2018年03月03日

2018 チューリップ賞・オーシャンS レース回顧

★チューリップ賞

 桜花賞へ向けての最重要ステップレースとなるチューリップ賞は、好スタートから好位追走、直線も早めに抜け出す王道の競馬に徹した2歳女王ラッキーライラックが、後続を全く寄せ付けない完勝で3歳シーズンも主役の座は渡さないと力強い宣言を見せつけました。レースを振り返りましょう。


 阪神の馬場は相当に高速状態が維持されていましたね。
 未勝利のレッドヴェイロンが36,1-36,2-34,2というややスローくらいの推移で1,46,5を叩き出していますし、1000万下の2000m戦も61,5-58,4とかなりのスローながら後半ロンスパで2分を切る時計となっていました。
 ですのでこのレースの全体時計そのものは驚くほどではないですが、上位3頭の瞬発力レベルの破格さはかなり目を引くレースになったと思います。

 レース展開は、まず内からカレンシリエージョとラッキーライラックが絶好のスタート、その外からサヤカチャンがなにがなんでもとハナを主張し、ラッキーは少し下げて3番手、その後ろに今回もいいスタートだったマウレア、そしてやや外目の枠から立ち遅れたリリーノーブルが、スーッとリカバーしてラッキーライラックマークのポジションに入り込んできます。
 シグナライズとレッドランディーニがその後ろで、かなり大きく出負けしたサラキアが後方2番手、最後方にスカーレットカラーという展開になりました。

 ラップは35,4(11,80)-24,1(12,05)-33,9(11,30)=1,33,4(11,67)という推移でした。
 前半はかなり前2頭が飛ばしており、それでも1000m通過59,5なのでバランスとしてはスロー、ラッキーライラックの位置では超スローに近い流れだったと思います。
 ラッキーは残り800mあたりからじわっと動いていっているので、自身のバランスとして48,3-45,1くらいの後傾ラップ、かつ本仕掛けそのものは直線までじっくり待つ形になっています。

 レースラップの後半が11,7-10,7-11,5で、まだ下り坂の地点では一気に上がらず、直線半ばからグンと加速を問われているのは阪神JFの焼き直しという感じでした。
 その上で馬場が軽かった分上がりも速くなっていますし、特に10,7地点での究極的な瞬発力は求められたレースになっていますね。
 勿論ラストも11,5とそこまで落としていないですし、前述レッドとの比較でも一段上のパフォーマンスという感じで、改めて上位3頭は順当に瞬発力戦では強かった、と考えていいでしょう。加えて序盤のポジショニングや枠の差なども含めて考えておきたいところです。

 勝ったラッキーライラックは、休み明けで+10kgとほぼ理想的な成長過程でのレースになりましたが、スタートを完璧に決めてリリーノーブルより前に入っていけたのはまずポイントだったと思います。
 その上でそこから折り合いを欠く感じもなくスーッと下げて、実質自分が逃げているような形でレースを支配出来ましたし、石橋Jとしても後は後ろから一気に来られて窮屈にならないように仕掛けどころを見極めるだけ、というところだったでしょう。

 元々瞬発力の質と加速力の面ではこの3頭の中でも一番上なので、このペースであのポジション・隊列となったところで結構勝負あり、とは思いましたが、それにしても改めてこの瞬発力は凄いですね。
 この馬の上がりは33,3ですが、10,7というラップの地点で明確に前を2馬身くらい詰めていて、おそらく11,5-10,3-11,5くらいの推移になっていると思います。
 残り400mで1馬身差にいたマウレアとリリーノーブルを、その地点の加速性能と切れ味の質だけで1馬身以上楽に離していますし、その分持続力面ではとびきり、とまでは行かなかったでしょうが、それでも破格のパフォーマンスなのは間違いありません。

 少なくとも綺麗な馬場で切れ味比べなら、前受出来るセンスも含めて中々差せる馬はいないだろう、と思いますし、後は展開面でどうか、ですね。
 本番は当然多頭数になりますから、ここまでスムーズにポジションが取れるか、とはなりますし、テトラドラクマあたりが強気に飛ばしていく形を自分から捕まえに行ってどうか、去年のソウルスターリングの例もありますし、今年は別路線組も非常に面白い馬が多いので絶対視は出来ませんが、少なくとも余程極端な枠を引かない限りは重い印を打たねばならない馬か、と改めて思いましたね。

 2着のマウレアも、この馬らしい後半勝負でしっかり巻き返してきましたね。
 好枠から好スタートを決めて、常にラッキーライラックを射程圏に入れつつの競馬でしたが、この馬も加速性能は高いはずながら、直線でああも質的に突き離されてしまうと、やはり素材的な意味では足りないかな、と思わずにはいられません。
 今回は全くロスのない完璧な競馬をしてくれたとは思いますし、リリーとの差は枠と、早めに外から捕まえに行ったかどうかの差だとは感じます。

 またクイーンCからも、ペースが上がって良さが出る馬ではないので、本番でこれ以上、というのは中々厳しいかなとは感じます。リリーノーブル相手でもちょっと分が悪い印象ですね。
 馬体重も小さい馬なのに-8kgですから、そのあたりの立て直しも含めて状態面はしっかり見ておきたいところです。タイプ的には桜花賞で負けて、オークスでゆったり入って巻き返せるタイプではあると思います。

 3着リリーノーブルは、サヤカチャンの外からもう少しすんなり取りつけるかな、と思ったのですが、サラキアの出負けに釣られるような形で少しだけ立ち遅れ、そこからのリカバーで多少なりエキサイトしてしまった部分が最後に影響が出たのかなと感じます。
 またルーラーシップの仔だけに、ここまで切れ味特化の展開になってしまうと苦しい感じではあって、こちらは経験こそないですがある程度ペースが引き上がっても戦えそうな素材タイプですから、多頭数で紛れが出る中でのこの馬の自在性は強みになると思います。

 対ラッキーで考えるなら、ラッキーより内枠で前に入ってしまう形は欲しいですね。
 テトラドラクマが刻むハイラップに乗っていって、ラッキーライラックの瞬発力を削ぎつつ、この馬らしい一脚をしっかり好位から繰り出せれば、全く逆転の余地がない、とまでは思わないです。

 4着サラキアは、最後しっかり来ているだけに出負けが大いに痛かったですね。
 ただここまで2F戦に近い切れ味比べになってしまうと、物理的に後ろから差すのは不可能に近いですし、少なくとも一定のペースからの切れ味の質を高めてきた、という部分での評価は出来ます。
 同じ位置からのレッドランディーニやスカーレットカラーを差せたのなら、牝馬の中でも第二グループくらいの実力は持っているかなと思えますし、距離延長はそこまで問題じゃないと思うので、オークス路線に向けてしっかりローテーションを組んで欲しいところです。


★オーシャンS

 こちらは重賞で善戦はするものの勝ち切れなかったキングハートが、直線好位からスルッと抜け出して悲願の初重賞制覇を飾りました。

 中山の馬場は、長い距離のレースばかりだったのでちょっとわかりにくいですが、時計的には水準くらいは出ていたと思います。
 2500mの潮来特別でも、向こう正面からの明確なロンスパ戦で後半58,3を出してきていますし、その意味でこのレースも、常識的に流れての1,08,3なら水準レベルには届いていて、けれど突出してはいないのでゴール前大激戦になった、という見方でいいのではないかと思います。

 レース展開は、ネロがまずまずのスタートから押して押してハナ、それをラインスピリットが追いかけつつ最終的にはポケット、外からじわっとレーヌミノルも追いかけていきます。
 その後ろにキングハート、アルティマブラッド、ビップライブリーといて、ナックビーナスはやや出負けして先団を見る位置の外目、ジューヌエコールとロードクエストが丁度中団くらいでその後ろにダイメイフジ、スノードラゴンにフミノムーン、エポワスあたりが後方からの追走になりました。

 ラップは33,5(11,17)-34,8(11,60)=1,08,3(11,39)という推移でした。
 前傾ラップですが中山1200mとしては極端では無く、中盤も変な緩みはないほぼほぼ一貫戦ではありますが、一応11,4-11,3-12,1と直線で僅かに再加速していて、特に2番手以降は追走力を問われた上でのもう一脚、という競馬になったといえるでしょう。

 勝ったキングハートは、本質的にポジションを取ったり、自身前傾で入ると甘くなりがちな馬だったので、ここでは坂もあるし少し足りないか、と安易に考えてしまったのは大いに反省です。
 ある程度近走はそんな風に好位からの競馬が板についてきていましたし、しっかり馬がその経験を糧にして成長している部分もあったと言えて、今日は本当に好位からの進出、手応えともに抜群でしたね。
 今までにないパターンで勝てたというのはかなり大きな要素で、本質的には後傾型の切れ味勝負でも強い馬ですから、高松宮記念である程度位置を取れて、かつ全体の流れが平均寄りになってくるなら俄然怖さは出てきます。

 一方で加速そのものはそこまで得意ではなく、一気にペースが上がるより仕掛けが早い展開の方が好ましい、或いは今日のようにフラットに近い形での押し上げなら、とも言えるので、そのあたりは急コーナーの中京向きか判断に悩むところです。
 少なくとも本番は持続力特化の鬼のレッドファルクスがいますから、あの馬よりポジションでアドバンテージを取りつつ、後半早めに吹かしていく意思をしっかり持てれば楽しみはあるかなと思います。でもこのレースのレベル自体はそんなに高くはないので過信は禁物ですね。

 2着のナックビーナスは、やはり中山は相性がいい、というのはあるでしょうが、やや出負けして結果的に1列後ろになってしまったのが、着差が着差だけに勿体なかったですね。
 ただ外目を通してもいつもよりラストまでしっかり脚を使えていた感じですし、器用貧乏なところはありますが、本番でも上手く噛み合わせてくれば圏内潜り込みくらいのチャンスはある馬ですねる

 3着ダイメイフジは、まだ高いレベルでのスピード勝負では分が悪いか、過剰人気だろうと思ってはいたのですが、予想以上に馬の成長速度が凄いですね。というかこのローテーションでへこたれずにくるのか、と感心しました。
 ただポジショニングとしてはやはりここまで流れる形だと後ろになってしまいますし、後半勝負で外々を通しての差し込みからして追走面でも不安はない以上、理想はこの流れの中でも好位、出来れば中団まで取れれば、という感じですね。
 少なくともフラットになりやすい京都よりは阪神や中山の方が合うと思いますし、高速馬場でプラスアルファが出てくるようなら今後この路線で楽しみな一頭になると思います。

 4着ネロも自分の競馬に徹した時はやはりしぶといですね。
 最後食われてしまったのは坂と休み明けが大きいと思いますが、どうあれ自分の形に多少強引でも持ち込めるなら強い馬ですから、今後もそこの見極めが重要になってくると思います。
 高松宮記念も、意外とコーナリングが上手いので、そのあたりを生かして去年のCBC賞みたいにコーナーでリードを作る形に持ち込めてしまえば、あっと驚かせるレースが出来る可能性は秘めていると感じます。

 5着ビップライブリーも悪い競馬ではないですが、このレベルですとやはりちょっと足りない、というのは出てしまいますね。
 ただここまで前傾のスプリント戦でも戦えたのは大きな収穫ですし、本質的には高速馬場の1400mか、少し時計の掛かる1200mがいいと思うので、そこらが噛み合うレースなら圏内食い込みは期待出来るでしょう。ただ勝ち切るとなると相当相手関係か展開の綾に恵まれないと、という感じはありますね。


posted by clover at 20:36| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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