2017年10月18日

2017 10月第4週海外GⅠ レース回顧

**★コックスプレート [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=wyrOhQN0-g4)**

 破格――――昨日の感想に被せる形で書き出すなら、やはりこちらも驚嘆をイメージさせる形容こそが相応しい、ウィンクス22連勝達成となったコックスプレート。
 これで当レースにおいて、史上2頭目の3連覇を達成し、国内の最多獲得賞金ホースに躍り出ると共に、かのブラックキャビアがマークしたGⅠ15勝の金字塔にも肩を並べる、こちらも歴史的偉業がいくつも重なった上での、チャンピオンの矜持を遺憾なく発揮した素晴らしい勝利となりました。

 レースは見られる映像にしっかりラップが推測できるものがないのであくまで印象論にはなりますが、少頭数ながらも前は比較的しっかりペースを作っていって、そこそこハイペースで展開していたと思います。
 その中でウィンクスは道中ずっと外目のやや後方でじっくり構え、なが~い3~4コーナーの入り口辺りからじわじわと進出していって、特に4コーナー付近では4頭雁行状態の一番外を一気に押し上げていく形になります。
 さしものウィンクスであっても、勝ち時計が2,02,94というレコードタイムで、それなりに時計の出る条件下でコーナー外々ぶん回しは楽ではなかったはずで、それをシメシメ、とばかりに見ていたのが、最後2着に差し込んで、一瞬とはいえ肝を冷やさせたヒュミドールでした。

 この馬は春の中~長距離路線で、ジャメカと勝ち負けを繰り返していた馬ではあり、本質的に距離が伸びてこそのタイプではあります。
 オーストラリアでは、例え3200mのメルボルンカップが大目標、という馬でさえ、基本前哨戦は1400~1600mあたりを使い、徐々に距離を伸ばしていく事が多い、というより、そもそも前哨戦に2000m級の距離のレースが少ない、路線が整備されていないという事情があるように感じます。
 その中でこの馬も、この春シーズンは1400mのレースを叩き台に2回使ったようですが、そこではまるでついていけずに結果を出せず、そのせいでここは人気をかなり落としていました。

 しかし2000mになれば別であり、かつ敵はウィンクス一頭、と絞り込んでのこの馬のレースは、中々にクレバーな戦略を感じさせるものでした。
 スタートから無理せず後方に位置し、けれどほぼインベタで距離ロスを最低限に抑えつつ、斜め前にウィンクスを見てしっかりマークする形で進めていきます。
 ウィンクスが3コーナー過ぎから外を回して進出していくのに合わせて、この馬もポジションを上げてはいくもののまだ極力インを通し、馬群を捌きながら虎視眈々と追走、そしてコーナー出口付近でようやくウィンクスの真後ろに誘導してスムーズに進路確保という完璧な立ち回りを見せてきました。

 ここに至るまでの経緯で明らかにロスが多かったのはウィンクスの方で、かつヒュミドールもこの路線でGⅠをしっかり勝ち切っている実力馬ですので、ここでは非常に珍しい、後ろから差し脚で追い詰められるウィンクス、という構図が完成します。
 直線向いて残り100mまでの脚色は明らかにヒュミドールが勝っており、場内から悲鳴が聞こえてくるようでしたが、しかしここからがウィンクスの女王たる由縁、馬体の影が並びかかったあたりからもう一度しっかり反応し、それでもじわっとは詰め寄られるものの最後はほぼ同じ脚色にまで持ち込んでいて、着差はクビと僅かながら、昨日のキタサン同様に、この後どこまで走っても詰まらない、そんなクビ差にも見えました。

 改めて、何度繰り返しても飽き足りませんがウィンクス、凄まじい牝馬です。
 何気にこの春シーズンはここが5走目と、これだけの馬にしては結構過酷な使われ方をしています。
 今回相手も強かった&かなり嵌った競馬をしてきたとはいえ、見た目に結構苦戦したのは、連戦の疲れもなかったわけではないとは思うのですが、それでもこうしてきたのには、おそらく陣営がはっきり、ブラックキャビアの金字塔、25連勝の更新を視野に入れてきたからなのでは、と感じています。

 ここまで毎シーズン4走、というのが定番となっていましたし、けれど今春にひとつ多く使った事で、来年の秋シーズンで例年通りに4戦走り、全て青写真通りに勝ち切れれば、その時点で26連勝となります。
 まずそこで実質的な数字面での記録をクリアし、満を持してアスコット遠征を敢行して、そこで勝てれば、その連勝記録の中にアスコット開催のダイヤモンドジュビリーSが含まれる、ブラックキャビアの偉大過ぎる足跡を名実ともに凌駕する事になる――――それはなんとも夢のあるプランに思えます。
 
 かつ、もしもそこでプリンスオブウェールズSを選択し、イネイブルと激突するようなことがあれば、これは本当に歴史的一戦になるわけで、競馬ファンとしてはどうしても見たい垂涎のカードになること請け合いでしょう。
 勿論気が早すぎる話ではありますが、本来これだけのシーズンに跨って好調期を維持するのは不可能に近い中で、そんな常識を悉くその凄まじい走りで覆してきたこの馬なら、とも思いますし、まずはしっかり休養して(勿論JCなんて来るわけもなかったですね。。。)、次のシーズンもその素晴らしい走りを陰らせることなく披露して欲しいと思います。

 ヒュミドールも文字通り相手が悪すぎただけで強い馬ですし、或いはメルボルンカップに使ってくるかもしれないので、来年のクイーンエリザベスSあたりではウィンクスの最大のライバルとして名を馳せている、なんてことになっていれば面白いですね。


**★レーシングポストトロフィー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=0Afko_HNX8s)**

 こちらは過去にハイシャパラル、オーソライズド、セントニコラスアビー、キャメロットなど錚々たる名馬を輩出しているイギリスの2歳GⅠ、芝のマイル戦になります。
 このレースを勝ったのはオブライエン厩舎のサクソンウォリアー、この勝利できっちり、自身のホームである欧州で年間GⅠ26勝の金字塔を打ち立て、そしてそれを成し遂げたのがディープインパクト産駒、という点でも日本の競馬ファンには何とも言えない気分にさせられるところです。

 レース自体はペースメーカーの2頭が飛ばしていって、サクソンウォリアーは第2グループの先頭近くで機を窺います。
 前がバテてくる残り600mあたりからじわっと進出して先頭に立つサクソンウォリアーですが、後方で脚をじっくりと溜めていた2着馬のロアリングライオンが満を持して追い出すと、素晴らしい切れ味を発揮して一瞬でサクソンウォリアーを交わして先頭に立ちます。

 その2着馬がどんどん内側に切れ込んでくることで、やや追いづらいところもあったサクソンウォリアーですが、鞍上ライアン・ムーアJの叱咤に応え、一度は半馬身くらい抜け出されたところからジリジリと盛り返していきます。
 最後はやや勢いの衰えた2着馬を差し返し、勝ち時計も1,40,12とかなり重い馬場の中で圧巻の底力と勝負根性を見せつける形での勝利を収めたのでした。

 これでサクソンウォリアーは3戦3勝と完璧な成績で2歳シーズンを終え、現時点で英ダービーの一番人気に推されているようです。
 ディープの仔なので本質的に欧州の2400mは長いのではないか、という懸念も当然出てきますが、この馬は重馬場でも強く、かつ文字通り欧州馬らしいしぶとさを備えているので、この勢いのままクラシックシーズンを席巻していく期待も充分に持てますね。
 当然血統的な特性はあっても、その後の生育環境次第では全く違う質の馬が出来る、という可能性も当然見ていきたいところですし、来年のクラシックは牝馬にもセプテンバーがいますので、オブライエン厩舎のディープ産駒の動向から目が離せませんね。
posted by clover at 04:07| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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