2017年03月18日

2017 高松宮記念・マーチS レース回顧

**★高松宮記念**

 春の足音が遠ざかる寒の戻り、三寒四温を地で行く氷雨の舞う中、青雲を象らんと馬場中央を一閃に切り裂いたセイウンコウセイが、勢いそのままに嬉しい初重賞制覇をGⅠで飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場ですが、予想以上に重くなってしまったなぁ、という印象ですね。ただ朝の時点からもう悪化していて、そこから極端に悪くなり続けるという変遷ではなかったので、午前中の時点でしっかり予想を組み直す猶予はあった条件だと思います。まあお仕事中の私には出来ない相談なのですが…………。
 基本的に内外の差はそこまでなく、全体的に湿っている馬場で、しっかりグリットの適性があるパワータイプの馬が上位に来ていると思いますし、先行勢が直線で外に持ち出した分だけインがガラッと空いて、その間隙を突いた馬も多いので、純粋な力差も踏まえつつ立ち回りが噛み合ったかどうかはしっかり判断したいところです。

 展開は、今日もシュウジが抜群のスタートから制御しきれない感じでハナを取りに行き、その内からラインスピリットとセイウンコウセイもかなり速くて、結果的にラインが逃げる形、シュウジが番手外でセイウンがその後ろになります。
 外枠勢もトウショウピストあたりはかなり押していきますが完全にはポジションを取り切れず外々、ワンスも早めの競馬で、ソルヴェイグはそれを見る形で先団、インから早々にレッドファルクスも押し上げてきました。
 ドンキとフィエロは後方インでじっと待機、メラグラーナも後方外目から進出の機を窺うという隊列になりました。

 ラップは33,8(11,27)-34,9(11,63)=1,08,7(11,45)という推移になりました。
 それなりに前半が流れて高い追走力は問われましたし、かつコーナーの推移が11,2-11,4-11,3とほとんど緩まず、ラストは12,2と大きく消耗する形になっています。
 誤差はありますが基本的にはパワー兼用のスプリント力が強く問われたと思いますし、かつコーナーで外々だとラップ的にもより苦しかった形で、セイウンコウセイ以外の上位馬はほぼ例外なくインベタに近いコース取りをしているので、枠順とコース判断も明暗を大きく分けたかな、とは感じますね。

 勝ったセイウンコウセイは素直に強かったですね。
 斤量2kg増に前傾のペースになった時の追走力など、色々考えた結果迷ったけど切ってしまいましたが、ここまで馬場が悪化すれば3走前の走りからも当然上昇して然るべき馬でした。
 ただ前日予想の上、基本的にソルヴェイグが耐えられるラインのちょい重い良馬場、くらいで思い入れ込みで決め打ってしまっていたので、これは申し訳ないですが自分的には仕方ない形です。

 けれど馬自身の充実も間違いなく素晴らしく、今日は1秒もの前傾ペースで、基本先行勢が総崩れの中一頭だけ4コーナーでどこを通るか選べるほどの余裕綽々ぶりには驚きましたし、その時点でやられたなー、と。
 直線も馬場の真ん中を通って手応えそのままにしっかりと抜け出し、ラストも自身のラップでしっかり粘り込んだ形ですし、ある程度前の馬に付き合って外を回してこれですから、今日の馬場コンディションの中では図抜けてこの馬が強かった、と見ていいでしょう。

 今日も見せたようにスタートセンスは抜群で、非常に器用さもありつつ馬力も備えているので、今後の活躍が楽しみですね。後は純粋に高速馬場での時計勝負になった時にどうか、課題はそれくらいになってくると思います。

 2着のレッツゴードンキは、好調を取り戻してきた岩田Jらしいイン差し決め打ちが綺麗に嵌りましたね。
 思ったよりも前半ついていけずにあれれ、でしたが、コーナーで多くの馬が外に行く中で、ロスを抑えつつ前に上手く取り付けましたし、直線も迷わず一番内に潜り込む判断は、馬力のあるこの馬にとってはベターな選択だったと思います。
 前で粘り込む当面の相手のレッドファルクスは競り落としていますし、外から一頭違う競馬をされた形ですけど地力は見せました。この馬も純粋なスプリントだと総合スピード的に辛いかもですが、こういう条件になれば一気に浮上してきますね。

 3着レッドファルクスは、え?昨日に引き続きイン決め打ちなの?とちょっと驚きましたね。
 とはいえ枠なりと言えばそうですし、出足自体も以前よりかなり良くて、直線でも序盤はしっかり伸びてきています。
 ただラストはかなり甘くなってしまってドンキに差し込まれましたし、この馬場だと持ち前の持続力が生きないのか、それとも自身34,4-34,6の前傾ラップでは追走力で辛かったのか、或いは遠征明けで状態に問題があったか、そのあたりは判断が難しいところです。

 ある意味その全てが複合的に作用して、という感じでもありますし、競馬の幅を広げてきた、という観点では悲観すべき負けではないでしょう。
 本質的には後半型のスプリンターですし、もっと距離が伸びてもやれる馬だとは思っていますので、個人的には京王杯から安田記念を使ってみて、そこでゆったり入ってどこまで持続力を引き出せるか試して欲しいですね。

 4着ティーハーフにはビックリですが、確か去年もイン差し決め打ちで結構惜しいところまで来ていましたし、時計がかかって浮上してきた、と見做していいでしょう。
 かなり条件が嵌り切っての結果ですので、次に鵜呑みには出来ないとは思いますが、久々に意気軒高なシーンを演出できましたし、復活のきっかけにして欲しいですね。サマースプリント辺りで楽しみにしたいです。

 5着フィエロはまぁ、やはり位置取りはこの馬場でもああなってしまうし、直線の進路取りもスムーズな中でこれですから、純粋に力自体も落としているし、スプリント戦にも高い適性はなかった、と見ていいと思います。
 結果的に極端にスプリント色の強い競馬はしていないですから、ここから安田を狙って、今回が刺激になってある程度ポジションを取ってくれば怖さはあるかもしれませんね。

 ソルヴェイグはまぁ、やっぱり渋ったらダメな馬なんだなぁ、とは再認識ですね。
 スタートからフワフワと進んでいかない感じでもありましたし、本来はもっとダッシュが効く馬なのでそのあたりの位置取りの差も影響したでしょう。ただ前傾戦は望むところ、の中で、直線で一瞬もいいところを見せられなかったので、この条件では完敗、ですね。
 この馬は流石にマイルまでいくと長い気もするので、素直に夏のサマースプリントに絞って再浮上を目指して欲しいところです。

 メラグラーナも、コーナーで外々という一番厳しい競馬の流れに嵌ってしまったのはあれ、持ち前の切れ味を全く引き出せなかったですね。
 やはりこの馬の切れ味は良馬場でこそ、という事でしょうし、ここはある程度度外視していいレースになると思います。

**★マーチS**

 こちらは逆に、予想よりは雨が降らなかったなぁ、というところでの稍重馬場、時計自体は多少軽くなったかな、程度の差でしたね。
 展開はショウナンアポロンが激しく出遅れ、インカンテーションは好スタートからハナを狙うも、外から一気にコクスイセン、アスカノロマンが進出してきてこの二頭が逃げ番手、インカンテーションは二列目ポケットでの競馬になります。
 意外だったのがその外目に早々とディアデルレイが押し上げてきたことで、個人的にはこの位置がロンドンタウンかな、と思っていたのですが、結果的にロンドンがその半馬身後ろの外目、リーゼントロックが真ん中に入って、メイショウスミトモとマイネルクロップは中団、という隊列になりました。

 ラップは36,6(12,2)-36,8(12,27)-38,6(12,87)=1,52,0(12,44)という推移になりました。
 馬場が軽くはなり切っていない中でのかなりの前傾ラップ、消耗戦になっていて、後半のラップ推移は12,7-12,3-12,5-13,8という数字です。
 かつ、二番手以降の馬がこの残り800mからの12,7のところで一気に取りついているので、実質的にはこの地点で12,2くらいの脚は使っていて、息が入らず追走力も問われる中でのロンスパ、徹底的な持久力戦になっていて、その証左がラストの13,8という落ち込みに現れています。
 全体のペースからも、勝負所の3~4コーナーで内外の差はかなり大きかったと思いますし、立ち回りと仕掛けどころの差が結果に反映したレースだったと思います。

 勝ったインカンテーションは、うんまぁ順調ならこのくらいは走れる馬ですよね、というのは素直に思います。
 こういう前傾のタフなレースにも強いですし、またポケットにいたことで外からアスカが早めに進出していく中で仕掛けをワンテンポ待てた、かつ最内でコーナーでのロスが全くなかったことが、全馬消耗している中での最後の粘り脚につながったと感じます。
 もう七歳ではありますが、レース数を使っていない馬なのでまだ一花咲かせられると思いますし、より高いステージに戻っていって欲しい馬ですね。

 2着のディアデルレイは、かなり強気の競馬をした中で極端な消耗戦でポジショニングが最後にものを言った形かな、と思います。
 前走を見ても、この枠から一気にあそこまで取り付けるとはちょっと思っていなかったですし、結果的にロンドンを一枚外に追いやった事で、コーナーのロスが大きく響く展開を最小限のロスで留めたファインプレーになったと感じましたし、このクラスでも戦える目途を立ててきたな、と感じます。
 本質的にはもう少し軽い馬場での総合力が一番の武器になるタイプだと思いますので、府中や京都なら狙いを上げていってもいいのではないか、と頭に置いておきたいですね。

 3着アルタイルは、うーん、この馬がここでこういう競馬が出来るとは…………という感じですね。
 予想的にはちょっと外連を張り過ぎた格好ですが、ディアデルレイは少なくとも取り上げるかかなり迷って消した、そしてこの馬より人気ない馬を選んでる中で、この馬だけは全く視界に入らなかったので素直にごめんなさい、です。
 基本的に追走力はあるけれど、バランス的に消耗戦では脆い馬、という判断でしたが、ここまで消耗し切ると逆に立ち回りでフォロー出来るレベルだったのかな、と思いますし、実際3~4コーナーは内目を通しつつ、直線入り口でロンドンの外に出してブレーキ踏まずに進出するそつのない動きが出来ていました。
 やはりインカンもそうですけど、コーナーで無理をしなかった馬が最後にちょっとだけ余力を残していた、というレースなのだと思います。

 4着ロンドンタウンはうーん、この展開なら差し込んで欲しかった、とは思いますが、ちょっと地力の期待値を高く見積もり過ぎましたね。
 ポジショニングの部分でディアデルレイに前に入られて、道中から終始外々、4コーナーでも4頭分くらい外を回されたのは苦しかったですし、斤量的にも甘くなかったですが、ここまでラスト消耗しているならなんとか差し切って欲しかったなぁ、と。
 でも直線入り口の反応も悪かったですし、ジリジリジリジリ詰めてはきていましたが、ここで問答無用で押し切れるほど持久力に秀でてはいなかった、と冷静に見做すべきでしょうね。

 5着アスカノロマンは、まあ強い競馬ですけど流石に強気すぎましたね。
 3コーナーから一気に進出してロンスパに持ち込んでいますし、その分だけラストはガタッと止まる形で、状態的にもまだ万全ではないのかな、とは思わせますが、もう少しじわっと行ければ結果は違ったかもしれません。
 ただこの2頭は、本来名古屋大賞典に出る予定が、出走馬選定の枠ではじかれて急遽こちらに、となり、鞍上も完全なテン乗りになってしまった不運もあるでしょう。アスカは特に、ムラ駆けですが嵌ればGⅠクラスの力はある馬なので、条件と状態をしっかり見極めていきたいですね。
posted by clover at 04:07| Comment(0) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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