2017年03月03日

2017 阪神大賞典・スプリングS レース回顧

**★阪神大賞典**

 伝統の長距離重賞阪神大賞典は、サトノダイヤモンドが古馬となり、更に精緻に磨き抜かれた輝きを満天下に示す快勝でした。内容を振り返っていきましょう。

 まず今日の馬場は、基本的に高速気味の馬場だったと思います。
 9Rの1000万下が34,8-11,6-34,1のバランスで、勝ち馬がぶっちぎったとはいえ1,20,5の好時計、10Rも60,5-59,0で後半5Fのロンスパ戦の形でラストまで落とさず2分を切ってきていました。
 ただ完全に素軽い馬場と言う事は勿論なく、ある程度パワーの裏付けがあってこそ時計が出せるイメージで、サトノケンシロウが好位から伸びあぐねたのを見ても、基本的には汎用ディープ向きの馬場ではなかったと感じます。

 展開は中々に混沌としていましたね。
 内からウインはあまりダッシュが良くなく、外のタマモ、マドリードがスッと前に出ていく形になり、その直後にウインとスピリッツがつけていきます。
 しかし隊列が固まりかけたところで、レーヴミストラルがガツンと引っかかって一気に先頭列まで上がっていってしまい、序盤にやや流れが速くなっていきます。

 シュヴァルグランは普通のスタートから枠を利して中団、サトノダイヤモンドは一歩目がややゆったりで、そこから折り合い重視でがっちり抑えていった分、序盤のポジションは後ろから二頭目とシュヴァルグランを見る形になります。
 一周目の勝負所でやや引っかかる様子も見せますが、鞍上がしっかり馬の後ろにつけて折り合わせ、スタンド前ではゆったりした走りを取り戻してジワジワと前に取りついていくのは、有馬記念を彷彿とさせる立ち回りでした。

 そしてスタンド前から一気にウインが動き、ハナを取り切って前走同様に大きく後続を離していく展開になり、結果としてレース全体的にあまりガクンとペースが落ち着くことなく勝負所に差し掛かります。
 サトノを外に置いたシュヴァルグランが果敢に先に動く競馬を選択し、残り1000m付近から一気に馬群が凝縮していく中での、総合的なスタミナ、持久力が強く問われるレースになり、勝ち時計もレコードに0,1秒差と素晴らしいものでした。
 
 ラップは3F×5で、36,2(12,07)-36,8(12,27)-36,6(12,2)-37,2(12,4)-35,9(11,97)=3,02,6(12,17)と、数字的にも全く淀みのない推移、タフな流れになっています。
 5F×3だと61,5-60,4-60,7で中盤が最も速く、無論これはウインが単騎で離した分はありますが、大体2000m通過でシュヴァルグラン・サトノダイヤモンドの位置で目測1,5秒差くらいなので、この辺りの馬でも62,3-61,0-59,3くらいの推移かな、と感じますし、相当にステイヤー色が強い競馬です。
 故に先行馬では、スタミナに長けるタマモとスピリッツが粘り込んでいますし、最後方で脚を溜められたバジルが3着に食い込んできた、と、レース自体のイメージとしてはこれでいいかなと思いますね。

 勝ったサトノダイヤモンドは、本当に強い競馬を見せてくれたなと思います。
 やはり休み明けで気性面でも多少ちゃかつくところはあり、またレース展開としても普段のポジショニングの良さを捨ててシュヴァルグランの後ろから、と、この辺りではひょっとすると、という気配を醸していなくもありませんでした。
 しかし勝負所から、先に動いたシュヴァルグランをしっかりマークする形で、後半の最速ラップを踏んでいるコーナーで1枚外から楽な手応えで押し上げ、残り200m地点ではほぼ並びかけています。
 そこから持ち前のラストのしぶとさを発揮し、残り100mで追いすがるシュヴァルグランやトーセンバジルをもう一度離す脚を見せての完勝でした。

 大体上位2頭は後半4Fの持続力戦に入っていると思うのですが、推移的には11,6-11,5-11,8-12,3くらいかな、というところで、これだけ全体が流れ、仕掛けも速い中で、ラストを12,3で楽々まとめてくるのはやはりちょっと異質な強さだな、としみじみ感じますね。
 当然一叩きしての上昇は存分に見込めるつくりでしたし、ゴール板前を2度通過するレースだと、どうしても最初の4コーナーで行きたがるところは出てしまいますが、そこさえクリアして本来のポジショニングの良さを発揮できれば、春の天皇賞もしっかり勝ち切ってくれるのではないかと思います。京都の4Fロンスパなら、持続力の差でキタサンは有馬よりも楽に、普通に差せると思うんですよね。
 ともかく、このまま無事に本番を迎えてくれれば、だけですね。

 2着のシュヴァルグランも、福永Jは非常に積極的で持ち味を生かすいい競馬をしてくれたと思います。実際斤量差はあったにせよ、有馬よりは肉薄できていますからね。
 スタミナが問われる流れの中でもスッと動けて長い脚を使えるのはこの馬の最大の武器ですし、去年はそれで楽々勝ち切れた、今年は道中のペースを考えれば去年以上の強い競馬が出来ているとは思うのですが、文字通り相手が悪すぎましたね。
 どうしても淀だとポジショニングの面で後手を踏むし、上位に食い込むには奇抜なアイデアが必要かな、とは思いますが、3番手争いの中ではアルバートとどちらが上手く乗られるか、という勝負になりそうですし、継続騎乗の中での新たな引き出し、可能性を見せて欲しいなと思います。

 3着トーセンバジルは、この距離でロンスパになってどうか、って思ってたんですけど、前がやり合ってくれたのと、仕掛もワンテンポ遅らせてじっくり脚を溜めたのが功を奏した形ですね。
 本質的に長距離向きか疑問視していたところは、きょうの流れで一定やれたことで払拭しましたし、今後は2400m以上の長距離路線に絞ってもいいかな、と思います。前半無理しなければやはり一瞬いい脚は使う馬ですが、持続力はどうしてももう一歩最上位には足りないので、そのあたりを埋める工夫が欲しいですね。

**★スプリングS**

 皐月賞の最後の切符をかけてのスプリングSは、外からウインブライトが燦然たる輝きを放っての一気呵成の差し切りとなりました。しっかり見ていきましょう。

 まず今日の馬場は、金曜に散水情報もあったせいか、予想よりちょっと時計のかかる馬場だったと思います。
 9Rこそ46,0-47,3で1,33,3と好時計でしたが、これはハイペース適正がべらぼうに高いキャンベルジュニアとドーヴァーが千切っているレースで実質OPクラスの競馬をしていますし、500万のマイル戦が47,5-48,6で1,36,1止まり、最終も61,9-59,6とスローからの5Fロンスパ戦ですが、勝ったロッカフラベイビーが千切ってきました。
 全体的にはパワーが要求される、切れ味よりは持久力面が強く生きる馬場だったでしょう。

 その中でのスプリングS、展開はまた見事に内枠勢が前、外枠勢が後ろと綺麗に分かれて、そして能力差があるとはいえ平均ペースのロンスパ戦でガラッと前と後ろが入れ替わる形になりました。
 内3頭の先行争いに外からモンドが加わり、ストロングとエトルがその後ろ、プラチナは枠の差もありそれを見る形でスポット的な中団に入り込みます。
 外の馬ではサトノアレスがやや出負け、アウトライアーズとトリコロールブルーもダッシュがそこまでつかず、4頭の中ではスムーズにゲートをクリアしたウインが一番前、アウトライアーズがインに潜る形で進んでいきます。

 ラップは36,4(12,13)-35,7(11,9)-36,3(12,1)=1,48,4(12,04)という推移になりました。
 綺麗な平均ペースで中盤が最速の5Fロンスパ戦、全体的にスタミナ色は強い競馬で、切れ味はほぼ問われずですが、一応コーナーで11,8-12,1-11,8とわずかに淀みがあり、ここをフラットに押し上げて勢いをつけ切れたか、は結果にそれなりに影響を与えたかなと感じますね。

 勝ったウインブライトは、馬体重も-12kgでスッキリしたシルエット、かなりしっかりした仕上げで望んできたな、という感じです。
 勿論権利が必要な立場での必勝態勢ではあったと思いますし、馬もそれに応えるだけのいい競馬を見せてくれました。
 スタートもスムーズで上位人気勢の中で主導権をしっかり取れた上で、アウトライアーズをインに押し込めながらの道中の立ち回りも意識的なものを感じさせ、いつでも動き出せる体制を整えていたなと感じます。

 レース的には勝手に前がロンスパに持ち込んでくれたのは僥倖でしたが、そうでなければ自分で動いてそうさせていただろうと思いますし、コーナーではかなり外を回しながらもしっかり加速しながら進出、直線入り口では2列目まで押し上げます。
 そこから一脚で一気に出し抜いたプラチナを坂でしっかり捉え、内からのアウトの急襲も抑え込んでの嬉しい戴冠になりました。

 展開としてはブレーキを踏まずに押し上げて、持久力面を最大に生かせたのがまず勝因ですし、1800mになって前半の追走が楽になっているのもポイントでしょうね。自身61秒の通過からしっかり後半のスムーズな加速を引き出せていますし、ここでは強い競馬だったと思います。
 ただ皐月に向けてを考えると、今回かなりメイチ仕上げに感じた部分と、あと馬場が高速化して、絶対的にペースが上がった時に速度負けしないか、という懸念はなくもなく、多頭数でのポジショニングも含めての課題はありますね。それでもこの組は強いと思っていますし、本番でも楽しみです。

 2着のアウトライアーズは、今日に関しては枠の並びでどうしてもスムーズさを欠く部分もあり、また次を踏まえてしっかり折り合い面を重視した感もあっての負けかな、と思います。
 内目を通っていた分だけ、コーナーの淀みで前に合わせる形になり、プラチナとウインには加速地点で出し抜かれる形になりました。
 それでもラスト1Fは一番いい脚で食い込んできているのでやはり地力は確か、賞金的にもこれで楽にはなりましたし、次を考えれば悪くない負け方だったと考えます。
 どちらかと言えばこの馬はもう少し高速化して、より総合力を問われたほうが味が出ると思っていますし、全体のペースが上がる中で次はもう少しポジショニングでも攻めていけると感じますので、おそらく本番も本命か対抗あたりの印はつけるでしょう。

 3着プラチナヴォイスは、個人的には印つけられなかったのが痛恨でしたね…………。能力的には評価してる馬なんですけど、前走を見てまだ今の馬場だと少し足りないか、と思いつつ、トリコロールブルーと最後の一枠で悩んで、結局日和ったのは情けないと大いに反省です。
 今日はポジション的にも流れの中で一番楽な所に入れましたし、少しパワーを要する馬場でも平均で流れた中で、持ち味の一瞬の切れを発揮出来ましたね。
 本当はここで更に人気落としての皐月賞の高速ラップでの穴馬候補でしたが、これで確実に権利は取れて、かつ負け方的にも人気しなそうなので、枠次第ではかなり楽しみになってきました。

 4着サトノアレスは、まあ一周コースで淡々とした持久力戦ならこの程度かな、というのは正直なところですね。
 坂スタートで明確に出負けしましたし、マイル戦でも追走力が61秒の裏付けしかなかったので、今回同様の流れから切れを引き出しきれていない事を考えると、やっぱりステイヤー色の強い競馬では上位には太刀打ちできないかなと感じます。
 高速馬場皐月賞の方がまだ、とは思いますが、その場合追走面で60秒くらいまでには縮めてこないとですし、距離伸びてあの極上の切れ味が引き出せるか、と思うと微妙なのですよねー。今日のラストの伸び切れなさを見ても、ダービーよりはNHKマイルの方がまだ適性は高いのではと考えます。少なくとも本番で、ここの1、2着馬を逆転するのは真っ当では難しいかなと思います。

 5着トリコロールブルーは、うんまぁ上手く乗られていますけどやっぱりこの程度だよね、と、自分の能力適性判断を信じ切れてない弱さに凹んでおります。
 いくらデムーロJでも、追走で汲々の馬でスーッと動いてはこれないですし、純粋に位置取りの差から、後半要素でも若干なりウインに見劣っているわけで、素直にダービー路線に的を絞っていた方がよかったかな、とは思います。
 ただ一応これで61秒ペースには追走の目途は立てたので、距離が伸びたところでならポジショニングもある程度積極的に行けますし、成長も感じているのでダービー路線にはきっちり乗ってきて欲しいですね。
posted by clover at 04:35| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください