2018年03月25日

2018 高松宮記念・マーチS レース回顧

★高松宮記念

 電撃の桶狭間決戦・高松宮記念は、桜の桃色と空の青のコントラストも鮮やかな舞台の中、更なる一条の青の一閃、ゴドルフィンの勝負服を背負ったファインニードルが鋭い一刺しで、またまたレッツゴードンキの悲願を阻む殊勲の勝利を上げました。レースを振り返っていきましょう。


 馬場状態は良に回復はしていたものの、やはり全体的に時計の掛かる条件は継続していたと思います。
 週中に雨が降り続いたことで芝刈りが出来なかったのも影響が大きかったか、かなり力の要るコンディションの中で、500万下のマイル戦が47,7-47,5と平均ペースで1,35,2ですので、開幕週あたりからすると1秒程度時計が掛かっているイメージになりますし、結果的にこのレースも相当な前傾戦になってきました。

 レース展開は最内のセイウンコウセイが絶好のスタートからハナ、それにダイアナヘイローが絡んでいき、その外から少し出負けしたネロが押し上げていきます。
 インのリエノテソーロとブリザードも早めの競馬を選択してこのあたりが先団、それを見る絶好の位置にファインニードルとレッツゴードンキが内外に分かれて進めていて、その間にナックビーナスがいました。
 ダンスディレクターはやや行き脚が悪く、折り合いの難しさを見せつつも辛抱して中団のイン、外にレーヌミノルとジューヌエコール、シャイニングレイとキングハートも後方外目で、レッドファルクスは後方二番手という位置取りからの競馬になりました。

 ラップは33,3(11,10)-35,2(11,73)=1,08,5(11,41)という推移になりました。
 ダイアナヘイローがかなり競り掛けていったのと、ネロが出負けしてリカバーしていった事が重なり、予想以上に強烈な前傾戦になっていますね。
 後半も11,4-11,5-12,3と一貫した減速ラップの消耗戦になっていて、高い追走力と重たい馬場の適性が揃って問われた、スプリント色の強い一戦になったのかなと見ています。

 勝ったファインニードルは非常にそつのない競馬で、馬もしっかりこの舞台で自分の脚を発揮出来たと思います。
 そこまで折り合いに不安がない分、ある程度いい枠なら流れなりに進めていけるのが強みですし、コーナーでも先行馬が外を意識してきてかなり膨らむ事にはなりましたが、それでも馬場の綺麗なところを選ぶだけの余裕があったと感じます。

 流石にイン勢の出し抜きに対して一瞬置かれるところはあったものの、坂上からはしっかり伸びて最後の最後で交わす強い競馬でした。
 この馬のイメージとして高速巧者、そして追走が強く問われるとどうか、という懸念は少しあったのですが、結果的に自身34,0-34,5とややハイくらいで入っても削がれていませんから、これは好走スポットを更にしっかり広げてきたな、というイメージが持てますね。

 タイプとして常に圧倒出来る馬ではないでしょうが、この立ち回りの上手さはどこでも武器になりますし、今後のスプリント路線はしばらくこの馬を中心に回っていくイメージで良さそうです。基本的に内目の枠なら強気に、外枠なら少し下げたいタイプなのはあるので、見極めをしっかりしていきたいですね。

 2着のレッツゴードンキも渾身の競馬だったと思いますが、もはやこれがこの馬の愛されキャラ的な要素なのではないか、と思うくらい不思議と勝ち運に見放されていますね。
 結果的に少し重たくなった馬場は歓迎でしたし、他の馬がインを嫌う中でこの馬だけスイスイと進出、コーナーワークで無理せず前に取りつけたのは、基本的には後傾型のこの馬がラストまで脚を維持できた大きな要因にはなると思います。去年のVMのアドマイヤリード的なイメージですね。

 抜け出すタイミングは少しだけ早かったかもしれませんが、あれ以上待てる場面でもなかったと思いますし、通したコース含めてこの馬のベストに近い競馬は出来た、と考えていいと思います。
 でも結果的に自身33,9-34,6ですと、要所では反応できても少し削がれているのだろう、とは感じましたね。コース利と展開利を味方につけてこの馬がしっかり走ったけれど、単純に追走面を問われての強みを生かせた馬が少なかったレース、という見立ても出来そうです。

 3着ナックビーナスも前走より枠が良かったですし、この馬はハイペースの適性もかなり高いので、そのあたりが噛み合っての善戦、という印象です。
 個人的にシャイニングレイとどっち拾おうか悩んだところはあるので、もっと純粋に枠の利を意識すべきだったとは反省材料ですが、ここまで噛み合っても上位2頭とは差があったあたり、今後勝ち切る為にはなにかしらアイデアや、この馬だけの武器を見出していく必要がありそうです。

 4着ダンスディレクターも悪くはない競馬でしたが、序盤やや出負けから気負いを見せる、あまり操縦性が高くなかった頃の癖が出てしまっていたのが気掛かりですかね。
 武Jの時はもっとスムーズに追走できているイメージですし、ここはペースが速かったもののそれでも折り合いを欠いてしまった分、後は純粋に本質後傾型の分だけ伸びあぐねたのかな、と見ています。
 ドンキとそこまで通したコースは違いないですし、純粋に枠の差で前後になった面もあったでしょうが、それでも突き抜けられる力はあると見ていただけに、そこは素直に反省しないとですね。やはり高齢馬の狙い時は難しいです。

 5着ブリザードもいい枠過ぎた分前半気合をつけたらやや引っ掛かってしまって、そこから少しずつ歯車が狂った感じではありましたね。
 それでも直線外に出してからの一瞬の反応は良かったと思いますし、香港にはない左回りとかなりのハイペースを克服してここまで来たのですから、やはり力そのものはあるなと感じさせました。

 8着レッドファルクスは、純粋にペースと馬場に削がれた、と考えていいと思います。
 基本高速馬場向きの後傾型ですので、あの位置でも前半かなりパワー兼備での追走力を問われてきますし、直線の進路取りもミルコJにしては右往左往という感じで、色々噛み合わないままレースが終わってしまった印象ですね。
 この馬の場合の追走は、相対的に軽い馬場ならこのくらいのペースでもやれるのですが、重い馬場で前傾型になってしまうと去年の当レースもマイルチャンピオンシップでも見せていたように少し脆いところはあるのでしょう。

 本質的にはスプリントよりも少し長い距離の方が今は合っている、というのはあるでしょうし、改めて1400~1600m路線に出てくるようならまだまだ見限れないとは思いますね。ただし綺麗な良馬場限定で。


★マーチS

 こちらは中山ダート1800mの門番のようなセンチュリオンが、遺憾なくレース巧者ぶりを発揮して突き抜け嬉しい重賞初制覇を飾りました。

 レースはハイランドピークが躓き出負けする波乱の幕開けとなり、ディアデルレイが逃げて番手にエピカリス、その後ろにロワジャルダンとセンチュリオン、コスモカナディアンも今日はスタートを決めてある程度のポジションに潜り込んでいきます。
 中団外目にアルタイルとクインズサターン、内目にサクラルコールがつけて、その後ろにロンドンタウン、注目のハイランドピークはなんとサンマルデュークとセットでかなり離れた後方からの追走になりました。

 ラップは36,4(12,13)-37,9(12,63)-37,8(12,60)=1,52,1(12,45)という推移でした。
 バランスとしてはややハイ、くらいですが中山の1800mとしてはそこまできつくはない流れで、ただし中盤からラストまで淡々と12秒半ば前後を刻み続けていますので、捲ってきたメイショウウタゲが惨敗しているように、流れを崩していくのは難しいペースだったとは思います。

 ある程度高い追走力は必須の上で、最序盤のポジショニング、内外のコース差を上手く生かせた人馬が台頭してきたかな、というイメージでいいですし、馬場自体はかなり乾いてきていたので、時計的にはこれで妥当なラインだと思います。

 勝ったセンチュリオンは、前走からスッと先団に取りつけるようになって、益々レースぶりが安定してきましたね。
 前の流れも理想に近い形でしたし、しっかりこの馬のリズムで走っての強気の競馬、先頭に立つのが早かった分だけ最後やや甘くはなりましたが、しっかりクインズサターンの急襲を凌ぎ切ったのは評価していいと思います。
 まあここから他の舞台でどうか、となるとまた難しさはありますが、ポジションが取れる今なら軽めの馬場のステイヤーコースでも安定してくると思いますし、どの道中山のOPばかり走っていられない立場になりましたから、そのあたりで期待していきたいですね。

 2着のクインズサターンも、あの外枠から意外といいポジションが取れたなぁ、というイメージですし、メイショウウタゲが先に動いてくれたことで、進路確保と加速がスムーズに進められたのは丁度良かったのだろうと思います。
 こちらも今日くらいポジショニングが安定して改善されてくるなら、重賞レベルでも常に圏内を期待出来る馬になるとは思いますし、消耗が出る中山や阪神は合っている筈なので今後も注目です。高いレベルでは府中マイルとかは合わないと思います。

 3着ロワジャルダンは-22kgがうーん、っていうのと、エピカリスが垂れるのが早過ぎたせいで進路取りに手間取ったのは本当に勿体なかったと思います。
 こういうあまり急加速が問われない淡々とした前傾戦は本当に安定して強い馬ですし、前がスムーズに空いていれば勝ち負けまであったと感じるのですが、まぁ自分で競馬を作れないあの位置からですと往々にして在り得ることなので仕方ない、とは言えます。
 一応前の2頭も人気馬でしたから、もう少し当てに出来ると判断したのもあながち責められないところですしね。

 4着のアルタイルは、正直この舞台ならセンチュリオンより強いと思っていたのですが、向こうがポジショニングを改善してきた事でそれまでのアドバンテージをひっくり返されてしまったイメージですね。
 まあ道中ずっと外々でそれなりにロスのある競馬でしたし、正攻法ではちょっと足りなかったと素直に考えた上で、ある程度器用さもあるので内枠を引いてくるなら常にマークは必要な馬かな、と思います。

 5着コスモカナディアンは、やっぱり1800mは基本的には短いんですよね。
 東海Sはかなり枠とペース、コース取りが噛み合った部分は大きいですし、そうなった時の破壊力はあるだけに悩ましい馬ですが、基本的には中央ならステイヤーコース、地方でも最低1800m以上の距離をチョイスしていけば、もう少し戦績も安定してくるのかな、と思います。

 9着ハイランドピークは、出負けした時点で無理しない競馬にシフトしてしまいましたね。
 どこまで終いの脚を使えるか、という試しをしたような格好で、その中で一定のものは見せたけれど、上がり時計で考えれば前走とほぼほぼ変わりなく、やはり前半ポジションを取って、高い追走力と機動性を生かしてこその馬なのだろうと再認識する内容ではあったでしょう。

 正直この競馬になってしまうと能力的にクラスの壁があったのかもわかり辛く、次の判断が難しいですね。
 ただ出負け自体は接触と躓きのダブルパンチ、という感じで、そこまで定例的に起こるような感じでもなかったかなとは思うので、このクラスで素直に逃げてどこまでやれるかは引き続き楽しみです。

 14着エピカリスは、なんかもう一時期の素材感が見る影もなくなってしまいましたね…………。
 基本的に前傾戦は得意な馬で、こういう淡々とした流れも噛み合うはずなので、これで全く抵抗できず番手からズルズル、というのは、完全に早熟だったか、馬の精神的な部分でダメージが残っているかを想定しないとならない気はします。
 ここを叩いてガラッと変わるイメージが持てる負け方ではなかったので、実に残念ですね。


posted by clover at 16:56| Comment(6) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつもありがとうございます。
高松宮記念、レッドファルクスのレース振りを注目していました。最終追い切り、僚馬と並んだあたりから鞍上に手で肩をバシバシ叩かれていた姿があまり良く見えなくて大丈夫なのかなと思いつつ見ていました。最後の直線でイン突きを諦めて外に進路を取ったら直前のドンキの斜行で外が混雑してしまい最後は足を余しての結果に・・・。スタートは良かったものの、序盤、全く進んでいかなかった所を見ると、馬が少しズブくなってしまったのではとの印象を持ちました。
それにしても岩田騎手、阪神大賞典に続く斜行騎乗、う~ん、どうなのでしょうね。
マーチS、横山SJはここで自身の2700勝を、と思って気負ったところが馬に伝わってしまったのではないでしょうかね(笑)
Posted by MOMO at 2018年03月25日 20:53
スプリント路線は、相変わらず混沌とした感じですね~。10回やったら
勝ち馬が7頭くらい出るんじゃないかというような気もします。
レッドファルクスはこの敗戦で多少なりとも人気を落とすなら、
高速馬場が想定される東京では積極的に買いということですね。

横山典のメンタルの強さは、僕も見習いたいところですが、なかなか…
Posted by I.C.スタッド at 2018年03月25日 22:56
こんばんは★

本日も現地観戦してまいりました。

先週は戸崎Jに泣かされ、今週は馬場の見極めに泣かされました(笑)

毎年、毎年高松宮記念は馬場の見極めが難しいです。

セイウンコウセイは、勿体無かったんじゃないかなあ?と思わせる結果でしたね。

さすが昨年の勝ち馬です。

レッドファルクスは展開も向かず馬場も向かずでしたが、もう少しやれても...と思う辺り、本質的にはスプリンターじゃないんでしょうね。 パンパンの良馬場なら毎日王冠や天皇賞・秋に出ても面白いんじゃないかなあと思ってます。
Posted by J.N at 2018年03月25日 22:59
>MOMO様

 いつもコメントありがとうございますー。

 結局のところ、レッドファルクスは本質的にはスプリンターではない、という面は確実にあって、この馬が走った1200m戦でも一番前傾度が高いレースになったので、ついていけなかったのは仕方ないのかな、とは思いますね。
 あと単純に前走1400m経由でしたから、追い込み馬の短縮はかえって反応の面で良くない、というのはあるのかもしれません。

 どうあれ外で進路がスムーズに取れていたとしても4~5着までだったでしょうし、ここまでタフな馬場&流れる展開になったのもちょっと意外ではありましたね。
 
 岩田Jは難しいですねぇ、勝ちたい、という気持ちが改めて強くなってくると比例して荒くなる、というのではやっぱり困りますし、それ以外の騎乗はとても良かっただけに画竜点睛を欠く印象ですよね。

 確かに横山Jもそのつもりはあったでしょうし、けれど馬の状態を感じて、出負けした時点でポツンに切り替える胆力は違う意味で凄いですよね。
 しかもしれっと最終で勝ちましたし、その後のコメントがまた奮っているというか、なんだかんだでこういう個性派ジョッキーは大切だなぁと思います。
Posted by clover at 2018年03月26日 17:44
>I.C.スタッド様

 いつもコメントありがとうございますー。

 そうですね、府中1400mなんかは比較的流れにくいレイアウトですし、綺麗な馬場なら持ち前の持続力は遺憾なく発揮できるはずです。
 ただ前走にしても結局勝ち切れてはいませんでしたし、加齢とともに多少なり下降線に入っていくイメージは持っておく必要もあるでしょう。そこのバランスの見極めでしょうね。

 本当に無理しないと決めたら一切無理しませんでしたものね。。。
 逆に言えばあの競馬でそこまで負けてないですし、やっぱり馬の素材そのものはかなり高いと言えそうですけれど。
Posted by clover at 2018年03月26日 17:48
>J.N様

 いつもコメントありがとうございますー。
 現地観戦お疲れさまでした。昨日は絶好の観戦日和でしたね。

 セイウンコウセイはもう少し常識的な外目の枠、丁度上位3頭あたりに入っていたらもっと評価出来ましたけど、どうしても最内ですと包まれたくない意識は出てしまいますからね。
 こういう力の要る馬場も合っていたとはいえ、一時期の不調からは立ち直ったとみても良さそうです。
 とはいえ高速馬場で買える馬か?とは思うので、狙いどころの見極めが難しいタイプですよね。いっそ欧州スプリント路線とか出してみればいいのに、なんて思ってしまいます。

 レッドファルクスは確かにスローからのヨーイドンならそのくらいの距離もこなせそうなんですよね。
 基本的には広くて直線長いコース向きですし、そろそろ引退の声も出てくるでしょうが、走る限りは活躍して欲しい馬ですね。
Posted by clover at 2018年03月26日 17:52
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