2017年12月29日

2017 朝日杯フューチュリティステークス プレビュー

**★はじめに**

 今週は牡馬のマイル2歳チャンピオン決定戦の朝日杯フューチュリティステークスですね。
 今年から2000mのホープフルSがGⅠに昇格し、このレースの勝ち馬が無条件に2歳チャンピオン、とはならない様相が確立した中、果たしてどんな内容のレースが展開されるのかは注目です。

 この舞台に移ってから4年目で、今のところはクラシック本番で勝ち負けまで届いた馬が出ていないのも、牝馬と違ってよりマイラー色の強い馬が集うから、という部分に理由はありそうですね。
 また昨日は新種牡馬オルフェーヴル産駒が見事に大輪の花を咲かせましたが、こちらにはやはり新種牡馬のロードカナロア産駒の有力馬が2頭控えています。
 オルフェーヴルとは違って非常にアベレージの高い、現役生活を彷彿とさせる優等生のロードカナロアですが、まだ重賞には手が届いていないので、ここらできちんと底力のある産駒も出せる、という面を証明できるか、その点でも楽しみになりますね。


**★レース傾向分析**

 コース傾向としては阪神JFと同様に持続力が問われやすい、というのはあるのですが、過去3年のデータだけで見ると意外とそうでもないな、と感じさせます。
 ラップ推移は…………

 ・2016 35,6-25,0-34,8=1,35,4
 ・2015 34,7-25,3-34,5=1,34,4
 ・2014 34,9-24,9-36,1=1,35,9

 となっており、馬場差もあるので全体のペースはハイ、平均、スローとまちまちですが、ほぼ確実に中盤が緩んでいる事と、後半の最速地点が昨日の阪神JF同様直線向いての400-200m地点で、かなり加速度を問われるレースが続いています。
 やはりこれはまだ未知の2歳馬ゆえの特殊なパターンでしょうし、そしてなお不思議な事に、この推移の中で連対馬は全て差し追い込みになっています。

 基本的には前で出し抜くのも可能なパターンが多いのですが、この時期の2歳馬ですと、序盤に先行で足を使い、中盤の緩みでブレーキしてから再加速、という上げ下げが多いレースにすんなり対応するのは難しい、という面はありそうです。
 昨日のJFの先行勢の潰れ方を見てもそれは顕著ですし、一方で瞬間的な切れ味も問われる事になるので、極端に後ろ過ぎてはよほど後半要素で群を抜いていないと厳しい、という側面もあります。
 いずれにせよ、緩みでフラットに取りついて早めに動いていける人馬が面白い、とはなるでしょう。もっともまだ3年分のデータですし、ガラッと様相が変わることも視野に入れておくべきでしょうけどね。


**★有力馬分析**

・ダノンプレミアム

 阪神1800mの新馬戦を圧勝し、サウジアラビアロイヤルカップではハイペースを2番手から楽々抜け出して完勝と、素材面では間違いなく本物、と見做せる強さを見せているディープ産駒のダノンプレミアムが、カナロア産駒の牙城として文字通りに立ち塞がります。

 とにかくこの馬は競走馬としての完成度とセンスが高く、スタートが凄く上手くてスッと好位を取れる、その上で後半のあらゆる要素を高いレベルで持ち合わせており、総合力・底力勝負になった時にはこの馬の右に出る馬は現状見当たらない、とはっきり言っていいでしょう。
 ただ上で触れたように、このレースは意外と淀みの大きなレースではあり、必ずしも能力を出し切れる展開になるか、特に先行馬にとってはやや鬼門、という面を見せています。
 この馬の場合、新馬も残り1000mからのロンスパ、前走は淀みなく流れて偏差の小さい競馬ではあったので、中盤12秒半ばまで緩んでから、直線で11秒そこそこまで一気に上げていく競馬で噛み合うかはひとつポイントになると思います。

 新馬の重い馬場で最速11,0を踏んでいるように、切れ味自体は通用するとは思うので、理想としては3~4番手から坂の下りで前を自力で捕まえにいく競馬になるかな、とは思っています。
 今回逃げ候補はあまり多くなく、ニシノベースマンやケイティブレイヴは1800~2000m路線の逃げ馬なのでそこまで当てに出来るかわからない、アサクサゲンキあたりはその気になれば行けるけどその気があるかわからない、という印象です。
 その中で内枠から押し出されての逃げ、なんて形は避けたいですし、枠としては内に逃げ馬を置いての中番からやや外、8~12位を引ければべストではないかなと感じています。

 前走ステルヴィオを完封しているように能力は折り紙付き、個人的には皐月賞戦線まではこの馬と踏んでいて、流石にダービー路線になるとワグネリアンやオブセッションが手強いと思いますが、ここは多少噛み合わなくとも勝ち切って欲しい条件ではありますね。


・ステルヴィオ

 この馬も能力的にはここを勝ち切るだけのものはあるでしょう。
 前走はゆったりした札幌戦の後で、いきなりの激流に戸惑ったところもあったでしょうが、それでもハロン12をクリアしつつ追走で削がれず、ラスト1Fは圧巻の持続力を引き出してきました。

 今回は、前回の急流の経験を生かして、もう少しはいいポジションを取れると思いますし、理想としてはダノンプレミアムと離れ過ぎない、昨日のロックとラッキーくらいの位置関係に嵌り籠めれば抜群かな、と感じます。
 そして長くいい脚を使えるものの、まだ一瞬の切れ味はそこまで高いものを見せていない馬ですので、中盤の緩みで我慢し過ぎず、じわっと前に取りつく強気の騎乗が出来れば、と思いますし、それが前の仕掛けを早めに誘発する形になれば、持続力面でダノンプレミアムを凌駕してくる可能性も出てくるとは思っています。

 その点で、馬のリズムに合わせてしっかり早めに仕掛けの意識を持ってくれるCデムーロJは悪くないチョイスですし(お兄さんだったらもっと怖かったですが)、少なくとも前走ほど流れる可能性はかなり低いと思うので、チャンスは充分にある一頭だと踏んでいます。こちらもやや外目の枠が欲しいですね。


・タワーオブロンドン

 この馬もききょうSの超ハイペースを自身平均で楽々突き抜け、前走のスローペースを中団インから高い持続力で悠々差し切りと、様々な展開に適応できる純粋素材の高さを見せつけてきました。
 前走の内容は、後半3Fを延々11秒そこそこでまとめてくる、高い持続力を感じさせた内容で、反面瞬間的な加速や切れ味そこまでではないと思いますので、ステルヴィオ同様にある程度早めに動いていく意識が欲しいなとは感じます。

 距離自体は前走の内容からしても余裕で守備範囲とは思いますが、最近また大舞台ではイップス気味のルメールJなので、しっかり動かしていける意識を持てるかはポイントで、そこを怠ると最速地点で置かれて最後は詰めてくるも、というパターンに嵌りそうではあります。
 こちらも自在性はあるので、内々で我慢、というよりはある程度外からの方がいいでしょうが、同タイプの優劣としては今のところはステルヴィオの方が少し上かな、とは見ています。
 ただ内回りとはいえ同コース経験、遠征競馬の経験があるのはプラスで、裏を返すと使い過ぎの懸念もありますが、そのあたりは直前の気配を見つつ考えたいですね。


・ダノンスマッシュ

 ここ2走が強い競馬で、1400m路線から、という意味ではタワーと並んで双璧の実力馬だと思います。
 新馬がかなりのハイで競り合う無茶な競馬で取りこぼしたものの、そこから後半型の競馬にシフトして良さを発揮しており、距離延長自体はむしろ歓迎ではないかと踏んでいます。

 前走もタフな馬場の中でレースラップ自体が加速し続けるところを楽々突き抜けましたし、ゆったり入っての持続力はかなり高い水準にあると思えますね。
 ただこちらも一瞬の質は未知数で、鞍上も待ちタイプの福永Jなので、加減速の大きい競馬の中で上手く立ち回れるかはポイントになってきそうです。そうしてみていくと、比較的上位勢はみんな外目の枠の方がいい馬が多い気がしますし、その辺の運が明暗を分ける可能性は高そうです。


・フロンティア

 新潟2歳Sを強い競馬で制したものの、前走は故障馬のあおりを受けたのはあるにせよ不甲斐無い内容でした。
 調教などを見ていても素材的に同厩舎のダノンプレミアムには及ばないのかな、という面はありますが、この馬もレース巧者ではあり、血統的にはタフな阪神のマイルコースは合いそうなところはあります。

 この馬も先行力がありますので、そことレースの流れとの噛み合いがどうか、という面は出てきますが、新潟で見せた瞬間的な切れ味などはそこまで悪くないので、器用な立ち回りが前々で出来れば面白さはある一頭だと見ています。

・カシアス

 前走は内目からしぶとく伸びて2着確保と悪くない競馬でしたが、持続力面ではタワーに完敗でした。
 この馬の場合は勝つことを考えるなら中団内目くらいで立ち回る、昨日のマウレアみたいな競馬が理想かなと思いますし、加速面は結構いいものを持っていると思うので、内枠を引けたら少し警戒しておきたいイメージですね。

 血統的にも去年のモンドキャンノが同じローテーションで結果を出していますし、正直去年よりは相手が骨太だと思うので簡単ではないでしょうが、じっと息を潜めての必殺のKOパンチを繰り出せるか注目はしたいところです。

・アサクサゲンキ

 前走は1400mのスローの流れでも好位から比較的よく粘りこめていて、距離延長にも目途をつける内容ではありました。
 ただやっぱり後半要素で最上位とは比べるべくもない、という感じですので、この馬の場合は活路を見出すとしたらやっぱり一気に飛ばしていって後続の脚を削ぐしかないのかな、とは感じます。

 ただ2歳戦の武Jがそこまで一か八かの消耗度の高いリスキーな競馬を選択するイメージがあまり持てませんし、そこまでしたとしても追走面で裏付けがあるダノンプレミアムには手も足も出ない、と考えれば、思い切ってペースを上げてギリギリ圏内粘りこみがあれば、というのが現実的な評価になるかなと感じます。


・ファストアプローチ

 ここまで結果を出しているのが札幌のタフなコース、タフな展開で、相手が楽だった前走も切れ味比べでは分が悪い内容になっていて、少なくともマイルのスピード勝負で通用するイメージはあまりないですね。
 この馬も活路があるとすれば、前目につけて中盤の緩みを最小限に、淀みないタフな展開に持ち込めればくらいですが、中々難しいと思いますし、基本的には狙い辛いと思います。


・ダブルシャープ

 前走は高速マイルでどうかな、と思いましたが、スタートからちぐはぐな競馬になった中でも3着争いの列には加わってきて、能力自体は感じさせる内容でした。

 今回はあの時よりは流石に時計が掛かると思うのでそこはプラスですし、ただ血統的にも、一連のレースぶりからも、瞬間的な切れ味は足りないと感じるので、札幌2歳Sのようにある程度早めに動いていく意識を持って欲しい一頭です。
 移籍初戦で色々難しさもあるでしょうが、力を出し切れれば圏内くらいは十分見込める素材ですし、ちょっと楽しみにしています。


**★思い出の朝日杯フューチュリティステークス**

 インパクトで言えばやっぱりグラスワンダーにはなるのですが、そこそこ内容も強くて、印象的に好きなのは[ローズキングダム](https://www.youtube.com/watch?v=L8qESX_8BsE)ですね。
 かなりペースが上がる中でも、一頭だけ悠々と大人びた雰囲気の走りで、直線もスムーズに外に出せて、なんというか見ていてあぁ、これは勝つなと凄く安心して見ていられる内容でしたね。

 相手関係的にも弥生賞2着のエイシンアポロンに、NHKマイルC2着のダイワバーバリアンが2、3着ですからまずまずレベルは高かった、というより本当にこの世代はタレントが揃っていたなぁと思わせます。
 なまじ気性が良くて長距離もこなせてしまった分と、3歳秋の強行軍などで色々噛み合わなかったですが、本質的にはマイラーだった気が今でもしていますし、実際その後も好走したのは高速馬場でスロー、という条件がほとんどでしたからね。
 エアスピネルみたいに4歳シーズンからスパッとマイル路線に行けていればもっと勲章が取れた気はしていますし、そう考えるとあの繰り上がりのJCは色んな意味で良くない流れを作ってしまったレース、とは言えそうです。勿論だからと言って、今の降着制度の方がいいとは間違っても言えないのが難しいところなんですけどね。。。

 ともあれ、そろそろこのレースからもクラシック本番で上位に食い込んでくる馬が出てきて欲しいところですし、単純にリオンディーズとエアスピネルくらいは走れないと通用しないと考えれば、時計面・内容がしっかりしたレースを、その上で上位接戦になってくれればなおいいな、と思います。
 
posted by clover at 15:29| Comment(1) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2017 朝日杯フューチュリティステークス プレビュー
コメント投稿者ID:clover | 2017年12月14日 16:09
>まっつん様

 コメントありがとうございますー。
 他記事にもコメント頂いていますが、お返事はこちらに集約させていただきますね。

 ダノンスマッシュに関しては、記事でも触れた通り、距離延長がマイナスになるとは思っていません。
 未勝利ももみじSも、自身後傾ラップで入ってラスト1Fほとんど減速していない=余力を残していると判断しますので、むしろマイルがベストの可能性もあると踏んでいます。
 カナロア産駒も傾向的にマイルベストの馬が多いですし、ここはかなり走りを楽しみにしている一頭です。

 ただ今年はかなりメンバーが揃いましたので、この馬がマイルで素晴らしい走りをしても、純粋能力でその上を行く馬がそれなりに出てくる、という可能性もまた高いとは思っています。
 調教は良かったと思いますので、後は枠次第ですね。真ん中よりやや外目くらいから、中団外目でいつでも動ける形を取れそうなら、より楽しみが出てくると考えています。
「2017 朝日杯フューチュリティステークス プレビュー」へのコメント
コメント投稿者ID:TCE00079901 | 2017年12月14日 08:01
いつも愛読させていただいてます。

過去の記事とかも素晴らしいものばかりです。

質問なんですがダノンスマッシュの距離延長やはり不安ですかね?
Posted by clover at 2017年12月29日 15:52
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