2017年08月26日

私的名馬列伝 第十二話 ジャングルポケット

**★はじめに**

 今週末は、夏競馬の掉尾を飾る札幌2歳Sが行われますね。
 私が競馬を始めたころの札幌3歳Sはまだ1200m戦で、それが1800m戦に生まれ変わってからはや20年と思うと、月日の流れの早さを感じるばかりです。

 そして、1800mに昇格したばかりの数回は、まだローテーションとしての立ち位置が確立せず、結果的にその後に繋がらない事が続きましたが、その負の流れを綺麗に払拭してみせたのが、今回取り上げるジャングルポケットが勝った年の札幌3歳Sでした。
 なにしろ勝ち馬が後のダービー&JC馬で、2着も朝日杯で2着に入るも骨折で散った非業の名馬タガノテイオー、そして3着には桜花賞&秋華賞を制した名牝テイエムオーシャンがいたわけで、今年も後々そんな風に大活躍する馬が出てくればいいなと思います。

 夏の新馬と言えば短距離からスタート、という概念を覆し、2歳の夏の時期からじっくりクラシックを見据えた距離を選び、無理のないゆったりしたローテーションを組むという新機軸を明確に固着させたと言えるであろうジャングルポケットの軌跡を、今回改めて振り返ってみようと思います。
 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/1998101786/)は13戦5勝と、やや数字的には迫力と安定感に欠ける所もありますが、しかし噛み合った時の爆発力は超一級、未だにダービーとJCを同一年度に制した唯一の馬でもあり、いかにも左回りの鬼・トニービンの仔らしいしなやかな強さと不器用さを併せ持った馬でした。

 今回もレースの馬齢は当時の表記のままとさせていただきます。

**★新馬~ラジオたんぱ杯3歳S <新たなる王道路線の開拓>**

 当時は今より遥かに北海道シリーズの1800m戦は鞍数が少なく、それ故にそこを敢えて狙って使ってくる馬が出揃う事で、ジャングルポケットの新馬戦は後々に振り返ってもかなり豪華な顔ぶれでした。
 後の朝日杯1、2着馬のメジロベイリーとタガノテイオーがいて、更に若葉Sを勝つダイイチダンヒルなどもおり、そして彼らはみんな当時向かう所敵なしのサンデーサイレンス産駒でした。

 故に人気もそちらに集中し、ジャングルポケットとて中々の血統馬でありながらも5番人気に甘んじますが、しかしレースでは逃げたメジロベイリーの番手にダイイチダンヒルと並んで追走、メジロが早々に脱落したところから直線熾烈な叩き合いとなり、ジャングルポケットは捲ってきたタガノテイオーをギリギリ退けて新馬勝ちを収めます。
 結果的にこの3頭が後続を8馬身突き放し、この距離での能力の違いを示した格好ですが、しかしこの時代の面白いところは、まだ1800m戦の新馬勝ちがあまりステータスではなかったところです。

 次走、中2週での出走になった札幌3歳Sでは、その評価が顕著に表れていたと言えます。
 このレースでは、1200m戦を連勝してきたテイエムオーシャンとマイネルカーネギーが1、2番人気となり、3番人気も1200mの新馬戦を圧勝したセンターベンセールでした。
 やっと4番人気に、折り返しの新馬戦を完勝して連闘策で望む(このローテも今だと考えづらいところですけれど)タガノテイオー、そしてジャングルポケットはまたしても5番人気の伏兵扱いだったのです。少なくとも今なら絶対にこんな人気順にはならないでしょうね。

 しかし、中2週ながら+10kgと、レースを使っての成長を見せてきたジャングルポケットは、テイエムオーシャンが刻む平均ペースを好位で楽々と追走、直線外から豪快に差し切り、レコードのおまけつきでその素質の高さを満天下に知らしめることとなります。
 上でも触れたようにここの上位3頭は本当に強い馬でしたので、その意味でも大きな価値がある勝利ですし、またここを勝ったことで、今後クラシックに向けてのローテーションを組みやすくなりました。

 次にジャングルポケット陣営が鉾先を向けたのは、3歳チャンピオンを決める朝日杯ではなく、年末阪神の[ラジオたんぱ杯3歳S](https://www.youtube.com/watch?v=jsW2ir8tUGM)でした。
 頓にサンデー全盛時代になってからは、朝日杯よりもこちらの方がクラシックに直結する活躍馬を輩出しており、1800mでデビューしたジャングルポケットにとっても、距離短縮よりは延長を選ぶのは自然な流れだったと言えるでしょう。

 そしてこのレースから、北海道の2戦で手綱を取っていた千田Jから、大レースでの勝負強さに定評のある角田Jに乗り替わります。
 この角田J×渡辺調教師×斎藤オーナーというトリオは、1995年のクラシックを席巻すると思われながら、弥生賞後の故障で引退、幻の三冠馬と呼ばれたフジキセキと全く同じチームで、今度こそこの馬でクラシックを、という意気込みを感じさせる采配ではあったと思います。

 しかしこのレースは、戦前の評判における一頭の怪物がおり、そしてレース後に、更なる怪物の出現に誰しもが瞠目させられる事となります。
 戦前の注目は、なんといってもエリカ賞をレコードで圧勝してきた外国産馬のクロフネでした。
 この世代からダービーを含むクラシック競争が、外国産馬にも頭数制限付きで門戸が開かれた事もあり、その初年度に登場した怪物、しかもクロフネというネーミングの妙もあり、圧倒的な一番人気に支持されていたのです。

 ジャングルポケットはと言えば、札幌3歳S勝ちもこの時点ではまだまだマイナーステータス、という風潮もあり、新馬を勝ったばかりのサンデー産駒アグネスタキオンより人気なく、3番人気に甘んじての出走となります。
 しかし結果的にそのタキオンの人気は過剰人気では全くなく、それはレース結果で如実に示される事となります。

 いつものように軽快に先行するクロフネに対し、タキオンとジャングルポケットは中団くらいから虎視眈々と進出の機会を伺います。
 残り800mくらいからタキオンが先に仕掛け、先頭列に並びかけるのにクロフネも呼応、ジャングルポケットもその後ろから忍び寄っていきますが、直線入り口ではすわ2頭の一騎打ちか、という気配が漂っていました。
 ですが、そこからは完全にタキオンの独壇場で、ほんの少し気合をつけただけで圧倒的な加速力・切れ味を繰り出してクロフネを置き去りにし、最後は流す余裕を見せながら後続に2馬身半の圧倒的な差をつけてみせたのです。

 その二頭のつば競り合いを後ろで見定めていたジャングルポケットも、最後の坂でしっかり伸びてクロフネは交わし去ったものの、前に行くタキオンには完全に完敗、という形になってしまいました。
 まぁ後々の観点からすると、ジャングルポケットもクロフネも瞬発力の質に秀でていたタイプではないですし、また後半が12,0-11,2-11,4とかなり加速力が問われる展開で、外目から勢いをつけていったタキオンの方が楽だった、と見做すことも出来ますが、それを差し引いてもスケール感の違いを見せつけられる内容だったでしょう。

 ともあれ、ここで苦杯を喫したものの、陣営の目標はぶれることなくクラシック、その最高峰のダービーに照準が合わせられており、その期待に応え得るだけの素質を持った馬だというのを改めて証明した一戦でもあったと言えますね。

**★共同通信杯~ダービー <宿敵なき悲願達成>**

 私の記憶が確かならば、この春のジャングルポケットのローテーションはかなり早い内からこの3戦、と明言されていたように思います。
 そしてまたこれが物議を醸すところでもあり、今でこそ共同通信杯からの直行組はかなり結果を残していますが、当時はまだ中山のトライアルを使う組でないと本番は勝てない、というのが明確にありました。
 その意味では、あくまでも大目標はダービーであり、その潜在能力を最大限に生かすためのローテーションと割り切っていたのが印象的ですし、結果的にそうやってゆったりしたローテーションで余力を残しておけたことがプラスだったと考えることは出来るでしょう。

 ともあれ、トニービン産駒として大得意の府中に初見参となったジャングルポケットは、ここは相手関係が弱かったのもあり、好位から早めに抜け出して楽に押しきる横綱相撲を見せます。

 そして迎えた[皐月賞](https://www.youtube.com/watch?v=ldSiRN6QRm0)では、再びアグネスタキオンが高い壁として立ちはだかります。
 タキオンは不良馬場の弥生賞を圧勝して未だ無敗、圧倒的1番人気に推される一方、ジャングルポケットも抜けた2番人気には支持され、けれどローテーションや脚質、血統などから、崩れるとしたらこっち、というイメージは強く持たれていました。

 実際にレースでも、ジャングルポケットは生来の不器用さを露呈する形になってしまいます。
 最内枠からまずまずのスタートを切るものの、2歩目で大きく躓き、小回り中山では致命的ともいえる、後方からの競馬を余儀なくされてしまうのです。
 それでも道中は早めに外に持ち出し、じわじわと大外を押し上げていって、先団にいるアグネスタキオンにプレッシャーをかけていきます。
 4コーナーで一気に並びかけるところまでいき、今度こその一騎打ちを予感させますが、そこまでのロスが祟ったのか、またしても瞬時に加速したタキオンに突き放され、内からしぶとく伸びてきたダンツフレームにも交わされて3着と、はじめて連対を外す結果となってしまったのです。

 まあダンツフレームも、その後ダービー2着、宝塚記念を制する名馬ですが、こちらもアーリントンCからの直行、という異例のローテで人気なく、ただ結果的には素材的に抜けた3頭が上位、その中でレースセンスに最も長けたタキオンが一枚上手だったレース、とは言えるでしょう。
 正直このレースのタキオン自体の走りはあんまり良くはなく、この後屈腱炎発症が判明して引退する事を考えれば、もう既にその予兆はあった、と言えるのかもしれません。
 翻って、王道中の王道である不良馬場の弥生賞を回避した選択が、2、3着馬にはその後の余力に繋がった、とも考えられ、ローテーションの難しさ、巡り合わせなどをしげしげと考えさせられる内容ですね。

 ともかく、[ダービー](https://www.youtube.com/watch?v=5vwZjAwRfnU)でこそ三度目の正直、ライバルにリベンジを、と意気込んだであろうジャングルポケット陣営にとって、アグネスタキオンの離脱は複雑なものがあったでしょうが、といってダービー戦線が無風であるわけもありません。
 ラジオたんぱ杯では退けたものの、その後毎日杯を圧勝、NHKマイルCも制してGⅠ馬となったクロフネが、満を持してダービーの舞台に上がってきたのです。
 いわゆるマツクニローテの嚆矢となったクロフネの脅威に対し、しかし流石にローテーションの優位もあり、ここではジャングルポケットが1番人気に支持される事になります。

 生憎の雨で重馬場開催となる中、大外から無難なスタートを切ったジャングルポケットは道中は中団やや後ろのインコースを追走、外から先に仕掛けるクロフネを追うように直線で外に持ち出し、そこから一気に持ち前の長い脚を繰り出します。
 直線半ばで先頭に立つと、後ろから追い込んできたダンツフレームを今度は楽に凌ぎ切り、堂々たる競馬でダービー馬の称号を手にする事となったのです。

 このレースに関しては、とかくタキオンがいれば、というifが付き纏いますが、少なくとも府中の2400mで重馬場なら、遜色のない競馬にはなっていたと思います。
 後で触れますが、やはりジャングルポケットは左回りでのパフォーマンスが図抜けていましたし、良馬場で仕掛けが遅い展開ですとタキオンの切れ味に屈した可能性はありますが、持続力が問われるなら最後はこちらに分があると思いたいですね。
 ともかく、おそらくは札幌3歳Sを勝った時点から思い描かれていた理想的なローテーションを全うし、幾度となくライバルの後塵を拝しつつも屈せず、最高の舞台で最高のパフォーマンスを見せたという意味で、悲願成就、という言葉を重ねるに相応しいクラシックロードだったと思います。

**★札幌記念~ジャパンカップ <覇王への引導>**

 栄えあるダービー馬となったジャングルポケットですが、そこまでゆったりしたローテーションで結果を出していたこともあったか、始動戦は秋のトライアルではなく、夏のGⅡ、札幌記念が選ばれます。
 これは当然、3歳時に連勝を決めた舞台という適性も含めての選択だったでしょうが、しかしレースではスローの流れの中で、同期の遅れてきた大物の1頭であるエアエミネムに前々からの押し切りを許し、伏兵ファイトコマンダーにも後塵を拝しての3着と、やや不甲斐無い結果に終わってしまいます。

 それでもしっかり目標通りに菊花賞に参戦し、ここでも当然1番人気に支持されますが、ここでもかなりのスローペースで動き出しが遅れ、コーナーでももたつき、遅れてきた大物その2と言えるマンハッタンカフェが内々を回って豪快に差し切る中で、最後ようやく差し込んでくるも4着と、どうしても右回りでは思うような結果が残せません。

 こんなはずではない――――陣営の想いはここで、2つの大きな決断に繋がります。
 ひとつは、今までのゆとりのあるローテーションから、やや間隔が詰まるものの、得意舞台の府中2400m戦・[ジャパンカップ](https://www.youtube.com/watch?v=9i_611LeOj4)への参戦を決めた事。
 そしてもうひとつは、クラシックロードでずっと手綱を握ってきた角田Jから、世界の名手ペリエJにスイッチを決めた事です。

 このレースには、同世代のライバルとはまた一味違う、百戦錬磨の世紀末覇王・テイエムオペラオーが磐石の構えで控えていました。
 年間グランドスラムを達成した前年に比べればその勢威はやや衰えていたものの、それでも現役屈指の底力と安定感を誇る同馬は高い壁として聳えており、舞台適性や鞍上強化などを踏まえても、人気では当然のように譲る形になっての一戦、これが文字通り手に汗握る死闘となります。

 序盤はゆったりしたペースで流れるものの、向こう正面でトゥザヴィクトリーが盛大に引っ掛かって先頭列まで押し上げていったことで一気にペースが上がり、超ロンスパの底力勝負になったのです。
 当然のように先行勢が早めに潰れる中、オペラオーは豪快に外を捲り気味に進出し、残り400mで早くも先頭に立ちます。
 やや出遅れ後方から、それをマークする位置にいたジャングルポケットも、外に持ち出して追撃態勢に入りますがその差は中々縮まりません。
 
 しかし、残り100mでも2馬身近い差があり、これは万事休すか、と思われたところからが、府中の鬼・ジャングルポケットの真骨頂でした。
 流石の早仕掛けでやや脚色の衰えたテイエムオペラオーに一完歩ずつ詰め寄り、正に最後の最後で際どく交わし去って、史上唯一無二である同一年度ダービー&JC制覇の偉業を達成したのです。

 このレースはラスト2Fが11,2-12,0で、あれだけ早めに仕掛けていきつつ坂地点で加速する余力があったオペラオーの底力は素晴らしいものがあり、あくまで個人的な評価ですが、オペラオーが一番強い競馬をしたのはこのJCだと思っています。
 しかしこのペース、全体時計と後半ラップで、最速地点では詰めきれなかったものの、ラストまで11秒台半ばの脚を持続させ差し切る芸当もまた凄まじく、このレースを見ていればこそ、良馬場でタキオンがいてもダービーは勝てた、と思えるところはありますね。

 結果的にこの世代は、JCをジャンポケ、JCダートをクロフネ、有馬をマンカフェが制したわけで、決して相手関係も弱くない中でこれだけ活躍する3歳世代というのは、その後ではジェンティル・ゴルシ世代くらいしかいなかったわけですし、総合的に見ても最強世代の一角を占めるのは間違いないでしょう。
 その中で一際に光彩を放ったのが、このジャングルポケットのJC勝利ではなかったかと私は思っています。

**★阪神大賞典~有馬記念 <運命の綾は残酷に>**

 古馬となったジャングルポケットは、まず王道である天皇賞春を目指して阪神大賞典に出走します。
 しかし、鞍上にスポットの小牧Jを迎えたここでは、阪神3000mの鬼であるナリタトップロードに楽々抜け出され、外々を回した分最後も甘くなってギリギリ2着を死守と、やはり右回りではどうにもイマイチ感がぬぐえないのは相変わらずでした。

 続く春の天皇賞では当代きっての名手・武Jにスイッチして臨むものの、スローペースからやや立ち回りで後手を踏み、菊花賞同様にインから鋭く抜け出したマンハッタンカフェを捉え切れず2着と、実力の片鱗は見せるものの結果がついてきません。
 まぁこのレースに関しては本当にこの馬の弱点を踏まえて上手く乗られている方ではありますが、それでも結局コーナーワークの下手さと、そこで加速すると終わってしまう、という難儀な特性は最後まで克服することが出来なかったと言えそうですね。
 そのあたり、抜群の器用さや切れ味が武器だったサンデーの仔、タキオンやマンカフェと相性が悪く、一本調子のクロフネには相性が良かったとも言えます。

 その後怪我が判明し休養に入ったジャングルポケットは、秋シーズンの初戦に去年制したジャパンカップを選択します。
 しかしながら、歴史を差配する神は、ジャングルポケットを再び最高の舞台である府中2400mに立たせることは許してくれませんでした。
 この年は府中の改装が重なり、秋の天皇賞・JCも中山開催となっていたのです。

 不得手の小回り、右回りのJCでは、思い切った最後方待機策から馬群を割って伸びてくるものの、前の争いにはとても加われずの5着となり、そして続く有馬記念では、逃げるタップダンスシチーを外目から早めに追撃するも、直線で相当に失速して7着と、本来の底力を全く見せることが出来ない結果に終わってしまったのです。
 結局その有馬を最後に引退する事になり、古馬になってからは1度も勝利の美酒を味わう事はありませんでした。

 とはいえ、仮に現役生活を伸ばしていたとしてどうだったか、はなんともいえません。
 改装前の府中と改装後の府中は地味にターフの質が別物になっていますし、展開的にも底力勝負になりにくくなっていて、その点ではあまりジャングルポケットタイプの馬には歓迎されないロケーションとも言えます。
 裏を返せば、あと1年生まれるのが遅かったら、史上唯一の偉業すら達成出来ていなかった公算が高いわけで、色々な意味で古武士の趣きを感じさせる、不器用な名馬だったと思います。

**★能力分析**

 結果的に府中で3戦3勝、右回りでは3歳時以降ひとつも勝てなかったわけで、単純に左回りの方がパフォーマンスが高かったのは明らかだと思います。
 ただもうひとつ言えるのは、4歳以降の右回りのレースは、この馬にとってベストのスタミナ持久力戦になったことは一度もなく、苦手な瞬発力勝負で、殊更に苦手なコーナー加速を問われて持ち味を引き出せなかった、という見方も出来る、という所です。

 一連の右回りのレースぶりを見ている限り、コーナーで外から早めに動いていった時は失速が早く、けどコーナーで動かないとポジションを下げてしまうという乗り難しさがあったろうと感じます。
 多分とにかくコーナーでの加速が苦手で、無理にギアを上げていくとそこで脚を使い切ってしまうのが、皐月賞や札幌記念などでは顕著です。
 逆にコーナーを我慢させて好走したのが春天と思いますが、あれも我慢した分のポジション差で届きませんでしたし、右回りで噛み合うコースはほとんどなかったと言えるでしょう。今なら阪神外回りならなんとか、という気はしますけどね。

 左回りでも、或いはコーナーから顕著に動いていたら甘くなったのかもしれませんが、基本的にどのレースも直線からのヨーイドンか、平均で流れて極端にコーナー加速を問われない展開だったのもあります。
 仕掛けを直線まで我慢できた時に限っては、非常に高い持続力を発揮出来たというイメージで、切れ味の質の足りなさをそこで補えたという意味でも、典型的なトニービン産駒でしたね。

 スタミナ適正はかなり高かったはずなので、菊や春天はもっと流れていれば面白かったと思うのですが、どうあれサンデー全盛・瞬発力至上の時代に生まれてしまった分、レース毎の当たり外れが大きかったのはあるのかなぁと。
 それでも現役最後の一戦以外大きく崩れなかったのは傑出した能力の賜物と言えますし、ひとつの時代を彩った印象深い名馬だと思います。

**★終わりに**

 この馬の現役時代から20年近くが経過して、ますます競馬シーンのスピード色は強くなっていると言えます。
 その意味ではこの血統が徐々に廃れていくのも時代の趨勢、とは言えますが、一方で母方の血脈に入って、しっかりとスタミナの下支えになることで良さを発揮していいるところもあります。
 トニービンの直系はサイアーラインが繋がるかどうか微妙な岐路にある、と言えますが、こういう底力に長けた血脈こそ、今後の日本競馬の発展には大切な要素とも思いますし、ジャングルポケット自体ももう一花、その直仔のオウケンブルースリやトーセンジョーダンあたりから、モーリス的な隔世遺伝での名馬が出てこないか、やはり期待したくなるところです。
posted by clover at 04:27| Comment(0) | 名馬列伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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