2018年03月18日

2018 阪神大賞典・スプリングS レース回顧

★阪神大賞典

 長距離路線の緩やかな衰退とステップレースの拡散があり、今年もやや寂しい頭数・メンバーで行われた阪神大賞典、ここで4歳世代の猛威を止めたのは、5歳世代の菊花賞2着馬・レインボーラインでした。レースを振り返っていきましょう。


 まず今日の馬場ですが、思ったほど回復しなかったというか、昨日と同じくらいには時計が掛かっていたようには感じます。
 10Rの1600万下が60,2-60,0の綺麗な平均ペースで2,00,2止まりですし、9Rもかなりのスローの2F特化戦とはいえ1,21,7ですから、超高速の域は脱してやや高速、くらいにシフトしてきたのかな、と感じます。
 もっともまたBコースになった途端高速化するとは思いますが、今日の時点ではそこまで軽くはなかったと見ておきます。

 レース展開は、まず宣言通りにヤマカツライデンが逃げて、番手に押して押してムイトオブリガード、そしてクリンチャーもいいスタートを切り、珍しく折り合いを欠いて先団に取りついていく形になります。
 その内にトミケンスラーヴァがいて先団を形成、そこから少し離れてカレンミロティック、サトノクロニクルは丁度中団で構え、レインボーラインは後方内目、アルバートは更に後ろと、かなり縦長となってのレースとなりました。

 ラップは35,9(11,97)-36,5(12,17)-38,7(12,90)-36,1(12,03)-36,4(12,13)=3,03,6(12,23)という推移でした。
 思った以上に淡々と流れて、かつ前の馬がヤマカツをしっかり追いかけていったな、というイメージで、1000m毎でも60,1-63,3-60,2と、ある程度の中緩みこそあれ全体のバランスとしては平均ペースと言っていいでしょう。

 その上で第4ブロックからペースが上がっていって、後半は12,0-11,8-11,9-12,0-12,5と高いレベルでの持久力戦となりました。
 形としては前受するよりある程度の位置でスローに入れた組の方が楽だった、とは思うものの、本当に強い馬なら前々から押し切れる外連のないラップだと思いますので、その点で色々思うところはあるレースでしたね。

 しかし勝ったレインボーラインは、正直ポジションが取れない馬ですし、ここであそこまで綺麗に噛み合い切るとは思っていなかったですね。これは反省です。
 基本的にスローになると良くない馬で、結果的にこの距離なりに淡々と流れてくれて、後半の加速度が低かったこと、そしてレース全体の仕掛けが早くてエンジンがしっかり掛かったところで、コーナリング性能の高さと瞬間的な切れ味をしっかり生かせた好騎乗になったなぁと思います。

 残り200mはこの馬のラップですから、大体4Fのスパートでコーナー最速の流れをコーナー外々、11,7-11,6-12,5くらいで押し切ったイメージでしょうか。
 このあたりラップ推移的に見ても、本来はもう少し前がスムーズに進出出来ても、と思う感はあり、サトノクロニクル含めてコーナー加速が苦手な馬、ズブい馬が多かったことで、相対的にこの馬が切れているように見えている、という気はします。
 本質的に切れ味、というカテゴリで一級品とは思っていませんし、ただ距離と相手、相対的な部分で実質的には一番適性が高かった、と見做す事は出来るかなと思います。

 ただしじゃあ春天でどうか、となると、やっぱり簡単ではないでしょう。
 結果的に持久力特化の中での瞬間的な機動性で優位を作って、ですので、それを京都外回りの下りから外々でやってのけられるか、となると、例年の傾向からもそれは苦しい、となります。
 それこそ雨でも降ればチャンスは出てくるでしょうが、本番では拾っても紐までかな、というイメージですね。

 むしろ2着のサトノクロニクルは面白い競馬が出来ていましたね。
 血統的に距離不安はないと踏んでいましたが、道中も折り合いスムーズで、向こう正面からの前の動きにもスーッとついていけていました。
 やっぱりコーナーで少し置かれてしまう部分はあったものの、そこまで絶対的な数字でも加速度でも高くなかった分問題なくこなせましたし、最後もしぶとく前との差は詰めていて、高いステイヤー性能を感じさせました。

 この馬の強みはスタートとポジショニングの良さにあると思うので、その点だけでも対レインボーラインなら本番での逆転は見込めます。
 内々を通せば京都の4F戦で、下りから一気に加速する流れでも対処できるはずですし、内枠を引いて2~3列目まで潜り込んでこられるイメージが持てるなら、重い印を打ってもいいかも、と思わせる内容でした。

 3着クリンチャーはうーん、色々新味が出てくれば、と思ったのですけど、意外な部分でばかりそれが出てきた感じですね。
 スタートはしっかり決めて、この馬の割には二の足も速く、その辺流石だなと思って見ていたらそこから折り合いを欠く形になって、ちょっとこれまでに見たことのない面が出てきたのが成長の証なのか、それとも鞍上がテン乗りゆえの癖の掴みの問題なのか迷うところです。

 なんとかスタンド前で落ち着かせてからは淡々と追走、勝負所で外から早めに仕掛けて動く意識はあったものの、11,8-11,9のコーナー地点でほとんど差を詰められずにいました。
 正直このくらいのラップなら皐月賞の4コーナーの感じからも問題ない、と思っていただけに、このあたりも少し気掛かりではあって、古馬になってより力の要る馬場専用になってしまったのか?という可能性は出てきた印象です。

 最後もバテてはいないですが、出し抜かれた分を差し返すほどの迫力はなかったですね。
 こうなると俄然本番では狙いにくくなりますが、敢えて言えば中~外枠で、いっそ逃げるくらいの思い切りがあればどうかな、という感じです。
 少なくともコーナーで速度が問われる形で外を回すと致命傷っぽいですし、ただ今日のスタートが出来るなら内枠でもある程度ポジションは取れるかもで、どうあれそのあたりで相当噛み合ってこないと軽い馬場では厳しいのかな、と感じましたね。

 4着アルバートも、決して上手く乗った、とは思わないですけど、それでも無難にレインボーラインマークで動いてきましたし、最後の1Fでこの馬らしさがなかったなぁ、とは思います。
 強いて言えばこの馬の場合超後傾向きのステイヤーではあるので、ここまで淡々と流れるとこの距離でも追走に忙しかったか、というのはあり、コーナーでももっと動けるイメージだったので、阪神コース内回りとはいえ色々あれっ?という感じでした。
 こちらも当然本番向きの脚質、適性ではないですし、去年くらい流れるか、内枠からスムーズにポジションが取れるか、どうあれ圏内まで見込むのはちょっと厳しいのかな、と見ています。

 5着カレンミロティックも伸びずバテずですが粘っていましたね。
 やはり長距離の適性そのものは高いですし、元々阪神よりは断然京都向きなので、本番でも穴候補として意識できる程度の走りだったとは思います。
 好走した時のように内枠が引けるようなら楽しみですね。


★スプリングS

 こちらは好位から抜けだしを図ったエポカドーロを、ダノンプレミアム以外には負けられない、とばかりの意地の一差し、ステルヴィオがギリギリで差し切って、改めてダノンプレミアムへの挑戦権を獲得したレースとなりました。

 中山の馬場は昨日よりも若干回復したかな?程度で、まだ高速馬場には遠いコンディションでしたかね。
 3歳500万下が47,7-47,4の1,35,1、1600万下のマイル戦が47,5-46,8=1,34,3までですので、正直実質的に流れたわけでもないのに、このレースの1,48,1はかなり優秀だと見ています。

 レース展開は、まず内からコスモイグナーツが押してハナ、エポカドーロも番手を取りに行くところで、外からライトカラカゼ、マイネルファンロンも絡んできて少し掛かる素振りも見せていましたが、直ぐに隊列は落ち着いていたとは思います。
 その後ろにビックスモーキーとバールドバイがいて、中団の位置にハッピーグリン、その外で蓋をするように、今日はスタートも良くそこそこポジションが取れたステルヴィオがいました。
 ルーカスがそれをマークするような位置で、ゴーフォザサミットは枠なりに後方の外目、カフジバンガードはやはりはっきり出負けしてしまって道中後方インに決め打ち形で進めていました。

 ラップは35,6(11,87)-36,1(12,03)-36,4(12,13)=1,48,1(12,01)という推移でした。
 ただしこれは単騎逃げのコスモイグナーツが刻んだもので、目視でもラップ推移からでも、大体残り800m地点でエポカドーロまで1,5~7秒くらいの差はあったと思いますので、実質的なバランスとしては61,3-46,8くらいとかなりのスローペースで、かつ本仕掛けも遅れた二段階加速戦、とみていいと思っています。

 大体残り400m地点でエポカドーロとコスモイグナーツの差が5~6馬身で、それが残り200mでは綺麗になくなっていますから、レースラップから類推してもここで11,1~2くらいのラップを後続は問われていて、残り1000mからロンスパで入りつつもう一段加速する余力・底力があった2頭が突き抜けたレースだった、と言えるでしょう。

 しかしこれ、勝ったステルヴィオは本当に良く届いたなぁと思います。
 ラップ推移的にも、エポカドーロの後半が11,7-11,2-11,8くらいのはずで、実際にこの11,2の地点ではそこまで差を詰められていないのですが、坂に差し掛かってからの伸び脚・持続力は本当に素晴らしいものがありますね。
 大体残り200mで2馬身半くらいあったのを詰めきっていますから、この馬の推移としては11,7-11,1-11,3くらいで、ほとんどラストまで落とさずに走破し切っていると考えられますし、これは今の馬場と、このレースの全体時計から考えると破格と言ってもいいです。

 2歳時のマイル戦でも、とても届かないような位置からラスト200mだけで相当に詰めてきていたように、この点はこの馬の最大の持ち味になるのですが、まずそれが距離が伸びて、やや力の要る馬場でも繰り出せた、というのは今後に向けてとても明るい材料になりますね。
 距離は本当にもっとあっても、それこそダービー2400mでも問題ないと個人的には思っていますし、今日はスタートも悪くなくそこそこポジションが取れていましたので、俄然本番が楽しみになってきました。

 タイプ的にワグネリアンと近いところはあって、やはりこの舞台でダノンプレミアムに雪辱するのは相当に至難、とは思うものの、昨日今日の結果で、皐月賞本番はアイトーン・サンリヴァル・ケイティクレバー・エポカドーロにコスモイグナーツも出走できる賞金は持っているでしょうから、相当に前が忙しくなる可能性は出てきます。
 そのあたりにダノンが巻き込まれて難渋するようなら、追走力には不安のないこの馬としては乾坤一擲の差しを決めるチャンスは出てくるかもしれませんね。本当に今日はステップレースから素晴らしい走りでした。

 2着のエポカドーロも完全にレースを支配して、勝ったも同様の内容でしたけどね。これが今の戸崎Jの持ってなさというべきでしょうか。。。
 馬自身は改めての番手競馬でも問題なかった、とは言えますが、ただあれだけ前が離れていると実質単騎逃げも同様ではありますし、まだ揉まれた時に血統面での難しさが出ないかは不安視できるでしょうか。
 後は単純に使ってきた強みもありますから、脚質的に皐月賞本番向きとは思うものの、素材的にはステルヴィオの方が一枚上、と考えていいのかなとは思っています。

 あとこちらは軽い馬場でより切れ味を問われた時の対応力も未知ですし、先行争いが厳しくなる本番でどこまでやれるか注目ではありますが、まぁ基本前はダノンが掃除する、という見立てになるのでその分評価は下げるかなぁ、というイメージですね。

 3着マイネルファンロンは、前走同様外枠で難しい競馬を強いられましたが、ある程度積極的にポジションを取りに行く大知Jらしい競馬が最後の最後で功を奏したイメージです。
 こちらはあれだけゆったり入っても1800mだと少し忙しいかな、というイメージですが、純粋に2000mでもジェネラーレウーノに負けている馬ですから、流石に本番距離延長を味方にして、とは言えないですかね。
 前走の府中の走りも中々良かったので、ダービートライアルに出てくるなら面白いタイプかなと踏んでいます。

 4着バールドバイもインをそつなく立ち回って、血統的な部分が見せるパワー型の末脚をしっかり引き出してきたな、と思います。
 結果的にあと一歩権利には届きませんでしたが、少なくとも500万下ならすぐに勝ち上がれる素材ですね。

 5着レノヴァールも悪くない競馬の形でしたし、ここは純粋に力負けでしょう。
 8着ハッピーグリンも一瞬見せ場はありましたが、もう少し軽い馬場の方が合うでしょうね。
 9着ルーカスはまだまだスピード勝負になると甘さが出やすいイメージですし、兄同様本格化は秋以降になるのかな、という走りではありましたね。


posted by clover at 17:35| Comment(2) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
阪神大賞典はアルバートが伸び切れずにレインボーライン・サトノクロニクル
の1・2着ということで、中距離適性が結構問われたのかなと感じました。
ただ、それならクリンチャーに突き抜けてほしかったですが…
クリンチャーは前半掛からなければというのと、やっぱりこの馬はスタミナより
パワーというところなんでしょうね。そういう意味では春天より宝塚だし、
もっと言えば凱旋門よりドバイWCじゃないかなぁ

スプリングS上位2頭は強かったですね。トライアル始まる前は弥生賞断然という
雰囲気でしたが、終わってみればスプリングSも若葉Sも内容的には全く
引けを取らないという感じかなと思いました。余裕綽々だったダノンプレミアムは
抜けているとしても、その他は高いレベルで混戦で、かなりペースも流れそうな
メンバー構成になりそうな皐月賞は今から楽しみです
Posted by I.C.スタッド at 2018年03月18日 19:27
>I.C.スタッド様

 いつもコメントありがとうございますー。

 阪神大賞典はそうですね、前半、中盤と例年よりは速い流れになった事で、この距離なりのレース全体のスピード勝負になったイメージでいいと思います。
 その意味で例年より本番との連関性は高そうですが、あちらはよりシビアなポジショニング勝負になるのでそのあたりで上位の入れ替わりはあるだろうな、と思っています。

 クリンチャーは回顧では書き漏らしましたが、バテてはいませんけどやっぱり坂地点でペースアップが出来ない馬っぽいんですよね。
 レースラップだけ見るとラストあれだけ消耗するならもう少し肉薄しても、というのは京都記念をみても思うのですが、それを阻害しているのが坂、と見做せば、実のところ京都巧者の可能性も出てきたかなと感じます。

 とりあえず今回ある程度スタートダッシュとポジショニングは改善してきたので、それを踏まえて内枠から好位を取れるようなら、ですかね。

 スプリングSは見ての通りの2頭抜けたレースでしたね。
 時計水準も高かったですし、今年は今のところ全体的な世代レベルは高めだと思います。
 地味に若葉Sもハイレベル戦なんですよね、翌日のアドマイヤロブソン戦と遜色ないラップですし、勝ち馬は注文がつく分色々難しいとはいえ、いずれ走ってくる馬ではないかと感じます。
Posted by clover at 2018年03月19日 15:24
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