2018年01月10日

2017 JRA賞競走馬部門 所感

 2017年のJRA賞が発表になりましたので、特に語るべきこともないといえばないのですがざっくり見ていきましょう。


★年度代表馬 キタサンブラック

 まあ当然すぎる受賞ですね。
 一昨年はGⅠ2勝でしたが去年は4勝と、過去の代表馬と比較しても比類ない素晴らしい成績でしたし、文字通り王道路線の中心を駆け抜け切っての結果ですから、本当に頭が下がるとしか言えません。
 この馬の存在で競馬シーンも本当に様々な枠組みを超えて盛り上がった部分もありましたし、こういうスターホースがまた出てくるのに何年かかるか、と思えば本当に競馬ファンとしては幸せな時代でした。

 ただ今回満票ではなく、3票だけオジュウチョウサンに流れたのは印象的でしたね。
 それでも、もしも捻るとしたらそれしかない、というチョイスではあって、キタサンブラックのように時には敗北も味わう王者よりも、無敗の絶対王者のほうに価値を置くという信念は評価したいです。
 実際に最後の大障害は本当に比類なきチャンピオンでなくては勝ち切れないタフなレースでしたしね。


★最優秀2歳牡馬 ダノンプレミアム

 こちらも多少タイムフライヤーに票が流れたとはいえ、内容的にも印象度からも順当でしょう。
 せめてタイムフライヤーが京都2歳Sを勝っていれば、実績でも並ぶのでもう少し、というのはありますが、GⅠ馬同士ならそれ以外の勝ち鞍の格で、となるのは健康的な判断だと思います。

 来年以降、このあたりの逆転現象がどのくらい起きてくるか、というのは注目点ではありますし、そのあたりでそれぞれのレースのレベルが上がってくればなおよし、というところですね。

 ルヴァンスレーヴは確かに強いですけど、格的にも去年のリエノテソーロの説得力には届かないなって思いますし、ワグネリアンは流石に無理筋な気はします。


★最優秀2歳牝馬 ラッキーライラック

 こちらは見事満票での選出でしたね。
 この馬自身の戦績にレース内容が完璧に近いですし、他に少しでも肉薄できる結果を残した馬がいなかった以上、非常に妥当な結果だと思います。

 早速年明けから、そのチャンピオンの地位を脅かす強い牝馬が続々と台頭していますが、この評価に恥じない強い競馬をクラシック戦線でも見せて欲しいものですね。


★最優秀3歳牡馬 レイデオロ

 元々ダービー馬はそれだけで権威的に上な部分はありますし、古馬との戦いでもJC2着と最も大きな結果を残しているのですから文句なし、だと思います。
 キセキは香港勝ったならともかく、とは思いますけどね。ただあの歴史的な不良馬場で勝ち切った底力を表したい、という気持ち自体はまぁわからなくもないですが。

 この世代はやっぱりダービーがああいう消耗度の少ないレースだったおかげで、しっかり活力を残したまま古馬戦線に殴り込みが出来そうですし、その総大将としてこの馬には活躍してもらわないと困りますね。
 特に近年はダービー馬の威厳が地に落ちるような場面を多く見せられて切ないので、強いダービー馬になって欲しいと思います。


★最優秀3歳牝馬 ソウルスターリング

 ここは最大の激戦区と目されていましたが、直接対決の結果と印象度でソウルに軍配が上がったのかな、と感じます。
 純粋に戦績だけで言うならモズカッチャンの方が上なのですけど、唯一の対戦で決定的な差をつけている事と、果敢に古馬に挑戦した歩みも含めて総合的に覆したとは言えそうで、このあたりは実にらしい受賞に思います。

 せめて秋のGⅠ戦線でひとつでも健闘、と言えるシーンがあれば文句なしだったわけですし、この馬の底力からしてもう少しやれても、と歯痒い面もあった秋シーズンでしたが、古馬になっての成長とワールドワイドな活躍に期待したいですね。


★最優秀4歳以上牡馬 キタサンブラック

 当然こちらも同時受賞で、かつ満票という花が添えられました。
 結局この馬を脅かす4歳馬が出てこなかったのもありますし、他に捻りようも無い選出だと思います。


★最優秀4歳以上牝馬 ヴィブロス

 物議を醸すとしたらやっぱりここになるでしょうね。
 去年の代表馬選考の中で、国内GⅠ>海外GⅠのヒエラルキーは基本揺るがない、と書いた記憶があるのですが、しかしヴィブロスに関しては国内では今季全敗であり、VMを制したアドマイヤリードがいるのが色々ややこしくしています。

 もっとも去年の最優秀4歳以上牝馬が、エリ女ではコロッと負けたものの宝塚でドゥラメンテとキタサンブラックを揃って破る大金星を上げたマリアライトだったように、混合GⅠ>牝馬GⅠのヒエラルキーもまた厳然としてあります。
 結果的に今回は海外混合GⅠと国内牝馬GⅠの序列が問われる難しい選考になったと思いますし、せめてもう少しアドマイヤリードが他のレースでも結果を残していれば違ったのでしょうが、該当馬なしが多く出たのも頷けるところではあります。

 近年は牡馬混合GⅠを勝つ牝馬も沢山いましたし、丁度今は過渡期な雰囲気でもありますから、その中でこういう戦績の馬が選出された、というのも一つの時代の流れなのかな、とは思いますね。


★最優秀短距離馬 レッドファルクス

 突出した成績、とまでは言えませんが、JRAの古馬スプリント・マイルGⅠを皆勤したのは地味に偉いと思いますし、最後のマイルチャンピオンシップこそ崩れたものの、全てのレースで高い実力を示したのは、この賞に相応しい実績と言えるでしょう。

 しかし今年の選出を見ても、ペルシアンナイトなどは正直スタンスとしては中距離路線が主ですし、そろそろマイルとスプリントを分けて選出してもいいんではないか、という気には改めてさせられますね。


★最優秀ダート馬 ゴールドドリーム

 一応ここもJRAGⅠ>地方交流GⅠというヒエラルキーは明確ですので、JRA完全制覇のゴールドドリームが選ばれるのは当然でしょう。
 ただ地方で唯一の正式なGⅠの東京大賞典を勝ち、他にも交流GⅠを二つ勝ったコパノリッキーに賞をあげたい、という感傷も理解できる水準ですし、なにより珍しくこの路線で該当馬なしが一票もなかったのは、それだけ2頭の戦歴が突出していた証左でもあるでしょう。

 ですがサウンドトゥルーはやり過ぎでしょう。地方の戦績もコパノに届かず、JRA2戦ともに惨敗の馬を選ぶのは流石に筋違いだと思います。


★最優秀障害馬 オジュウチョウサン

 こちらも当然の2年連続選出ですけれど、しかしこの馬が満票を取れないというのは、もはや日本の年度代表馬投票制度の沽券を問われるレベルでどうか、とは思うんですけどねぇ。

 少なくとも代表馬投票は政治的な意見を発信する場では決してないですし、歴史上最高レベルの成績・内容で障害界を制圧した馬がいる年にまでこうなのは、本当に呆れを通り越して悲しくなりますね。

 正直選挙の時の裁判官信任制度じゃないですけれど、JRA賞の結果に対して納得のいかない投票を繰り返す記者に対するファンの不信任票を提示できる仕組みは作ってみてもいいんじゃないか、とは思いますし、それに該当する場合はその選択の意図を明確に発信する義務を負わせてもいいと思います。
 競馬文化の熟成の為には、側面から関わる側がしっかり質すべき問題はあるよなぁ、と改めて思う部分ですし、どうしても杓子定規になってしまう部分は仕方ないですが、どうあれここは後味の悪い選出になってしまったといえるでしょう。
posted by clover at 19:31| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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