2017年04月06日

2017 桜花賞 プレビュー

**★はじめに**

 いよいよ春の三歳クラシック第一弾、桜花賞が開催されますね。
 今年は桜の開花も遅かったので、文字通り満開の桜の元でのレースになりそうです。
 巷間噂される通り、今年の三歳勢は非常に牝馬にタレントが揃っていて百花繚乱の趣き、目玉の一頭となるファンディーナこそ果敢に皐月賞挑戦を決めたものの、それ以外のマイル戦線での有力馬はしっかり顔を揃えてきました。

 ここまでの前哨戦もどれもか例年の水準を凌駕する高レベルで展開されていますし、非常に楽しみな一戦になると思います。
 個人的にもクラシック路線に関しては、適性判断が難しい三歳戦だからこそ、この本番に向けて出来る限り丁寧に下級条件戦などの回顧を積み上げてきたので、その真贋が試される、というところで力は入りますね。

**★レース傾向分析**

 かつては阪神マイル戦は、中山マイルと同じく外枠不利が著しいコースでしたが、2006年の改修により非常にフェアな、強い馬が力を出し切れるコースになりました。
 勾配としては、スタートから1000mはほぼフラット、残り600mから200mまでで2m下り、そしてそこから一気に2m上るレイアウトになっていて、坂の下り地点から一気にペースが引き上げられやすいです。その分後ろからの馬がエンジンをかけやすく、スピード型よりは瞬発力・持続力型の馬の方が強さを発揮しやすい舞台だと思います。

 桜花賞という単独のレースで見れば、丁度2007年から10年間の蓄積があるわけですが、特色としてはコース傾向よりなお明らかに差し追い込み馬の勝率、複勝圏率が高い事だと思います。
 非常に府中の2400mにリンクしやすいところも含めて、どちらかと言うとマイルベストの馬より、もう少し長い距離がベストの馬が、絶対能力にものを言わせて後半要素で圧倒してくる舞台です。

 過去10年の平均ラップを見てみると、35,1(11,7)-24,1(12,05)-35,1(11,7)=1,34,3(11,79)と、綺麗な平均ペースになっています。
 まあこの中にはレッツゴードンキの年の鬼畜スローなんかも混ざっているので、もう少し前傾寄りと見立ててもいいと思いますが、基本適度に流れて中盤で一息入り、600mからペースが上がって瞬発力を問われる持続力戦、坂の上りでの消耗でバテずに差し込んでくる馬が強い形ですね。

 勿論前目からでも高い総合力を持って粘ってくる馬はいますし、強い馬でも最後方からどっしりだとかなり僅差になってくる中で、後続としてはある程度中盤の緩みで取りつく意識が欲しいですし、前目の馬はペースをしっかり引き上げて1600m全体の速度勝負に持ち込みたいところです。

 さしあたり現状の外回りコースはまだ高速状態を保っているので、週末に渋りがなければ順当なら1,33,5前後、ペース次第では桜花賞レコード(1,33,3)の更新も充分に考えられる馬場かなと思います。メンバーのレベルも高いですからね。
 そうなると上記の平均ラップ、前半59秒そこそこで入ってもまだスロー気味、というバランスにはなってきて、より瞬発力と持続力の性能が強く問われる可能性は高いと見立てています。
 特に後ろから行く馬は持続力だけでなく、直線入り口付近からの最速地点で少しでも前を詰められる瞬発力の質の高さも求められる、と考えたいですね。

**★有力馬所感**

・ソウルスターリング

 フランケルの初年度産駒という事でデビュー前から注目を集めていた同馬ですが、ここまでの戦績はその期待すらも凌駕する素晴らしいものになっていると思います。
 文字通りテン良し中良し終い良しを地で行く感じで、ペースが上がっても楽々追走してしっかり切れ味と持続力を発揮してきますし、後半勝負になっても水準以上のものを兼ね備えています。

 アイビーSまでと、阪神マイル戦ふたつを比べてみると、どちらかと言えばペースが上がったほうがより強い、という印象ですが、昨年のメジャーエンブレムのようにペースをコントロールされると脆い、というほどの事はなく、ある程度上がり勝負になっても対応してくるでしょう。
 ポジショニングも非常に上手いですし、ルメールJも去年の忸怩たる思いがあるでしょうからその点は慎重に、かつ大胆に入ってくると思えますので、現時点では死角らしい死角はない、と見ていいですね。

 強いて崩れる可能性を考えるなら、それこそ去年のメジャーエンブレムのように内枠で包まれてペースをコントロールされて動けないパターンか、或いは枠の並びの関係で下げるに下げられなくて激流に付き合わされるパターンくらいしかないと思います。
 後は繊細な三歳牝馬だけに、この短期間での二度の輸送がどうか、その辺は当日の気配を見ないと何ともですが、真ん中からやや外くらいの自在性のある枠を引ければ鬼に金棒、戴冠の確率はかなり高いと踏んでいます。
 厩舎の偉大なる先輩、ダンスインザムード以来の無敗の桜花賞馬の誕生が大いに期待できますね。

・アドマイヤミヤビ

 レース全体が流れてのスピード勝負のマイル戦でどうか、という部分で前走は半信半疑でしたが、ここで予想以上の強い競馬を見せて、マイル戦線でも堂々二番手の地位にまで上がってきたと思います。
 この馬の持ち味は3Fしっかり11秒前後の速い脚を持続出来るところで、特にラスト200mで手前を変えてからの迫力のある伸びは圧倒的な素材性を感じさせるものです。

 追走面は前走でほぼクリアしたと考えていいですが、弱点としては一瞬の切れ味、瞬間最大のスピードはそこまででもないところですね。
 例年の桜花賞レベルならこの馬で余裕で差し届くと思うのですが、今年は前につけられて、同じくらいしっかりと持続力を引き出してくるソウルスターリングという怪物が待ち構えています。
 勿論ポジショニングの分だけラスト200mでの持続力そのものはこちらの方が上と思いますが、それだけで差し込めるか、というと心許ないものがあります。

 今回はテン乗りデムーロJですが、このチョイスは中々にベストかな、とは思えます。
 去年のジュエラーもそうですが、残り1000mあたりからじわっとポジションを押し上げながらエンジンをかけていく、そういう勝負に行く騎乗をさせれば天下一品ですし、まずバテないこの馬の力を出し切らせるにはそれが最適でしょう。中盤の緩みにソウルが付き合っているところで上手く差を詰められるかが、最後の勝ち負けの成否を分けると思います。

 その視座で言えば出来る限り外枠の方がいいと思います。
 内枠を引いたら一旦かなり下げて、という形になりかねないので、そのあたりで評価をしっかり上下させていきたいところです。
 現状おそらく本命はソウルに打つと思うのですが、並び次第でこの馬になる可能性も多少あるかな、とイメージしています。ただこのレースから直行組が、勝ち、という観点ではマイナスになる部分も含めて難しい判断になりますね。

・リスグラシュー

 前走は休み明けとは言え、後ろから差される形になったのは少し不甲斐無かったです。
 結果的にこの馬は、高速馬場でのマイル戦になるとほんの僅か、総合的なスピード能力で上位に劣ってくるのかな、と感じました。
 無論追走面で無理をしなければ、叩き二戦目の今回はしっかり持続力を引き出してこられると思いますが、この馬もミヤビ同様、一瞬の質はそんなに高くないので、ポジションを犠牲にすると食い込んではくると届かず、の2~3着バターンが濃厚で、上位メンバーがしっかり力を出せば今回は圏外も有り得るかな、と考えます。

 この馬が勝ちまで見込むとするなら、ある程度渋って1,34,5くらいの勝ち時計になる、その上で速い流れになるパターンくらいかなと思いますが、現状後ろから行く組としては、どういうコンディションでもミヤビよりは一枚下、という見立てです。
 こちらも外枠が引ければそれに越したことはない、と思いますし、上2頭が内枠でやや動けなくなる、くらいの恩恵がないと良馬場では頭では狙いにくいですね。

・アエロリット

 この馬は非常に高い総合力があり、そして好走スポットが素晴らしく広いです。
 前走までは超スローか超ハイしか経験していなかったのでまだ見えないところもありましたが、クイーンCで平均的な流れから後半要素をバランスよく問われる中で、更に一段以上パフォーマンスを上げてきました。
 確かにミヤビには完敗でしたが、前走は出遅れからのリカバーもありましたし、ラスト200mで全開になったミヤビに対してあそこまで粘れた持続力は高く評価できます。

 かつこの馬は本来テンのスピードも豊富に持っていて、追走力という観点ではメンバー屈指の質を備えています。
 おそらく勝ち負けまで見込める有力馬の中で、ソウルより前で展開できるとしたらこの馬くらいですし、速い流れにある程度乗っかっていく、或いは自身で前をつついて厳しい流れを演出する事で、マイル全体のスピード勝負に持ち込んでくれば面白いです。
 特に多頭数ですので、差し追い込みには不利が付きものでもありますし、その意味でこの自在性、追走力の裏付けがある先行力は大きな武器になってくるでしょう。

 ソウルに勝ち切る、という観点でも、あの馬より前にいないと、というのは正直ありますし、極端な外枠とかを引かなければ今のところ単穴候補筆頭として考えています。

・カラクレナイ

 フィリーズレビューではレーヌのボーンヘッドがあったとはいえ鮮烈な差し切りを見せました。
 レース水準で言えば時計はかなり優秀ですし、本来先行型が強い舞台で、ハイペースで追走力もかなり問われながら、後ろからしっかり持続力を引き出し差し込んできた点は高く評価していいと思います。

 ただレース自体は中盤で大きな緩みがあったところで、デムーロJらしく上手く取り付いてきたのが功を奏しています。
 今回は田辺Jということで、タイプ的には似たような、しっかり動き出しを意識してくれる騎手なのでその辺はいいのですが、この馬はミヤビやリス以上にまだ瞬間最大の速度の天井が未知数です。
 1400m戦で追走に忙しい中で、持続力は引き出せているものの、明確に11秒そこそこの切れ味はみせていないので、要所でそのくらいのレースラップは踏んでくる、と見做すなら厳しさはあると思います。

 レーヌ比較でも最上位には少し足りない、とは考えられますし、追走が楽になる中でポジショニングと切れ味の質を高めてくる、というプラスアルファを見込めるかどうか、それがクリアできれば圏内食い込みはあるかとも思いますが、現状では重い印はまず打たないでしょう。

 この馬としては、全体が46-47くらいのハイバランスになって、追走力を問われて後半の切れ味が多少なり問われない展開が望ましいですかね。
 ショーウェイあたりが展開の鍵を握ると思うので、アネモネSのようにぶっ飛ばしてくれて、馬群全体がそれについていく形になればチャンスは大きくなると思います。
 スローからの後半特化では流石に素材的に足りないでしょうし、ロゴタイプなんかもそうですが、ローエン産駒は追走力を高く問われたときの方がパフォーマンスがいい、とは頭に入れて、ハイで決め打つなら浮上させるのがいいんじゃないでしょうか。

・ミスエルテ

 同じソウル産駒でソウルと比較される事も多いですが、ここで気性を踏まえてのぶっつけを選択してきたことも含めて中々に容易ではありません。
 現状のパフォーマンスだけで見るならば、新馬戦での持続力ではもう一歩、ファンタジーでも結局ショーウェイ・ディアドラのアネモネでも勝ち切れない組が上位ですし、朝日杯4着も牡馬のレベル、1,2着のスプリングSの結果を見るに評価は出来ません。

 色々未知数な部分もあり、その辺の成長があればとは思いますが、追走力にも課題がある、気性的に位置取りも後ろになりそう、後半要素でも圧倒するものはない、となると、正直ここでは変に穴人気するならバッサリ切ってしまいたい一頭ですね。

・レーヌミノル

 前走は明らかに仕掛けのミスで、もう少しゆったり回ってくれば普通に勝てたレースだったなと思います。
 ただ結局この馬は、前走もかなりのハイペースになってくれたことで総合力を引き出せましたし、後半要素では上位に太刀打ちできないのは明白なので、ここでも溜める競馬でなく、ある程度はペースを作っていく意識が欲しい馬です。

 今回は蛯名Jに乗り替わってどういう競馬を選択するか読みにくいので、戦前の陣営コメントなども注視したいところですが、基本は前でハイペースを演出して粘り込みたい、となるでしょう。
 ただ同系色のアエロリットの方が総合的に一枚上の競馬をしていますし、ソウルも速い流れで悠然と構えて後半を引き出してくる馬なので、どう転んでもこのコースでは掲示板止まりじゃないかな、と感じています。
 馬自身は非常に堅実で頑張り屋なので、大きく崩れることはないでしょうが、圏内と考えると有力馬が1~2頭力を出し切れない、というパターンが必要になってくると思いますね。

・ミスパンテール

 夏の札幌の新馬以来のチューリップ賞で、リスグラシューを差す脚を見せて衆目を驚かせました。
 ダイワメジャーの仔なので、全体にスピード色が強まっての差し脚、という点で良さが出たと思いますし、叩き二戦目での上がり目もそれなりに期待は出来ると思います。
 ただし多頭数競馬ははじめてですし、前走もソウルには完敗ですので、その力関係を覆すのは当然容易ではなく、ここは乗り方に工夫がいるでしょう。四位Jならではの外ぶん回しでははっきり足りないと思いますし、インからスルスル、という伏兵らしい競馬に徹してきた時にはちょっと怖さはあるかもしれません。

 どちらにせよまだキャリア2戦で、瞬発力の質はそれなりに持っている馬とは前走で見えましたが、器そのものは測り切れていないので、今回の取捨で一番判断に困る馬ではありますね。

・ライジングリーズン

 中山二戦は強い競馬で、ハイペースを敢然と追いかけた分があるとはいえ、アエロリットを差し切っているのは普通に評価できます。
 ただ大きく崩れたアルテミスSなどを見ても、上がり時計に限界のあるタイプなのかな、というイメージは払拭できません。
 かつ中山で最大の武器になるコーナー加速も、多頭数の阪神外回りだとあまりアドバンテージになってきませんし、切れ味という観点では未知数、と言いたいですがおらそく水準レベルしか持ち合わせていないと思うので、いずれにせよ良馬場では厳しい戦いになるでしょう。

 例年のアネモネS勝ち馬よりは強いと思うのですが、上位食い込みがあるなら適度に渋って上がりがかかるレースになった時のみ、と考えていいと思っています。

・ジューヌエコール

 この馬は非常に質の高い追走力とポジショニングの巧さを兼ね備えています。
 前走も直線入り口でレーヌにカットされる致命的な不利がありつつ最後までジリジリ伸びてきており、流れたレースでの一脚には魅力があります。
 デイリー杯勝ち馬ですが、むしろあのレースでは本領は発揮できておらず、ポジショニングの良さで勝ち切ったと判断していて、ここで上位に入ってくるならば内枠、ハイペースの二つの条件が必要だと思います。

 折り合い面でもやや難がある馬ですし立ち回りが難しいですが、条件が嵌れば内からスルッと抜け出してギリギリまで粘り込むシーンがあってもいい馬ではないかと評価しています。
 無下に取り捨てるのではなく、枠の並びでの展開・ペース予想をしっかり吟味した上で扱いを決めたい馬ですね。

**★思い出の桜花賞**

 いつかグレーターロンドンの記事でも触れましたが、私はロンドンブリッジのレースぶり、特に桜花賞が素晴らしく好きでした。
 常に外連なく正々堂々の逃げを展開しつつ、このレースではコーナーで僅かに息を入れて直線で瞬時につき放す味のあるレースを見せており、完璧に立ち回ったファレノプシスに差し込まれたものの、その健闘は印象的な実況と共に深く脳裏に刻まれています。

 余談ですがこの馬が好きになりすぎて、当時プレイしていたダビスタで父ドクターデヴィアス縛りとかやってました。。。あいつ種付け料たっかいくせに、全然強い馬出さないからストレスがたまったものです(笑)。実際に他に有力馬は、と考えても全然思い浮かびませんしねー。

 後は新装阪神初年度のダイワスカーレットですかね。
 完全にウオッカ一色の中で、色々な意味で完璧な立ち回り、戦略でウオッカを封じ込めてみせたレースぶりは改めて見ても唸らされますし、本質的にはマイラーでないダイワで、本質マイラーのウオッカを退けたのは、舞台性を考えてもやはり凄みがあったなと思いますね。
posted by clover at 13:40| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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