今週は週中にもポツポツ大きなレース(サセックスSとか)がありますので、その辺はまた金曜日くらいに取り上げるとして、一先ず土日での主要なレース回顧を上げていきます。
**★キングジョージ六世&クイーンエリザベスS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ycES4TiXzRw)**
イギリスの2400m路線における古馬最高峰の格を誇るキングジョージは、唯一の3歳牝馬にして英愛オークスを圧勝してきたイネーブルが、一番人気に応えて好位から危なげなく抜け出し、斤量差も活かして歴戦の古馬をも楽々突き放して圧勝しました。
当日の馬場はかなりの雨量でほぼ重馬場、という感じだったようで、レースもペースメーカー以外は道中からやや外目の芝のいい部分を通っている様子がうかがえました。
展開は、ペースメーカーのすぐ後ろに、いつもスタートはすごくいいイネーブルがスッとつけ、内枠からだったハイランドリールは一旦少し下げて、イネーブルの外に出してからじわじわとポジションを上げるプランを選びました。
イネーブルのすぐ後ろに僚馬で人気の一角、ジャックホブスがつけて、中団よりやや前にエクリプスSを勝ったユリシスがいましたね。
全体のペースはわからないですが、勝ち時計2,36,22は過去20年でももっとも遅い時計であり、表記以上に馬場が悪く、巧拙を強く問われたレースになっていたのではないか、と感じます。
勝ったイネーブルはそれは強い競馬でしたが、英・愛オークスに続いてここでも道悪の状況となり、かなり時計がかかったのは確実にプラスだったとは思います。
とにかくパワーがありバテない、というタイプで、直線でも一気に抜け出す、というよりはじわじわ最後まで差をつけ続けた、という感じで、これがより切れ味を問われたり、レース全体がスピード決着になった時の不安はあります。
ただ3年前のタグルーダに比べても、愛オークスから中1週でここを使っての圧勝、というのは競走馬としての圧倒的なスケール感、タフさを感じさせますし、当然斤量面の優位も続く上、ポジショニングがとても上手な馬ですので、凱旋門賞でも期待される1頭になるのは間違いありません。
去年のようにハイペースからの消耗戦になった時に、スピード不足が露呈しなければ強そうなイメージも持てますし、この後はヨークシャーオークスから凱旋門賞と確実に2400mに拘ったローテになりそうですが、本番まで勝ち続けていって欲しいですね。
2着のユリシスも、ここにきて一気に充実期と見るべきか、初GⅠ制覇となったエクリプスSに続いて、2400mのここでもしっかり結果を出してきましたね。
着差を見れば完敗なのは確かですが、他の有力馬は楽に振り切りましたし、この馬自身は前走も含め、前半ゆったり入れる方が噛み合いそうですので、2400m路線の方が今なら面白いのかもしれません。
前走の切れ味を見ても、良馬場の方がパフォーマンスは高くなると思いますので、益々今後が楽しみになるとともに、凱旋門賞でも勝つチャンスのある一角に入ってきたのではないか、と感じるレースぶりでした。
ハイランドリールはこういう馬場は完全に苦手ですので度外視でいいと思います。
ジャックホブスはドバイ勝った時のイメージからですと、そんなに道悪は苦にしない気がしていたのですが、この日は最初から走りのバランスが悪かったですね。どうも馬の調子自体が完全に崩れてしまっているようで、同厩のイネーブルと直線入り口では並んでいたのに、くっきり明暗が分かれる形になってしまいましたし、ちょっとすぐに本領発揮、というイメージを持ちにくい負け方でしたね。
**★ハスケル招待S [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=Q0nQSFjV0tk)**
真夏のダービー、トラヴァースSの前哨戦になるGⅠ、ハスケル招待Sは、ややハイ気味の流れの中、後方待機のガーヴィンが先に抜け出したマックラーケンをしぶとく差し切って、嬉しい初GⅠ制覇を成し遂げました。
人気は4戦無敗のタイムライン、ベルモントS2着のアイリッシュウォークライ、堅実なプラクティカルジョークと続いていましたが、レースは人気2頭が先行、特にタイムラインがやや引っかかり気味に前を主張した事で、道中のペースが速くなります。
ラップが23,93-23,41-23,91-24,40-12,70=1,48,35という推移は、アメリカ競馬としては最序盤は速くないですが、400-800地点が最速で、ここで前が少し離し、後続はラップが落ち始めた残り4F地点くらいから押し上げる競馬をしていて、力関係が拮抗しているメンバー構成で、少し前が無理をする中で、道中の立ち回りの差が出た格好ですね。
ガーヴィンは元々ダービートライアル路線でベルモントS勝ち馬のパッチを破っていたりと、素材面では評価されていた馬でしたが、ケンタッキーダービーの惨敗から一度立て直して、しっかり結果を出してきましたね。
展開としては噛み合ったとは思いますし、次は1F延長が鍵になりそうですが、クラシック上位馬が悉く当てにならない状況の中で、次も楽しみな一頭です。
マックラーケンもダービー後別路線でしっかり結果を出して、ここでも早めに抜け出す強い競馬を見せましたが、もう一押し足りませんでしたね。
プラクティカルジョークは道中内々から外に出すのにロスがあったものの、そこからはしぶとく伸び、改めて堅実さを見せてきましたが、やっぱりここで勝ち切れないのがキャラ、という感じでしょうか。
アイリッシュウォークライはやっぱり前半リズム良くいけないと厳しいのかなぁと。タイムラインにリズムを崩されたところもあるでしょうし、早めに抜け出して勝ちに行ったもののラストは明確に甘くなっていて、この馬の場合は距離延長はプラスに感じるので巻き返しはあるかもですが、どうあれ枠と逃げ馬同士での相性がポイントですかね。
**★クレメント・L・ハーシュS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=0-KgpF1L0ws)**
ビホルダーマイルに続き、ステラウインドとヴェールドリの一騎打ちになりました。
ステラウインドは去年のこのレースで、ハイペースで逃げるビホルダーを撃破する大金星を挙げて一線級に台頭してきましたが、今年は牝馬のチャンピオンとして迎え撃つレース、その中でややスロー気味にコントロールされた分、斤量差も含めて苦戦したのかな、というイメージです。
今年は僅差勝ちのレースが多いですが、おそらくこの馬は明確に前傾型で、ペースが上がるほど強いと思うので、むしろこのくらいのイーブンペースにコントロールされても捻じ伏せる強さを見せているのは大したものだと思います。
一応まだ今年無敗ですし、ソングバードやアベルタスマンと対決するまでは負けて欲しくないですね。
ヴェールドリもやはりすごくいい馬だなぁとは思いますが、この馬はペースをコントロールしたいタイプと思えるので、多頭数になって先行争いが激化した時にどうなるか、はポイントでしょうね。
**★ジムダンディS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=obX_N6pphUo)**
こちらはGⅡですが、トラヴァースSの前哨戦でもあり、ケンタッキーダービー馬のオールウェイズドリーミングと、プリークネスS馬のクラウドコンピューティングが出てきたので取り上げておきます。
レースは序盤から人気二頭が先頭二番手で淀みない流れを作っていきますが、極端に速いというほどではありませんでした。
しかし3コーナーあたりから2強の手応えはやや怪しく、コーナーで後続の伏兵たちも取り付いて直線は一時横一線の激戦になったものの、最後は大外から伏兵グットサマリタンが楽々突き抜け快勝しました。
この馬はどうやらこのレースがはじめてのダート戦だったようで、前半は画面から消えてしまうくらい離されていたものの、エンジンがかかってからの脚と最後の持久力は中々のものがありましたね。これは距離延長しても楽しみが大きそうです。
それにひきかえ、2強のだらしないレースぶりはなんとも言えませんね。
特にオールウェイズドリーミングは、このペースで潰れるくらいならケンタッキーダービーやフロリダダービーはなんだったんだ、というくらいですし、なんとか立て直して本来の輝きを取り戻して欲しいものです。
2017年07月26日
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