2017年04月06日

2017 大阪杯 レース回顧

 好天に恵まれたGⅠ昇格元年の大阪杯は、あえかに蕾を開き始めた桜をバックに、今こそが競走馬としての花満開、とばかりに、昨年の年度代表馬キタサンブラックが漆黒の馬体を弾ませ、早め先頭の横綱相撲で堂々と押し切りました。詳しくレースを振り返っていきましょう。

 まず馬場状態ですが、ちょっと外回りと内回りで回復の段階が違う感もあり、おそらく予想よりは乾き切らなかったのではないか、と思います。
 騎手の意識も戦前の予想よりは全体的に後ろ寄りだった感じはありますし、時計そのものは出るけれど、一定以上のパワーは要求される状態だったのではないかと感じましたね。その中で58秒台に入ってきたのは流石の好メンバー、と考えていいでしょう。

 展開は衆目の予想する通りにマルターズアポジーが強気にハナ、ロードヴァンドールも好スタートからスッと番手を取りに行きます。
 逆にキタサンブラックは珍しく一歩目がちょっと遅くて、ある程度仕掛け気味に三番手を取りに行きますが、その外で好スタートを切ったサクラアンプルールがそれに被せるような形で攻めていき、サトノクラウンも手綱を扱いて積極的なポジショニングとなります。

 インからはステファノスが、これまたかなり強気に手綱を動かして前目、キタサンの真後ろのマークポジションを取りに行き、内枠勢ではミッキーは五分には出たものの出足に鋭さはなく結局後方となります。
 外枠の有力馬の中では、ヤマカツが一番綺麗に出て枠なりにスッと内目に寄っていって中団の後ろ、ダッシュ一息のマカヒキは後方三番手で、アンビシャスは折り合いに専念しつつそのマカヒキを徹底マークする作戦に出ていた、と思います。
 結局最初のコーナーを回ってマルターズアポジーが4~5馬身離しての逃げ、番手に単騎でロード、その2馬身くらい後ろからキタサンとサクラが並んで三番手、それをマークする位置にステファノスとサトノクラウン、という隊列になりました。

 ラップは、35,5(11,83)-48,1(12,02)-35,3(11,77)=1,58,9(11,89)という推移になりました。
 レースラップそのものはきっちり平均で淀みも少ない形ですが、実質キタサンの位置で1秒くらいは離れていたので、キタサン自身の推定はハーフで60,6-58,3と実際はかなり後傾寄りのラップを踏んでいると思います。
 そこから前の動きに合わせてじわっと引き離していくところで、このペースでも追走力にやや難のあるタイプはピッタリマークは出来ずに馬群がばらけ気味になり、その上でキタサンはコーナーの中間あたりから二段階目の本仕掛けを敢行します。

 大体前との距離で測る限り、800-600m地点ではほとんど差を詰めていなくて、ラスト200mはこの馬のラップなので、ラスト4Fの推定は11,8-11,2-11,1-12,0くらいになっていると考えられます。
 これはほとんどJCを勝った時同様の、追走力を後続に強いつつの3F持続力戦になっており、実にこの馬らしいタイミングでの仕掛け、完璧な脚の使い方だったとは思いますね。

 今日のキタサンの完勝の理由としては、まず馬場が完全に回復しきらず、ある程度パワーを要求される中で他の切れ味が削がれてもこの馬は、というのはあったと思います。
 その上で、もっと前がガンガン飛ばす可能性も見ていたのですが、マルターズアポジーの位置で丁度平均くらい、となると実質的には後ろから捲ってつつけない程度のスローにコントロールし、後半の二段階ロンスパでしっかりセーフティを作っていくという、この馬の一番得意な形に持ち込めたわけですね。

 ただ結局後続勢はあれ以上この馬場で動く選択は取れないという中、この位置で追走面でも余裕綽々、しっかりバランスよく切れ味と持久力を引き出してこられるのは流石の一言ですし、57秒台決着とかですと流石に危うさは出てくるでしょうが、今日に関しては盤石の強さだったと思います。
 馬体的にも威風堂々ではありつつ、まだ多少は余裕を持たせた感はありましたし、次の天皇賞・春、改めてのサトノダイヤモンドとの頂上決戦第二幕が今から楽しみで仕方ありませんねー。

 2着のステファノスは、それをやって欲しい、と私が戦前に考えた通りの完璧なエスコートをしてくれたと思います。
 出足そのものは鋭くないですが、キタサンがインを取りに行くわけはない、と見越すならばその直後を一番狙いやすい馬ですし、そこを意思を持って取り切った、この時点で個人的に喝采でした。
 ポジショニング自体はやや強引にいかないとスムーズには取れない馬ですが、追走力自体はこのメンバーの中では上位の質を持っていると思っていたので、キタサンが動くのに合わせてこの馬だけしっかりついていけたのも見事でした。

 流石に総合力でキタサンには完敗ながら、持ち前の持続力を存分に生かして最後まで坂で踏ん張り切り、後続の差し込みを抑え込んだのは強い競馬だったと思います。
 どうしてもタイトルには恵まれない馬ですが、ベストディスタンスの秋天は二年連続外枠が厳しかったわけで、今回の様に好条件が揃い、かつ相手関係的に恵まれてくれば悲願の達成はあっても不思議ない馬だと改めて感じましたね。ともあれこれは本当にいい騎乗でした。

 3着ヤマカツエースは、やっぱり馬が充実期に入っているな、とは感じさせる走りでしたね。
 外枠だけに無理してポジションは取れない中でも、しっかりリズムを守りつつじんわりと進出していって、コーナーでキタサンが上記のラップですから、より速い脚での押し上げを余儀なくされる中でもロスを少なく、綺麗なエスコートで直線まで持ってこられたと思います。
 やはり今だと全体的にスローで入って後半勝負の方が合うんだな、と改めて思わせる脚勢で詰めてくるものの、前2頭の持続力もかなり高いのでこれはやむなし、の3着と思います。こういう言い方はどうかとは思いますが、多分ステファノスと枠が逆なら着順も、というくらいの力関係ではあるでしょう。
 夏場は弱いからここがメイチ仕上げ、という話でしたし、しっかり休養して秋にはまた強い姿を見せて欲しいですね。

 4着マカヒキは、まず予想以上にポジショニングで苦労したな、というのがあります。
 多分この馬は高速馬場巧者なので、今日の完全な良ではない状態で難しさはあったと思いますが、それでもあの位置では当然ながらキタサンマークなんて夢のまた夢ですし、戦前のコメントからも最低限ヤマカツくらいの位置には入ってくれると思っていたんですけどね。
 といって自分からロンスパを仕掛けていくタイプではない(馬も騎手も)ので、流れの中で結局最速地点で一気の追い上げを求められてしまいましたし、結局それ故に最大の武器の一瞬の爆発的な切れは引き出せなくジリジリ、となってしまいました。

 同じく外枠から後ろの位置取りになったヤマカツやアンビシャスに上がりで劣っているように、タフな馬場だと切れ味も持続力も引き出せないのが如実に見えてしまったので、今後は狙いどころを絞っていくべき馬になってしまうのかな、と感じます。
 ただ追走力的な面で、これ以上の距離短縮が向くか、は微妙で、現状最大のチャンスは秋の天皇賞になりそうですね。高速馬場でなら坂加速の鋭さも持っている馬なので、と思いますし、しかしなんかこの馬も来年ドバイターフに出てそうな気がするのは私だけでしょうかね。。。

 5着アンビシャスはまぁこのポジションでは流石になぁ、となりますね。
 ただマカヒキマークになるだろうことは予想の範疇でしたし、思った以上にマカヒキがテンで置かれてしまって、それに付き合う形になったのが致命傷なのかなと。
 この馬自身は上がり最速で、後半1000mは57,5くらいの質の高い持続力を見せてきているのですが、この馬には追走力があり、このレースなら中団くらいからでもそこまで後半削がれる事なく長い脚を使えると見込んでいたので、いつもながらに勿体ない競馬になってしまったと感じます。
 ただテン乗りでこの枠、隊列がスッと出来てしまった事も含めて自分から動ける所でもなかったですしやむを得ないですかね。この馬も本当にもどかしいです。

 6着サトノクラウンは、どうしてもスピード決着だとこうなるのかな、という限界を改めてみせてくれたと思います。
 仕上げ自体は確かにピカピカで研ぎ澄まされていたのですが、実質かなりスローのキタサンマークでも追走力面で少し危うかった感じで、それを察知してかキタサンがじわっと離していくところで一旦待って脚を溜めた分だけ、直線入り口で一瞬いい脚を使えたのでしょう。
 でもそうやって持続力の範疇での脚を使うとすぐガス欠するのも見ての通りで、良馬場だと結局2400m以上は欲しいな、と言うしかないですかね。
 レース選択自体は馬主の権限でしょうからなんともですけど、やっぱりシーマクラシック使って欲しかったですねこの馬は。あのレース、あの馬場なら、体調さえ万全なら普通に勝ち負けできたはずなんですけどねー。
posted by clover at 13:40| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください