2018年02月28日

2018 エンプレス杯 レース回顧

 春の嵐の前の静けさを感じさせる陽気となった如月最終日の今日行われた、牝馬ダート路線の名物レースのエンプレス杯は、好位追走からアンジュデジールが鋭く抜け出して重賞2勝目を飾りました。レースを振り返っていきましょう。


 今日の川崎の馬場はほぼ想定通りで、基本的には前残り顕著でインが伸びる馬場だったのだろうと思います。

 レース展開は、サルサディオーネがすんなりと内から逃げて、その番手に押して押してプリンシアコメータ、ミッシングリンクはあまり序盤無理せずその外につけ、内からはアンジュデジールがリカバーしてポケット、その外にステップオブダンス、ワンミリオンス、ラインハートと人気上位の馬が先団を占める格好になりました。

 ラップは30,9(12,37)-26,4(13,20)-38,6(12,87)-40,0(13,33)=2,16,3(12,84)という推移でした。
 基本的にはこのレースにありがちなスローになるのでは、と考えていたのですが、今年は予想以上に流れてきましたね。
 最初のスタンド前で、プリンシアコメータがある程度外からプレッシャーをかけていったのもありますし、それを受けてのサルサディオーネの動き、特にコーナーでの機動力が思った以上に素晴らしく、結果的にこのコースなりに息の入らない流れになっていると思います。

 特にスタンド前で、一度14,0まで緩んでから、直線残り半分~1・2コーナーでの12,4-13,0-13,5というラップは非常に速いです。
 過去のこのレースは勿論、川崎記念でもこのあたりは平均で13秒半ばくらいに落ち込む地点ですし、単純にコーナーを13,0で回ってくるのもかなりの器用さが問われますので、このあたりで縦横のポジショニングの差はシンプルに響く形になっていますし、例年よりもタフな展開だったのは間違いありません。
 その上で向こう正面からはお約束のように加速して、12,1-12,9-13,7-13,4という推移、消耗度は大きく、向こう正面でも最後の直線でも加速度は控えめになっていましたね。全体的にワンペース型のスタミナ優位な馬にプラスになった展開ではあったと見ています。

 ただその中で、アンジュデジールがこうも鮮やかに勝ち切ってきたのは逆に驚きはありますね。
 元々1800mでもタフな展開になると最後甘いイメージでしたので、いかに好枠から絶好のポジションが取れて、一切のロスなく、器用さも生かしつつスムーズに回ってこられたにせよ、最後にあれだけの脚を使えたのは見事でしたし、成長してきている、と感じさせます。
 この馬のラップ的には、ラスト200mで3馬身差くらいを差し切っていますので、ほぼレースの上がりとの差はそこに出ていて、12,9-13,7-12,8くらいになるでしょうか。

 こうしてみると、この馬の場合距離うんぬんよりは出来る限り一脚を温存できるかの方が大切で、コーナリングが苦手な馬ですとコーナーの減速でも息を入れられないけれど、この馬の場合はそれが可能だった、という見立ては出来そうです。
 この比較的タフな流れから、ラストはレース平均に近いラップを踏んでくるのは当然余力がなければできない芸当ですし、常にこういう器用さを生かせる展開なら、とは言えるのでしょう。

 逆に言うと外枠から正攻法でロンスパ、とかになると甘い馬ですし、今日は確実にこの枠で、かつしっかり2列目ポケットまでリカバー出来たのが勝因のかなりの割合を占めていると感じます。
 スタート自体はまだそこまで速さを感じさせませんから、今後はそのあたりが課題ですね。距離適性的にはマイルくらいがベストのはずですけれど、ポジションが取れないと一脚を追い上げで使い果たして甘くなるイメージですので、他の馬以上に枠の比重が大きくなるタイプと考えておきたいです。

 今後も当然安定して活躍してくるとは思いますが、ラップ的に緩急がつきやすいコースの方が向いていますし、かつコーナーをタイトに回れる内枠なら強気に狙える馬となっていくでしょう。
 京都のJBCなどはかなり噛み合うコースだと言えそうなので、今年の飛躍は楽しみですね。

 2着のプリンシアコメータは、岩田Jとしてはまずかなり頑張ってくれたのではないか、と思います。
 スタートからしっかり出していって、向こう正面でもスローになりそうな所で少し外目からプレッシャーをかけて前のペースを引き上げさせており、全体像としてこの馬向きのタフなスタミナ勝負には出来たといえるでしょう。

 ただそれでも川崎ですので、どうしても幅が小さいとはいえ緩急はついてしまいますし、実際に向こう正面や各コーナーでも、前のサルサディオーネをすんなり追いかけて差を縮める、というシーンは見受けられず、やっぱりこの辺の器用さは足りないな、と思わせました。
 直線もこの馬の位置からですとそれなりに加速を問われていますし、アンジュデジールとはその加速性能の差が顕著に出た負け方だったかなと感じます。

 それでも最後サルサディオーネを捻じ伏せたのは流石の底力と思いましたし、この馬の場合は前半少し無理してでも逃げ番手までは持っていって、ペースを緩ませない方が安定して強さを発揮できるでしょうね。
 その意味で、ポジショニングが忙しくなるマイル戦とかですと、牝馬限定でも危うさは感じますし、或いは牡馬相手でもタフな距離・コースを求めた方がいい場面はありそうです。門別2000mのBGCとかは合いそうですし、ダイオライト記念もスパイラルカーブでペースが淀みにくい船橋ですから、挑戦してみる価値はあると感じます。

 3着サルサディオーネは、今回はすんなり逃げられるだろうとは予測していて、かつ前残り展開を考えておきつつも印を回さなかったのは雑だったなぁとただただ反省しきりです。
 ただそれはそれとして、この馬自身は今までにない良さを見せてきた部分も多いです。
 まずこの距離ですんなり入れて、そこからペースを引き上げつつも粘れたスタミナ面と、後はコーナリングの上手さが本当に目につきました。

 上のラップ考察でも触れたように、勝負所の3~4コーナーならまだしも、1~2コーナーで13,0-13,5というラップはこのコースのセオリーからすればかなり速く、ここで後続に息を入れさせない流れにしたことが結果的にプラスだったと見ています。
 こういうラップを踏む為には、馬自身の操縦性の高さが必須だと思っていますし、後はそれを助成する、直線地点での加速扶助も的確で、とにかく被されると脆いだけに早め早めの突き放しを意識した競馬は見事でした。
 流石に最後は地力で差し込まれてしまいましたが、それでも復活を感じさせるいい走りになりましたし、今後も単騎逃げなら侮れない、と思わせてくれましたね。

 ただ今日は確実にコース利があったとは思いますし、大井や船橋あたりで同じレースが出来るか、となるとまた難しさはあります。
 今後も狙いどころが悩ましい馬にはなりそうですが、プリンシアコメータとセットでタフな展開の中での粘り込みは常に警戒しておきたいところです。

 4着ラインハートは、タフな展開になってインベタから自分の脚は使っていますが、こちらももう少し明確に減速戦になるレースの方がいいのでしょう。
 ただ今の川崎の伸び所を熟知してのコース取りなどは光りましたし、本質的にこのコース向きではないとは思うので、今後も交流重賞で嵌れば上位を脅かせる存在ではあると思います。

 5着ワンミリオンスは、斤量もあるでしょうがやっぱり去年はスタンド前の緩い地点でポジションを押し上げられたのが功を奏した面は強かったのかな、というイメージです。
 またレース全体が前掛かりになった事で本質的なスタミナ面の不安も出たと思いますし、この馬の良さが生かせない展開と枠だったのは確かでしょう。
 この馬の場合、交流重賞に拘らずとも、一度中央の1400~1600mを使ってみて欲しいんですけどね。確実に軽い馬場の方が持ち味は生きるとは思うので。

 6着ミッシングリンクは、前走ほどスタートから行き脚が鋭くなく、結果的に外々になってしまった上に、ペースが上がって横のポジショニングの不利が大きく出てしまう形になったのはあるでしょう。
 結局タフな馬場での本質的なスタミナ面は未知数でしたし、向こう正面で既に押しながらの追走と苦しくなっていたように、状態面でもやや下降線だった可能性はあります。

 こちらも出来ればスッと前受してコントロールしたいタイプですし、プリンシアコメータより最初の50mくらいは確実に速かったのに、そこから無理にポジションを取りに行かなかった無難さが結果的に仇になった部分もありそうです。
 ただ馬の素材的にもマイル~1800mくらいが良さそうで、今後のマリーンC・スパーキングレディーCあたりのマイル戦では見直したい馬ですね。



posted by clover at 17:56| Comment(0) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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