2017年09月14日

2017 スプリンターズS プレビュー

**★はじめに**

 いよいよ秋シーズンのGⅠ開幕戦、スプリンターズSとなりました。
 ジューヌエコールの回避は個人的に凄く残念ですが、それでも近年のスプリントGⅠ勝ち馬が3頭出揃い、伏兵陣も面白い素材が揃っていて、今年も大激戦になりそうな予感がします。

 プレビュー記事を書くのがすごく久々の感覚なので、そのあたりリハビリ補正しながらになりますが、先週・先々週とトライアルレースがあって、気分的にも盛り上がってきたところでの一戦ですので、頑張って書いていきたいところです。
 今週は凱旋門賞展望などもやりたいですし、勿論回顧も、更に交流重賞まであるのでてんやわんやになりそうですが、この忙しさもGⅠシーズンの醍醐味というところですね。


**★レース傾向分析**

 コースは中山1200m、このコースはスタート直後から下り坂が続き、非常にテンのスピードが乗りやすいコース形態になります。
 なので春の電撃スプリントGⅠである高松宮記念よりも更に顕著に前傾ラップになりやすく、過去10年の平均ラップは33,2-34,6=1,07,8となっています。
 例外的に一昨年のレースだけ平均ペースになりましたが、基本的には前がしっかり飛ばしていって、コーナーでも緩みは少なく、区間ごとの減速幅はそこまで大きくないとはいえ、一貫した減速戦になるのが基本パターン、と考えて良さそうです。

 ただ近年は、極端に前半から飛ばしていく典型的な逃げ馬が少なくなっているのもありますし、前後半のバランスが小さめに収束する傾向も見え隠れしています。
 エアレーション馬場になってからは、開幕週よりも踏み固められた最終週の方が時計が出やすい、という時もあるので、前日の馬場コンディションには注意を払いたいですね。

 昨日までの馬場なら大体1,07,5前後は出るかな、というイメージで今のところは考えていて、そうなるとレース平均よりも前傾の幅は小さめ、その分ラスト1Fも前がしっかり踏ん張るイメージになってきます。
 過去上位に食い込んだ馬の脚質としても、当たり前と言えばそうですがほとんどが逃げ・先行馬で、まずデュランダルのような強烈な追い込みで勝ち切るのは至難の業です。
 基本的にはスッと好位を取れて、かつ要所でしっかり反応できる、追走力と機動力を兼ね備えた馬が強いレースだと思っています。


**★有力馬所感**

・レッドファルクス

 去年の覇者であり、その後の香港では崩れたものの、春シーズンも高松宮記念3着、京王杯1着、安田記念3着と高いレベルで安定した走りを見せてきました。
 去年もこのレースをCBC賞からのぶっつけで制しており、ローテーションの面では不安はありません。高速馬場ですと後半の持続力を増してくるタイプですので、今のコンディションが維持されるならば、今年も有力候補の一頭にはなってくるでしょう。

 ただし、去年は33,4-34,2と前後半の幅こそ少ないものの、ほぼ一貫した消耗ラップの中で、ラスト1Fでかなりラップが落ちるところをズドンと差し切る内容でした。
 馬のタイプ的にも、一瞬の切れ足が鋭い、という事はなく、とにかく後半3~4F11秒前後の長くいい脚を維持する事に長けていますので、レースに入ってのスムーズさ、仕掛けの意識は大切になってきます。

 その点で常に早めに動いて出し切る積極性があるデムーロJとのコンビはベストマッチ、という所はありますし、極端ではない程度の外枠から中団やや後ろくらいで競馬が出来るなら、最後の差し脚は確実なものがあるので、レース傾向からはやや外れる脚質ですけれど軽視は出来ないと思います。
 動き出しが難しい内枠だったり、あと前後半のバランスがフラットに寄りやすい、1,07,0前後まで時計が出る高速馬場ですと、ちょっと狙いを下げたいですね。現状は1200mよりは1400mベストのイメージです。

・セイウンコウセイ

 函館スプリントSこそ、シュウジが作り出す超ハイペースに真っ向勝負を挑んで失速してしまったものの、今まで見せていなかった前傾ラップへの耐性面をある程度見せてきて、経験を積めたのはここに向けていい材料だったと思っています。
 基本的にスタートが上手く、二の足も速くて安定して先行列に取りつける優位性がありますし、ペースが流れてもしっかりコーナーから動いていける器用さ、坂も苦にしないパワーを兼ね備えていて、馬場が渋っても全く問題ないので、現状では軸馬としてもっとも信頼を置きやすい1頭になるのかな、と見ています。この馬を負かせるとしたら、という観点で序列を考えていくのが、正解への近道かなと感じますね。

 春シーズンはかなり使い詰めの中でもしっかり調子を上げて、高松宮記念は渋った馬場で33,8-34,9とやや前掛かりの展開を好位から楽に突き抜けました。
 勿論馬場適性もあったでしょうが、他の上位勢がインを通していたのに対し、こちらは外々から正攻法で押しきっていて、見た目以上にその価値は高いと思っています。

 函館スプリントSのイマイチっぷりからして、間隔を空けていきなり好走してくるタイプなのかは何とも言えませんが、血統的にアドマイヤムーンの仔なので高速決着もそこまで苦にしないでしょう。
 前走ほど前傾になり過ぎると厳しいかもしれませんが、1~1,5秒程度の常識的な前傾戦ならこなしてくると感じますし、内外極端な枠を引かない限りは重い印を打つ候補の1頭になりますね。

・ビックアーサー

 能力面ではトップクラスなのは間違いありませんが、今年はすこぶる順調さを欠いて、去年の香港以来の一戦という事で流石に全幅の信頼は置きにくいですね。

 適性としては前傾~平均までで高いパフォーマンスを発揮してくる馬で、自身スローバランスで入ると後半の甘さがあるので、基本的に流れてくれるこの舞台は合っている筈です。
 去年は前哨戦の逃げが上手く行き過ぎての本番での消極策が裏目に出てのどん詰まり、全く競馬になりませんでしたが、あの流れでスムーズに捌けていたなら当然上位に食い込んできたと思っています。

 今年はメンバー構成的に絶対に逃げる、という馬がおらず、序盤は探り探りになる可能性も高いので、個人的には休み明けでもあり、今年こそ半端な真似はせずに堂々ハイペースで逃げてどこまで粘れるか、というレースをしてみて欲しいなとは思っています。
 出足そのものはこのレベルに入ってくるとあまりいい方ではなく、去年もあっさりソルヴェイグに前を塞がれてしまったのがその後後手後手に回る大きな要因となりましたので、ある程度自由度のある外目の枠が欲しいですね。
 それで内から強気に引っ張る馬がいれば好位でいいですし、内の馬が消極的で好位の外、雁行状態になりそうなら思い切って出していく、そんな風に肝を据えた序盤の入り方が出来れば、決して実力では見劣らないと思います。

 とりあえず一週前調教はラスト1Fがかなり甘く、まだまだ本調子は遠いのかな?と基本調教をあまり重視しない私でも思ったくらいですので、直前の気配と枠は取捨の面でより重要になってくると考えます。

・ファインニードル

 相手関係が楽だったとはいえ、このレースに比較的直結しやすい前哨戦のセントウルSは完勝でした。
 この馬も序盤の立ち回りは比較的うまく、またコーナリングが得意でインからでも瞬時に反応できるのが強みでもあって、かつセイウンコウセイと同様にアドマイヤムーン産駒ですので高速決着はお手の物です。
 北九州記念の微妙な反応からしても、あまり前傾になり過ぎない方がいい、というイメージではあり、その点通常レベルの馬場ですと少し足りない気はしますが、1,07,0くらいまで時計が出そうな条件なら俄然怖さが増してくると見ています。

 この馬は出来る限り内枠が欲しいと思いますし、自身平均バランスくらいで後半の一瞬の鋭さを上手く引き出せれば、このメンバーでも上位に食い込んでくる可能性はあるでしょう。
 逆に渋ったり、かなり馬場が重かったりしたら軽視してもいいのかな、と考えています。

・ダイアナヘイロー

 この春から夏にかけて4連勝、好位の競馬が板についてから一気に成長を見せてきました。
 この馬自身はある程度前掛かりになったほうがパフォーマンスが高いタイプで、北九州記念も32,8-34,7という2秒近いハイペースを番手追走して、直線で早めに抜け出す横綱相撲で完勝しており、流れた時には決して侮れない1頭になってきそうです。

 その観点で言うと、この馬は超高速化はあまり歓迎ではなく、少し時計がかかる馬場、7秒後半くらいで前傾度が高くなった方がチャンスは広がると感じます。
 形としては逃げても競馬が出来ますし、序盤の戦略の幅は広いですので、夏の上がり馬の勢いがどこまで通じるか楽しみではあります。
 ただ首尾よく得意の前傾戦になったとしても、ビックアーサーやセイウンコウセイはかなり手強いと思いますし、印は回しても連下までかな、と今のところは考えています。

・ソルヴェイグ

 賞金的には全然足りていないですが、多分去年のこのレースのレーティングで出られるはずです。
 この馬も前傾戦には実績があり、後半勝負ですとやや脆いので、出来れば少し馬場が重くなってほしいクチだと思います。
 時計勝負になると後半の持続力面で甘さが出ると思いますが、去年くらいの常識的な前傾戦で好位を取れれば当然面白い1頭です。

 スタートが良過ぎるくらいいい馬ですが、逃げてどうか、というのはまだ正直分からない所で、出来ればなにかが行ってくれて、それを壁にして好位のポケットあたりが理想になってくるでしょう。
 実力的にはこのメンバーでも引けは取らないと思っていますし、去年3着時の田辺Jを確保しているようですので、真ん中から内目の枠を引ければ楽しみは広がってくると思います。

・レッツゴードンキ

 今年は高松宮記念で2着と、スプリント路線で一定の結果を残してきました。
 ただこの時は馬場適性がかなり問われたのと、自身は後方から後傾バランスで差し込んできており、引っ掛かる馬、というイメージよりは前半に無理の効かないタイプだと思っています。

 高速馬場自体も去年の高松宮記念から一定はこなしてくるでしょうが、どうしてもこのメンバーでいい位置取りは望めないと思いますし、よほどガクンとラスト1Fで落ち込むような展開ではないと簡単ではないでしょう。
 差し馬の中ではどうしたってレッドファルクスよりは序列が下がりますし、内枠を引いて岩田J乾坤一擲のイン差しが嵌れば、というくらい、今のところは印を回さない公算が高そうです。

・ダンスディレクター

 骨折明けのセントウルSでは後方から持ち前の鋭い切れ味を見せて3着と、まずまずの結果を残してきました。
 ただスプリンターとしては絶対的な時計面に限界がある馬、とは思っていて、かつこの馬自身極端な後傾ラップでないと後半の爆発力が引き出せない、というのは、この舞台においては弱味になってしまうと個人的には考えています。

 シルクロードS連覇もおおよそ2秒近い後傾ラップですし、セントウルSも上がり時計を見てわかる通り、この馬にとって走りやすいペースになってくれたのが良かったのは否めません。
 コーナーが急で直線も短い中山ですと、脚の使いどころがより難しいタイプですし、実際去年は常識的なレベルでの前傾戦で全く競馬になっておらず、今年も叩き2戦目の上積みを考えても厳しい、と思っています。

 チャンスがあるとすれば少し渋って、8秒そこそこの決着になる馬場でペースも極端な前傾にならない、くらいの狭いスポットが必要だと感じますし、前日の馬場次第ですが今のところはこちらも軽視する方向でいます。

・メラグラーナ

 この馬もダンスディレクターと似たところはあり、今のところまだ絶対的な時計面での裏付けがないのが弱みになります。
 ただダンスディレクターよりは基本ポジションが取れそうなことと、この馬自身後傾バランスで破壊力を増すタイプですが、高速馬場で前後半がフラットに近くなれば、位置取り次第で時計面は詰めてくる余地があるかな、とは見ています。

 オーシャンSあたりでも自身34,3で入ってまずまずの脚は使えていますし、この馬の場合後半要素は一瞬の切れが素晴らしいタイプですので、外目からしっかりエンジンを掛けつつ進められれば、ポジション差の不利を補える武器はあると思います。
 外目の枠や馬場、出来ればコーナーで少し緩む、といったような展開の助けがないと勝ち切るまでは難しいと思いますが、噛み合えば上位進出のチャンスはあると思っています。

・ブリザード

 今年は香港馬の参戦もあり、その意味でも面白さはありますね。
 サイレントウィットネスは香港でも最強クラスでしたが、ウルトラファンタジーのような本国ではバリバリのトップクラスとは言い難い馬でも楽々勝ち切った事もあり、スプリントレベルの高さは折り紙付きなだけに軽視は禁物、とはなるでしょう。

 ただこの馬自身の素材としては、基本的に1200mは短いと思っています。
 去年の香港三冠レースではそこそこ健闘するものの、最終戦で距離の限界を露呈し、そこからスプリント路線に舵を切り替えましたが、今のところ高いレベルでの実績はあまりありません。

 一番好走したのが2月のクイーンズシルバージュビリーCで、ここでは現時点の香港最強マイラー(ラッパードラゴンがああいう悲しい事になったのもありますが)であるヘレンパラゴンや、衰えたとはいえまだまだ健在ぶりを見せつけるエイブルフレンドなどと接戦に持ち込めていますが、このレースは1400m戦でした。

 1200m戦ですと、春のスプリントCでは着順こそ降着などの影響もあり3着でしたが着差は5馬身近く、その後の春シーズンのスプリント路線の最強馬決定戦・チェアマンズスプリントでは後方から外々を回され、まるでいいところなく最下位惨敗でした。
 このレースも着差としては上位から5馬身くらいと、今の香港スプリンター最強クラスからはそのくらいの差がある、という位置づけでいいでしょうし、流石にこの馬にあっさり上位進出を許すようでは日本のスプリントレベルも大概、ということになってしまいます。

 脚質的にもスプリント戦ですとほぼ後ろからの競馬になってしまっていますし、個人的には香港ブランドを加味しても軽視して構わない、と考えています。

・キングハート

 賞金的に出られるか微妙なラインですが、出走出来れば面白い1頭です。
 この馬は性能的にレッドファルクスとよく似ていて、とにかく後ろからゆったり入って長くいい脚を引き出してくるのが持ち味となり、かつ高速決着が得意でもあります。
 レッドファルクスに対して勝るところがあるとすればエンジンのかかりの良さ、要所の反応の鋭さで、ある程度外目の枠から中団くらいのポジションが取れて、超高速馬場でフラットに近いバランスになってくれば、中山で外々を回す形でも怖さは出てくるタイプではないかと思っています。

 中谷Jが騎乗停止中で、かつ私が今これを書くのに参考として見ているサンスポの登録データですと北村宏Jになっていますが、こちらも昨日のルージュバック案件で騎乗停止、それで果たして誰が乗るのか?という部分でも気になりますね。
 個人的にはこういう馬で横山Jとか見てみたいんですけど、他ではシュウジやナックビーナス想定になっていますし、それ以外の上位騎手はほぼ乗り役が決まっているのでどうなるでしょうね?このあたりは出馬が確定して、出られたときに考えればいい話ですけど、出走叶えばワンチャンスはある馬だと踏んでいます。 


**★思い出のスプリンターズS**

 やはりオールドなファンとしては、スプリンターズSと言えば[サクラバクシンオー](https://www.youtube.com/watch?v=Y1Yy9x86Uh8)の引退レースが一番印象深いですね。
 強烈な逃げ馬が揃って凄まじいハイペースになる中、好スタートから一旦控えて好位、要所で持ったままの手応えで上がってきて、坂下から仕掛けるとグーンと突き放す恐ろしいまでの強い競馬で、時計面ではこれより速いレースもありますけれど、一番強いレース、となるとこれじゃないかと今でも思います。
 とにかくスプリンターとして完成された馬でしたし、どんな時でも崩れない安定感があって安心して見ていられた馬ですね。

 あとやはり、[サイレントウィットネス](https://www.youtube.com/watch?v=4OEOHW1e6ow)が好位から突き抜けた一戦も印象深いです。
 香港史上に残るデビューからの17連勝、その後距離延長で苦杯を舐めたもののチャンピオンズマイル・安田記念と強いレースを見せてきたところからのスプリンターズSで、正に天性のスプリンターの本領発揮、という強い内容でした。
 このレースのデュランダルもかなり凄まじい競馬で追い詰めてはいるのですが、どうしてもスプリント路線だと、どんな速いペースでも苦にしない真のスプリンターが先行した時には、差し・追い込み馬ではどうあっても敵わない、というイメージを鮮烈に植え付けてくれる一戦でしたね。

 結果的に二度の遠征が堪えたのか、サイレントウィットネスにとってこれが生涯最後の勝利となってしまったのは残念なところですが、このレースまでは本当に香港史上最強のスプリンターの名に恥じない強さだったと思います。

  
posted by clover at 09:16| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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