2017年12月03日

2017 チャンピオンズカップ レース回顧

 一筋縄ではいかないコースに、実力伯仲のメンバーが出揃っての冬の中央ダート頂上決戦は、中団のインから直線で外に持ち出したゴールドドリームが、前で粘る、それぞれに悲願を背負ったコパノリッキーとテイエムジンソクをまとめて交わし去り、見事に同一年度中央ダートGⅠ完全制覇を成し遂げました。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場コンディションは、ほぼ昨日想定した通りだったと思います。
 今日の500万下の1400mが、やや仕掛けの遅い展開で1,25,3、超大荒れとなった7Rの1800m戦が平均ペースで1,53,5でしたので、ペースが上がれば50秒は切るかも、という想定で、あまり上がり切らずに1,50,1は納得の数字です。

 レース展開は、まず最内のコパノリッキーが乾坤一擲の好スタートを決めて一気にハナに立ちます。
 ケイティブレイブもいいスタートでしたが、コパノの出足を見てその後ろに潜り込んでポケットで控える競馬を選択し、その外からモルトベーネが進出、そしてこちらもまずまずのスタートだったテイエムジンソクですが、内の馬が意外と速かったのである程度押しながらポジションを上げていきます。
 その過程で少し掛かり気味になり、コパノの番手まで押し上げたところで手綱を引いて折り合いに専念、この隊列がスッと決まったことで比較的ペースは落ち着く事となりました。

 この先団の後ろに引っ掛かりながらロンドンタウンが外から進出、グレンツェントとアウォーディーがその後ろに並んで追走し、内目にメイショウスミトモがいて、このあたりまでが中団グループになりました。
 ゴールドドリームはやはり少し出負け気味にはなるものの許容範囲で、すぐにインに舵を切って道中は中段より少し後ろのイン、向こう正面でスミトモの外に出してじわっと進出していき、その外に早めの競馬のカフジテイク、ローズプリンズダムもこのグループで、その後ろにミツバ、サウンドトゥルー、ノンコノユメとかたまり、少し離れた最後方のインにキングズガードが控える格好になりました。

 ラップは36,2(12,07)-37,7(12,57)-36,2(12,07)=1,50,1(12,23)という推移でした。
 テイエムジンソクが掛かり気味に突っ掛けていったところで、一瞬ラップが10,9と上がったものの、テイエムが折り合い専念ですぐに控え、後続もそれに合わせる選択をしたことで、コパノリッキーとしては望外に中盤でゆったりと脚を溜める競馬が可能になりました。

 面白いのは、去年の当レースが36,3-36,1-37,7=1,50,1と全くの同タイムながら、中盤と終盤のラップバランスが綺麗に逆転していて、こうなると当然先行有利、追い込み馬には一切出番のない展開になるのも致し方ありませんね。
 個人的にはジンソクがもう少しつついていくイメージを持っていましたが、やはりそこはGⅠ経験値の低いジョッキーだけに当てにし過ぎるのは危険と、マイルチャンピオンシップでも学んだ割に活かせていないなぁと反省です。

 そして後半のレースラップも、非常に緻密なものになっています。
 残り1000mから12,7-12,3-12,0-11,8-12,4という推移で、じわじわと段階的に加速しつつコーナー地点で12,3-12,0とかなりペースが引き上がっており、特に中京は4角出口が窮屈ですので、コーナリングが苦手な馬はここで外から加速、というのはかなり難儀です。
 対してコパノリッキーは現役でも屈指にコーナーワークが上手な馬で、かつてあの大井でもコーナー加速ラップで進出して直線入り口最速ラップ、なんて芸当もやってのけているくらいなので、そのあたりの武器をしっかりと意識しての、田辺J渾身の立ち回りだったなと感じます。

 コーナーで引き上がった分直線入り口の加速度はそこまででもないですが、それでも坂地点で11,8とそれなりの切れ味を問われていますし、ラストも12,4とレース全体の平均と比べてもほとんど落としていない計算になりますので、これを後ろから差すのはコーナリングの上手さとダートでの瞬発力・持続力が相当に高いレベルにないと無理な芸当だと考えます。

 ですのでまぁ、ゴールドドリームがこの競馬で一気に突き抜けるのはちょっと驚きで、はっきり言えばまともに走ればこのメンバーでは地力が抜けていたのではないかとすら感じます。
 元々ハイペース適正が非常に高い馬ですので、そういう流れに乗っていけば、という部分での楽しみはあると思っていましたが、この展開でこの馬自身は明確にスローバランスながら、おそらくラスト3Fを12,0-11,6-11,6くらいでまとめてきており、これは後半の切れ味でも現役屈指だった、という見立てが素直に出来るでしょう。

 勿論それを引き出したムーアJのタクトもほぼ完璧で、スタートは最低限は出てしっかり馬群の内目でコースロスなく序盤を乗り切れましたし、向こう正面から一列外に出してじわじわと押し上げていくバランスも見事でした。
 コーナーで加速する中でも、この馬はスムーズに進出していてコーナリングが上手だなと感じましたし、加えて僥倖だったのは、すぐ外にいたカフジテイクが逆に無類のコーナーワーク下手なので、こちらがついていけずに下がったスペースを使って、全くブレーキなく外に持ち出すことが出来たのは大きなプラスでした。

 とはいえ、このタフなコンディションで残り200mで4馬身はあった差を一気に差し切るのは、如何にそこまでの持ってきかたが抜群だったとはいえ驚きの持続力で、ある程度は同じようにブレーキせず外から前を向けたアウォーディーとの瞬発力・持続力の差は歴然でしたね。
 むしろこの距離で、ややスローで足を溜められた分距離も持った、という考え方も出来ますし、ともあれ中央のダートなら問題なく切れ味を引き出せる事は証明されたと思います。
 前走にしてもあの位置から切れ味の高さでしっかり食い下がっていたわけで、まともに出ていたらコパノと一騎打ちだったろうと回顧にも書きましたけど、間接的にそれを証明する結果にもなっているのかなと感じますね。

 どうしてもゲートなどの悪癖はある馬ですし、地方の深いダートになると持ち味が生きない可能性は高いので、例えばマイルのかしわ記念あたりでも確勝級か、と言われるとまだ信頼は置けませんが、ことフェブラリーステークス連覇なるか、という観点では相当に可能性は高くなった、と言えそうですね。純粋能力なら間違いなく現役ダート最強だと思います。

 2着のテイエムジンソクは非常に惜しい競馬ではあり、結果的に2着をどう考えるかですけれど、少なくとも馬の素材面としてはやはり全盛期だなぁと感じさせるものはありました。
 この馬のこれまでの適性的に、平均からスローの切れ味比べですと後半要素でやや見劣るパターンが多かったのですが、今回はトリッキーな中京コースで、コパノが芸術的なラップで後続を幻惑してくれたのもあり、それに乗じて上手く粘りこめた印象です。
 またコパノのコーナー出し抜きのラップにもしっかり食らいついていける機動力の高さはこのコースでも引き出せましたし、坂地点でもしっかり加速ラップを踏んで底力も見せてきました。

 最後は流石に少し甘くなっていますが全体時計的にも許容範囲だと思いますし、仮に序盤の行く気に任せて前をつつく展開にしていたら、コパノがもっと早くに潰れてこちらも共倒れ、となっていた可能性も高いのかな、とは思います。
 基本ハイペースの方が強いとはいえ、こういうコースですと器用さを武器に戦えるのを証明したのは今後の強みになりますし、相対的にハイペースにしていれば手強い馬も多かったと思うので、自分で作った流れではない、とはいえ、結果論的にはほぼベストに近い立ち回りにはなったのかなと考えます。
 正直あれで差し込んでくるゴールドドリームが化け物だとは思うので、今後もダート路線の一線級で戦える馬にはなったと判断して間違いないでしょう。それにしても古川J、惜しかったですね…………。

 3着コパノリッキーも、スタートからゴールまでこの馬の今のベストをふんだんに引き出し切った、田辺J渾身のタクトだったと思います。
 これまでのレースぶりを見ても、序盤にペースが速いのは問題なく、大切なのは如何に中盤で息を入れられるか、そして本仕掛けを遅らせられるかでした。
 しかしこの条件でそれを完遂するのはまず厳しいだろうと軽視してしまいましたが、今年はテイエムが早々に控えてくれて、ケイティブレイブもポケット待機となり、4年目にしてはじめて自分の形でレースを展開させることが出来ましたね。

 2、3年目は向こう正面からの後続の捲りで早仕掛けを余儀なくされて潰されていましたが、今年はそれがなくじっくり脚を溜めてから、じわじわと得意のコーナーワークで引き上げていく完璧な立ち回りが出来ましたし、強いて言えばそれにテイエムジンソクがしっかり食らいついてこられたのが辛かったとは言えますが、それでも近年に比べれば素晴らしく恵まれた展開でした。
 この馬も本仕掛けの後に甘くなるのは仕方ないですし、本来はそのコーナーワークのリードや加速で勝負を決めたいタイプですから、テイエムジンソクには素直に力負けと言えそうで、このあたりは年を経て距離適性が短めにシフトしてきた弊害とはいえるでしょう。
 とはいえ前走スプリント戦から、ここでこれだけ緩急自在のレースを組み立てて完璧に実行できる自在性は本当に頭が下がりますし、改めて本当に強い馬ですね。普通にまだ次走で引退が勿体無く感じるほどです。

 4着ケイティブレイブはうーん、一先ずポケットからでも最低限の競馬が出来たのは収穫といえばそうですが、結果的に前のペースメイクを早々に放棄した格好にはなっていますし、結果的に前2頭の土俵で勝負させられて足りなかった以上、いい騎乗だったか、と言われると判断に迷いますね。
 コパノが逃げてくれたのなら、テイエムを一列外に押し出しての番手外がベストだったとは思いますし、その位置からなら仮にこの流れでももう少し抵抗できた気はするんですよね。
 基本的に後半勝負では決定的な武器はない馬ですし、無難に乗って無難に雪崩れ込んだ形で、流れてくれなかった、という言い訳は許されないでしょうし、この馬はやはりある程度タフな流れでこそとは思うので、どこかで勝負に行く形を作れていればなぁ、とは感じましたね。

 5着アウォーディーの場合は純粋にこの距離で瞬発力を問われると甘いのだろうとは思います。
 去年の東京大賞典も、大井としては異例のスローで直線11,6と切れ味を問われてダメでしたし、去年早仕掛けで差し込まれた分今年はじっくり、となったものの、コーナーワークが特に上手い方でもないですし、この流れと位置取りなら、向こう正面でじんわりとでも前にプレッシャーをかけていく挙動があっても、とは思いました。
 ただラストの食い込み自体も迫力なく、ケイティブレイブも捉えられずですので、やはり衰え自体もそれなりにはあったのかなと感じますし、流れがしっかり噛み合わないと厳しかったとは感じます。

 7着カフジテイクはうーん、やっぱり半端にポジション取らない方がいいんじゃないかなぁと改めて思わせますね。
 コーナーで動けない馬なのは確かですが、それにしても段階的に加速していく流れの中で味がなかったですし、自身の競馬としては実は去年と上がりや時計面で同じくらい走っていると言えばそうなんですけれど、本当に噛み合った時は切れ味の質の差が圧倒的なはずですからね。
 前走を見てもそのあたり旬が過ぎた印象は感じますし、流れに合わせるルメールJよりは、メリハリをつけて動かすミルコJで見てみたいかなとは思います。

 11着サウンドトゥルーは、馬群を捌く捌かない以前にこのペースで差し込むのはこの馬には無理ですね。
 基本的にどんなペースであれ、どこまでも12秒をちょっと切るくらいの脚を持続できるのが最大の武器で、切れ味の質自体はこのメンバーに入っても下の方にはなるので、これは追い込み馬の宿命ですし、今日に関してはどうしようもなかったと思います。
posted by clover at 04:35| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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