2017年11月01日

2017 チャンピオンズカップ プレビュー

**★はじめに**

 いよいよ来週からは暦も師走となり、冬の趣きが強くなる中で行われる、中央ダートチャンピオン決定戦のチャンピオンズカップ、果たして今年も多彩な路線からメンバーが集い、上位拮抗の中で面白いレースになりそうです。
 中京に移行してからはまだ4年目と歴史も浅く、傾向なども微妙に掴みどころがない感じではありますが、それだけに色々細かい部分までしっかり考えていきたいところです。


**★レース傾向分析**

 まだ過去3年分しか当レースのデータはありませんので、その全てのラップを掲載しておきます。

 ・2014年  37,5-37,0-36,5=1,51,0
 ・2015年  35,5-37.0-37,9=1,50,4
 ・2016年  36,3-36,1-37,7=1,50,1

 これだけ見ると傾向としてはバラバラで中々傾向そのものを掴み辛くはありますね。
 簡潔に見るなら、序盤と中盤の合算でハイバランスになると差し追い込み決着、そうでなければ前目の決着になりやすいコース、と言えるでしょう。

 開催初年度はクリノスターオー&ムーアJの逃げでかなりのスローになり、前目につけたタルマエが坂加速性能を遺憾なく発揮して押し切りました。
 2年目は本命のコパノリッキーに外枠の外国馬&クリノスターオー・ボウマンJが執拗に絡んでいって序盤からハイペースになり、中団内目をロスなく進んだサンビスタの戴冠。
 そして去年は、ノースヒルズのチームオーダー的に向こう正面からブライトラインが仕掛けてロンスパとなり、本命のアウォーディーもそれに乗じて差し込むものの、より嵌ったサウンドトゥルーに漁夫の利を浚われるという結果でした。

 コース傾向的にも、仕掛けどころは残り1000mから下り坂に入る部分か、或いは直線坂地点と比較的二極化しやすいと思えます。
 それはこの中京ダートコースが、コーナー部分の距離が短く、かつ4角出口がかなり急角度で勢いをつけにくいレイアウトになっているからで、基本的に道中から外々ぶん回しの差し、というのはそう簡単に決まりません。
 去年も一昨年も差し決着ではありますが、より上位に来たのはコーナーをインで我慢して、直線でスムーズに外に出せた馬となりますし、そういう意味では例外的に出し切りたい差し馬でも頭までを考えるなら内枠の方がベターなコース、と言えそうです。

 逆に向こう正面でペースが上がり切らなかったり、或いは上がってもそこまでの序盤がかなりスローだったりすると、顕著に坂の上りでの加速力が問われる事になります。
 そうなるとやはり前目につけつつ瞬時に加速できる性能が高い馬、そこそこの位置から前を向いて直線に入っていける馬が優位に立ちますし、レースの流れ次第でガラッと様相が変わりやすいレースなのは間違いないと思います。

 加えて序盤のポジション争いの読みを難解にしているのが、この中京1800m独特の坂地点からのスタート、という点です。
 今回はどうやら回避したようですが、インカンテーションみたいにはっきりこの坂スタートでの加速が苦手な馬、というのは一定数いて、コパノリッキーもややそこが怪しく、このレース皆勤賞になる中で大きく出遅れるか、頑張って出していっても絡まれて潰されるかで結果を出せていないのがわかりやすい実例でしょう。
 なのである程度コース実績と、その時のポジショニングは参考に出来ますし、このコースがはじめて、なんて馬は少し割り引いて考えてもいいのではないかとは思います。


**★有力馬分析**

・サウンドトゥルー

 このレースに直結しやすいJBCクラシックで完勝し、満を持してこのレース連覇を狙う古豪ですが、果たして今年はどうなるでしょうか?

 まず言えることは、仮にレース展開が初年度のようにスロー気味にコントロールされてしまえばまず一銭もいらない馬だという部分です。
 あくまでもハイペースの差し馬であり、スローの団子を切れ味の差でどうこうできるタイプではありません。
 去年も一昨年もこのレースは差し込んできていますが、ラスト1Fでガクンとラップが落ちた所での急襲であり、前走にしても唯一ラップ的に緩んだ地点で外から押し上げる動きが噛み合った部分は大きいので、地力そのものが上がっているわけではない、とは考えます。

 ただ今年もハイペース&早仕掛け志向のテイエムジンソクがいますし、流れが向く可能性は充分にあります。
 もっともGⅠの舞台であまり活躍していない古川Jが、馬にとって初コースとなるここでどこまで自分の競馬に徹することが出来るか、というのは、マイルCSのアポジー武士沢Jのケースなどを踏まえても決めつけるのは怖い、というのはありますし、この馬自身は自分でレースを作れる馬ではないので、純粋に流れると読めば重い印まで、スロー気味になりそうと思えば控えめな評価にと割り切りやすいところはあります。

 後は、どうせ下げる馬ではあるにせよ内目の枠に越したことはないと思います。
 やっぱりいくらこの馬でもコーナー外々では苦しいと思いますし、コース適性自体は高いので去年ほど完璧でなくとも、スムーズに進路確保できるなら上位争いには加わってくるでしょう。

・コパノリッキー

 ホッコータルマエと並んで一時代を築き、前々走の南部杯でも、前走のJBCスプリントでもまだその能力そのものに衰えのない事を示す好走を続けてきました。

 ただしこの馬は本当にこのレースとは相性が悪く、3年それぞれに別の敗因はあれど、裏を返せばそれだけ弱点が露呈しやすいコース、とも言えます。
 また今年は臨戦過程も褒められたものではなく、前走1200m戦で早い段階から動いていく競馬をしたことで、一気に距離が伸びるここでのコントロールは至難になったと感じます。

 今のこの馬ならば、序盤はむしろ無理をせずゆったり入って、向こう正面からのロンスパを自分で仕掛けていくくらいの方が好走のチャンスは大きいと思いますが、そういう競馬に持ち込むためには外目の枠で最低限出遅れず、フラットに入って中団外目くらいを取れないと、とはなるので、噛み合う条件が相当に狭い、とは言えるでしょう。
 能力全開ならこのメンバーでも当然トップクラスなだけに難しさはありますが、こちらは内枠ならバッサリ嫌ってもいいかなと思っています。外過ぎない外枠を引いた時と、他の先行馬の並び次第で一考、くらいのイメージでいます。

・ケイティブレイブ

 去年から地道なドサ回り、タフなローテーションでも堅実に結果を残してきたこの馬が、古馬となってしっかり一回り逞しさを身につけ、堂々と主役候補としてこのチャンピオンズカップに参戦します。

 まずこの馬は、中京コースこそ条件馬時代に経験がありますが1400mで、坂スタート自体は未知数なのでそこをクリアできるかはポイントになります。
 ダートスタート自体はまずまず上手ですので、このメンバー相手ならある程度スムーズに先行できると思いますし、馬のタイプ的にも厳しい流れで良さが出るので、ジンソクと共に緩みのないペースを形成していく事がチャンスを広げる戦略にはなってくるとは思います。
 ただ一方で、意外と要所の反応も悪くない馬ですので、ギリギリ平均くらいのコントロールから出し抜きを狙うのも、後半要素では甘い対ジンソクで考えればアリで、しっかりポジションを取ってしまいさえすれば、このコースの特色である二極的な展開、どちらでも一定対応できるスポットの広い馬、と考えられるでしょう。

 今のところは本命候補の一頭ですし、勝ち切れるかどうかはともかく、常にしっかり自分の力は出してくれる頑張り屋な馬ですので、ここも強気のレースメイクでしぶとい走りを引き出して欲しいですね。

・アウォーディー

 去年は外々を回しつつ最後までしぶとく粘りこむ強い競馬での2着でしたが、今年はやや下降線の成績になってしまっています。
 ドバイ明けから調子が崩れている感はありますし、前走もラップ推移的に負け方としては悪くはないのですが、ここで去年ほどの競馬が出来るかはちょっと疑ってかかりたいところです。

 コース適性自体はまず去年を見る限り不安視しなくてもいいのですが、この距離ですとやや追走に忙しくなるところもあり、去年ですら勝負所で盛んに促されてようやく、という反応でしたので、よりズブくなった感のある今のこの馬だと、自分から動いて勝ちに行く競馬が出来るか?とは思います。
 立場的に中々人気も落ちないですし立ち回りに難しさはありますが、敢えて道中内目で我慢していくなど、少しギャンブル的な戦略を持ち込まないと頭まで、というのは厳しいのかな、とは見ています。それでも実力的に最低でも連下に置くとは思いますが。

・テイエムジンソク

 前哨戦のみやこSは2秒のハイペースを楽々追走し、コーナーで一気に動いて後続を出し抜く完勝でした。
 あれこそこの馬のべストに近いパフォーマンスなのは間違いなく、ハイペース耐性が高い事と、そこからコーナーでスッと楽に動ける点が最大の武器ですので、この中京コースでもそれを踏襲できるなら充分に楽しみはあります。

 ただやはり鞍上の、武士沢JほどではないにせよGⅠ経験値の乏しさは気になりますし、やや特殊なこのコースでこの馬のペースを完璧に作れるか、というのは悩ましいところです。
 また典型的な逃げ馬自体も見当たらず、この馬かケイティが押し出される可能性も視野に入れれば、やはり一筋縄ではいかないとは思いますね。

 あと本格化前の条件戦時代でも、基本的に京都>阪神だったように、坂のあるコースが得意、とは言えないと思います。
 特に坂地点がかなり手前にある中京コースですと、そこで勢いが鈍ると当然最後は差し馬の餌食になりやすい、と言えるので、重い印を打ち切るのはちょっと勇気が要るかな、と感じています。

・ロンドンタウン

 こちらも今年に入って本格化、夏のエルムSでは高速馬場の平均ペースでジンソクを下し、その余勢を駆っての韓国遠征でも、中盤からのロングスパートでクリソライトを振り切る強い競馬を見せてくれました。

 今回はそれ以来のレース、となるのでまず状態面で万全か、と言う部分での疑問符はつきますが、現時点の馬の適性としては悪くない条件だと思います。
 中京コースは1月の東海Sで経験しており、あの時は外枠&本格化前であまりいいポジションが取れずに雪崩れ込むだけでしたが、今ならもう少しポジショニングは期待出来る気がします。

 そしてこの馬も一定のハイペースなら対応しますし、ロンスパにも適性があります。
 コーナーでの加速はあまり得意ではないですが、コースレイアウト的にそうなりにくく、直線向いてからの加速自体はそこまで不得手ではないと見ているので、展開がどちらに転んでも対処できるはずです。
 こちらは馬群の中からでも競馬が出来ますので、ある程度内目の枠が引ければいいと思いますし、並び次第で重い印も考えている1頭になります。

・ゴールドドリーム

 今年のフェブラリーステークスの覇者ですが、こちらもドバイ遠征からやや歯車の狂ったレースが続いています。

 ただ前走に関しては、致命的な出遅れの時点でどうにもならなかったのはありますし、それでも上がりはコパノを上回る数字で2着とは僅差に詰め寄ったあたり、能力的には充分通用する素地を秘めていると考えられます。
 距離は軽いダートのマイルがベスト、というのは確かで、やや重い中京のダート1800mがプラスになるとは言えませんが、去年に関しては向こう正面からのロンスパになる中、同じタイミングで外から押し上げていくミルコJの超強気なタクトが結果的に裏目に出た部分も大きいです。

 今年は待ちのムーアJですので、内枠を引けてある程度の位置でじっと我慢、という形で流れに乗っていけるなら、ハイペース適正も高いですし怖さは出てくると思います。
 外枠ですとどうしても距離の不安が余計に露呈する可能性は否めないですし、内枠なら拾ってはおきたい、というイメージでしょうか。

・グレンツェント

 今年の東海Sの覇者であり、こちらも近走はやや壁にぶつかった感じではありますがコース適性は信頼が置けます。
 前走もインベタから直線スムーズに進路を取れてあの差ですので、少なくともケイティ相手にはどんな展開でもやや分が悪いか、とは思いますが、このコースなら立ち回りひとつでそれを払拭できるチャンスはあるとは言えます。

 東海Sは外々回しての差し切りと強い競馬でしたが顕著にスローでもありましたし、ある程度流れる想定ならばこちらも内枠が好走の為には必須かな、と感じます。
 先週有言実行でその手腕を満天下に見せつけたボウマンJですし、内からいい位置を確保し切って、というシュヴァルグラン同様の競馬が出来るようなら怖いですね。枠次第でチャンスはある1頭だと思います。

・アポロケンタッキー

 去年もアウォーディーの後ろから外々を通して5着と健闘し、そこからGⅠタイトル含めて実績を積み重ねてきたこの馬も、前走の大敗からの巻き返しを狙います。
 前走はスタートミスしたとはいえ、タイトな流れになって全く良さが出ず、基本的には序盤からゆったり、或いは中盤で息の入る流れでないとやや苦しい、というのはあると思います。
 去年は序盤の位置取りが後ろの方だったのが結果的にプラスだったのだろうと思いますし、余力を持って勝負所に入れれば後半要素はいいものを持っています。

 とはいえ基本的には今年も流れそうではありますし、意外と器用さはありますが追走面にせよポジショニングにせよ、このメンバーに入って威張れるものではないので難しさはあります。
 むしろ最序盤、ある程度他の馬が様子見している時に奇襲的に出していって前を取り、仕掛けを待つ立場に回ってしまうくらいの思い切りが勝ち切る為には必要かもですし、相手関係も骨っぽいここでは印が回らない可能性の方が高そうです。

・カフジテイク

 強烈な末脚を武器に台頭し、去年の当レースも4着とそこそこ適性も見せているこの馬も、去年と同じローテーションで望んできます。
 今年は武蔵野Sの内容があまり良くなく、無論騎乗面での微妙な部分がなければ3着まではあったとは思うのですが、こちらもドバイ遠征以降、最大の武器であったはずの瞬間的な切れ味が鳴りを潜めているのは気掛かりです。

 ルメールJに合うタイプか、となるとそこも微妙なラインですし、やはり器用さはなく直線ズドンの競馬しか出来ない、内を立ち回ると顕著に削がれるあたりを踏まえても、こういうダート追い込み馬の旬は短い、という所を鑑みても、積極的に狙うだけの材料は乏しいかな、とは思っています。

・ノンコノユメ

 前走は鞍上の好リードもあって少し復活の兆しを見せてきましたが、それでも全盛期の、一度伸び始めたらどこまでも止まらないような迫力は影を潜めていました。
 そしてこのコース自体も相性は良くなく、一昨年こそ2着ながら色んなアシストでスムーズに最短距離を通せてのものですし、去年の様にコーナーから動いていこうとしてもどうしてもついていけない馬なので、末脚自体にも翳りのある現状では圏内まで差し込んでくるのは難儀でしょう。

 好きな馬ではあるのですが、現状を見ている限りカフジテイク以上に狙える要素はないかな、と思っています。

・キングズガード

 今のところ穴ならこの馬かな、と思っています。
 前走は久々の1800mでやや後ろに構えすぎたきらいはあり、それでも最後は出色の脚で突っ込んできていて、決して距離自体がこなせないわけではないというのを示しました。

 そしてこの馬は差し馬としては器用な方で、馬群を割る競馬でもさほど削がれないのが魅力ですし、前が空けばすぐに動ける機動性もあります。
 他の差し馬タイプと比較すれば、末脚の絶対的な量という意味では少し見劣るのは確かですが、今年のプロキオンSでもそうであったように、他の差し馬が出し切れない条件の中で、立ち回りで逆転できるセンスを備えているので、このコースなら、とは感じます。

 位置取りとしては前走ほど下げ切るのではなく、内目の枠から中団やや後ろのイン、位が取れればべストだと思いますし、勝負所で外に出す馬も出てくる中で、詰まったら仕方ない、くらいに腹を括ってインをタイトに回ってくれれば、ワンチャンスはある馬ではないかと見ています。


**★思い出のチャンピオンズカップ**

 といっても、この名称になってからはまだ3回だけですし、思い出として振り返るには直近すぎるので、JCダート時代も含めてチョイスさせていただきます。
 それでも歴史自体は浅いのですが、クロフネのぶっちぎりレコードや、カネヒキリの復活Vなど印象的なレースも多く、ただそのあたりを差し置いてもインパクトがあったのが[ニホンピロアワーズ](https://www.youtube.com/watch?v=xtc94Hn41nw)が圧勝したレースですね。

 この馬も全盛期は短かったものの、とにかくあの頃は手が付けられない強さと言うか、ハイペースを楽々追走してそこからしっかり加速、他の追随を許さないチャンピオンらしいレースぶりが目立っていて、このレースがその白眉とも言える内容でした。
 シャドーロールがはっかり映える頭の高い走法なのですが、本当に重戦車と呼ぶのが相応しい力感で、あっという間にワンダーアキュートやタルマエを千切った豪脚は忘れられず、数多の名馬がいた中でも、こと阪神1800mのJCダートでは最強のパフォーマンスではなかったかと思っています。
posted by clover at 04:18| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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