2018年05月15日

2018 夏木立賞・青竜S レース回顧

 先週はもうふたつほど短距離の特別戦はあったんですが、そちらは内容的にも平凡でしたし、やや体調が宜しくないので割愛させていただきますね。
 その分注目馬が出てきたこちらの2レースはしっかり見ていきましょう。


★夏木立賞

 ここは夏の札幌のデビュー以来、骨折休養していたダービー馬レイデオロの全弟・レイエンダが復帰し、見事に兄譲りの豪脚でこのレースをあっさりと制して見せました。
 馬場自体は歴史的、と称してもいいレベルの高速状態で、次の緑風Sがスローロンスパで2,22,9、メインの京王杯も平均から1,19,5のレコード決着ですので、このレースの1,58,8という時計そのものは特別凄味があるわけではないでしょう。
 まあ過去を紐解いて、このレース単体で見てここまでの時計はまずないレベルですが、先週のプリンシパルSと比較してみれば遜色ないか少し劣るか、という内容ですので、そのあたりはある程度冷静に見ておきたいところはあります。

 レースはビ―ビーデフィがコントロール効かない感じで大逃げを打ち、58,8-60,0というかなりのハイペースに持ち込んだものの、後続は1000m通過でほぼ2秒くらい離れており、実質的には60,8-58,0くらいの超スローバランスで展開したと考えていいでしょう。
 ビ―ビーデフィが残り1000mから12,1-12,6-11,7-11,7-11,9と、一息入れてもう一度加速する流れの中、後続は明確に残り800mから一気に詰めていますので、少なく見積もってもこの時点から11秒台のラップは踏んでいて、スローロンスパでありつつ、余力のある馬はそこから二段階目の加速が出来て、瞬発力の質の面を問われた部分もあったろう、というイメージですね。

 その中でレイエンダは後方二番手からじっくり進めていて、目視ですが1000mの通過が61,5くらいになるので、自身のバランスとしては61,5-57,3くらいで走破してきている計算にはなります。
 残り1000mからじわっと流れに乗せつつ動き出して、コーナー出口でスッと外に出してからの反応が兄以上に速く、前との差が大きいので判別し難いですが、それでも確実なのは400-200mの坂地点で素晴らしい切れ味を発揮している点です。
 ラスト200mではほぼ先頭に並びかけていますので、そこからラスト1Fは11,8と見做せば、上がりから逆算すると大体11,1-10,7-11,8くらいの推移ではないかと思います。
 明らかに残り400mでは5馬身以上差があったので、ここでの加速性能が他の馬と桁違いだったと考えていいでしょう。

 兄レイデオロはどちらかと言うとここまでスパッとは切れる脚がなく、その分持続力が高いイメージですが、こちらはより切れ味の質の方に特化しているイメージですかね。ラストはこの馬自身でも1秒ちょっと落としていますし、ここは流していたにしても、馬場を考えると最上位と比較すればやや物足りないか、という感じです。まあ実際競馬の内容としてはプリンシパルSのブレステイキングと同じような感じですしね。
 ただ当然それを長期休養明け、骨折明けで引き出せた以上、ここからの上積みは絶対にあるでしょうし、今後が本当に楽しみです。あまり長い距離向きではないと思いますし、府中適性がかなり高いので、藤沢厩舎ですしそのあたりに拘ったローテになるでしょうが、少なくとも来年の秋天あたりには出てきて欲しい馬にはなりますね。

 2着のドミナートゥスも自分の競馬はできていて、前半ある程度出していきつつ前が飛ばすのでしっかりギアを落としてブレーキ、そこから後半ロンスパの形でしっかり最後まで脚を維持してはきましたが、レイエンダの切れ味と素材には完敗でしたね。
 福寿草特別も結果的に見てそれなりに強いアイトーンと僅差ですし、またあのレースにしてもここでも、前につけながらしっかりレースをコントロールし、後半の加速地点で素直に反応できていますので、競馬センスはとても高いなと改めて感じさせました。

 ただ高速馬場でもう一段加速する余力まではなかったと思いますし、持続面でも平凡、とまでは言いませんがかなり甘くなってはいますので、ここまで軽い馬場ですとむしろもう少し前についていって、追走面で良さが出る方に賭けた方がこのレース単体での勝ち負け、という視座では面白かったのかもしれません。
 そのあたりの幅をこれから広げてくれば味のある先行馬に育っていきそうですし、血統的にも奥がありそうなので楽しみですね。あれだけペースダウンが上手なら、距離が伸びても対応できるはずですし、北海道シリーズで勝ち上がってきて菊花賞の惑星になれるタイプかもしれません。

 3着フィールインラヴは、これまでのレース内容からはこの好走は予想しにくかったですけれど、結果的に血統面も含めて高速馬場の方が持ち味が生きた、というのはありそうです。
 ただ道中内々でしっかり我慢しつつ、そこからもほぼロスのないスムーズな競馬でここまでですので、切れ味の面ではドミナートゥス比較でも甘いですし、やはりどちらかと言えばもう少しペースが上がったほうが軽い馬場だと抵抗できるのかな、とは感じました。

 4着バールドバイが予想以上に走らなくて、それがこのレースの評価を難しくしているのですが、とりあえず言えるのは純粋に距離が少し長いか、後はロンスパの形で速く脚を使ってしまうと甘くなるタイプなのか、というあたりです。
 ただ新馬戦は超スローとはいえ、11秒そこそこの脚を3F続けて33,0で上がっていますし、ペース以上に前半位置を取りに行くと甘い馬なのかな?という感じはありますね。未勝利勝ちも平凡でしたし、スプリングSもインでギリギリまで我慢して、という形でしたから、早めに外から動いていく正攻法だと良くないのかもしれません。
 また単純にこのペースでも追走面でやや甘かった可能性もあり、どちらにせよちょっと今後の評価としては一段下げないとダメかな、と思わせるだらしない負け方でしたね。


★青竜S

 このレースは今年のハイレベル3歳ダート路線でもトップクラスの逸材と名高いスマハマとオメガパフュームが揃い踏みして、非常に戦前から面白いレースが期待されましたが、その2強を退けて勝ったのは500万上がりのグリムでした。

 馬場は直前の雨で稍重と少し湿り気を帯びたものの、ヴィクトリアマイルの結果を踏まえてもそこまで極端に影響があったかはこの時点では悩ましいところです。
 最終では明確に重まで悪化し、ややハイペースで1,23,4が出たので1600万としては標準くらいのイメージでしたが、このレースも字面はハイペース、その中で1,36,9という勝ち時計も含めて評価をどう置くかは今後のポイントになりそうです。

 レース展開は、まず外のグリムが絶好のスタートを決め、内からマイネルオスカル、メイショウイサナ、アイスフィヨルドも好スタートで先手を主張、それに対しスマハマは1馬身ほど立ち遅れてリカバーをかけるも、すぐ外隣の2頭が速くて前に切れ込んできたので少し外目に誘導しつつ促して追走、そこで少し掛かり気味になったので無理せずグリムの後ろ、中団外目で我慢、という形になります。
 オメガパフュームもやはりスタートは良くなく、こちらは二の足もイマイチで、ダートに入ってからやっとこスピードに乗って追走開始、こちらも徐々に外をイメージしつつスマハママークでレースを進めていました。

 ラップが35,4-25,1-36,4=1,36,9で、三分割で見ますとややハイくらいで中緩みが少しあるかな、という感じですが、ハーフで見ると47,5-49,4とはっきり前傾色が強くなります。
 このトリックは中盤にあり、真ん中の2Fが12,1-13,0と、800-600m地点で一気に緩んでいて、後ろもそれに付き合わされる形になっています。
 そこから12,6-11,8-12,0と加速性能と、ダートなりの瞬発力を問われつつの2F勝負ですので、レース質としてはポジショニング面と、後は要所での機動力、最大瞬発力の高さが問われていて、時計的にも出し切ったレースとは全く感じないですね。

 その中で勝ったグリムは最高に上手く立ち回ったとは思います。
 まず外枠からスターとを完璧に決めて、さほど押っ付けずとも楽に好位外目のポジションを取れて、スマハマが前のグループに入ってこられないようにブロックしつつ自分のリズムで追走できていました。
 この馬の場合前走の阪神戦が、阪神1400mらしからぬややハイ程度の流れからの加速を伴う2F戦でコパノキッキングに完勝しており、その視座で府中マイルの、中緩みから再加速になりやすいパターンに噛み合う性能は見せていましたが、それでも12,1-13,0-12,6-11,8とトリッキーにラップが変化する流れをスムーズに外から取り付き、しっかり段階的に加速していくバランスの取り方が良かったですね。

 おそらくこの馬は残り400mではもうスマハマと鼻面を並べて先頭ですので、12,3-11,8-12,0くらいの上がりでしょうが、後で書きますけれどスマハマに比べて加速度のバランスがしっかり取れていた事と、前半労せず好位を取れた事でしっかり余力を残していた事で、ラスト1Fの猛烈な叩き合いを制する事が出来た、と考えられます。
 無論後続は千切っているレースで、この馬自身が想定以上に強かったのも確かですが、マイルでももう少しタフなレースになってしまうとどうかな?というのはありますし、枠の並び含めて完璧に上手くいったレースなのは間違いないので、次にユニコーンに出てきたとしてそのまま着順を鵜呑みにするのは少し危険かなとはみています。
 ただ馬群の中からでも一定の競馬はできる馬ですし、ユニコーンも大抵トリッキーなラップにはなるので、そのあたりが噛み合いそうなら楽しみですね。少なくとも切れ味の質と持続面はそれなりに通用するのを示しましたし、後は前半要素でどこまで無理が効くか、そのあたりで変わってくるでしょう。

 2着のスマハマは、逆に色々噛み合わなかった部分はあるのと、やはり本質的にはマイルは短いんだろうな、とは感じました。
 前走は外目の枠だった分スタートから芝である程度勢いをつけて2番手に上がれましたが、このレースでははっきり出負けしてそこからの二の足もそこまでではなく、前を塞がれて外に出し、そこで我慢するという今までにない競馬を強いられました。
 ただそれ自体は今後距離伸ばすうえで悪くなかったかなとは思いますし、実際少し折り合いが怪しくなったもののすぐに落ち着いて走れていたのは収穫だったと感じます。無論4頭の壁の外から無理に取り付ける状況でなかったのも確かですしね。

 そしてその先頭列4頭が雁行だったせいで、一気にペースが落ちた800-600m地点でもグリムの外から動く選択は取れず、そこは我慢して直線に賭ける競馬になってしまったのは、結果的にタフさが身上の馬としては辛い部分もあったと思います。
 それでも要所の反応の良さは流石でしたが、この馬は推定12,0-11,8-12,0の上がりで、コーナー出口から自身一気に1,0秒の加速で前を捕まえに行っているので、その加速度の幅とバランスの悪さ故にエネルギーを余分に使った面はありそうです。
 後は当然斤量もあったでしょうし、ここまで上がり特化に近い形になると瞬発型に優位性があったので、その中で負けてしまったのは残念ですが、悲観する負け方ではなかったとは思っています。

 ただしもしもユニコーンSに出てくるならば、スムーズな競馬が出来る外枠は必須かな、と感じますし、後はより強気に動いていって、ラストの消耗度が高い競馬でしぶとさを生かせればでしょうね。
 どちらにせよ高いレベルに入ってくると、マイルでは安定して先行策が取れない可能性が強くなってきますし、ただ持ち味としては要所の反応の良さと底からのしぶとさの両面にあると思っていて、それはある程度のポジションを取れてはじめて最大の効果を発揮するとは見込んでいますので、やはり最低でも1800m、2000mくらいの距離があったほうがレースはしやすいとみています。
 コーナーでもある程度機動力を見せてきましたし、大井の急コーナーにも対処できそうな雰囲気はありますので、JDDにはぜひ出て欲しい一頭ですね。

 3着オメガパフュームも、結果的にマイルの流れの中でポジションが取れなかった事と、グリムの絶妙な支配からつらら式にスマハマ、この馬と動けない呪縛を作られてしまったのが結果的に響いたと見ていいでしょう。
 この馬も直線ではしっかり瞬発力を引き出せてしますし、少し内に寄れたのは気掛かりですが、それでもラストまで止まっている感じではなかったので、もう少しエンジンの掛かりが速い展開であったなら違ったろうとは感じます。
 こちらもスマハマ同様に、やや無理に急加速を踏んだせいで走りのバランスが崩れたイメージですし、後続との着差を踏まえても強い競馬はしたと思いますが、むしろこの流れならもっと離れた位置から、早い段階でアクセルを踏んでいく競馬の方が良かったかもしれませんね。
この馬の方が戦績が薄いのでまだまだ適性面で未知の部分は多いですが、素材としては間違いなく一級品ですし巻き返しは期待したいところです。


posted by clover at 20:52| Comment(4) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
レイエンダは骨折明け+余力残しでプリンシパル並みに走っていて、さすがの素質馬
という感じですね。無事ならダービー有力候補だったでしょうが…若いうちに無理を
しなかったことが古馬になってプラスになるのかもしれませんね。

青竜Sは、1000万は超えたけど準OPレベルには届いてないと思います。ただ、
トリッキーなペース配分でのものなので、上位3頭の世代トップクラスの
能力証明としては十分なものだったのではないですかね~。

グリムはそもそもコパノキッキングを捻じ伏せた前走が1000万レベルで相当強くて、
今回距離が延びて更に少し上積みを見せたというところでしょうか。この馬たぶん
ユニコーンでもそんなに人気しないと思うんですけど、複勝圏は十分行けるレベル
じゃないかなぁと思いました。

スマハマは負けたけど試したいことも試せたし、それでいてヒヤシンスSの
パフォーマンスを上回ってきたので何も悪いことはなかったですね。個人的には、
ユニコーンは見送ってJDD→レパードSなら普通に連勝すると思っていますが、
園田を使わず青竜なんだからユニコーン使いますよね。中途半端なローテになりそうで、
そこだけ心配ではあります。

オメガパフュームはここではもう少し走ってほしかったですけど、1週前の調教が
イマイチだったので、ここはまだ完調ではなかったかもしれませんね。
強い相手に出し切る競馬も初めてだったので、次に繋がるのかなと思います。
Posted by I.C.スタッド at 2018年05月16日 07:00
「能力分析ツール」の方に質問してしまったのですが、あちらにはしない方がよかったですかね?
Posted by toto at 2018年05月16日 15:31
>I.C.スタッド様

 いつもコメントありがとうございますー。

 そうですね、レイエンダはまだまだ馬体も緩さを感じさせますし、素質だけで走っているイメージですから、古馬になるまで大切にしていければ大成する可能性はありそうですね。
 コメントからすると府中の内に古馬混合戦に使ってくるかもらしいですが、そこでどのくらいやれるのかも純粋に楽しみです。

 グリムは競馬センスがいいですね。
 無論外枠+好スタートの恩恵は絶大だったとは思いますが、ユニコーンSが例年通りもう少し軽い馬場になるなら有力だろうと思います。
 スマハマは逆にもう少し時計が掛かるか、或いは中盤緩まないタフな流れなら、とは思いますが、どちらかと言えばJDDメイチで使って欲しい感触はあります。

 オメガパフュームはやはり転厩の影響もありますかねぇ。
 前走は開業直後で、ご祝儀的にバッチリ仕上げられていたと思いますし、今回今までにない癖なども見せてきましたから、厩舎の修正力は問われそうでそのあたりの判断が難しそうです。
Posted by clover at 2018年05月16日 18:25
>toto様

 いつもコメントありがとうございますー。

 とりあえず私が認識するだけならどこにコメントつけて頂いても構わないのですが、改めて読者の皆様方がどのくらい他の人のコメントやそのレスまで読んでいるのかな?というのが今更に気になりました。

 なのでとりあえずコメント表示方式を少し変更して、直近のコメントが簡単に流れて消えないような条件にしましたので、お好きな記事にコメントして頂いても問題ないと思います。
Posted by clover at 2018年05月16日 18:29
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