2017年07月26日

2017 クイーンS・アイビスサマーダッシュ レース回顧

**★クイーンS**

 夏の北都牝馬チャンピオン決戦は、好スタートからまさかの大逃げを敢行したアエロリットが、そのまま後続を全く寄せ付けずにタイレコードで完勝しました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場は7Rの500万下が36,0-35,8-35,5=1,47,3という推移で、平均ペースで好時計が出ており、昨日に引き続き絶好のコンディションだったと見ていいと思います。
 その中での展開ですが、内からアエロリットとシャルールが好スタートを切り、クロコスミアとヤマカツグレースもまずまずでしたが、二頭ともに無理に逃げる形には拘らず、もう一頭の逃げ候補のノットフォーマルはやや立ち遅れてしまいました。
 シャルールがかなり積極的にポジションを取りに行くのに対し、内のアエロリットもそれで包まれるよりは、と枠の差を利してしっかり抵抗し、それでもコーナーまでフラットに入っていきつつ、そのままペースを落とさずにマイペースの逃げに持ち込みます。

 2番手にシャルール、ポケットにはヤマカツが潜り込みその外にクロコスミアがいて、トーセンビクトリー、パールコードあたりが内外離れて中団のやや前目、という感じで入っていきます。
 やや立ち遅れたクインズミラーグロはトーセンの後ろ、やっぱりスタートダッシュで負けて挟まれる格好になったマキシマムドパリは後方で、アドマイヤリードもその外、後方二番手あたりの追走になりました。

 ラップは35,2(11,73)-35,0(11,67)-35,5(11,83)=1,45,7(11,61)という推移でした。
 バランス的にはややハイ気味の平均で、中盤もほぼ緩むことなく、絶対的なスピードの違いで押し切ったレースにはなっていて、ただ細かく見ると色々と凄みがあるのでその辺は後述します。
 実際のところ、逃げたアエロリットと後続は全く違う競馬をしており、後ろの馬は1000m通過が推定59,7~8で、そこから長いコーナーを使って押し上げ、後半4F46秒ちょっと、という内容です。
 ラスト4Fが11,9-12,1-11,5-11,9で、800-400m地点のコーナー部分で後続はかなり差を詰めてきていますので、おそらく11,5前後を3F続けて、ラストは少し落ち込むスローロンスパ持続戦ぎみの展開ではないか、と思っていて、その場合当然ながら外々を回せばそれだけロスが大きいので、インを上手く立ち回ったトーセン・クインズが2、3着、というのは比較的納得の結果ではありますね。

 ただ本当に勝ったアエロリットは後続の思惑など全く関係ない、自分との戦いで楽に勝ち切ってくれましたね。
 基本的に追走力が高く、ハイペースからでも足を使える馬ですので、こういう大逃げの形になった時点で勝ったな、と結構安心して見ていたんですけど、それでも休み明け+18kgでありながら、期待以上に強い競馬を見せてくれました。

 レースラップ通りに道中1000mまでは特に息を入れず気分良く走れるペースで飛ばし、後続とのリードをしっかり作ってから2F息を入れ、そこからまた11,5-11,9と再加速し、ラストも11秒台でまとめてくるパフォーマンスは、いかに52kgとはいえ並の馬に出来る芸当ではありません。
 ちょっと大袈裟に言えばサイレンススズカ的な競馬をしていて、前半他の馬ではついていくと後半の脚を確実に削がれるペースを作りつつも、きちんと息さえ入れられればそこからもう一段加速できるのは、今後の距離延長を考えた時に非常に強みになってくるなと感じました。

 また今までは逃げる競馬はしてきませんでしたが、距離が伸びた時に周りのペースに合わせてしまうと、折り合いの不安や、前半の良さを生かせない、という可能性はありましたので、流れないなら自分で逃げてもいい、というオプションをここで付け足せたのは本当に今後に楽しみしかない、と感じさせる内容でした。
 この競馬でラスト1Fは後続を全く寄せ付けていませんし、本当に最後の持続力・踏ん張りの良さが顕著に見られる馬なので、2000mくらいまでならこういうスピードを十全に生かす強気の競馬を作っていければまず崩れることはないかなと感じます。これは本当に秋華賞が楽しみになる競馬でしたし、その後マイル路線に戻すにせよ、2000m路線を継続するにせよ、古馬一線級とでも充分に渡り合えるイメージを持てる強さでした。

 2着のトーセンビクトリーは、今回に限って言うと馬群全体がついていかずに実質スローで入れたことと、コーナーいっぱいを使っての持続戦で最内を楽に立ち回れる枠だったのが良かったですね。
 私の予想としては、もう少し馬群全体が早い流れに付き合うイメージでいましたので、追走面で危うさがあるこの馬に印を回せませんでしたが、序盤の展開もアエロリットとシャルールが出していってくれて、出足そのものは足りなくても前にスペースがある中で楽に3列目までリカバー出来ました。
 これが外主導だともう一列は後ろになっていたわけですから、その点でも恵まれたと思いますし、ちょっと展開面で読みがズレたなぁ、と反省です。

 馬自身は洋芝も合うでしょうし、持続戦そのものはべストとは思いませんが、あれだけ綺麗にインを立ち回って、スムーズに外に出せればそれは余力はあるでしょう。
 ややシャルールが下がっていく中で、外に持ち出すのが一瞬早過ぎて交錯しかかった危うさもありましたが、あそこで待ち過ぎるとクインズミラーグロに先に入られてインで詰まる可能性もありましたし、ギリギリではありますが勝負に拘った捌きではあった、と見做したいですかね。ただ騎乗停止事案になってますから、福永Jらしからぬ焦った進路取りではあったと思います。

 3着のクインズミラーグロも、解釈としてはほぼトーセンと同様なんですよね。
 単純に序盤のポジショニングの差で一列下がった分、勝負所での立ち回りも少し後手になりましたし、実質中山牝馬Sの時と同じ形でちょい負けと、その辺からするとこの2頭は展開を味方につけた上で実力は引き出しきれている、と見ていいのかなと思います。
 やっぱりこの馬の場合どうしても後半要素ではちょっと足りないですし、といって序盤で前目を楽に取れるタイプでもないから苦労しますよね。それでもこれで5戦連続馬券圏内と、本当に堅実さには頭の下がるところです。

 4着クロコスミアに関しては、ちょっとバランス的に中途半端だったかな、という気はしましたね。
 序盤からある程度位置を志向しつつも、結果的に2列目の2頭分外目で我慢する形になりましたが、この馬自身アエロリットのハイペースについていったら厳しいにせよ、もう少しペースを上げて2番手、実質単騎という形まではもっていっても良かったんじゃないかなと思いました。
 結局この馬の後半の武器は加速力と一瞬の切れ味ですので、コーナーで延々2頭分外から押し上げさせられた分、どうしてもその一番の速い脚をそこで使い切ってしまう形になっていて、ラスト1Fは2~3着争いの中で見ても失速気味、持続力の足りなさを顕著に見せてしまっています。
 
 前走は自身が逃げて内目を立ち回った分、トップギアに入れ切らずにじわじわ、という形で良さを出せましたが、外から追い掛ける形ではどうしてもそういう脚の使い方は難しかったですし、バランスの取り方が難しい馬ではありますね。
 ただ噛み合えば牝馬重賞のひとつくらいは勝てる素材と思っているので、改めて自分の形に持ち込めそうな舞台では期待したいところです。

 6着アドマイヤリードはまぁ仕方ない、と言えば仕方ない負け方ですね。
 まず単純に、自身6F通過が1,12,0とぴったりハロン12秒ペースであり、この馬にとってはもう少しゆったり入りたかった、という部分はあるでしょう。VMでも自身前半5F60,5とかなりのんびりと入れましたし、後半要素を無理なく引き出せる幅がそんなに広くないのは間違いないと思います。

 かつ道中もずっと枠なりに外々で、コーナーで押し上げていくところでも4~5頭分外を通さざるを得ませんでした。
 この馬自身後半要素は全て高いレベルで保持はしていますが、突き詰めれば最大の武器は一瞬の切れで、持続力は超一級品ではないと思っていまして、その馬が実質11,5-11,5-11,5くらいの地点でずっと外々を押し上げるとなると、数字以上に速い脚をコーナーの入り口から求められてしまっており、その分ラストまで落とさず持続する、というだけの威力は引き出せなかったと考えます。

 やはりマイル2戦の好走はペースの緩さと馬場、その上にコースロスを最小限にした好騎乗が噛み合ってのもので、良馬場で流れてしまうと1800mでも総合スピード不足、と感じます。まだワンターンなら対応出来るでしょうが、1周コースではより厳しいかな、と。
 裏を返せば、今なら距離延長はマイナスにならない可能性は高く、スローからの切れ味勝負になりやすいエリ女は絶好の舞台だと思っていますので、しっかりそこを目標に作っていって欲しいなと思います。

 7着マキシマムドパリも文脈的には同じような負け方ですね。
 ただこの馬の場合、過去秋華賞でもかなり速いペースを前々から追走して粘り込む競馬を見せていたり、追走力自体は持っているので、こういう競馬でも位置さえ取れていればもっとやれたとは思っています。
 でも今日は絶対的に枠の並びが悪かったですし、前走のようにせめて外枠から早め早めにリカバー出来る形なら3着争いくらいまではこれたと思うんですけどね。兎にも角にも出足が良くないので、それでも前を取れる、という条件でのみ狙うべき馬だと考えます。

**★アイビスサマーダッシュ**

 新潟は心配された雨もなく、こちらも夏の強い日差しに照らされた綺麗なグリーンベルトの上での決戦となり、序盤からスピード自慢の激しい競り合いになる中で、最後はラインミーティアが無欲の一閃を決めて見事に初重賞制覇を飾りました。レースを振り返りましょう。

 こちらも馬場は超高速に近い条件で、直前の9Rの1400m戦でも34,9-11,5-35,0とほぼ平均ペースで1,20,4が出ていて、確実に54秒そこそこの凌ぎ合いになることは予想出来ましたし、実際に54,2は近年の平均タイムにピッタリ嵌る数字でしたね。
 展開は、フィドゥーシアが好スタートを決めてすぐに外埒の方に誘導、アクティブミノルとレジーナフォルテもまずまずダッシュが効いて先頭列に入っていきます。
 ネロはやはり斤量が厳しかったか、ダッシュ一息で外にも壁が出来てしまい半端な位置取り、内の馬も少しずつ外に寄せてくる中で、ラインミーティアはその争いに我関せず、とばかりに外枠を利して外埒沿いの後方をゆったり追走する形でした。

 ラップは21,8(10,9)-10,4-22,0(11,0)=54,2(10,84)という推移でした。
 というより5Fくらいなら全部乗せろ、という話で、11,8-10,0-10,4-10,3-11,7という流れ、これは細かく見ると残り400-200m地点で微差の加速は見せているものの、前後半のバランスとしてもやや前傾で、かつ緩みもないので、息がしっかり入る、というペースではなかったのかなと感じます。
 その分ラストは11,7とそこそこ消耗していて、漁夫の利を狙っていたラインミーティアの差しがズバリ嵌った感はありますが、それにしてもこの馬かぁ、というのは正直なところです。

 実際ラインミーティアは直線巧者なのは確かでも、これだけ1000m戦のキャリアがあって最速は54,5止まり、かつ前走は上がり31,6は素晴らしいとはいえ52kgで完敗でしたので、この4kg増の舞台で7歳馬が時計を詰めて勝ち切るところまでは考えにくかったですね。
 ただやや前掛かりになって差しが嵌る可能性そのものは結構有り得ると見ていたので、重い印はともかくヒモで拾うかはそこそこ考えて止めた経緯があるので、色々含めて反省です。

 結局この舞台はやっぱり後傾の方が時計を出しやすい、ってのは確実にある上で、それでも後半の持続力や切れ味の面で上がり時計に限界のある馬は当然いるので、今回も31,6という究極の上がりが示すように、こういう特別な武器がある馬はその他のマイナスファクターを脇に置いても狙う価値はある、ということなのでしょう。
 形としては本当に完璧に嵌っていて、序盤の位置取りも良く、全く左右に進路を選ぶ必要もなく真っ直ぐ走ってこられましたし、とはいえ実際に時計も詰めてきたのですから完全にフロック、とは言えない、この馬の良さが最大限に発揮された結果と見るべきでしょうね。流石に直千巧者の西田Jの面目躍如、というべきでしょうか。

 2着フィドゥーシアも、前目から強気の競馬で堂々勝ちに行っての2着ですし、時計も0,1秒とはいえ詰めているので悪くはない、のですが、結果論的に言えばもう少しゆったり入れていたらどうだったかなぁ?というのはありますね。
 今回は外目に速い馬が揃っていて、あまりゆったりしていると半端なところを通らされる、という懸念は、ネロを見ても決して悲観論ではなかったと思うので、スタートダッシュを完璧に決めて外に誘導したこと自体はべストだったと思います。

 ただミノルやレジーナが追いかけてくる中で、この2頭より前には入り切れませんでしたし、ミノルもかなり出してきたので抵抗して息を入れるラップに落とし切れなかったのは勿体ない所でした。
 前走0,5秒の後傾ラップで息を入れて、ラスト1Fを11,2でまとめてきたように、微差程度でも前傾で入ってしまうと甘くなる、というのが今日は出てしまった感じで、意思は感じたもののちょっと形を決めつけ過ぎたのが最後の最後で明暗を分けたのかな、という気はしています。
 この馬自身は1200mでも時計勝負ならかなりやれそうですし、それでも後傾戦の方が、というのはあるのでスプリンターズS、というイメージではないですが、京都1200mなどで内枠を引いてきたら、まずかなり強い競馬を見せてくると思いますね。

 3着のレジーナフォルテも、現状の力は出せたんじゃないかなと思います。
 スタートダッシュもまずまずで、ポジションも取れましたし、特に不利もなく進められましたけど、強いて言えば後半の最速地点でやや置かれて、ラスト1Fは失速しそうに見えて粘っていた、というあたり、タイプとしては消耗戦向きなんだろうなぁ、とは思いました。
 ただこの舞台でこのレベルになると、消耗ラップで勝ち切るのは厳しい、ということでしょうし、この斤量でも切れ味で劣った、というのは、後半要素に限界がある可能性は高いので、これ以上時計を詰めるのが地味に難しいタイプかも、とは感じました。
 今後もこの条件では確実に走ってくるとは思いますけど、勝ち切れないパターンは常に想定しておいた方がいいかもしれませんね。

 4着アクティブミノルも、理想を言えばもう少し前半ゆったり入りたかったですし、ブリンカー効果があり過ぎて前向きになり過ぎるからこの舞台だと、というのは感じますね。
 前傾でもCBC賞ほど極端ではなく、1秒程度の前傾でならもう少し粘りも増してくるかなと思いますし、北九州記念は逃げ争い次第の面もありますが、コース的にはかなり噛み合うと思いますので、この夏は好調を維持していますし出てきたら引き続き注意、ですね。

 ネロはこの枠でダッシュが効かない時点で流石に無理ですね。やはり58kgは鬼門のようです。
 予想としては正直こうなる確率はかなり高いと踏んでいたので、はっきり消して穴馬に印回すべきだったのに、そうしきれないのが予想ベタの真骨頂というか。馬券買わないくせに本命党の気質から脱却できないのは度し難いなぁ、と思いつつ、大抵それで人気馬バッサリするとあっさり裏目を引くから困っちゃうんですよね。。。
 ともあれこの馬自身は使ってから、でしょうし、去年も押せ押せの中でスプリンターズS路線で健闘していましたし、そこにピークをぶつけられるなら面白さはある馬だと思っていますので、改めて次走の巻き返しに期待ですね。
posted by clover at 05:10| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください