2017年10月01日

2017 秋華賞 プレビュー

**★はじめに**

 今週はいよいよ、牝馬三冠の最終戦となる秋華賞ですね。
 開幕直後の高速淀の馬場に、トリッキーな内回り2000mでの一戦は、毎年の事ながら一筋縄ではいきません。
 ジェンティルドンナも大苦戦し、ブエナビスタでも取りこぼしたように、本格派の底力よりも軽快なスピードに機動力などの要素が強く問われやすいレースでもあります。
 とはいえ、結果的に見ても第一回からここまで、かなりの名牝が勝ち馬に名を連ねており、基本的に半端な馬では善戦は出来ても勝ち負けにまでは絡めない不思議な舞台で、果たして今年はどんなドラマが生まれるのか注目ですね。


**★レース傾向分析**

 基本的に小回りで内枠・先行優位のところはあり、かつ絶好の高速馬場故に絶対的なスピード能力、そしてコーナーでの横のポジショニングも大切になるレースです。
 この時期は概ね秋晴れに恵まれるからか、過去10年で馬場が渋ったのはアヴェンチュラ戦の1回だけ、それも稍重程度で時計はバッチリ出ています。
 もっと遡ってみても、初回から21レースの内、20回が良馬場で行われている稀有なレースで、今年は珍しく今の時点では雨予報が出ていますが、この時期の馬場なら多少の雨では悪化し切らないパターンも多く、その辺の見極めも重要になってくるでしょう。

 過去10年のレースラップの平均は、34,8(11,6)-48,7(12,17)-35,2(11,73)=1,58,7(11,87)という推移です。
 まだ世代戦なので、距離不安がある短距離志向の馬も出てきますし、多頭数で1コーナーまでの距離がそこまで長くないこともあって、テンの入りはそこそこ上がりやすい傾向が出ていますね。
 特に2F目は、ほぼ全てのレースで10秒台のラップを踏んでいて、唯一の例外のジェンティルドンナの年でも11,0と、いいポジションを取るにはそれなり以上のダッシュ力が問われる事が伺えます。

 中盤も比較的淡々と流れる傾向が強く、だいたい上り坂の手前で一度息が入って、下りからの4F勝負、というパターンになりやすいです。
 昨日の京都大賞典でもそうですが、現実的に流れてからの4F戦ですとそこまで極端な切れ味が問われる事は少ないようです。
 上位に来ている馬も大抵は先行から中団まで、という感じで、後ろから一気に押し上げていくのは現実的ではないイメージですし、ポジションを取りにくい外枠の方が不利なのは否めないでしょうね。

 ただいいポジションを取りに行った場合は相当に質の高い追走力は問われますし、その上でコーナーでの機動力、直線向いての持続力は均質に問われ、下り坂加速の適性も含めて難しさのあるコースなのは間違いないでしょう。
 馬場次第ではありますが、基本的には先行力と追走力が高く、その上で後半の要素もしっかり持っている馬を高く評価したいですし、差し・追い込み馬は少し評価を下げたい、という事になるかと思います。


**★有力馬分析**

・アエロリット

 春にNHKマイルCを完勝、夏のクイーンSも軽斤量のサポートがあったとはいえ、自ら速い流れを刻んで楽々押し切る非常に強い競馬を見せてきました。
 クイーンSでは馬体面の成長も見られ、ますますパワーアップしているようですし、脚質的にも高速京都の2000mなら距離不安はほぼないと見ています。先行馬ですが、常にラスト1Fの粘り腰が素晴らしい馬でもありますしね。

 基本的にマイルの流れで楽に前に取りつく先行力がありますので、ここもいいポジションは取れるはずです。
 ただたまに出遅れをやらかすのと、今回も関西圏への輸送、というのはあり、合わせて考えるとリカバーの効きやすい枠、外過ぎない青~緑帽くらいがベストかなと思います。
 無論自分で逃げてもいいのですが、理想はカワキタエンカを行かせてその番手でペースをしっかりコントロールしていく形になるでしょうか。

 レースメイクに関しては百戦錬磨の横山Jですから不安はほぼないですし、とにかく追走力が高いので、前走のように前で速い流れを刻んでポジション差を作り、坂の下りでじわっと動きつつも本仕掛けは直線まで待つ、というレースプランが実行出来れば、追走面で怪しい馬が多いここではかなり優位性が作れると見ています。
 枠が内過ぎたり外過ぎたり、後は雨が降って渋ったりと、そのあたりの条件次第では少し悩むかもしれませんが、ある程度時計が出る馬場であれば、現状私の中では不動の本命と言っていいですね。

・ラビットラン

 豪華メンバーが揃ったローズSで、芝2戦目の同馬が素晴らしい切れ味を発揮して実績馬をなで斬り、一躍秋の主役に躍り出た感があります。
 ただタイプ的には間違いなく前半ゆったり入って、後半の鋭さを早めに動いて出し切る形で使いたいと思うので、京都の2000mが合うかどうかはかなり微妙です。

 でも前走も外々を回しながら、最速地点のスピード負けもなく、そして直線の伸び始めもそれなりに早かったと感じるので、一定の機動力はありそうですし、立ち回りひとつでチャンスは出てくるでしょう。
 こちらも馬のタイプ的にインベタでどうこう、でもないので、外過ぎない外枠から中団くらいを意識して入ってこられれば、と思いますし、仮にスロー気味になってより4F戦、坂の下りからのロングスパート度合いが強くなればより面白いと感じています。
 枠次第では重い印も、そうでなくとも連下では押さえておきたいイメージですね。

・ディアドラ

 春シーズンも強行日程の中でへこたれることなく、しっかり結果を残してきていました。
 夏の北海道の条件戦で始動して強敵のラヴィエベールを撃破し、前走の紫苑Sでも実質高速馬場で超スローに近い展開から、ラスト全くラップが落ちない流れを問答無用で外から差し込んでおり、ここに来ての地力強化は顕著です。

 この馬も序盤の位置取りが鍵になってくるでしょう。
 そこまでテンに速い馬ではないので、現実的になんとか中団くらいは取りたいですし、そうなれば好走スポットの幅の広さはこのレースでは大きな武器になってきます。
 追走面もマイルのハイペースに対応できる馬なので不安は少ないですし、コーナーからの機動力、そこからの持続力もそれぞれ一流レベルのものがり、この総合力で上手く立ち回ってこられればチャンスは出てくるでしょう。

 基本的にインベタ決め打ちをしてくる岩田Jのままの方が、勝ち切る、という観点ではここはチャンスが大きかった気もしますが、当然ルメールJを確保してマイナスになることもないでしょう。
 前2走で馬体重の大きな増減があったので、中間の調整過程の順調度は気にした方が良さそうですが、こちらも基本的には軽視は出来ない、枠が内目ならより高い評価をしていきたいですね。馬場不問なのも頼もしいところです。

・リスグラシュー

 どこまで行っても勝ち切れない善戦ホースになってしまっていますし、今回の条件も器用さに欠けるこの馬にとっては難しいところではあります。
 ラストの持続力は確かなものがありますが、要所での反応が鈍く、コーナーでもスッと動けるイメージがあまりないので、純粋なコース適性は低いと見ていいでしょう。

 このレースで武器になるのは追走力の高さで、ペースが流れても末脚を引き出せる点は、まず大崩れはしないだろうという信頼に繋がりますし、馬場が悪化しても大丈夫なのはこちらも心強いところです。
 なのでこの馬に関しては序盤、桜花賞のように意識的に出していって、出来る限り前目のポジションを取ってしまうことが肝要だと思いますし、なるべく内目の枠が欲しいと感じます。
 どうせコーナーでは動けないので、3列目あたりのインベタで我慢して直線の差し脚に賭ける、という形が一番勝機があると思いますし、昨日も素晴らしいハンドリングを見せた武Jの京都ならではの手腕にも期待はしたいところです。

 総合的に見て、少し渋って時計がかかったほうがチャンスは大きいと思いますし、その上で枠の利も得られれば評価を引き上げたいですが、良馬場・外枠という条件なら無印まで視野に入ってくる、状況次第で振れ幅の大きい馬ではありますね。

・ファンディーナ

 前走は休み明けで馬体にもかなり余裕があったとはいえ、ラストの止まり方は皐月賞同様、少しだらしないものを感じさせました。
 総合的に見てスロー専用の気配はあり、かつ高速馬場への適性もイマイチで、ペースが流れてしまうと、なまじポジショニングは上手なだけに追いかけてしまうけど、それで最後のいい脚を削がれてしまう傾向が顕著です。

 勿論今回状態は上げてくるとは思いますが、アエロリットとカワキタエンカがいる中ではまず極端なスローは望めず、まともに流れに乗っていったらここも苦しい競馬になる可能性は高いと踏んでいます。
 いずれ後半型の競馬にシフトして欲しい、一回溜めに溜めてどこまで爆発できるか見たい馬ではありますが、京都内回りの舞台でやることではないですし、同じ京都でもエリ女の方がチャンスは大きいかなぁと思っています。

 この馬も渋った馬場に関してはこなしてくるはずですし、他の馬との比較で相対的には雨が欲しいかなと思います。
 諸々の条件が噛み合えば、とは思いますが、基本的にはここでは重く扱うつもりはない、ですかね。

・モズカッチャン

 この馬も春シーズンはかなり噛み合った部分が多く、そしてローズSでは正攻法で速い流れについていってイマイチでした。
 あの感じから追走面での幅はあまり広くないのかな、と思わせましたし、ここもバランスの取り方が大切になってくると思います。
 
 叩き良化型のイメージはありますし、意外と印象よりも器用さはあると思っているので、内枠で自然に中団くらいを取れて、という競馬ならチャンスがなくはない、と思いますが、高速馬場ですと時計面でスピード負けする公算は強くなりますね。
 結局この馬もまた少し渋ったほうが、という評価になりますし、個人的に良馬場ならかなり予想はシンプルになるのですけど、雨が降ると混沌としてくるなぁと感じています。

・カワキタエンカ

 ローズSは絶妙なバランスでの逃げ粘りで、しっかり権利を確保してきました。
 桜花賞でもハイペースで逃げて大きく崩れてはいませんが、この馬は平均気味に刻んで仕掛けを待つ前走の様な流れがベストでしょう。

 今回は、前走でベストパートナーぶりを感じさせた横山Jが、同タイプの強敵アエロリットに乗っている、という事で、流石にそれ以上の競馬が出来るかというと心許ないですが、前半2頭で示し合わせてペースを上げ、中盤で息を入れてから直線で再スパート、という流れを息を合わせて作っていければ、この馬の粘り込みも有り得ると感じています。

 アエロリットほど無茶は出来ないにしても、追走面で有力馬の脚を削げれば相対的に序列は上がってくるタイプと思いますし、その意味では時計勝負の良馬場の方がチャンスはありそうです。
 とにかく前半しっかりペースを作ることと、息を入れるタイミングを間違わない事、これが出来れば圏内のチャンスは充分に有る馬と思っています。

・レーヌミノル

 ローズSでは中途半端なポジション取りで外々になり、結果を残せませんでした。
 この馬は春から言及しているように、とにかく前半のペースが鍵になりますし、その流れの中でなるべく前目を取りたい馬です。
 
 元々小倉2歳の激流でも楽々こなすように、追走面ではアエロリットをも凌いでトップクラスの素材だと思うのですが、反面後半要素の甘さ、特に持続力の足りなささは顕著です。
 クイーンCのように逃げても、中盤緩ませてしまえば後半要素で明確に見劣りしますし、ここでチャンスを見出すとするなら積極策しかないと考えます。

 幸いレース傾向的には流れやすい舞台ですし、どうせ前走で正攻法では足りないのが見えているのですから、腹を括って逃げてもいい、くらいの気持ちで先行集団に入っていって欲しいですね。
 ダイワメジャーの仔ですし、流石に2000mまで伸びてどうか、とは思いますが、距離を怖がってを溜めていてはよりチャンスが遠のくのみ、桜花賞馬の看板を汚さないためにも、ここは強気のレースで見せ場を作ってくれないと、と思います。
 この辺りは週中の陣営コメントにも注目したいですし、馬場が渋ったら更に面白いので、流石に人気も落ちる中での穴候補として見ておきたいですね。

・リカビトス

 3戦3勝の東の秘密兵器、リカビトスもなんとか最後の晴れ舞台の出走に漕ぎ着けてくるようです。
 未知の魅力、という点では当然かなりのものがありますが、ただ馬のタイプ的にはやはり秋華賞で狙える素材ではない、というのはあります。

 過去3戦も、全てのレースでラスト1Fの前の落ち込みに乗じてのしぶとい差し切り、という形で、その持続力の高さは本物と感じますが、反面ポジショニングや要所の機動力は拙いものがあります。
 なのでこちらも適度に内枠、そして要所からブレーキなく進出出来るスペースがないと苦しいですし、多頭数の競馬もほぼはじめて、という所で、常識的には苦しいかな、と思います。

 こちらも渋った上でロンスパの比重が強まれば面白いかもですが、ここまでの3勝も相手関係・斤量に恵まれた部分は大きいので、今年の世代レベルを踏まえればまだ足りないと考えておきたいですね。


**★思い出の秋華賞**

 このレースも創設時から全てを見続けてきているので趣深いですが、古いレースの中ですと[スイープトウショウ](https://www.youtube.com/watch?v=1dsLKvzDGw4)の勝ちっぷりが一番鮮烈に記憶に焼き付いていますね。
 全体が速い流れで進む中、後方からスムーズにエンジンを点火して、ヤマニンシュクルと共に一瞬で突き抜けた脚は素晴らしく、本当に嵌った時の破壊力は凄まじいものがありましたね。

 あとやや地味かもですけれど、[アヴェンチュラ](https://www.youtube.com/watch?v=MBfSrRpp0UU)戦も好きです。
 いかにも岩田Jらしい先行・インベタから、4コーナーで早めに動いて堂々直線入り口で先頭、そのまま押し切る非常に強い競馬でした。
 次のエリ女でもスノーフェアリー相手に善戦しましたし、足元が無事なら牡馬とも伍して戦える底力はあった馬だと今でも思っています。本当にこの血統は足元が弱いのが勿体無いですよね。

posted by clover at 04:18| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください