2017年03月23日

2017 大阪杯 プレビュー

**★はじめに**

 さて今週は、今年からGⅠに昇格した大阪杯が行われますね。
 春の中距離路線の大レースがない事を受けて創設され、春古馬三冠ロードとして新たに確立されたものの、現時点ではそのろせんを目指すと公言しているのは昨年の年度代表馬・キタサンブラックのみ。
 戦前からの懸念通り、他の前哨戦やドバイを使う陣営も多く、せっかくGⅠ昇格を果たしながらも登録段階でフルゲート割れ、その内ディーマジェスティは日経賞に使っているので最大でも14頭立て、と、その点はやや寂しさを感じさせます。

 ただ元々ここは強い馬のステップレースで、少頭数になりやすい舞台でもありましたし、今年は中々に豪華なメンバーは揃っています。
 GⅠの冠に相応しい熱戦が繰り広げられるのを、ワクワクしながら待ちたいところです。

**★レース傾向分析**

 昨年まではGⅡであり、ここが目標、メイチという馬も少なかったことから、傾向がそのまま鵜呑みに出来るかは難しいところですが、一応の基本的な考え方の礎として、さっくりと触れていきたいと思います。

 まずコース形態としては阪神の内回りコース、2000m戦になります。
 スタートしてすぐにゴール板前の坂が待ち構え、それを超えるとすぐに1~2コーナー、というレイアウトから、あまり前半からペースが上がっていくイメージは薄いコースになります。
 実際に過去10年、馬場差はあっても前傾バランスになったのがたった2回、絶対的な速度で前半1000m60秒を切ってきたのも2回だけで、基本的にはスローで入るレースになっています。

 向こう正面からじわっと引き上げられて、直線も350mあまりとやや短いので、後続は3~4コーナーではエンジンをふかして進出してきます。
 なので形としては速い脚が分散されてのロンスパ的な展開になることは多いですが、前半のペース次第では後半の勝負所で二段目の加速、かなりの切れ味と持続力を問われる事になります。
 まとめると、前半ある程度流れれば後半はロンスパ高速持久戦、スローからだと二段階加速持続力戦が、特に上級条件では高い確率で起こるコース、と見ていいのではないでしょうか。

 今年はまず、馬場的には昨日までの感じを見てもまだ高速状態は保っていますし、週中の雨があっても一気に悪化する事は考えづらいです。
 かつ今年はマルターズアポジー、ロードヴァンドール、キタサンブラックというテンに速い逃げ候補が揃っています。
 アポジーは前走でハイペース逃げに開眼して、今回もそれを踏襲してくる可能性は充分あり得ますし、キタサンも去年はテン乗りでスローに落とし過ぎ、ラストの持続力でやや見劣るという結果、その後のレースぶりを踏まえても、前哨戦とはいえ極端に遅くしてくる可能性は低いでしょう。
 
 なので今年は、GⅠ昇格年度という事もありますしある程度タフな流れ、アポジー次第では前半58秒台後半、キタサンの位置でも60秒を切ってくるくらいのペースを想定しておきたいですね。
 その上で今の馬場ならレコード、とまではいかなくても、1分58秒台前半から半ばには入ってくるメンバーだと思いますので、後半でも極端ではないにせよ直線入り口辺りで11秒前半の切れ味を求められることになるかな、と考えます。
 ある程度ついていくならそれなりの追走力は必要ですし、後ろから押し上げていくなら良質な持続力と切れ味、パワーも兼備した馬が望ましい、という見立てになるでしょうか。

**★有力馬所感**

・キタサンブラック

 常に王道路線をひた走りながら、ほぼ崩れるところのない万能馬、既に王者の貫禄は充分に纏って、今年も春の仁川を始動戦に選びました。
 現状の能力分析的に見ると、ベストの距離は2400m前後かな、とは思いますが、非常に好走スポットの広い馬なので、当然ここでも軸馬としての信頼度は抜群、この馬を負かしうるとしたら、という観点で予想を組み立てるべきでしょう。

 今回は逃げ候補が他にもいて、ある程度それについていく形になるかなと思いますが、昨年の宝塚記念でハイペース適正は証明済みですし、自身もはっきりスローからの持続力戦よりは、全体のスピードを生かしての持久力勝負、仕掛けどころを遅らせての出し抜きがより強力な武器になってきますので、そういう形になるようにレースを支配したいところです。
 前にいるであろうアポジーも軽視は出来ないのですが、ペース判断には長けた武Jだけに、この馬自身で59,5-59,0くらいの絶妙なバランスで入ってくれるかな、と思いますし、前哨戦仕様でもまず勝ち負けになるでしょう。

・マカヒキ

 昨年秋の凱旋門賞惨敗からリズムの狂った、タレント豊富な強い世代のダービー馬・マカヒキが、捲土重来を胸に現状のべスト距離だろう2000mで復権を目指します。
 前走京都記念は、かなりのタフな馬場で持ち前の切れ味が発揮できなかった印象ですので、まずは良馬場、高速馬場を期待したい、ということにはなります。

 その上で、今回のレースにおいてのこの馬の立ち回りのポイントは、どのポジションで競馬をするか、という点になります。
 秋の凱旋門賞や前走を見ても、春シーズンに見せていた出足の鈍さは比較的解消されていて、今回のメンバー構成ならその気になれば中団から前を確保する事も不可能ではないと思います。
 当面の最強のライバルが、前でレースを支配するキタサンという点を鑑みても、ダービー馬の沽券にかけて負かしに行かねばならない、と考えてそれを射程に入れる位置でレースをしてくる蓋然性はそれなりに高いでしょう。

 ただ結局のところ、この馬は良馬場でも前半あまり無理が効かないタイプではないか、という懸念はあります。
 ハイペース展開だった皐月賞でも自身の通過は60秒前後、ダービーはよりスローの展開の中で、持ち前の切れ味と持続力を遺憾なく発揮したという経緯を冷静に見ていくと、レース全体がスロー気味に落ち着けばいいですが、それなりに流れる中で早め早めに押し上げていく形で良さが出るか、は頭の片隅に入れておきたいところです。

 無論良馬場、距離短縮はプラスに働くと思いますし、コーナー加速自体はそこまで上手い印象でもないですが、脚を溜められればそれを補ってあ余りある瞬発力の質と持続力を備えているので、それが十全に発揮されればキタサンを差し切れるだけの絵図は作れる馬です。
 だから切り捨ては勿論出来ないですし、ただ枠の並びや馬場など細かい部分を勘案しながら、どのくらいの印を打つべきかはギリギリまで悩みたい一頭になりますね。個人的には、今回はあまり前に行かず後ろで自分のリズムを守ったほうが好走確率は上がってくると考えています。

・サトノクラウン

 昨年末の香港ヴァーズで、マジック炸裂の恩恵もあったとはいえ強敵ハイランドリールを撃破、年明け初戦の京都記念も馬場を味方にマカヒキを撃破して連覇達成と、ここにきてようやく本格化、軌道に乗った感のあるサトノクラウンが、余勢を駆って大阪杯初代王者の地位を虎視眈々と狙ってきました。

 今の充実度は確かに認めるところなのですが、適性判定の面からみると、今回の条件は決してプラスには転じない、と考えています。
 以前にも折々に触れていますが、この馬は前半無理をすると後半の持久力がかなり削がれてしまう、総合的なスピード色が薄い馬です。
 状態は悪かったにしても、全く勝負にならなかった二回の秋天、重い馬場でもハイペースで流れて持ち味が殺された宝塚記念、無敗で挑んだ皐月賞にしても、要所で外々をぶん回す不利があったとはいえあそこまで負けるのは、突き詰めれば追走力不足、スピード不足が根幹にあったと感じています。

 なので、ここで1,58,5前後の時計勝負になった時に、前目につければ追走力不足で足りない、後ろからでも瞬発力の質と持続力で足りない、となる可能性がかなり高いのではないかと見ています。
 まして強気なデムーロJで、先行策で結果を残していますから、ここでもある程度は前目を意識したレースプランを組み立ててくるでしょう。そうなると尚更に追走で苦しむと感じますし、この条件に関しては、むしろデムーロJだからこそ消せるパターンなのではないかと、怖さはあれ現状は印を回す気はない一頭です。

 というより、この条件でネオリアリズムのほうに乗っていたら相当に怖かったんですけどね。
 馬場や距離を考えても、この馬はドバイシーマなら勝ち負けだったろうになぁ、と思うのですが、まあそこは素人考え、馬に関するプロが選んできたローテーションなので、ここで今までの弱点を克服し更なるステージに上がっていけるか、その意味では試金石的な一戦にもなると見立てています。

・アンビシャス

 去年はスローペースの中、外からじわっと押し上げて番手マークという奇策でキタサンを撃破したアンビシャスが、春の大目標としてここを選んできました。
 前哨戦の中山記念は、前半超スローから、後半1000m57,5という高速ロンスパ戦の流れの中で、位置取りの差でどうしようもなかった結果ではあり、あまり悲観する内容でもなく、能力落ち自体はないと見ていいと思います。

 元々スローの流れを質の高さや持続力の高さで問答無用に捻じ伏せるタイプではなく、本質的には総合力で勝負したい馬になります。
 古い話ですがラジオニッケイ賞あたりでは、淡々とした速い流れに乗って、後半一切ラップを落とさない強烈な持久力を見せていて、トップギアまで引きあげてしまうとあまり持続しないながら、11,5くらいのラップを長く踏み続ける能力に関しては相当のものを持っています。

 基本ここまでの戦績的に、GⅠではちょっと足りない典型的な馬になりかかっていますが、レース全体が平均的に流れていく中で、スタートが上手い福永Jでスッと中団くらいを確保できれば、ここはかなり面白い条件になってくるのではと、今のところ印は必ず回すつもりでいる馬です。

・ヤマカツエース

 年末と年明けの金鯱賞を変則連覇して意気揚々とGⅠの舞台に登壇するヤマカツエースは、馬体も増やして筋骨隆々、正にキンカメ産駒らしい充実期、絶頂期に入ってきたのかな、と感じさせます。
 好不調の波が激し過ぎるので、今に至っても適性が綺麗に見極められない厄介なタイプになりますが、時計の出る良馬場、という条件で考えた時に、この馬はどちらかと言えばスローからの後半持続力勝負でいいものを見せてきています。

 昨年の鳴尾記念があまり良くなく、綺麗な平均ペースで中盤も緩まない流れの中、外から勝負に行ったとはいえ直線の反応は乏しく、あのイメージからするとあまり流れを追い掛けない方がいいのかな、とも感じます。
 一方で重い馬場でなら前傾ラップでの消耗戦でも結果を出しているので、絶対的な速度としての追走力に壁のあるタイプ、という判断を今のところ下しています。

 なので今回想定される展開の中では、ある程度前半はゆっくり構えての後半勝負、という形が好走の為のファクターになってくるかな、とは思います。
 ただこの馬は持続力は高いですが、一瞬の質はさほどでもないので、あまり下げ過ぎると前に取りつく、追いつく地点がない競馬にもなりかねず、そのあたりのバランスの取り方が難しい一頭になるでしょう。

 雨が降って重くなれば、サトノともどもプラス条件に転じると思いますし、良馬場ならロスなく運べる内枠が欲しいな、と思う馬ですね。

・ステファノス

 この馬も後半の持続力が最大の武器なので、全体で流れるレースだと離され過ぎて届かない、といって前目を狙うと甘くなるという難しさがあります。
 去年の鳴尾記念も、いつもの前哨戦仕様とはいえ平均ペースでインを上手く立ち回ってもサトノノブレスに見劣るレベルですし、叩き二戦目の上昇はあれ、ここで勝ち負けまで持ち込むにはかなり展開利が欲しいですね。前がやりあって仕掛け自体が速くなるとか、この馬のエンジンを早めに全開にしていける条件になれば、とは思いますが、同型馬もかなり強いので評価に悩む一頭です。

・ミッキーロケット

 この馬は昨秋からの躍進を総括的に見ると、距離が伸びて持久力を強めに問われる条件で安定してきた、という考え方は出来ると思います。
 本格化前の夏の北海道戦でも、2000mでスローなら勝ち切れる、けど全体に流れると甘くなるところは見せていて、正直個人的にはこの距離短縮がプラスに働くとは思っていません。
 日経賞のシャケトラが強かったのでこの馬も、と票は流れそうですが、あれも持久力特化の舞台で適性を強めてきた感は強いですし、戦うべき土俵が違う、と見做したいですね。

 前走でも大きく出遅れたようにポジショニングの不安も解消はされていませんし、ある程度馬場が渋ってこない限りは印を回さないつもりの馬です。
 勿論4歳の成長力は侮れませんし、ここで適性の幅を広げてきたら天晴れ、という話ですが、ここまでの足跡を見る限りでは、2000mのスピード勝負では足りないと思います。

・マルターズアポジー

 有馬記念こそ高い家賃を払う羽目になったものの、その前後では常に逃げて後続をコーナーで出し抜き振り切る強い競馬を見せているマルターズアポジー。
 特に前走は圧巻で、それまでは平均かややスローに支配して、後半の持続力をワイドに引き出す展開を作り出していくのが勝ちパターンだっただけに、あんな一貫したスピード特化、消耗戦に持ち込んで強いとはと驚かされました。

 ロードヴァンドールもそうですが、今までにない適性の舞台で好走してきた時は成長が見込めると思えますし(金鯱賞で無印にした上では後出しもいいところですが)、ここでもキタサンが後ろのライバルを牽制する意味で前に楽をさせてくれたら、意外としぶとい粘り込みがあっても不思議ではないと感じます。

 適性的にもハイペースに振れにくい阪神2000mは悪くないと思います。
 前走ほど飛ばさずとも前半59秒ちょいくらいで、3コーナーからじわっと引き上げていく強気のレースメイクが出来れば、キタサンを慌てさせられると思いますし、上位馬の大半に追走力面で不安がある条件ですから、玉砕にはならないギリギリのライン、肉を切らせて骨を断つ的な戦法で挑んで欲しいですね。

**★思い出の大阪杯**

 これはもうダイワスカーレットに尽きるなぁと。
 古馬初戦にこの舞台を選び、牡馬に序盤からかなり厳しいマークを受けながらも、直線向いて強靭な粘り腰を見せ、着差は僅かながらどこまで走っても交わされない、と感じさせる圧巻の強さでした。
 ペース的にも59,1-59,6と、今年GⅠであるならこのくらいにはなって欲しい、っていう、他とは一線を画した素晴らしいラップを刻んでいて、かつラストの3Fも11,5-11,6-11,7、坂地点での減速がほとんどない、底力を証明する勝ち方です。

 今年のキタサンならこういうレースは可能だと思いますし、その他馬を篩にかけてつぶしていくような流れの中で台頭してくる馬がいるか、やはりこういう迫力ある展開にはなってくれればいいですよね。
 ダスカ自身はこのシーズンは怪我がちで、大のファンとしてはもどかしいものでしたが、このレースを走った時点では絶対王者の誕生すら感じさせてときめいたものです。
 無事是名馬、というのはその通りですし、今年の面々もここをステップに、怪我なく大レースに挑み続けていって欲しいものですね。
posted by clover at 04:32| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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