2018年04月23日

2018 天皇賞・春 プレビュー

★はじめに

 今年も日本最長距離GⅠ、伝統の天皇賞・春の週がやってきましたね。
 去年はキタサンブラックとサトノダイヤモンドという二大王者の激突に大いに沸いたこのレース、今から見るとこのレースでの結果がその後の明暗にくっきり出ているなぁ、なんて思ったりもしますが、なにはともあれあの死闘からもう一年経ったのか、と感慨深いものがあります。

 流石に今年は去年に比べるとかなり華やかさに欠けるメンバー構成にはなってしまいましたが、それでも面白い馬が出揃って中々の激戦が期待出来ます。
 去年のこのレースのプレビュー記事読み返していて、我ながらやる気溢れかえってるなぁと苦笑してしまいましたが、今年はもう少し肩の力を抜いてサラッとやらせていただきます。。。


★レース傾向分析

 ここは去年の記事http://horserace-romanesque.seesaa.net/article/455794124.htmlで相当に精密にやっていますので、基本的にはそれを踏襲する形でって毎週そればっかですが。。。
 ただ去年の記事を書いた段階では、このレースであそこまでタフなペースになるのは例外的、と思っていたわけで、しかし今年も超高速に近い馬場で、去年あの殺人的なペースの立役者の一頭となったヤマカツライデンが、同じ松山J鞍上で出てきますので、今年もかなり締まった流れになる可能性はそれなりにあるとは感じます。

 メンバー構成的にも、比較的前にいく馬が人気を背負うレースにはなりそうですし、そしてその人気馬のほとんどがスローのヨーイドン向きではない、というところに難しさが集約されている感じです。
 一応明日から雨が降るものの、週末の雨予報は消えてしまったのでまず良馬場開催でしょうし、当然そうなると3コーナーまでのポジショニングは重要、かつしっかり、最低でも4F戦にはなってくる中で、しっかり余力を残して直線で切れ味を引き出せるタイプは楽しみになってきます。

 それと去年もそうでしたが、地味にこの距離なりの絶対的な追走力も問われる可能性はありますね。
 ただ一方で、ヤマカツライデンの逃げについていくのが2頭くらいで、後続は離れてじっと我慢、なんていう、オルフェーヴルが派手に飛んだビートブラックの年的な競馬になるパターンも考えられますし、ただどちらにせよ、基本的に前にいる馬が簡単に止まらない中で、あまりポジションが取れない馬は、早めの仕掛けで押し上げていくか、或いはこの馬場で現実的なスロー、勝ち時計も3,14,0くらいで収まった時に、スパッと33秒台の上がりを使えるか、そのあたりが勝ち負けのラインにはなってくるでしょうか。


★有力馬所感

・シュヴァルグラン

 去年は好枠から徹底したキタサンブラックマークで、外枠の不利が大きかったとはいえサトノダイヤモンドを退け2着と大健闘したシュヴァルグランが、今年は堂々GⅠ馬として出走してきます。
 一昨年も3着しているように純粋にこのレースとの相性は良く、また去年のこのレースあたりからはかなりポジショニングが安定して良くなってきた感はありますので、当然今年こそは……となるのですが、叩き台に選んだ大阪杯が、特殊なレースパターンだったにせよかなりだらしなくは映りました。

 もっと前半を強く問われて崩れるならまだしも、スローロンスパの後半特化勝負で、かなり立ち回りでぎくしゃくしたとはいえ止まるのが早かったですし、本質的に高速過ぎる馬場と極端な時計勝負、後半特化勝負はそこまで向いていないのか、というイメージはあります。
 去年のこのレースにしてもバランスとしては平均くらいにはなりますし、ただ今年の場合はどこまで流れてくるか、馬群がどんな形になるか、去年に比較するとかなり読みにくく、キタサンブラックが前にいるレースよりこの馬自身のポジショニングの意識の作り方は難しいでしょう。

 また当然この馬もマークされる立場に替わりますし、当然外枠を引こうものなら中々前目内目に入れず苦しむ事になるのは必定です。
 そうなった時にまだ淀の経験値は浅いボウマンJでどこまでリカバーの意識が持てるか、個人的に去年の有馬でも向こう正面から動こうとしなかったのは評価に悩んだところで、しっかり先行できる内枠で流れに乗れればともかく、というのは出てきますね。
 調教などの雰囲気も去年の秋の迫力が戻り切っていない感じはしますし、内枠なら流石にそれなり以上の評価にはするでしょうが、外枠なら押さえまで、という感じですね。少なくとも枠や展開不問で力が抜けている、とは思えませんし、勝ち切るなら内目の枠で去年ほどではないにせよ極端な後傾にならない流れ、その上であまり縦長にならないなどの恩恵が必要ではないかと考えています。

・レインボーライン

 一昨年の菊花賞2着で長距離適性は見せていたものの去年の当レースは惨敗、しかし今年は阪神大賞典を制して堂々主役の一角として登場するレインボーラインは、悲願の初GⅠにここで手が届くでしょうか?

 とりあえず適性的には厳しい、という視座から入らざるを得ないのはあります。
 基本的にはスタートが悪くポジションが取れない馬で、これは淀の3200mではかなり致命的な点であり、かつ外から早めに仕掛けてロンスパで押し切れるほどの底力があるとまでは思っていません。
 この馬の場合むしろ去年のように淡々と流れて、前半要素を強く問われた方が向くはずで、その意味でも去年の凡走は悩ましいのですが、前走にしても阪神大賞典としてはかなり淀みのないタフなペースではあり、上がりがかかる競馬で台頭した、という見立ては決して間違いではないはずです。

 ここでも前がかなりやり合って乱ペース、かつ全体的に平均くらいまで上がってきて、後半に速いラップを踏まない展開になれば怖さは出てきますし、またイン付きの名手岩田Jでもあるので、そのあたりでスルスルと噛み合わせて上位進出の可能性はなくはないでしょう。
 ただこのレースの平均的な流れからの4F戦、みたいになると、どうしても後ろからでは届きにくいですし、まして今年は各陣営がそれなりに色気を持って参戦する分だけ玉砕ペースにはなりにくいかも、と思うので、今のところは内枠を引けて押さえ候補、くらいのイメージですね。

・ガンコ

 去年の秋から芝に転向して一気呵成の飛躍、前走も強い競馬で日経賞を制してここで堂々の主役の一角を張るとは正に驚きの大躍進ですが、果たしてその勢いが本物か、今年同じく勢いに乗る藤岡佑Jと共に揃って初GⅠ制覇を決められるか注目です。

 一先ず言えるのは、この馬の芝転向後はほぼほぼタフな馬場でのレースで、上がりを要するパワー勝負の様相が強かったと言えます。
 日経新春杯から日経賞で、ロードヴァンドールを逆転できたのは、ポジショニングの積極性もさることながら全体のペースが厳しくなった故で、裏を返すと渋った馬場てもまともな淀の4F戦上がり勝負ではちょっと持続力面で足りない、というのはありそうです。
 芝に戻しての最初のレースでも、出し抜く脚の鋭さはともかくラストは結構止まっていますし、その甘さを考えた時に、少なくともこの馬が勝ち負けするならば残り200m地点で後続を1馬身以上は離して先頭に立っていないと苦しいだろう、というのは看取できるかなと思います。

 ただこの馬の場合はスタートは非常に上手く、二の足も速くてスッと楽に好位を取れますし、折り合い面でも前走ゴール前を2回通す日経賞で、4コーナーからロードのハナを奇襲的に奪うような競馬でもしっかり折り合って進められていましたので、その点は大きな武器になるだろう、というイメージですね。
 少なくとも適性的にステイヤー要素はかなり強く、なので後はこの高速馬場でそれを生かすために、出来る限り積極的に前についていく、かつペースを変に緩めて取り付く隙を与えない、それこそビートブラック的な競馬が求められますし、この大舞台で今の藤岡Jにそこまで出来る胆力が本当に備わっているか、正に人馬ともに試金石だろうと思います。

 スタートが上手いとはいえ内枠である事に越したことはないですし、並び次第では本命まで考えている馬ですが、理想としては週中の雨が少し残って、多少なり時計を要する馬場になって欲しいところですね。

・クリンチャー

 こちらも去年の極悪馬場の菊花賞2着で大きく名を馳せ、今年初戦の京都記念ではダービー馬レイデオロを堂々撃破したクリンチャーが、こちらも悲願のGⅠ制覇を目指して大目標の春天に挑みます。
 春天マイスターと呼んで差し支えない武Jの騎乗停止、テン乗りの三浦Jという采配がプラスに転じるとは思えないものの、それでも積極的な競馬でどこまでやれるか楽しみな一戦にはなりますね。

 馬のタイプとしてはガンコとよく似た部分はあるものの、ガンコより全体的に不器用なイメージはあり、この馬も上がり勝負には向いていないのでとにかく積極的なポジショニングとレースメイクが鍵になってくるでしょう。
 前走は武Jテン乗りで思った以上にスタート良く、引っ掛かるところまで見せて、馬が充実期に入っているのは間違いないですが、今回三浦Jに替わる事で同じようなスタートが出来るかはなんともですし、包まれて下げてしまうと味は出ない馬だけに枠の並びはかなり重要です。
 内枠有利なレースではあるものの、この馬の場合は極端な内よりは、ある程度リカバーが効く真ん中くらいがいいような気はしますし、ただ他に先行馬も多いので、ある程度壁を作って前々で、というレースプランは組み立てやすいかもしれません。

 この馬も追走面での不安はほぼないので、出来れば積極的にガンコ共々ヤマカツをつついてタフな流れを演出して欲しいところですし、上がり4Fを去年並みの47秒台にまだ持ち込めれば、ラスト1Fのしぶとさはガンコより上だと思うのでチャンスは出てくるでしょう。
 ただやはり長距離とGⅠの舞台に実績のない関東の三浦J、というのは大きく割引ですし、武Jのままならこちらも重い印は視野に入っていたものの、こうなると押さえまでが妥当かな、というイメージにはなりますね。

・サトノクロニクル

 充実の4歳世代三本の矢の一角、阪神大賞典でも2着と長距離での適性を改めて示したサトノクロニクルはどうでしょうか。

 この馬も言えるのは、極端な上がり勝負や機動力勝負は向かない事で、かつコーナー加速が苦手なだけに、坂の下りから一気にペースが上がるようだとそこで置かれて終戦、というパターンになりかねない危険は孕んでいます。
 逆に強みとしては中距離にも対応出来る追走力とまずまずのポジショニングセンスで、内枠からある程度の位置を取り、前の有力馬がそこそこ引き上げてくれるのについていって、後半加速度の低い展開に持ち込めればチャンスは出てくる一頭かなとは感じます。

 4歳馬はこのレース、大抵の馬がはじめての58kgになるので地味にその辺でも難しさは出てきますが、世代レベルの高さは折り紙付きだけに克服してきても不思議はなく、特にこういう堅実で成長力のあるタイプは怖いですね。
 この舞台に適性の高いハーツ産駒でもありますし、余程外枠でもない限りは最低でも印は回す事になるとは思っています。

・トーセンバジル

 今年の有力馬の中では数少ない、ペースが落ち着いた方が強みが生きるタイプの馬になりますね。
 去年は外枠からでポジションが取れず、タフな平均ペースの中で後半要素でも削がれて雪崩れ込むだけ、という内容でしたし、基本的には後半勝負で瞬発力と持続力を高めてきますので、その点で後傾バランスになりやすい高速馬場は本来的にはプラスのはずです。

 ある程度先行力も出てきたものの、流石に自分でレースメイクできる立場ではないので、前の馬が腹を括ってタフな流れにしてくると簡単ではない、というのはありますが、むしろこのレースの平均的なスローからの4F戦、となった時に、しっかり好位追走できていれば最後の切れ味の質の差で勝負出来るタイプとは思います。
 前走は休み明けでタフな馬場、超ロンスパとあまり展開も向いていませんし、去年の京都大賞典的な競馬が理想で、こちらも並び次第では重い印を打つ可能性はある一頭ですね。

・アルバート

 ステイヤーズS三連覇など、長距離重賞で屈指の実績を誇るアルバートですが、どうしてもこのレースでは勝ち負けに絡めず、果たして三度目の正直となるでしょうか?

 前走を見てもわかるように、かなり追走面での幅が狭くて、このくらいの距離になってもそこそこ流れてしまうと後半の破壊力が削がれるという点で難儀なタイプです。
 基本的にポジションが取れる馬でもなく、去年などは川田Jで内枠で、この馬にしてはかなり思い切ったポジションにはなったものの、結局後半のしぶとさは引き出せずに雪崩れ込むだけでしたし、はっきり後半型の競馬をした方がいいのでしょう。

 なのでこの馬が勝ち負けに持ち込むためには、ゴールドシップが勝った時の様な大胆な捲り競馬を狙っていくしかないのかな、とは感じます。
 とにかく前半は馬任せでゆったり入って、後半向こう正面から上りに入る前に勢いをつけていって、確実に3コーナー入り口で前目内目まで押し上げる、この位できないとこの条件で勝負けは難しいでしょう。
 一応上がり勝負にも対応できる馬ではありますが、どちらにせよ勢いをつけて入れないと、というのはありますし、コーナーで外々になったらまずそこで終戦ですので、中々狙うには思い切りがいる馬、とは感じます。

 ひとつ面白い要素があるとすれば、最近ルメールJが長距離路線での早捲りをかなり意識的に頻発しているところで、無論それが嵌る馬とそうでない馬がいるのですが、この馬はそれが噛み合うタイプだとは思っています。
 なのでもしも前が常識的に緩めてきた時に、しっかりこの馬のリズムで動いていく事が出来たならワンチャンス、とは思いますし、どうせ半端にポジション取って動けなくなるよりは、腹を括って後半勝負に徹する事が出来るやや外目の枠くらいの方がいいかもしれませんね。

・チェスナットコート

 こちらも4歳世代の上がり馬、日経賞はしぶとい競馬で2着を確保し、ここで一気の下克上を狙います。

 とりあえず淀長距離の蛯名J、というだけでも面白い要素ではありますが、この馬自身はポジショニングはそこまで上手ではないので、やはり上位に来るには内枠がまず必須条件には感じます。
 こちらもステイヤー色は強く、後半勝負での持続力面はかなりいいものを持っているので、内目をタイトに立ち回っての競馬で、一昨年のシュヴァルグランくらいの競馬は狙えるのかな、とは見ています。

 ただ流石にこのメンバーで前目の馬をまとめて掃除できるほどの破壊力はないと思いますし、現状では内枠を引いて押さえるかどうか、という水準にとどまりますかね。

・カレンミロティック

 春天はもっともGⅠに近づいた舞台でもあり、10歳にしてまだ極端な衰えを知らずのカレンミロティックが、引退レースとして最後に大輪を咲かすべく虎視眈々と狙っています。

 流石に全盛期に比べると多少パフォーマンスを落としているとは思いますが、それでも前走や京都大賞典の着差などからも、全く通用しないレベルではないのは確かです。
 そして長距離適性と淀適性の高さは折り紙付きで、この馬との相性もいい池添Jというのは中々に怖い要素で、ポジショニングも上手ですから内枠が引けるようなら俄然注目が集まるところでしょう。

 勝ち負け、というレベルまで行くと、今の終いの甘さでは少し足りないかもですが、展開利を活かしての圏内粘り込みくらいはまだ警戒しなくてはならないと思いますし、ここでどういう走りを見せてくれるかは素直に楽しみですね。

・スマートレイアー

 こちらも衰え知らずの女傑・スマートレイアーが、なんと3200mの春の天皇賞に駒を進めてきました。
 去年の京都大賞典を見ても淀の適性は高いですし、距離自体はやってみないと、という部分はあるものの、あながち侮れないところはあるかなとは感じています。
 前走でも狙ったのですが、あそこまで後半特化になってしまうと切れ味の質の面で甘かった感じですし、長距離である程度のラップを持続させるパターンが現状は一番合っていそうなので、その辺で気になるところはあります。

 流石にしっかり流れて底力勝負でどこまでか、ともなりますが、こちらも内枠を引ければの条件付きでの穴候補には入ってきますね。

・ソールインパクト

 こちらも同様に内枠を引ければの穴候補です。今の淀はディープ馬場でもありますし、長距離GⅠではイマイチ精彩を欠く産駒成績ではあるものの、この馬はダイヤモンドSを見ても適性は高い方なのでしょう。
 今までのレースからもある程度軽い馬場で流れるレースがベストなので、内枠でいいポジションを取りつつ、前の馬が競り合ってペースが上がってくれば楽しみはあるな、というイメージです。

 福永Jとしてもこのレースには期するものがあるでしょうし、先週は絶好調でしたから、その勢いを借りて無欲の強襲を狙って欲しいところです。


posted by clover at 20:22| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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