJも随分とやる気満々ですし、昨日が3勝ずつ、今日が4勝ずつとなれば、本当に札幌はこの二人買ってればOK、みたいな状況になっていますし、メインでもしっかりどちらかは必ず存在感を見せてきますね。


★クイーンS

 というわけで、クィーンSはドバイ帰りでルメールJ騎乗のディアドラが、後方からコーナー大外一捲りで一気に先頭に立ち、ほぼノーステッキでの圧勝・完勝を飾りました。レースを振り返りましょう。

 今日の馬場は、昨日一日使用したことで程よくこなれて、昨日よりは少し時計が出るようになってきたかな、というイメージがありました。
 9Rの500万下1800m戦が36,5-36,5-34,7とかなりのスローバランスで1,47,7、最終もかなりのスローでレースの上がりが34,0となる中でも1,28,3まで出ましたから、46秒前半まで勝ち時計が上がったのは納得ですし、とはいえ勝ち馬圧倒なのでレースレベル自体はどうだったか?という部分ではしっかり検証がいるかなと思います。

 レース展開は、内からソウルスターリングとツヅミモンが好スタート、ティーエスクライはややダッシュが悪く、それでも押して押して先手を主張し、この3頭がポツンポツンと馬群を縦長にしつつレースを引っ張る形になりました。
 距離感覚的には中団くらいのポジションになった3番手のソウルスターリングの後ろに、リバティハイツ、アグレアーブル、トーセンビクトリー、エテルナミノルと先行馬がごった返し、その後ろに今日は二の足が悪かったフロンテアクイーンがいて、ディアドラは道中後方2番手、ゆったり構えつつ向こう正面からじわっと前との差を詰めていく形を選択しましたね。

 ラップは34,4(11,47)-37,2(12,40)-34,6(11,53)=1,46,2(11,80)という推移になりました。
 序盤のハイラップはティーエスクライ一頭のものではあるものの、それでもソウルスターリングの後ろの組くらいまでは35秒半ばくらいの通過、そこから中盤一気に緩んでいる中でじわっとポジションを上げていくものの、バランス的にはそれより後ろの組、前半を36くらいで入っていった面々は前半から中盤にかけてフラットに使い形で追走出来たのかな、と思います。
 ラップとしては中盤が12,1-12,6-12,5と、向こう正面でガクンとペースが落ちているのが先行馬としてはやや冗長的な部分で、かつそこから11,8-11,3-11,5という後半に向けて、そこそこ加速度が高いレースになっているので、その点でも後ろからじわっとエンジンを早めにかけていった組の方がレースがしやすかったとは感じています。

 結局馬場がかなり軽い分、この前半でも平均ペースに収束していますし、その上で後続が楽に取りつける緩い地点を、かなりゴールに近く、かつロスの少ない向こう正面で作ってしまったのは前にいた馬の立ち回りとしては微妙なところで、まあティーエスクライが遮二無二、ではあったのでそれを無視しつつバランスを組み立てるのは難しかったかもですが、総合的に後ろから外目を通してノンブレーキで進出出来た馬に優位なパターンに嵌ったかなと考えます。
 とにかく中盤が緩すぎたので、序盤の追走とそこからのギアの上げ下げの器用さを問われた組は見た目より頑張っている、と評価したいレースにはなりますかね。

 まぁそうは言っても、勝ったディアドラは圧巻の一言ではありました。
 昨日の記事でも書いたようにレース全体では流れた方がいいタイプで、けれど一貫して流れてしまうと1800mでは取りつく地点がなくて苦労するのでは?と穿って評価を落としたのですが、結果的に労せずスムーズに前に取りつける理想的な展開になってくれましたね。
 その上でコーナーからの加速と持続力は圧巻の一言で、一番外でロスが大きい中でもおそらく11,5-11,0-11,2くらいの上がりを駆使してきています。
 イメージ的に高速馬場で10秒台に入るか?というレベルの切れ味を問われると微妙なタイプだと思っていたのですが、馬の成長もあるのか、エンジンの掛け方が抜群だったのか、そのあたりの弱点が全く見られなかったのは驚きで、洋芝適性も非常に高いのかなと感じさせました。

 今後の目標がどこになるかはまだはっきりしていませんが、正直エリ女向きの馬ではないんですよね。
 基本的にはタフなレースの方が向いていますし、混合戦にぶつけるのもアリかもしれません。香港なども馬場が合いそうですし、そのあたりを目標に、2000m前後で勝負していければ今後も活躍が期待出来そうですね。

 2着のフロンテアクイーンは、今日はレースぶりも調子もイマイチっぽかったですけれど、それでもしっかり2着を拾う辺りはこの馬も完成期だなと思わせました。
 いつもはもうちょっとスタートからの反応がいいのですが、今日はややもっさりしていて、頓挫明けと-14kgの影響はあったのかな、と感じます。
 ただ結果的に後方やや外目、というポジション自体はこのレースの流れの中でかなり噛み合った位置でしたし、そこからの進出自体はスムーズで、けれど瞬間的な脚、持続的な脚のどちらでもディアドラには完全に見劣ったので、やはりこのレベルの相手になると太刀打ちできないのか、という面も見せてしましましたね。
 重賞はいつか勝てる馬と思うのですが、なんだかんだでこういうタイプは延々2着続きで終わるのかもしれませんね。どうあれ牝馬限定戦であればもう崩れる不安はほとんどなく、後は今回状態が微妙な感じだったのをしっかり立て直してくれれば、ですね。

 3着のソウルスターリングは、かなり離されてしまいましたけど復調の兆しは感じる悪くない競馬だったと思います。
 結局この馬くらいの位置でもテンの速い流れに巻き込まれ、そこから一度ブレーキして、コーナーから一気に再加速というややちぐはぐな立ち回りを求められていますし、中盤緩すぎた事で後半かなり速いラップを要求されたのもこの馬としては微妙でした。
 この馬の適性を思うならこれでも仕掛けが遅いというか、12,6-12,5の地点で一気に押し上げて4~5Fの高速ロンスパに自分から持ち込むくらいの気概が欲しいところですね。まあ今回はテン乗りでしたし、流れも難しかったですけれど、やっぱり本質としては2~3Fで勝負すると甘い、というのは今までも見せていましたし、ちょっとアイデアが足りない中で先ず先ず馬は頑張った3着と考えます。

 4着トーセンビクトリーも久々にこの馬らしい競馬ではありましたが、上手く緩みに合わせる中でもう一歩足りないのが今の立ち位置になるのかな、という感じです。
 あまり前半無理は出来ないけれど、それでも理想はポジションを取らないと、いい脚は一瞬しかないという部分はどうにもならないので、その辺のバランスが難しい馬ですね。

 5着アンドリエッテは、この馬が5着に差し込めたレース、というイメージでいいのかなと思います。
 後方待機組は緩みで取りつけた面のアドバンテージは大きかったですし、けれどそれでもスパッと動けるほどではない、相手関係が強くなるとめっきり足りないというのは見せてしまったので、今後も中々勝ち負けまで加わるのは、牝馬限定戦でも難しいかなとは感じましたね。


★アイビスサマーダッシュ

 台風一過のフェーン現象で灼熱地獄と化した今日の新潟の名物重賞・アイビスサマーダッシュは、人気のダイメイプリンセスが好位から鋭く抜け出して完勝、改めて直線コースへの高い適性を見せてきました。森田厩舎のワンツーでもあったこのレース、しっかりと振り返りましょう。

 新潟の馬場は昨日同様に超高速状態が維持されていましたね。
 普通の芝のレースはやや外差しが効きにくいイメージはありましたが、500万下の2000m戦で59,0-58,3=1,57,3が出ていますから軽い馬場で、瞬発力が活きる舞台なのは間違いなかったと言えます。
 昨日の閃光特別も例年に近いラップと時計で決着していましたし、そういう状況下で久しぶりに53秒台に入ってきたあたりは高く評価出来るかなと感じますね。

 レース展開は、内からアクティブミノル、レジーナフォルテ、ラブカンプーあたりが好発から先頭集団に取りつき、外目からはレッドラウダ、ナインテイルズ、ペイシャフェリシタあたりも早めの競馬になって、その後ろにじっくりとダイメイプリンセスが構えて進路を探している、という形でした。
 内のラインスピリット、カラクレナイあたりは無理に外には出さずに自分のリズムでの競馬、アペルトゥーラ、ノットフォーマルあたりまでがやっとこ流れに乗ってレースを進めていけたかな、位のイメージです。

 ラップが21,8(10,90)-10,3-21,7(10,85)=53,8(10,78)という推移でした。
 テンの21,8は過去のレースからしてもかなり速い方ですし、その分中盤で微かに息が入ってから、10,1-11,6と再加速ラップを踏んで、ギリギリバランスとしては後傾戦になっています。
 とはいえそういうバランスで競馬出来たのはほぼ勝ち馬だけですし、例年以上にテンが速くなったことで追走に苦労する馬は多く、そこから高い切れ味を引き出すのも難しい中で、勝ち馬だけはちょっとレベルの違う強さを見せた格好になりましたね。

 しかしこのダイメイプリンセスの1000直適性の高さは凄いですね。
 今回も枠は良かったですし、そこからスタート自体はそこまで早くないものの、しっかり伸びそうな馬の後ろを選んで追走する余裕があって、少し間を割るまでに苦労はしたものの、進路を作ってからは圧巻の突き抜け方でした。
 今年は前半が速かったのもあってか、31秒台の上がりを使ったのはこの馬だけで、時計的にもカルストンライトオのレコードに0,1差に迫る53,8は極めて優秀と言わざるを得ないでしょう。

 1000mだとこれだけメリハリのある競馬が出来るのに、コーナーのある1200mでは重賞でどうこう言えるレベルではないのが面白いところですよね。
 基本的にここを勝った馬はじゃあスプリンターズS路線に、ってなりますけれど、それである程度結果を残したのはサンアディユくらいしか思いつきませんし、これまでの戦績的にもあまりお勧めできません。
 個人馬主ですので現実的ではないかもですが、むしろこの際直線に拘ってアベイユドロンシャン賞、とか狙ってみたら面白いんじゃないかなんて思ってしまいます。血統的にもダンシングブレーヴの流れを汲むキングヘイロー産駒ですし、1000直なら馬場不問、という部分も含めて結構楽しみはありそうなんですけれどね。

 2着のラブカンプーも、例年なら完勝出来るレベルの時計で走っていますし、ここは相手が悪かったの一言に尽きますね。
 ここまで絶対的に速いラップを問われる条件でどうかな、と危惧していたのですが、スタートから楽に前目でついていけましたし、この馬のラップ的には21,8-10,3-21,9という事になる筈ですから、これだけテンに脚を使ってもほぼ平均でまとめてきた総合力の高さと安定感は素晴らしいなと思います。
 この条件は他のレースとそこまでリンクしにくいのですが、一応時計的な目途も立ててきましたし、こちらは前傾ラップでもある程度はやれる馬ですから、サマースプリントシリーズ転戦の中で優勝のチャンスもありそう、と感じますね。
 ただ小倉1200mは微妙な気はして、相手は強いかもですが阪神1200mのセントウルSならかなり強気に狙っていい馬ではないかと思います。

 3着ナインテイルズも悪くない競馬ですが、最後失速したようにちょっとこれでも前半行き過ぎたかな、というイメージですね。
 周りが速い分無理せず先頭列よりは少し後ろから、となりましたけど、それでも上がりで上位2頭には太刀打ち出来ていませんし、流石にこのレベルまで来ると高速条件自体はあっていても、細かい部分の蓄積でちよっとずつ足りないのかな、という気はします。
 この馬も後傾型で高速馬場がベストですから、セントウルS狙いがベターかなと思います。北九州記念はほぼ確実に前傾消耗戦ですから難しいでしょう。

 4着レジーナフォルテも枠があまり良くない中で頑張りましたし、自分の時計では走った勘定ですが、ここは上位が去年にも増して強かったと見ていいでしょう。
 現状本質的な意味で1000直がベストか、と言われるとそこまででもないとは思っていて、こちらは前走の福島のレースが超前傾ラップで非常に強かったので、サマーチャンプを狙うなら北九州記念一択だろうと思います。馬は充実期に入っていますし、杉原Jとの渋いコンビで頑張って欲しいですね。

 5着ラインスピリットもこれくらいはやれる馬ですが、まあこれくらいですと重賞では足りない、というレースではありましたね。
 この馬の場合は完全な時計勝負向きではないですから、1000直でも少し渋ってくれた方がいいですし、2走前は1400mでもやれたように、高速馬場なら今は距離があった方がいいはずです。

 6着カラクレナイも枠が悪いのはあれ、最後の爆発力がやや足りなかったのは追走面で苦しかったからでしょうね。
 流石に折り合いがつくといっても前傾が得意、というほどではないですし、もっと明確に後傾ラップを踏める条件の方がいいのでしょう。フィリーズレビューが後方からとはいえ超ハイでやれているのですが、もう今はそのイメージを切り捨てた方が良さそうですね。


posted by clover at 17:24| Comment(2) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
毎度!
いやはや、幸四郎による橋田厩舎への忖度があった?と思うくらいのペース配分でしたね。(苦笑)

ソウルスターリング復活祭にはベスト枠で、
北村宏による現代競馬で必要な折り合いリスク背負っての前目競馬をすれば勝ち鞍奪えると思い本命にしてたんですが。(苦笑)

仰る通り、
ガッツリ緩んだ中盤3F37.2ペース配分では前傾タイプの馬にとってはアカンわ。
テン乗り北村宏にも文句も言えんレースでした。
北村宏に、
もう一度チャンスでソウルスターリングに鞍上しソウルスターリングの型である早仕掛けから気持ち良く行かせるロングスパート競馬をしてほしいところです。
また、
エテルナミノル四位鞍上でエリ女に向かう場合には枠次第によっては単穴狙い行きます。本当w
それと、
ルメールが雷神によるJRA所属歓迎姿勢のコメントは納得です。
モレイラがJRA所属になることでジョッキーのレベルアップ貢献になれば日本競馬界も面白くなります。
Jリーグに魔法使いイニエスタが移籍してきた型と同様に。

千直レース、
ダイメイプリンセスは姫でなく女王の貫禄で参りました。
坂路調教から舌出しで、やる気あるのか?と疑問符がつくところが本場ではスーっと控えて脚溜めて良い時計も叩き出した上に中央で空いたスペースを突き抜けての一馬身以上の差で1着はお見事でした。
アベイユドロンシャン賞出走、良いですね。
ゴール板が直線上に見える形態だと、
しっかりと脚を溜め馬群の中を突き抜けスピードでねじ伏せるスプリント馬の欧州による直線レース出走は見たところですね。

今後アイビスSDは欧州直線レースへの登竜門として、
JRAが向こうとアライアンス強化しアイビスSD優勝馬にはアベイユドロンシャン賞出走権を漏れなく付いてくるようしてほしいところですね。






Posted by ギャロップ at 2018年07月29日 20:47
>ギャロップ様

 いつもコメントありがとうございますー。

 まあ先行馬には無駄の多い競馬になっちゃいましたよね。ソウルは決して早熟とは思わないのですが、古馬になって適性の柔軟性は確実に低くなったとは思うので、そこを汲み取っての競馬をしてあげないと、という難しさは今後も付き纏いそうです。
 エテルナミノルは仰る通りエリ女は超ベスト条件のはずなんですよねぇ、出遅れなければですが。
 また来週からも札幌でのルメールJとモレイラJの鬩ぎ合いは非常に楽しみです。

 ダイメイは曲がる事が嫌いなんでしょうかね、本当に直線だとスムーズ過ぎる加速を見せてくれるんですよねぇ。
 レート的な問題はあるかもですけれど、やっぱり直線のスペシャリストはいるわけで、そういう馬により大きな脚光が浴びるステージを用意する、という意味でも、安田記念でジャックルマロワ賞の優先出走権が取れる、みたいな条件は沢山出来るといいなと思います。
 なんなら春の新潟でも直千の定量リステッドレースを作って、キングズスタンドSの前哨戦、みたいにすればそれも面白いかなと感じますね。

 まあダイメイプリンセスが現実的に適性を求めて海外に行くとしても、招待レースのドバイアルクォーツスプリントなのかな、とは思いますが。
 実際アベイユドロンシャン賞では、勝ってようやく黒字、位の賞金しか出ませんからね。誰も彼もがキーファーズの真似は出来ないでしょうし、ある意味直線なら1200mでもいいのか、を確かめる上でも見てみたい条件ではありますね。
Posted by clover at 2018年07月30日 19:04
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